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沖縄八重山「教科書採択問題」アーカイブ 2011 11/9-12/17

2011-12-18 17:29:37 | インポート

12月17日 琉球新報
文科省、県に回答送付 八重山教科書「地区協基づく教科書を」
        
八重山地区の教科書採択問題について文部科学省は16日、竹富町教育委員会が同省に対し、八重山採択地区協議会の答申に従わない場合に教科書が有償となる理由などについて説明を求めた文書への回答を県教育委員会にメールで送付した。県教委は同文書を竹富町に送付した。
 
文科省教科書課は回答の内容について「これまで何度も国会答弁などで示したことと同様だ」と説明。「無償措置を受けるためには無償措置法の手続きにのっとらなければならない。竹富町は9月15日の文科省の指導通り、無償措置法に基づいて行われた八重山採択地区協議会の結果に基づいて同一の教科書を採択しなければならない」と述べた。
 
一方、竹富町教委と県教委が有効としている9月8日の全員協議については「当事者である石垣市教委と与那国町教委が無効としている」とし、あらためて「整っていない」との見方を示した。

12月10日 沖縄タイムス
八重山教科書:竹富教委、東京書籍堅持
       
八重山地区の中学公民教科書問題で、地区協議会が答申した育鵬社版の採択の有無について、文部科学省から対応方針の報告を求められている竹富町教育委員会(竹盛洋一教育委員長)は9日、臨時会を開き、あらためて東京書籍版の採択と、教科書の無償給付を求めて報告することを全会一致で確認した。文科省への報告では、同教委だけに有償化を促す国の対応を不服とする根拠を示す一方、文科省に対しても有償化の明確な根拠を問うている。週明けにも県教委を通して通達する。

臨時会では慶田盛安三教育長が委員に対し「採択権は教育委員会にある。竹富に瑕疵(かし)はない」と強調。町の来年度予算に教科書の購入費用を計上しないことなどを説明した。閉会後、竹盛委員長は「町教委としてあらためて意思統一した。協議会の答申には法的拘束力がないという判断について、今後、県教委と意見のすり合わせを図りたい」と話した。慶田盛教育長は「国が教科書無償措置法にこだわるならば、3市町すべて有償にすべきではないか」と疑問を呈した。

12月10日 琉球新報
東京書籍版の無償要求 竹富教委「有償説明を」

竹富町教育委員会は9日、臨時委員会を開き、東京書籍版公民教科書の採択を変えず、無償給与を求める方針を決めた。12日にも県教育委員会を通じて文部科学省に文書で伝える。文科省が八重山採択地区で竹富町だけ有償と決めた根拠について詳細な説明も求める。
 
育鵬社版なら無償給与の対象で、東京書籍版なら町費で購入することができるとの見解を示し、今月末までに使用教科書を決めるよう竹富町に求めていた文科省の事務連絡への回答。竹富町教委は育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の答申に法的拘束力はなく、東京書籍版を採択したことに法的瑕疵(かし)はないというこれまでの考えを説明。育鵬社版を採択した石垣市や与那国町と同様、無償給与の対象とするよう求める。
 
慶田盛安三竹富町教育長は「法的な瑕疵があれば対応するつもりだが、文科省は何が過ちかも示さず無償を外すと言っている。9月8日の全員協議が無効である理由や、竹富町だけ無償対象外とできる根拠を詳しく説明してもらいたい」と話した。

12月9日 沖縄タイムス
学ばせたい公民 「東京書籍」ほぼ半数

八重山教科書問題に関連し、沖縄大学(加藤彰彦学長)が10月に実施した来年度使用の中学校社会科教科書展示来館者アンケートで、回答者54人のうち半数近くの26人が、竹富町が採択した「東京書籍」を「沖縄の子どもたちに学ばせたい公民教科書」(複数回答)として選んだ。展示された7出版社の教科書で最も多く、「帝国書院」13人、「教育出版」12人と続き、石垣市と与那国町が採択した「育鵬社」は11人だった。

同大は10月3日から11月5日まで、文部科学省の検定を通った7社の教科書を図書館で展示。八重山地区で採択をめぐり問題となっている中、多くの人に教科書を手にとって見てほしいと実施した。学ばせたい教科書はそのほか「清水書院」6人、最も少ないのは「自由社」「日本文教出版」の各5人だった。

東京書籍を選んだ理由(自由記述)は「沖縄戦の犠牲者数、集団自決のこともちゃんと書かれていた」「地球市民としての理念がいい。政治、経済、司法など社会人として必要な事柄が多い」「憲法に立脚したもの」「入試に必要な知識が豊富」などだった。育鵬社では「日の丸、君が代について詳しく知ることが必要」「日本国民として国を愛し、国の未来に責任を持てる子どもたちを育てられる」などの意見もあった。

一連の教科書問題について「調査員の意見尊重を」「現場の声、民意をくみ取って決めるべきだ」「制度や仕組みを変えるのは悪くないが、変え方に問題がある」「採択は教科の専門家と教師に任せるべきだ」などがあったほか「新聞が騒ぎすぎ」との指摘もあった。回答者の内訳は20代が20人と最も多く、30、40代各6人、50代7人、60代9人、70歳以上3人など。「所属」は一般24人、沖大や沖縄国際大の学生17人、教職員5人などだった。

12月8日 八重山毎日
文科省に直訴 教科書問題で住民団体 3万人余の署名提出

竹富町の子どもに真理を教える教科書採択を求める会(仲村貞子会長)と子どもと教科書を考える八重山地区住民の会は7日、文科省を訪ね、郡民大会の決議に基づく要請を行った。東京書籍で無償を求める訴えに賛同した町民1916人、「東京書籍」を採択した9月8日の全員協議の有効性を認める3万870人の署名もそれぞれ提出した。成井崇文部政務次官は「大臣に伝える」と述べるにとどまった。

一行は仲村会長ら7人。文科省の鈴木宏幸初等中等教育局教科書課長補佐との面談は1時間30分余にわたったが、9月8日の全員協議をめぐる認識はすれ違ったままだった。成井政務次官とのやりとりは30分で終わった。この後、支援者や県選出国会議員らと意見交換した。竹富町から参加した石原純一竹子連会長は「子どもたちも教科書が決まらないから不安に陥っている。早めの解決策を」と話した。住民の会と保護者らが集めた3万870人の署名の内、郡内から約7000人が集まったという。

12月8日 沖縄タイムス
八重山教科書:石垣・竹富住民が3万人署名
       
八重山地区の中学公民教科書採択問題で、石垣市と竹富町の住民代表7人は7日、文部科学省の城井崇政務官を訪ね、東京書籍版が地区内同一教科書として採択されたことを確認し、無償給付するよう求めた。石垣市の3万870人分、竹富町の1916人分の署名も提出した。

要請したのは、子どもと教科書を考える八重山地区住民の会、子どものための教科書を考える保護者の会、竹富町の子どもに真理を教える教科書採択を求める町民の会などの代表。要請では、八重山採択地区協議会が調査員の評価が低い育鵬社を選定したことに、教職員、地域住民の不信感と怒りがあると反発。9月8日の3市町の全教育委員による協議で採択された東京書籍版を無償給付するように求めた。

竹富町は教科書無償給付の対象にならないとした中川正春文科相の答弁に「義務教育の無償を定めた憲法26条に違反している」などと批判した。城井政務官は「要請の趣旨を大臣や副大臣に伝える」と答えたという。

要請後、参院議員会館で開かれた集会で、同町民の会世話人代表の仲村貞子さんは「寝ても覚めても教科書の問題が心配。平等にしてほしい」と訴えた。竹富町子ども育成連絡協議会の石原純一会長は「子どもたちも不安を持っている。手を取り合って立ち向かっていきたい」と呼び掛けた。住民らは民主党の高井美穂副幹事長や文科省教科書課の担当者らに同様の要請行動を行った。

12月8日 琉球新報
「東京書籍、無償給与を」 住民、文科省に3万超の署名

八重山教科書採択問題で八重山地区の住民代表が7日、文部科学省の城井崇政務官に対し、東京書籍を採択した竹富町教育委員会の決定を認めて無償で教科書を給与するよう要請し、3万2786人分の署名を手渡した。城井政務官は「大臣、副大臣に伝える」と述べるにとどめた。瑞慶覧長敏衆院議員が同行した。
 
要請に先立ち、住民代表と文科省初等中等教育局教科書課の担当者が面談。この席で文科省側は、竹富町に教科書採択の判断を迫り、その結果報告を求める県教育委員会宛ての12月2日付文書について、地方教育行政の組織および運営に関する法律(地教行法)第48条の「指導」に当たると明言。県と竹富町に指導内容の履行を促す考えを示した。文科省は2日の琉球新報の取材に対して「指導に当たらない」と説明していた。
 
そのほか民主党の高井美穂要請本部副本部長にも要請。高井氏は要請団が指摘する問題点に関心を示していたという。参議院議員会館で報告集会も開かれた。住民らが提出した署名は「子どものための教科書を考える保護者の会」が集めた3万870人分と「竹富町の子どもに真理を教える教科書採択を求める町民の会」が集めた1916人分。

12月3日 沖縄タイムス
石垣・与那国が需要冊数を頭越し報告
       
八重山地区の中学公民教科書採択問題で、石垣市の玉津博克、与那国町の崎原用能両教育長が、文部科学省に対して直接、育鵬社版公民教科書の需要冊数を「情報提供」として文書報告していたことが2日、分かった。本来、文科省への冊数報告を担う県教育委員会は東京書籍版を採択した竹富町を含め、3市町に同一教科書の冊数報告を求めているが、両教育長の文書発出は県教委の頭越しに行われた形だ。

両教育長は1日付で中川正春文科相宛てに冊数を石垣市が551冊、与那国町が21冊と報告。いずれも教育委員会を経ていないが、玉津氏は従来、「市教委の採択業務は終わっている」との見解を示しており、今回の冊数報告も教育長に委任された事務の一環と捉えているようだ。玉津教育長は文書で「県教委は法的に何ら根拠のない9月8日の会議(3市町の全教育委員による協議)を有効と主張している」とし、「(市教委は)規約に基づいた8月23日の協議の結果に従い育鵬社を採択している旨を報告しているが、文科省に届いているかどうか懸念されることから情報提供する」としている。同文書には「一部の政治的運動から多大なご迷惑をおかけしていることに対し、心辛い思いをいたしております」との一文もある。

八重山教科書:竹富、予算計上しない方針
       
八重山地区の中学公民教科書採択問題をめぐり、文部科学省から「無償給付の対象外」とされ、町負担の教科書購入を促されている竹富町は2日までに、「教科書は無償給付されるもの」として、来年度予算に教科書の購入費用を計上しない方針を決めた。同町教委は東京書籍版の採択を堅持する構えだ。

慶田盛安三教育長は「大事なのは教科書の内容。『はいそうですか』と採択できるわけがない」と反発。川満栄長町長も「町教委の決定を尊重する」としている。一方、文科省は同日、県教委を通じて同町教委に対し、地区協議会の答申(育鵬社版)を採択するかどうかの対応方針を12月末までに同省に報告するよう求めた。中川正春文科相は同日の閣議後会見で、「(答申と違う採択なら)竹富が責任を持って独自の教科書を子どもたちに支給してくださいとお願いしている」と述べ、有償購入を促した。県の大城浩県教育長は同日の県議会代表質問で、「法的拘束力のない答申採択を(竹富町に)求めることは難しい」と述べ、文科省の対応に疑問を呈した。

12月3日 琉球新報
八重山教科書 文科省、県教委に文書 竹富町の判断求める      

来年度から八重山地区の中学校で使用する公民教科書が一本化できていない問題で文部科学省は2日、12月末までに竹富町は使用する教科書を決定し、その結果を報告するよう求める文書を県教育委員会に出した。
 
文書は採択地区内での採択教科書の不統一を解消するため、教科用図書八重山採択地区協議会が選定した育鵬社版の公民教科書ではなく、東京書籍版を採択した竹富町教委だけに判断を求める内容だ。文科省は文書で竹富町教委が育鵬社版を採択した場合は無償となるが、東京書籍版を採択する場合は、教科書無償措置法の趣旨を全うするためにも「竹富町が購入し生徒に無償給与してもらうしかほかない」との見解を示している。文書内容について文科省教科書課は「指導には当たらない」と説明している。

12月2日 琉球新報
教科書採択、竹富町に決断要求 文科省森副大臣      

八重山地区の中学生が来年度から使用する公民教科書が一本化できない状態が続いている問題で文部科学省は1日、竹富町教育委員会に対し、12月末までに、どの教科書を採択するのかを決定し、文科省に報告するよう求める方針を決めた。事実上、無償給与の対象外となる東京書籍版を採択するか無償給与対象の育鵬社版を採択するか、竹富町に決断を迫る内容だ。同日、森裕子副大臣が定例会見で明らかにした。文科省は一両日中に県教育委員会に同方針を記した文書を送る。
 
森副大臣は竹富町教委が12月末までに育鵬社版を採択した場合は教科書の無償給与の対象になると述べる一方、同月末までに竹富町教委が東京書籍採択方針を変更しない場合は無償給与はできないとの従来方針を強調した。石垣市と与那国町の2教委は国による無償給与の対象になるとした。
 
12月末を期限とする法的根拠は示さず、「年を越してこの問題が決着しないという事態はできるだけ避けたい」(同副大臣)と述べるにとどめた。12月末を過ぎても、竹富町教委が報告をしなかった場合や期限後に育鵬社版採択に変更した場合の対応について、森副大臣は「期限までに報告できなかった場合のことについて現時点では発言すべきではない」と言及を避けた。地方教育行政法に基づく、国による県教委への是正措置の可能性について森副大臣は「本日はその点については答えない」と述べた。

竹富町 教科書費計上せず 来年度予算で方針      

来年度から八重山地区の中学校で使用する公民教科書が一本化できていない問題で、東京書籍版を採択している竹富町は1日までに、来年度予算に教科書の購入費用を計上しない方針を固めた。教師用の指導書は東京書籍版を購入する予定。森裕子文部科学副大臣は1日の記者会見で、一本化できない場合、竹富町に教科書を無償給与しない方針をあらためて強調したが、同町は教科書購入費用を家庭に負担させず、国に東京書籍版の無償給与を求める考えだ。
 
文部科学省は育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の答申に添って採択した石垣市、与那国町は無償とする一方、竹富町は無償措置の対象外という見解を表明。東京書籍版を購入するか育鵬社版の無償給与を受けるかの判断を同町に求める姿勢を見せている。それに対し、県教委は文科省の見解と異なり、教科書を一本化できない状況を打開するため9月8日に開いた八重山の教育委員全員による協議が有効と判断。東京書籍版を採択した全員協議に基づき教科書の必要冊数を報告するよう3市町に求めたが、石垣、与那国が育鵬社版の採択を変えず、一本化できなかった。
 
慶田盛安三竹富町教育長は、「文科省は竹富町だけ有償だと言うが、その理由を説明していない。法的な間違いがあれば対応するが、その機会さえ与えられていない状況だ」と述べ、文科省の対応を批判した。川満栄長竹富町長は「竹富の教育委員は子どもたちのことを考えて東京書籍版を選んだ。教育委員会の考えを尊重したい」と話した。

12月2日 沖縄タイムス
八重山教科書:竹富町に年内報告要請
       
森裕子文部科学副大臣は1日の定例会見で、八重山地区の中学公民教科書採択問題について、地区協議会の採択(育鵬社版)とは異なる採択(東京書籍版)をした竹富町に対し、12月末までに対応方針を同省に報告するよう県教育委員会を通じて求める考えを示した。県教委にも12月末までの需要冊数報告を求める。同省が竹富単独に対し対応方針の報告を求めるのは初めて。

同省教科書課は、竹富のみに対応方針の報告を求める理由について「対応をどうするかを聞くべきなのは(無償措置法に従っていない)竹富だけ。文科省の従来見解と同じこと」としている。森氏は会見で、報告の期限が12月末となった理由について「求めていた11月末までの報告が無く、子どもたちの学習環境に影響を与えないように年内に対応を決めていただきたい」と説明したが、法的根拠などには言及しなかった。

期限までに竹富から報告が無い場合について「連絡するときに申し上げるのは適切ではない。一日も早くご決断を」と求めた。地方教育行政法による国からの是正要求の可能性は「きょうは、その点について答えられない」とした。同省教科書課は「教科書無償措置法に従い採択された石垣市、与那国町は無償措置の対象となり、異なる採択をした竹富が変更しなければ無償措置の対象外となるとの見解を示してきた」と説明した。

12月1日 琉球新報
八重山教科書 文科省、竹富町に決断迫る

八重山地区の中学生が来年度から使用する公民教科書が一本化できない状態が続いている問題で県教育委員会は30日、文部科学省に対し「教科書の採択状況は、同一の教科書となっていない」と文書で報告した。報告について文科省初等中等教育局教科書課は「竹富町の決断待ち」などと述べ、(1)町費で東京書籍版を購入する(2)育鵬社版を採択して無償給与の適用を受ける―のいずれかの対応を早期に決めるよう竹富町に要望した。本紙取材に答えた。教科書課の担当者は「もともと8月末に、同一採択すべきだという期限は過ぎている。竹富町はどのように対応するのか早急に結論を出してほしい」と述べた。
 
県教育委員会は11月29日、東京書籍版を採択した9月8日の全体協議の結論に基づき同一教科書の必要冊数を報告するよう石垣市、与那国町、竹富町の3教委に通知している。文科省は竹富町に限定して、両教科書のいずれを使用するか選択を求めており、県教委との対応の違いが鮮明になっている。3教委の採択教科書の不統一状態が続いていることについて県教委は「子どもたちに迷惑がかからないよう解決策を検討していく」としている。
 
採択教科書が一本化できない状況を打開する手段として、県や市町村教委の怠慢などによって、児童・生徒が教育を受ける権利が妨げられている状況を国が是正することを定めた地方教育行政法49条に基づく対応を求める声が自民党文部科学部会の議論で出ている。そのことについて同教科書課は「是正対象の状況になっているか状況を見ないといけない。現時点では何とも言えない」と、同法に基づく対応について明言を避けた。

12月1日 沖縄タイムス
八重山教科書:2市町育鵬社版報告に批判の声
       
八重山地区の中学公民教科書採択問題で30日、来年度から使う必要冊数について八重山採択地区協議会の答申に基づき、育鵬社版を県教育委員会に報告した石垣市、与那国町に対し、地元住民や識者から「一本化ができていない中で、(報告は)ルール違反」「県は報告を受理すべきではない」などと、批判や懸念の声が上がった。文部科学省が冊数報告の「期限」とした30日。石垣、与那国両教委の「育鵬社版」報告に「子どもと教科書を考える地区住民の会」の大浜敏夫事務局長は「教科書無償措置法では、3市町で教科書がそろわなかった場合、協議による一本化を求めている。ルールを破っているのは両教育長だ」と反発した。

石垣市立中学校の社会科教諭、上原邦夫さんは「東京書籍を採択した9月8日の全教育委員協議はしっかり成立している。2教育長はその結果を報告すべきだった」とし「まとまっていないというなら再度、話し合うべきだ。自分の意見と違うから、もう協議はしない、というのはおかしい」と冷静な対応を求めた。子どもと教科書全国ネット21(東京)の俵義文事務局長は「一本化できていないので、県教委は受理すべきではない」と指摘し「9月8日の協議が手続き的に正当。文科省がそれを認める以外に解決策はない。官僚の言いなりにならず、大臣自ら決断する時だ」と強調した。東京書籍版を採択した竹富町は「同一教科書ではない」ことを理由に報告を見送った。

八重山教科書:「一本化できず」国に報告
       
県教育委員会は30日、石垣市、竹富町、与那国町で来年度から使用する中学公民教科書について、中川正春文部科学相に「八重山採択地区における採択状況は、同一教科書となっていない」と文書で報告した。同地区では石垣市教委が育鵬社版の必要冊数を約550冊、与那国町も同版を約20冊と県教委に伝えたが、東京書籍版を採択した竹富町は「同一ではない」と報告を見送った。大城浩県教育長は、あくまでも期限内での現状報告とした上で「引き続き同一教科書を求めていく」と述べた。

竹富町教委は、県教委が地区内で同一教科書の冊数報告を求めている点や、9月8日に3市町の全教育委員協議が東京書籍版を採択した後に冊数(約25冊)を報告したことを理由としている。

同省教科書課は、県の報告を受け「期限をすぎたから、協議会と異なる採択をした竹富町が無償対象外だと確定したわけではない」としつつ「同町が(東京書籍版の)採択を堅持し続ければ、無償給与はできない」との見解を示した。中川氏も30日、沖縄タイムスの取材に「今後も一本化して報告する努力を期待している。(同省も)弾力的に対応する」と述べた。同省は10月、県に教科書の需要冊数を11月30日までに報告するよう求めていた。

11月30日 沖縄タイムス
八重山教科書:県教育委員長、無償配布要求
       
八重山地区の中学公民教科書の採択をめぐる問題で、県教育委員会の中野吉三郎教育委員長は29日、文部科学省に対し、石垣、竹富、与那国の3市町にそれぞれの教科書を無償配布する特別措置を求めるコメントを発表した。

中野委員長は「現在の法律の状況では国内のどの採択地区協議会でも同様な問題が起きる可能性がある」と指摘。現行法に「齟齬(そご)」があるとして、文科省が法律を整理するまでの措置として3市町に教科書を無償配布するよう求めた。

八重山教科書:無償給付求め郡民大会
       
八重山地区の中学公民教科書問題で、竹富町の子どもに教科書無償給付を実現させる郡民大会が29日、石垣市内であり、市民や保護者ら約180人が、中川正春文部科学相に教科書の無償給付を、県教育委員会に東京書籍版の文科省報告を求める決議案を採択した。主催は同町の子どもに真理を教える教科書採択を求める町民の会。

町民の会は来月上旬、八重山地区住民の会、保護者有志の会と上京し、東京書籍版の無償給付を求める署名用紙を文科省に提出するなど要請する。決議文では東京書籍版を採択した3市町の全教育委員協議の無効を国に訴えた石垣、与那国2市町の教育長を「職権乱用」と批判。竹富町だけ教科書有償化の方針を示す文科省を「竹富町教委に法的瑕疵(かし)があるような対応」と強く反発した。

大会では3市町の保護者や教師代表ら「(石垣、与那国が採択した)育鵬社版は米軍基地や原発の記述に偏りが強く、過去、現在の沖縄をとらえていない」「譲歩すれば沖縄だけでなく、日本中の子どもたちが誤った道を進むことになる。子どもの未来のために勇気を出す時だ」と訴えた

11月29日 沖縄タイムス
八重山教科書:4教育長 初顔合わせで「決裂」

「再協議はしない」「これでは、話が進まない」―。石垣市、竹富町、与那国町の各教育長が、県の大城浩教育長を交えて初めて顔をそろえた28日の「意見交換会」。2時間近い話し合いは、従来意見の応酬に終始し「物別れ」(大城教育長)に終わった。地区内同一教科書の報告をあらためて求めた県に、石垣、与那国の両教育長は「採択は終わっている」「県は竹富町の指導を」と繰り返した。竹富の教育長は「最初から私が法律違反者になっている」とため息。解決の糸口は依然、見つからないままだ。

「ノーコメント!」。教育長室から出てきた石垣市の玉津博克教育長は、報道陣を振り切るように足早にエレベーターに向かった。ホールで記者団に取り囲まれ、マイクを向けられると「採択はすべて終わっておりますと、何度も申し上げてきた」「再協議はない」と繰り返し「早く終わりたいね。県が竹富を指導し、竹富が決断すれば終わることだ」と切り捨てた。

与那国町の崎原用能教育長は、9月8日の全教育委員協議の有効性について「テーブルについたから有効と言うが、そんなバカな話がどこにあるのか」と声を荒らげ「今月末までに文科省に報告をお願いしますと言って出た。県は引き延ばそうとしていて、アリバイづくりだ。同じ話ばかりで意味がない。今後はもう参加しない」と憤った。育鵬社版を採択した2市町と異なり、唯一、東京書籍版を採択した慶田盛安三竹富町教育長は「(石垣、与那国は)極端と言った方がいい。どんどんかけ離れている」と険しい表情。

八重山教科書:「公民」一本化議論不調

八重山地区の中学公民教科書採択をめぐる問題で、文部科学省が示した今月末の報告期限を前に、大城浩県教育長は28日、県教育庁で石垣市の玉津博克教育長、竹富町の慶田盛安三教育長、与那国町の崎原用能教育長と一本化に向けた意見交換の場を持ったが、議論は平行線に終わった。県は引き続き3市町に同一の教科書採択を求めたが、文科省は30日までに一本化できない場合、竹富町は有償になるとの見解をあらためて示した。

2時間に及ぶ非公式の意見交換会では、大城県教育長が9月8日の全教育委員協議の有効性や県の見解、法律の解釈などを説明。その上で3教育長に現状認識や、一本化に向けた今後の対応、考えについて意見聴取した。竹富町の指導を求めた玉津教育長と崎原教育長に対し、県は「一方の教育委員会だけを指導するのは難しい」と伝え、あらためて3教育長に一本化を求めた。

意見交換会後に会見した大城教育長は「解決の糸口を探りたかったが、物別れに終わった」と述べ「(文科省が設定した)期限に法的根拠はない。一番大事なのは地区内で同一の教科書を決めること」と繰り返した。さらに、文科省が「竹富町は無償対象外」としている方針について、大城教育長は「県内では憲法に違反しているのではないか、などといった意見もある」と述べ、竹富町に対して同方針に基づく指導はしなかったという。一方、文科省教科書課の担当者は「30日まで県からの報告を待つ」とした上で「現状のままなら、大臣の方針にのっとって竹富町は有償となる」と話した。

八重山地区における中学公民教科書採択問題では、石垣市、与那国町が育鵬社版、竹富町が東京書籍版を採択し、分裂状態となっている。中川正春文科相は一本化されない場合、地区協議会の答申ではなく、全教育委員協議に基づく採択をした竹富町は「無償給付対象外」との見解を示していた。

石垣市では保護者が同市教委を提訴、地元紙のアンケートでは6割が育鵬社版に反対していることを挙げ「教育長4人で話したが、話し合いにならない。子どものことを考えて話したかったが、そうならなかった」と眉をひそめ「今後も(八重山の)3教育長で話し合う場をつくらないといけない。話し合いにも参加するが、統一を図るのは厳しい」と懸念した。

3教育長との会談後に会見した大城教育長は「竹富町だけを指導するのは(各教委の)採択権を侵害することになり難しい。竹富町に有償を促す話も一切していない」と強調。県として9月8日の協議の有効性をあらためて指摘した上で、速やかに八重山地区で同一の教科書をまとめるよう、3氏に依頼したと報告した。

11月29日 琉球新報
八重山教科書 県との協議 物別れ 3教育長、一本化困難
      
八重山地区の中学生が来年度から使用する公民教科書が一本化できない状態が続いている問題で、大城浩県教育長と玉津博克石垣市教育長、慶田盛安三竹富町教育長、崎原用能与那国町教育長が28日、県教育庁で意見交換した。大城教育長は3教育長に対し、再協議を含め同一の教科書採択のための方策を講じるよう求めたが、玉津教育長と崎原教育長は受け入れず、話し合いは物別れに終わった。両氏は今後意見交換に応じることはないと明言しており、一本化は極めて困難な情勢だ。
 
文部科学省は県教委に対し、11月末までに使用教科書の冊数を報告するよう求めている。大城教育長は「正式に文書による通知はなく法的根拠はない。まだまだ時間的猶予はある」と述べ、11月末の期限にこだわらず、引き続き一本化に向けての努力を求めていく認識を示した。
 
意見交換では、大城教育長が再協議などの方策を促したが、育鵬社を採択した石垣市の玉津教育長と与那国町の崎原教育長は「文科省の指導通り、県が竹富町に育鵬社を採択するよう指導してほしい」と従来通りの主張を繰り返し、平行線をたどった。一方、再協議を提案する意向を示していた竹富町の慶田盛教育長は「(石垣、与那国の2教育長から)竹富町が答申通り育鵬社を採択しないのが問題だと言われた。今のような雰囲気では、石垣、与那国は応じない」と語った。

11月26日 八重山毎日
28日に4教育長が意見交換 教科書問題  県教委が通知、

3市町教育長出席へ

八重山採択地区で公民分野が同一になっていない教科書問題で県教育委員会(大城浩教育長)は25日までに、大城教育長と3市町教育長で意見交換する方針を決め、3市町教育長の出席を依頼する文書を3市町教委に送付した。意見交換は28日午後3時から県教育委員会教育長室で。玉津博克石垣市教育長、慶田盛安三竹富町教育長、崎原用能与那国町教育長とも同日、出席する意向を示した。教科書問題で4教育長が顔をそろえるのは初めて。

依頼文は24日夜に送付された。意見交換の内容は「八重山採択地区における教科用図書採択に関する意見交換」とだけあるが、同一の教科書にするための方策についても意見を交わすものとみられる。ただ、どちらの教育委にしても採択した教科書を変える可能性は皆無に等しく、意見の一致をみるのは極めて困難。意見交換の結果が注目される。

意見交換について玉津教育長は「意見交換だけ。市教委は採択が終わったことを話すだけ」と話し、新たな協議には「応じない。ありえない」と明言。「文科省の文書に従って、まだ同一の教科書を採択していない教育委員会に採択してほしい。県と竹富がまだ法に沿った判断をしなければならないと思う」と述べ、答申結果の育鵬社で同一教科書とするよう求める考えを示した。崎原教育長も「文科省の指導通りにやってくれと言うだけ。あとは県に対して9月8日の全員協議が有効とする根拠を聞きたい」と話した。
 
一方、慶田盛教育長は一本化について「一本化は難しいと思うが、方策は全教育委員の協議の場しかないのではないか。そうでないと地域もPTAも学校関係者も納得できないないのではないか。それ以外には方法はないと思う」と強調した。

文科省は8月23日の地区協議会の選定・答申と8月31日の役員会の再協議を「協議会の規約に従って出された結果」として有効との見解。一方、県は9月8日の全教育委員協議を有効との認識を示しており、両者の溝は10月31日の協議でも埋まらず、文科省は11月末の需要冊数報告を県に求めている。

11月26日 八重山毎日 社説
県教委は早く着地点を定めよ  時間がない、決断し処理作業を急げ

県教委はアクティブに
 
教科書問題は5カ月にも及ぼうとしているが、一向に収束に向かう気配がない。論点が多岐にわたり談論風発。加えて三者がねじれの位置関係にあるため解決の決め手を欠いている。県教委は文科省の指導に乗らず、石教委、与教委は県教委の助言を受け付けないという本来の指導助言体系が機能していない。あまつさえ政治が介入している。その上、議会、住民運動、訴訟、PTAと三者を取り巻く状況はますます加熱。歩み寄るすき間はない。そんな中、県教委にはもっとアクティブなリードをしてもらいたい。今月末の教科書冊数報告に向けての動きが見えないからだ。

「一本化に向けて合意に努力してほしい」だけでは前に進まない。空念仏にしか聞こえない。残念なことであり、恥ずかしいことだが、「八重山教科書問題」は八重山だけでは解決できない状態になった。法制的にも採択システム上からも文字どおり八重山だけの問題でなくなったことは自明だ。途中、はしごを外されたとはいえ、県教委は文科省の指導を受け解決に努めてきた。その責任は残る。「ぶれない」との評価を受けるが、一方、このままでは県教育行政のトップとしての指導力が問われかねない。住民運動等の動きとは別に自らの立場を考慮すべきだ。

窮すれば通ずるのでは
 
竹富町教委に何らかのペナルティーを科さなければメンツが立たない。これが文科省の本音だろう。よもや教科書有償となって返ってくるとは竹教委としては理不尽この上なしというところだろう。父母に負担させるなどまかりならぬことだ。このまま進展がなく、また、打開策がない場合、その責めは県教委が負わねばならない。つまり、財政措置をするということだ。なぜなら県教委の指導を受けて混乱収拾に努めてきたのは竹教委だからである。加えて、「有償の理不尽さ」も取り除いてやらねばならない。来年以降の無償を、理を尽くして文科省と対峙(たいじ)しなければならない。県教委には、文科省の指導を受けての収拾であったという利がある。それを生かすべきだ。

法制上の不備が長期間の混乱を招いた。では、教科書無償措置法が成立する前の採択はどうであったか。校長が採択していた。そのため、学校によって教科書が異なっていた。現在も、国立や私立学校の教科書採択権者は校長である。何も、教育委員会に教科書採択の絶対権があるわけではない。もっと学校現場を重要視してもいい。効率性を勘案しての現行の制度であるということを知りたい。
 
そこで、混乱を鎮める方策としてこんな特例措置はどうか。(1)三市町教委とも育鵬社、東京書籍を無償購入する。(2)使用教科書は校長に委ねる。(3)他教科書は副読本として使用する。そうすれば、長短を補い合い教材研究も充実したものになるのではないか。法制上の不備を補う公平さもある。その文科省折衝は当然にして県教委に当たってもらう。とにかく時間がないあと数日もすれば12月。3月までの学校の日程を考えれば、次年度への引き継ぎまで時間が残されているわけではない。県教委は早く着地点を定め八重山の教育環境を整えてほしい。学校現場感覚を持って対処すべきだ。

石教委は本年度3学期制に戻した。各学校は、これから学期末、学年末の処理に追われることだろう。高校入試に向けた進路相談もめじろ押しだ。やがて「冬休み」に入り学校は休業。年が明ければ総合テスト、入学願書、調査書、三者面談等で高校入試一色。指導要録記入も加わる。人事異動内示や教職員評価システムによる教育長面接、中体連行事もある。そんな中で、次年度の教育計画作成、引き継ぎの準備をしなければならない。これらのことは毎年の事だが、今年は事情が違う。「教科書問題」という落ち着きのない状況でやらなければならないからだ。教師、保護者、生徒に早く平穏さを取り戻させたい。教科書が定まらなくては、教育課程編成、年間指導計画作成がかなわない。人事異動で他郡に転出する教員も多い。引き継ぎに難渋し滞ることが予想される。このようなことで正常な学校運営ができるだろうか。教育目標や努力事項の設定はどうなるのか。学校内に広がる虚脱感を一掃し、鋭気を取り戻したい。そのために県教委は着地点を定め、地ならし作業を急がねばならない。

11月26日 沖縄タイムス
八重山教科書:3教育長、主張平行線

八重山地区の中学公民教科書の一本化に向け、県教育委員会が週明けに石垣、竹富、与那国3市町の教育長との意見交換の場を設けたことを受け、3教育長は25日、いずれも出席する意向を示した。ただ、非公開の意見交換で一本化への道を模索したい県教委に対し、石垣、与那国の両教育長が協議会答申と異なる採択をした竹富町教委に県の指導を求めるなど主張は平行線をたどっており、一本化は困難な見通しだ。

育鵬社版を採択した石垣市の玉津博克教育長は意見交換について「市の採択は既に終わっている、という現状について報告するだけだ」と強調。「県は(協議会答申に沿った採択を求める)文科省の方針に従い、同一の教科書を採択していない(竹富町)教育委員会を指導してほしい、と求めたい」と述べた。

同じく育鵬社版を採択した与那国町の崎原用能教育長は「なぜ竹富町だけを指導しないのか、県の言い分を聞きたい。意見交換は(文科省が設けた)『11月末までの一本化』という期限を前に、3教育長に話し合いをさせた、という県教委の既成事実づくりではないのか」と指摘した。

一方、東京書籍版を採択した竹富町の慶田盛安三教育長は「とにかく一本化を図りたいが、教科書の内容が全然違う。話し合っても道筋を見いだせるかは分からない」と悩ましい表情。「再び3市町の全教育委員が集まって協議する以外にないと思うが、同じことを繰り返す恐れもある。どんな方法があるのか見当もつかない」と頭を抱えた

11月25日 琉球新報 社説
八重山教科書 選定再協議へ踏み出す時だ
        
学びの主役は子どもたちである。3市町の教育委員会は原点に立ち返り、生徒や保護者、学校現場が納得する教科書選びをやり直してほしい。公民教科書の採択をめぐる八重山地区の混乱のことだ。この問題では、石垣市教委と与那国町教委が教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の答申に従って育鵬社版を、竹富町教委は独自の判断で東京書籍版を採択している。
 
答申に従わない竹富町について、中川正春文部科学相は「教科書無償給与の対象外」と発言しているが、世論調査で示された民意は逆に育鵬社版選定を疑問視している。繰り返し指摘してきたが、八重山教科書問題は採択協の玉津会長が独断的に教科書の順位付け廃止や調査員選定、協議会の非公開、無記名投票による選定を進めたことが発端だ。
 
文科省は玉津氏主導の不透明、非民主的な選定手続きを不問に付し、育鵬社版を選んだ8月23日の採択協を「規則に従ってなされた」として有効と見ている。しかし、採択協議会は非公開で行われ、その後、委員が教科書を読まず実質審議をしていなかったことが判明した。文科省はずさんな選定を容認するのか。文科省が採択協の運営や審議の在り方に言及しないのは、民主主義、教育に対する生徒の信頼を著しく損ねている。文科省の「事なかれ主義」は犯罪的ですらある。
 
地域住民や教育関係者の間では玉津氏主導の選定手続きに対し、愛国心を強制し周辺諸国の脅威を強調する「『新しい歴史教科書をつくる会』系教科書の採択ありき」との疑念が渦巻いている。世論調査によれば、県民は社会科教科書で「愛国心」「領土問題」よりも「平和教育」「人権・平等」を重視している。悲惨な沖縄戦の教訓、米軍に人権を蹂躙(じゅうりん)されてきた県民の戦後体験からすれば、これは自然な感覚だ。教科書選定でもこうした県民感情は大切にされてしかるべきだ。
 
県教育委員会(中野吉三郎委員長)は3市町教委に同一教科書の採択を働き掛ける方針を再確認した。文科省はこの機会を逃さず県教委と連携し収拾を図ってほしい。非民主的な教科書選びは全国どこであろうと許されない。文科省は自覚してほしい。このままでは民主主義を語る資格を失う、と。

11月24日  琉球新報   
八重山教科書問題「全員協決定認めよ」 育鵬社版の不採択要求

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