ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

山桜記(葉室麟)

2020年09月10日 | 時代劇はミステリー

7編の短編からなる「山桜記」を読んだ。

戦国の夫婦の姿を描いた短編集ということで、非常にユニークな
作品集だった。

また、どれも、質の高い、美しい作品だった。

どれか、一つと選ぶのも難しいが、「牡丹咲くころ」という作品の
最後のやり取りは、ちょっと、美しすぎる。

ほのかに思う女性を何としても守りぬきたい花として、
花の美しさを守ろうとする人の心を、花は知らずとも良いと夫に言われ。

今度は、牡丹の木を送ってもらって、移し替えようとしたとき、奥方から、
一つお願いがある。根から土が落ちぬように、牡丹が気づかぬようにそっと、
移して欲しい。というのだ。「それが、花の幸せにございますゆえ」

これだけでは、よくわからないかも知れないが、その場合は、この作品を
読んでもらうしかないだろう。

 


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