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心豊な毎日を過ごす為のキーワード『ALOHA SPIRITS』を探し求めて。。。 アロハシャツ/旅/出会いの記録。

羽田空港でイギリスに立つ友人と乾杯

2006年10月15日 | アロハスピリッツ

 某観光地の某有名ホテルの令嬢は学生時代の同級生で、その彼女がイギリスに留学する為、羽田空港までANAを利用し、翌日朝の British Airways へ乗る為、前泊先の成田へのリムジンに乗る前に、待ち合わせをしてご飯を食べた。
  
   ANAターミナル
 彼女がイギリスに留学すると聞いたのは、本人ではなく、別の同級生から聞いたのだが、奥手な僕から電話をして食事に誘った。もちろん下心なんてなく どうして留学をしようと決意したのかを聞いてみたかったし、何より、これからの人生のひとつのステップとなるこの機会に乾杯してお祝いしてあげたかった。

 大きな荷物を背負い、トランクを引いて手を振りながら笑顔で到着ロビーに現われた彼女に手を振ると、なんだか泣きそうになった。僕の彼女でもないのに・・ 場所が空港だからだろうか。。。もう高校を卒業して長い年月が経ち、お互いもちろん歳をとっているのだけれど、久しぶりに会うと、時間を超越する不思議な感覚になっていた。

 「リムジンバスに乗るから、あんまり飲めないね。」
 「もともと飲めないから。」
 「何飲む?」
 「それじゃ、ペリエライム。」

 時間がないので、一番近くのレストランに入った。ペリエライムなんて僕は飲んだことがなく、こんなお洒落なものを飲むようになった同級生にちょっと驚いたりした。僕が大きなチョリソーの乗った摩訶不思議な“当店お薦めスパゲティー”を注文し、彼女は「ハンバーグ定食」を頼んだ。
 乾杯と言って飲んだビールは美味しかった。のどごしのよさを謳ったCMに出演できるのではないかと思うくらい、爽快に飲みきった。 自分が何かやり遂げた訳ではなく、ただビールを飲んでいるだけなのに、とても美味しかった。

 頼んだ料理はなかなか出てこなかったけれど、それを忘れる位彼女の話に聞き入た。限られた時間で説明しきれなだろう。それでも、大きなホテルの令嬢として生まれ、独身のまま仕事をしている彼女にはきっと人には言えない事もあるだろうし、お父さんを亡くして、日本に残していく母親を思う気持ちもあると思う。
でも周りの人への感謝の気持ちというのが言葉の端に出ていた。それを聞いてホッとしたし、とても嬉しかった。 それに決心した目標が強い気持ちで支えられていた。

 今まで留学をする人を沢山見ている。「自分がかわりたいから」「行けば何か見つけられるかもしれないから」「英語が話せるようになりたいから」。。 その理由があいまいな人がほとんどで、単純な憧れや、今の自分から逃避する人ばかりだった。

 彼女にアドバイスなんて何にもできないけれど、何かあった時はいつでもメールをとだけ伝えた。別に彼女は僕になんか励まされなくてもきっとやり抜くだろうけど、どんなメールが届くのかは楽しみだ。文面からキラキラとした毎日が読み取れるのか、悶々とした心の内が綴られているのか。。同級生なんだから何の遠慮もいらないし。

 出された料理は可もなく、不可もなく普通の料理で、とても高かった。羽田空港で食べる食事なんて、食べたいというよりも、どこでもいいから入ろう・・という諦めで入るお店しかない。本当につまらない場所だ。

 二人でシェアーをして食べた。チョリソーが辛く汗を噴出しながら食べる僕に、彼女が自分のハンカチを出してくれた。汗を拭いて彼女に返すなんてできないし、おしぼりで大丈夫だと言っても、「大丈夫、使って・・」 というのを拒絶するのも変だし、お言葉に甘えて使わせてもらった。汗っかきの自分が恥ずかしかった。

 成田空港行きのバス時間が近づいて、リムジンのチケットを買い、秋の風が吹くバス乗り場に行った。
  「今度、帰国する時にハンカチ返すからっ」
 「大丈夫、気にしないで」
そう言われたけど、いくら同級生でも汗を拭いたハンカチをその場で返せなかった。

 バスに乗り込んで席に着いた彼女に手を振った。
 彼女も細かくずっと手を振り返していた。

 計ったように出発するリムジンバス。あっという間だったけれど、今日羽田空港まで会いに行ってよかったとつくづく思った。 頑張る姿を応援できるって。

 帰り道。バスの中から送ってくれた御礼のメールが僕の携帯に届いた
 一年後、再会した時に見直そうと、日付入りのそのメールを“保護設定”した。
 
 その日までに僕は成長しているんだろうか・・・・・考えたらちょっとへこんだ。

 頭をブルブルっ と振って「頑張ろう」ってつぶやいた。そうじゃないと今日ここへ来た意味がないから。 帰り道、保護したメールをまた読み返した。