Oceangreenの思索

主に、古神道、チベット仏教、心理学等に基づく日本精神文化の分析…だったはずなんだけど!

戻れば良くなるか

2010-07-16 | 日本人の意識と社会
このまま行くと、日本には、今までのような繁栄は望めない。
色々な意見はあっても、それだけは、誰もが一致するところだと思います。

でも、だからどうするか、については、
様々に意見が分かれます。

ある人は、よりグローバル化の進んだ国を見倣うべき、と言い、
ある人は、高度成長を築いた人たちを見倣うべきだ、と考えます。

またある人たちは、さらに昔の、
戦前や明治の価値観を取り戻そう、と言います。

しかし、日本国内の市場の成熟、世界のグローバル化など、
過去とは環境が違っている以上、

手法において、過去の教育をそのまま行えば過去の人々のようになる、
という訳には行きません。

かといって、グローバリゼーションをそのまま持ち込み、
貧富の差が激しく価値観の違う外国のようになってしまうのも嫌だ、
という人も多いはずだと思います。

だから、意見が割れて、さっぱり前に進まない。

***

わたしは正直、日本的な美徳…
“リラックスはいかん、内観は禅なら許すが、
心を鎮める音楽や芸術やお香なんかは贅沢”
みたいな価値観は苦手です。

スリランカのお坊様も、“止(心を落ち着ける)”の瞑想は、
自分にあったやり方で良い、と書いていました。

ですから勿論、歩行禅でもいいのだと思います。

勿論、昔の人の胆力は尊敬すべきです。

でも、産まれた時から商業主義にさらされ、
エアコンの利いた部屋で、濡れても快適な紙おむつで育ったために
不快に耐え、また不快を主張して快を手に入れることさえ知らず、

煮干しや煎餅を丸かじりにしたことも殆んどなく、
甘くて柔らかいものやファーストフードばかりを好み、

都会で環境も悪くて、大人が犯罪に会わないように見張っていなくては
自由に遊ぶことさえも出来ないで育つ人間が、

いくら古い価値観を叩き込んだとしても、
昔のように育つのは無理なのではないでしょうか?

だからといって、布おむつで育てろなどというのは、
現在の多忙なお母さんたちには、あまりに過酷な要求でしょう。

***

わたしは、上座部仏教の教説をそのまま受け入れる人間ではありませんが、
スリランカのお坊さまがこんな事を書いていました。

成功するのは欲のある人であり、国も同じ。
アメリカは欲によって経済的な豊かさを手に入れ、
旧ソ連は怒りで革命を起こした国だった。

欲を実現させるために頑張り、欲を満たして楽しむ人の方が、
怒りで破壊する人より成功する。

だからソ連は崩壊し、アメリカは残った。

中国は怒りの国だったが、それでは駄目だと分かって
欲に方向転換したのだ、と。

日本はどうでしょう?

戦争に負け、アメリカの豊かさを見て、
アメリカへの怒りと、アメリカを見て生じた欲で
頑張ってきたのだと思います。

でも、今は、同じ動機が全く持てない状況ですから、
昔の人の真似をしても、昔の通りにはならないと思うのです。

年配の方は、欲を持てと言います。
ですが、年配の方は欲のために頑張ってきた結果、

成功した人の中には、権力にしがみつき威張る人が多く、
成功しなかった人の中には、不満気で欲深の人も多いように思います。
今は、年配の方の万引きも多いのです。

勿論、トップの動機は生活苦ですが、30%くらいで、
残りはその他の理由だったと思います。

ですから、昔の優れた人のようになろうと志すのはいいと思いますが、
むやみに昔に戻そうとしても駄目だと思います。

また、兵役を義務化しても、
根本的な解決にはならないと思います。

***

もちろん、スリランカも
グローバル経済を受け入れて十分な繁栄を遂げてしまった国では
ありませんから、
その仏教をそのまま真似するわけには行きません。

結局、第三の道を求めるしかないと思うのですが、

それは、伝統を踏まえた上でしっかりとした現実認識を持ち、
時代にあわせたやり方を造り出していく、という、

創造的な方法でしか見い出せないと思うのです。

抽象的で申し訳ありません。

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