旅写真教室 vol.6 『光を捉えろ!』 span>

上の写真が500pxにて久々のEdotor’s Choiceに選出されました ⇒ コチラ
Editor’s Choiceの威力は凄いですね。あれよあれよと言う間にアクセスが2万を超え、さらにはイギリスの雑誌社から掲載のお願いまで来ちゃったりして、なんだかとってもフィーバーしています。というわけで今日は光と写真のお話。
写真というのは順光で撮るのが基本なわけですが、逆光で撮ることによって写真が一気にドラマチックになります。
この写真は半逆光とでも言いましょうか、建物の斜め上から強烈な朝日が当たっている場面を狙いました。下の元画像を見ると分かりますが、全体が光で包まれているためボヤけた感じになっていますね。ヒストグラムの左右幅が狭くコンパクトになっている。つまりこれは明るい部分と暗い部分の差が少ない(コントラストの低い)写真と言えます。現像時にはこの光に包まれた感を残しつつ、主役である壁や人物の質感を出すべく仕上げました。

撮影時のポイントは3つ
1つ目は「素敵なシーンと素敵な光を探す」ということ。当たり前のように思えてこれが実に難しい。ひとつのコツは「頻繁に振り返る」ことでしょうか。東西に伸びる道路があったとして、東進するのと西進するのとでは景色も光の射し方もまったく違う。もちろん時間帯によっても撮れる写真が天と地ほど変わります。
2つ目は「空を入れない」ということ。強烈に明るい空を入れると一気に白トビを起こす恐れがありますし、そもそも中途半端に空を入れると目立ってしまうので建物の端ギリギリでフレーミングしました。
3つ目は「ピント命」。当然のことながら女性にピントを合わせるわけですが、このようなコントラストの無い(もしくは眩しい)場面では確実にピンボケが発生します。それをどう防ぐかというと…数撃って当てる。僕はマニュアルフォーカスが苦手なので、もう連写に次ぐ連写で「どれか1枚でもピント合ってくれ~」と祈りながらAFで撮ります(笑)

ちなみにこれは順光バージョン。これはこれで良いですが、やはり逆光の方がドラマチックですね。順光時は空もピントも気にせずに撮れるのでラクチンです。カメラって不思議。

次にこの写真。強烈な朝日が差し込んでいる場面を捉えました。光の部分は当然明るくなりますが、主役である爺さんは日陰にいるのでとっても暗い。つまり明るい部分と暗い部分とが極端な、コントラストが非常に高い写真になるわけです。こりゃ難易度が一気に上がります。

ヒストグラムも明るい部分から暗い部分まで万遍なく広がっているのが分かると思います。これが逆光の特徴なわけで、撮影時にはこのヒストグラムがきちんと枠内に収まっているか、特に白トビが発生していないかを慎重に確認しながら撮る必要が出てきます。ある程度は後処理で何とかなりますが、盛大に白トビさせてしまうとどうにもならないので気を付けましょう。暗い部分を明るくすることは比較的簡単なので、僕は難しい場面では少し暗めに撮ることを心がけています。
もうひとつ注意点。カメラってのは暗い部分が苦手なので、日陰にいる爺さん自身にピントを当てようとすると失敗します。そこで少しでも凹凸やコントラストのある(明暗差がある)部分を狙います。この写真の場合は列車の側面かな。カメラセンサーと平行な位置にある物体にピントを合わせれば、必然的に爺さんにも合うわけです。これ意外と大事。

ついでに、その技を使ったのがこの写真。これは逆光というわけではないですが曇天のコントラストの無い場面での撮影なのでピントには非常に気を使いました。この場合も人物はコントラストが低いので、人物正面にある家財道具(?)のあたりを狙ってAFを合わせています。
光が難しい場面ではAFも難しい。写真はピントが命なので何かと大変です。
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旅写真教室 vol.5 『単なる観光写真じゃ面白くない!』 span>

今まで数多くの旅人と会ってきましたが、観光地などに行って写真を撮る時に「人が写り込まないように撮っている」という人が意外と多いことに気付きます。気持ちは分かるのですが、そこらの絵葉書やパンフレットに載っているような写真を撮っても面白くない。特に観光地なんて他の誰かが何万枚と似たような写真を撮っているわけで、やはり「これは自分が撮ったんだ!」というオリジナリティを少しでも出したいところです。

風景写真等の中にアクセントとして加えられた人物や動物を「点景(添景)」と言います。例えば2枚目の写真のような噴水。この噴水を真ん中に持ってきて単にパシャッと撮ったとしても、それを見た人は「あ、噴水だ」という認識にしかなりません。そこで、まず背景としてクアラルンプールらしい繁華街を探し、構図の中に通路を確保する。そしてその通路にイメージする人物が通るのを待ち構えて撮るわけです。あくまで噴水が主役でありつつ背景や点景も意識する。この意識を少し持つだけでも観光写真の魅力が一気に増しますね。噴水が構図からはみ出ることによって迫力が出る効果もあると思います。

3枚目の写真は点景と言うには人物が大きすぎますが、あえて外国人女性を入れることによってその日その時にしか撮れない観光地ボロブドゥールになります。

4枚目はアンコールワットの内部。この人物がいなかったら撮ってすらいない場面であり、僕にとっては点景があるからこそ成立する写真と言えるでしょう。
先日アップしたコチラの写真は同じ点景でもまったく逆の発想です。うずくまっている人物こそが主役。でも主役だからと言って望遠レンズで大きく写したってつまらない。周囲を観察した上で左側のスラムを十分に取り入れながら、真っ直ぐ伸びる線路とその向こう側にある崩れかかった橋を構図に入れることで、この人物にストーリーを持たせる。そんな意識で撮った一枚です。
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旅写真教室 vol.4 『ボケを使いこなせ!』 span>

チエちゃんから「2、3歩離れたところから3人並んだ写真を撮ったら右の人がボケてしまった。どうすりゃいいの?もっと絞った方がいいの?」という主旨のメールをもらいました。というわけで今日は旅写真とボケのお話。
撮影技術として背景をフワッとぼかして撮るには以下のやり方があります。
(1) 絞りを開ける(F値を小さくする)
(2) ズームレンズの望遠側を使う
(3) 被写体に近づく
(4) 被写体と背景との距離を開ける
この条件をひとつひとつ重ねていくことによって背景はボッケボケになります。逆に、この4つと真逆のことをやれば背景もビシっと写るわけです。
チエちゃんのケースの場合、並んだ3人すべてにピントを合わせたいのであれば重要なのは(4)です。被写体となる3人がカメラに対して前後して並んでいるからボケてしまうわけなので、全員をカメラと並行になるように並ばせればいい。そうすれば理論上は、どんな状況であれ全員にピシっとピントが合います。
でも、記念写真ならともかく、咄嗟の旅写真で被写体にそれを要求するのは無理ってもんですよね。撮影者がそんな意味不明な指示を出したら被写体の自然な笑顔は間違いなく消えてしまいます。少しでも平行に並ぶように撮影者が動いてあげるのが関の山ってところでしょうか。一眼レフというのはセンサーサイズが大きいので、スマホやコンデジで撮るよりもボケやすい。被写体と2、3歩しか離れていない状況ではいくら絞ってもボケます。それがメリットでもあり難しいところでもあり。
そこで僕はどうするか。複数の被写体が前後していてどう頑張ってもボケが発生する場合、思い切って主役を決めてしまいます。一枚目の写真がまさにそれ。イケメンのお兄ちゃんには申し訳ないけど妹を主役にしました。この時の僕は絞りを開けて被写体にグッと近づいて撮り、脇役のお兄ちゃんをフワッとボカしたわけです。ただしこれも妹の目にピントが合うのが必須。ここで重要になるのがAFの切り替え(写真教室vol.1)なので、また読んでみてくださいな。

2枚目の写真は二人の少年がカメラに対して平行に並んでいるため、後ろの愉快な爺さんはボケつつも少年二人にはピントが合っていますね。こうした状況を作り出すことが重要です。
あとは(2)と(3)。出来る限り広角側を使って少し被写体から離れてあげると、だいぶボケは解消されます。広角を使うと人物は小さく写ってしまうので、広角で撮っておいて後でトリミングするというのもひとつの手かな。
写真は「これが正解!」ってのが無いから面白いですね。
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旅写真教室 vol.3 『笑顔を引き出せ!』 span>


Surabaya, Indonesia
子供たち、特に集団でいる場合は盛り上がりやすいので比較的簡単です。カメラ目線を撮るのも面白いし、何かに夢中になっているところを撮るのも面白い。さっきまで恥ずかしがっていた子供が、あるきっかけを境にして俄然積極的になったりするので、コミュニケーションを取りながら色んなチャンスを待つことが大切です。

Colombo, Sri Lanka
つまり、僕が重視しているのは「その人が見せる一瞬の表情を如何に的確に捉えるか」ということ。まさにスピード勝負。コミュニケーションを図りながらも背景や構図を考えつつ、思い通りの箇所に瞬時にピントを合わせて瞬時に撮る。そして表情は一瞬で変わってしまうので何枚も撮る。旅ポートレートを撮るには、やはり普段から即興でどう撮るかを考える癖を付けることが大切ですね。

旅写真教室 vol.2『とにかく寄るのだ!』 span>

Phnom Penh, Cambodia ( F3.2 1/200sec ISO200 )
タシデレ流・旅写真講座の第2弾は「広角レンズの使い方」について。
広角レンズと言うと、目の前のものを広々と撮れるというイメージから「風景を撮るためのレンズ」という認識を持っている人が多い気がします。旅先でも数人いました。いや、別にそれが間違っているわけでは決してないのですが、今日はそこから一歩進んだ使い方をお話してみようかと思います。
広角レンズを僕なりに定義すると「広く小さく写るレンズ」ということになるでしょうか。例えば目の前にドーンと広がるヒマラヤ山脈を広角で撮ったとすると、確かに山はたくさん写りますが、その一つ一つはとんでもなく遠くに小さく写る。つまりなんとも迫力の無いヒマラヤになってしまいます。そういう時はむしろ望遠を使った方がいい。風景=広角ってものでもないのです。
で、僕(に限ったことではありませんが)はどう広角を使うか?ひと言で言えば「とにかく被写体に寄れるだけ寄る!」です。僕は諸事情により現在は17-50mmの標準ズーム1本ですべての写真を撮っているわけですが、上の写真はその広角側17mmで撮った写真です。(フルサイズ換算の話は省略)
広角は「小さく写る」わけですから、赤ちゃんを大きく撮ろうと思えばとにかく寄るしかない。場合によっては被写体にレンズがぶつかりそうになるくらい寄せます。 するとどうなるか。思い切り寄っているので赤ちゃんは大きく写る。ところが広角で撮っているので少し離れたお母さん(?)は遠く小さく写る。顔の大きさ逆転!…というわけで「強烈な遠近感」が発生します。これは望遠レンズでは絶対に出来ない芸当なのです。
そしてこの特性を良く理解した人が風景を広角で撮ると、息を呑むような大迫力の風景写真も撮れるわけです。僕は撮れないので解説しませんが笑。結局は撮影者がどれだけレンズの特性を理解しているかが大切ってことですね。

Manali, India
広角レンズのもうひとつの特徴は、建物や木を下から撮るとハの字に、上から撮ると逆ハの字になりやすいことです。これも「近いものは大きく、遠いものは小さく」という広角ならではのパース(遠近感)効果ですね。
2枚目の写真がその例。昨年のインド北部マナリで、SONYの10-18mmという超広角レンズで撮った一枚です。木にもっと近づいてもっと下から見上げるようにして撮れば、木々はさらに強烈なハの字になります。 でも僕はこういうハの字的なパース効果を狙った写真はあまり撮りません。得意ではないというか好きではないというか。
広角レンズはその特性から上級者用だとも言われます。確かに何も考えずに広角を使っていると、色々と写ってはいるけど何を撮りたいのか分からないような写真になりがち。でも、「一歩前へ!も少し前へ!」の意識を少しでも持てば途端に使うのが面白くなるレンズだと思います。
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旅写真教室 vol.1『旅写真は目が命』 span>
ある弟子に「色んな写真の撮り方をブログで説明してくれー」と言われているので、唐突ですが実例を挙げながら撮影方法を説明する写真教室を開講します。露出(絞り・シャッタースピード・ISO)の関係について分からない方はグーグル先生で独学してから読んでくださいな。
まず1枚目。僕がよく撮る至近距離でのポートレートです。この場合はAvモードでF2.8に固定。絞りを開けばボケを活かしたフワッとした写真になるわけですね(ただしピンボケになりやすいので注意)。そして1点AFを使ってピンポイントで目にピントを合わせます。この写真は少女の顔がカメラと正対しているので左右どちらの目に合わせてもいいですが、手前側の目に合わせるのがセオリー。
2枚目の写真は被写体との距離約2mからの撮影。このくらいの距離の場合、僕はAvモードでF4.0前後に固定します。さほどボケにこだわるタイプではないので、もちろんケースバイケースですが被写体と離れるほど絞っていくのが僕のスタイルです。そしてゾーンAF(EOS70Dの場合は上・下・左・右・中央の5エリア)の左を選択して少女にピントを合わせます。被写体が遠く小さくなっていくにつれ、1点AFで狙うと別の箇所にピントが合ってしまうケースが多くなるので、ゾーンAFの方が上手くいきます。まぁこのくらいの距離ならどっちでも大丈夫かな。いずれにせよ人物は目が命なので、AFを上手く使いこなすことが重要ですね。
ちなみに全点自動選択AFは一切使ったことがありません。カメラは原則として手前にピントを合わせようとするので、例えばこの2枚目の写真を自動選択で撮ると、確実に右側の女の子にピントが合ってしまうので実に使いづらい。

今日の写真はどちらも炎天下の日陰。背景は暗いんだけど顔に柔らかな光が当たっている、そんな場面を狙うのが好きです。こういう時は少しマイナス補正(-1/3~2/3EV)して撮っておき、後で明るさを調整すれば上手くいくと思います。炎天下とはいえ日陰だと暗くなりがちなので、ISOは200くらいにしておいた方が失敗を防げるでしょう。
そして構図。特に2枚目は学校での撮影なので、ファインダーを覗いた瞬間に「おっ、この蛇口は入れとこう」と考えました。もちろん主役の表情が第一ですが、他に何が写っているのか、何が写っていないのかを確認する癖が大切。今のカメラはとんでもない画素数があるので、少し広めに撮っておいて後でトリミングするってのもデジタル世代っぽくて良いのではないかと。
僕は撮りたいシーンに遭遇すると、被写体にカメラを向ける前に構図を想像し「あ、このシーンはF4でISO200だな、ゾーンAFの左、ちょいマイナス補正」などと被写体にさりげなく近づきつつカメラをカチャカチャと設定することが多いです。他の風景を撮ってるフリをしながら設定したりもするし、もちろん撮りながら修正することもある。たいていは絞りと露出補正くらいなので一瞬で操作しますが、最低でも「絞り、露出補正、ISO、AF切り替え」はファインダーを覗きながら操作出来ることが僕には必須。つまり慣れたキヤノンを使い続けるしかない笑。
最後に
写真教室と銘打ってはいますが、これはあくまで「僕の撮り方はこうだよ教室」ですのでそこんとこ宜しく。好評であれば不定期でやります(不評だったらこっそり辞めます笑)ので、コメントなりメールなりで感想待ってます^^
※追記
基本を勉強するサイトを改めて探してみましたが、コチラが非常に簡潔かつ分かりやすい気がします。全部読めば基本はバッチリではないでしょうか。参考までに。
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