文科省の各都道府県教委への通知により、沖縄県教委は教科書採択規約の見直しを要請
10月12日 沖縄タイムス
教科書採択 県が規約見直し要請
県教育庁が、小中学校の教科書を選ぶ県内6地区の採択地区協議会に対し、来年度、教科書採択の在り方などを定めた規約の見直しを求めることが11日、分かった。昨年、八重山地区の中学校公民教科書選定で石垣・竹富・与那国の3市町が選んだ教科書が一致せず混乱したことから、新しい規約では教科書が一本化できなかった場合の対応を明確にするなど指導。教科書を審議する委員には、行政関係者に偏らない人材を求めることなど、規定を細かく定めて信頼性の高い教科書選びを目指す。
八重山地区の公民教科書採択では、地区内で一本化できなかった際の規約の解釈があいまいだったことから、3市町の教育委員全員による多数決で採択。文部科学省は協議会の答申に沿った教科書を採用しなかった竹富町を無償配布対象外とした。
同省は9月29日付で、各都道府県教委に対し規約の見直しに関する通知を配布。県はこれを受け、一本化できなかった際の再協議の在り方や、さまざまな視点で教科書を審議できるよう、委員には保護者や自治会代表などバランスを考慮した人材を選定することを各地区協議会に指導する。 また年内にも県内の各市町村教育委員会に、採択地区を構成する市町村はどのような形が望ましいかを聞くアンケートを実施する。現在2~15自治体で構成される6地区を改編し、市町村の希望に沿った形に変更する可能性もあるという。
教科書問題に詳しい高嶋伸欣琉大名誉教授は、「八重山のような問題を防ぐ動きだが、規約の文面を注視していくことが必要だ」と指摘した。
参考資料:
1990 0320 教科書採択の在り方の改善について(通知)
「1990_0320.doc」をダウンロード
2002 0830 教科書制度の改善について(通知)14文科初第683号
「2002_0830_14683.doc」をダウンロード
2012 09 教科用図書採択の状況に係る調査結果について
「2012_09.pdf」をダウンロード
教科書採択の改善について(通知)24文科初第718号
平成24年9月28日
各都道府県教育委員会教育長殿
文部科学省初等中等教育局長 布村 幸彦
義務教育諸学校で用いられる教科書の採択については、昭和38年に義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下「無償措置法」という。)をはじめとした関係法令によりその方法・手続きが定められ、採択権者である教育委員会等の判断と責任により、十分な調査研究に基づき、適正かつ公正に行われてきたところです。
一方、市町村合併に伴う地方の行政体制の変化などを踏まえ、文部科学省においては、各教育委員会の協力のもと教科書採択の状況の調査を行い、その結果(以下「調査結果」という。)を別添1のとおり取りまとめました。
これまでも文部科学省では、平成2年3月20日付け文初教第116号「教科書採択の在り方の改善について(通知)」(以下「平成2年通知」という。)(別添2)や平成14年8月30日付け14文科初第683号「教科書制度の改善について(通知)」(以下「平成14年通知」という。)(別添3)を通じて、教科書採択の改善について通知してまいりましたが、いくつかの点については更なる改善の余地が見られるところです。
そのため、今回の調査結果を受けて今後の教科書採択に当たって特に留意いただきたい事項と併せて、これまでの平成2年通知や平成14年通知も踏まえ引き続き取り組んでいただきたい事項について、下記のとおり取りまとめました。今後の採択に当たっては下記の留意いただきたい事項を踏まえて、採択権者の権限と責任のもと、より一層適正かつ公正に教科書採択を行っていただくようよろしくお願いします。併せて、これらのことについて、域内の市町村教育委員会及び国立・私立の義務教育諸学校に対しても、適切な指導をお願いします。
1 調査研究の充実に向けた条件整備
(1) 十分な調査研究期間の確保文部科学省としても、調査研究に使用する教科書見本が遅滞なく送付されるよう発行者への周知に努めるが、都道府県教育委員会においても、今回の調査結果を参考に、市町村教育委員会において十分な調査研究期間が確保できるよう、需要数の報告の期限を含め採択スケジュールについて再検討するとともに、引き続き、市町村教育委員会に対して、教科書見本が送付され次第速やかに調査研究に着手するよう適切な指導に努めること。
(2) 調査研究体制の充実
引き続き、各地域の実情に応じて調査研究体制の充実を図るよう努めること。その際、都道府県教育委員会は、同一の採択地区を構成しない市町村であっても、教科書の調査研究を合同で行うことは差し支えないことから、採択地区間で合同の調査研究を行うなど、充実した教科書の調査研究に基づく採択が行われるよう指導に努めること。
(3) 調査研究のための資料の充実
引き続き、市町村教育委員会や国立・私立の学校に対する指導のために都道府県教育委員会が作成している選定資料の内容の一層の工夫・充実に努めること。また、教育委員会に高等学校用教科書のための調査・研究組織を設けるなどして恒常的な教科書の調査研究に努め、高等学校用教科書の採択のための調査研究資料の充実に努めること。
(4) 保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実
引き続き、教科用図書選定審議会や採択地区に設けられる選定委員会等への保護者の参画をより一層促進すること。また、高等学校用教科書の採択に当たっては、学校評議員の意見を聞くことなどにより、保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実に努めること。
(5) 効果的な教科書展示会の開催
引き続き、教科書展示会に教員や保護者等が更に足を運びやすくするよう、各学校を訪問して行う移動展示会や、図書館、公民館等での展示会を充実させるとともに、その開催時期や場所等について、展示会開催の意義・目的や教科書採択の仕組みと併せて積極的な周知に努めること。
2 採択手続の改善
(1) 採択地区の適正規模化
各市町村教育委員会の意向等を的確に踏まえ、採択地区がより適切なものとなるよう不断の見直しに努めること。
(2) 市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化
無償措置法第13条4項は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第6号が規定する教科書の採択の権限の行使について特別の定めをしており、採択地区内の市町村教育委員会は、無償措置法第13条4項の規定による協議の結果に基づいて、同一の教科書を採択する必要がある。
そのため、義務教育諸学校の教科書の採択に当たり、採択地区が複数の市郡を合わせた区域である場合には、採択地区協議会などにおける市町村教育委員会間の協議に当たって、協議が調わない場合の再協議の手続きや、最終的な合意形成の方法をあらかじめ教育委員会間の調整のもと定めるよう指導するとともに、協議が調わない場合には適切な指導・助言を行い、採択地区内で同一の教科書になるよう指導に努めること。
(3) 適正かつ公正な採択手続の確保
引き続き、教職員の投票によって採択教科書が決定されるなど、採択権者の責任が不明確になることがないよう、採択手続きの適正化を図るよう努めること。
また、静ひつな採択環境を確保するため、それぞれの地域において広く関係者の理解を求めるよう努めるとともに、様々な働きかけにより円滑な採択事務に支障をきたすような事態が生じた場合や違法な働きかけがあった場合には、各採択権者が警察等の関係機関と連携を図りながら、毅然とした対応を取るよう指導・支援に努めること。
さらに、文部科学省においても、各教科書発行者に対して採択に関する過当な宣伝行為を行わないよう指導に努めるが、各教育委員会においても教科書発行者の宣伝行為についてその実態を把握し、事前に適切な対策を講ずるなど、採択の公正確保の一層の徹底に努めること。
(4) 開かれた採択の一層の推進
引き続き、採択結果・理由など、採択に関する情報の積極的な公表に努めること。
3 その他
(1) 図書館等への教科書の整備
保護者や教員、児童生徒が、採択の時のみならず、常時様々な種類の教科書を手に取ることができる環境を整備するため、各学校図書館や公立図書館における教科書の整備に努めること。
10月19日には結審。10月9日には石垣で八重山教科書裁判報告会。
10月11日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
10月7日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
玉津教育長の証言内容、石垣市議会で問われる。
9月20日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
9月6日那覇地裁で竹盛竹富町教育委員長の証人尋問、10月19日結審。
9月7日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
9月1日 沖縄タイムス
八重山教科書冊数 県教委、国報告を見送りへ
八重山地区の中学公民教科書問題で、市町村が来年度使用する教科書冊数の国への報告について、県教育委員会は石垣市、与那国町、竹富町の3市町が一本化できないとして、報告を見送る方針であることが31日、分かった。県教育庁義務教育課は「無償化できない状態が続いていることは残念。一本化できなくても、全ての生徒に無償提供するよう、引き続き文科省に求めていきたい」としている。
教科書無償措置法では、8月31日までに同一地区内・同一教科書の採択を求めているが、昨年の採択地区協議会で一本化できず、現在、石垣市と与那国町は無償配布された育鵬社版、竹富町は町民の寄贈による東京書籍版を使用。法令違反の状態が続いている。「教科書の発行に関する臨時措置法」では、県教委の国への報告期限を9月16日と定めている。
住民の会、子どもと教科書全国ネット21らが 8月25日石垣で集会
8月26日 琉球新報
市民団体「国責任で解決を」 八重山地区教科書問題
教科書採択の現状を報告した市民集会=25日、石垣市の大川公民館
八重山の教科書問題に取り組む「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」などは25日、教科書問題全国交流会および市民集会を石垣市の大川公民館で開いた。集会には約70人が参加。横浜市や東京・杉並区など「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書を採択した地域の住民が参加し、採択後の取り組みを報告した。
集会では国の責任で解決の場を設け、保護者や現場教員の意見を尊重した教科書を採択することや、竹富町へ教科書を無償給付することなどを求めた集会アピールを採択した。子どもと教科書全国ネットの俵義文事務局長は、石垣市、与那国町に配布されている育鵬社版の公民教科書について「本年度の採択は増えたものの、数パーセント程度。『大躍進』と言っているが、採択率は低い」と指摘。「育鵬社の教科書の狙いは日本が戦争をできる国にすることだ」と話した。
県教育委員会の需要冊数報告が控えており「八重山の教育委員全員の協議で決めた東京書籍版を報告するよう働き掛けよう」と呼び掛けた。横浜市や東京都の住民は、保守系首長の誕生が、つくる会系教科書の採択につながっている現状を報告した。
8月26日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
8月25日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
8月23日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
8月21日には石垣で8月1日の那覇地裁での証人尋問の報告会
8月19日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
『育鵬社中学公民教科書の無償給付を受けない地位にあることの確認』を求める仮処分申請を 8月10日付で那覇地裁は却下
8月16日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
8月1日那覇地裁で証人尋問行われる。
竹富町の慶田盛安三教育長、石垣市の玉津博克教育長、与那国町の崎原用能教育長が尋問に。 尋問の中で慶田盛氏は玉津氏の採択地区協議会の強引な運営を批判、不当性を指摘。 8月27日の竹富町教委の東京書籍版公民教科書採択と9・8協議の正当性を主張。
一方玉津氏は採択地区協議会の運営の不当性、高橋史郎との対談などを突かれ、崎原氏は採択地区協議会前に玉津氏に「公民は育鵬社版教科書を選ぶ 」と連絡したことなど、又両氏は9・8協議での対応の整合性の無さなどを追及された。 両氏は育鵬社採択の根拠を両市町教委の採択とし、玉津氏は協議会答申が拘束する、しないではなく教科書無償措置法に従ったと主張、 崎原氏は協議会答申が「慣例」どおり拘束力があると理解していたと主張した。 裁判長は両氏への尋問で、協議一致への方法が他にあるのではないかと、8月31日での再協議の打ち切りや9・8協議の矛盾した対応などの問題点を暗に指摘。
今後の日程は、竹盛竹富町教育委員長の尋問を9月6日午後3時より、10月には結審、年内の判決を予定。
9・8協議の正当性については今後の司法判断にゆだねるとしても、教科書無償供与については、竹富町教委の東京書籍版公民教科書採択の正当性が、はからずも玉津、崎原氏らによっても証明された。従って文科省が無償措置法適用の根拠とした「8.31再協議 」なるものは「正当性 」が全く無い。、文科省は無償措置法を盾にした竹富町に対する無償供与の拒否を直ちに止めるべきである。
8月1日朝、那覇地裁玄関前で傍聴を待つ人達と報道陣
8月2日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
8月2日 沖縄タイムス
10月結審、年内判決。八重山教科書那覇地裁方針
八重山地区の中学公民教科書問題をめぐり、石垣と与那国両市町を相手に東京書籍の無償給付の確認を求めた訴訟の証人尋問が1日、那覇地裁であった。酒井良介裁判長は尋問終了後、10月に結審し、年内に判決を下す予定だと述べた。
両市町側は前回6月の口頭弁論までに、育鵬社採択の根拠を従来の「採択地区協議会答申 」から「各教育委員会の採択 」に変更している。この日の尋問でも玉津弘克石垣市教育長は協議会答申に「必ずしも拘束されない 」、崎原用能与那国町教育長も「拘束力はない 」と明言。竹富町教育委員会に育鵬社版の採択を求めた根拠が崩れた格好だ。
原告側代理人弁護士の井口博弁護士は「前回から両市町側が主張を変えた。採択地区協議会がいかにずさんな協議だったかが明らかになった 」と批判した。一方、玉津、崎原亮教育長は、両市町で4月から育鵬社版教科書を現場で使用している状況について「混乱はない 」と述べた。
8月2日の沖縄タイムス
6月28日 八重山毎日
教科書訴訟 被告が却下求める、8月1日に証人尋問
八重山地区の中学校公民教科書問題で、石垣市と与那国町の保護者と子どもが、両市町を相手に東京書籍版教科書の無償給付を受ける地位にあることを確認する訴訟の弁論が27日午後、那覇地裁(酒井良介裁判長)であった。被告側は引き続き却下を求め、8月1日に証人尋問を行うことを決定した。原告側は、親子1組が請求を取り下げた。
弁論で被告側は、両市町教育委員会が昨年8月23日の答申に基づいた育鵬社版教科書の採択が有効と主張。東京書籍を採択した昨年9月8日協議には「採択としての効果を有するものではない」と反論した。次回は、8月1日午前10時から同地裁で証人尋問。竹富町の竹盛洋一教育委員長、慶田盛安三教育長、石垣市の玉津博克教育長、与那国町の崎原用能教育長が尋問に立つ。それぞれ、8月23日の答申と育鵬社版を採択した経緯、9月8日の東京書籍版の採択に至る経緯と内容、対応などで証言を求めることとしている。
6月28日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
9.8協議の議事録を作成、公開へ。
6月19日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
県教委、石垣、与那国の冊数報告。一方竹富町は報告せず、 違法状態を是認。
5月31日 沖縄タイムス
八重山教科書:県教委、2市町の冊数報告
県教育委員会は30日、2012年度から石垣市と与那国町の中学生が使う公民教科書の必要冊数を570冊として文部科学省に報告した。教科書の無償配布に必要な予算上の手続きで、同省は今後、報告をもとに教科書会社へ代金を支払う。一方竹富町の23冊分は報告されなかった。
報告冊数は石垣市553冊、与那国町17冊。県義務教育課へ冊数を報告した石垣、与那国の両市町分で、竹富分については「(八重山地区)全校への無償配布が望ましい。今後も対応を模索したい」としている。竹富町は、ことし1月に同省が「無償対象外」としたため、県への冊数報告を見送り。篤志家の寄付で東京書籍の教科書を独自で購入、4月までに児童へ配っている。
県の報告を受けて、同町の慶田盛安三教育長は「教育はお金の問題ではない。町教委が採択した教科書も届いており、特にない」と回答。ただ「国はなぜ竹富だけ有償か、はっきり答えていない。義務教育の無償をうたう憲法の理念にも反しており、法の矛盾解消のため、早めに法整備に着手すべきだ」と批判した。
県が八重山地区の具体的な冊数を国に伝えたのは初めて。同課は「これまで一本化に向けた指導、助言をしてきたが、まだ果たせていない。竹富への無償配布をあきらめたわけではない」としている。琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は「違法状態が続く中で、県は昨年からずっと一本化を求める姿勢を貫いていただけに、今回の判断は残念」と述べた。
八重山では、昨年の教科書採択で石垣と与那国が育鵬社、竹富が東京書籍を選び「同一地区内は同一教科書」を定めた教科書の無償措置に関する法律に抵触。一本化に向けて協議も重ねてきたが、現在もまとまってない。同法では、各都道府県教委による年度前期分の児童生徒数(必要冊数)の報告を5月31日までとしている。
5月16日那覇地裁で、東京書籍版教科書の無償給付の確認を求める訴訟の第3回弁論が行われました。
5月18日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より
5月17日 八重山毎日
仮処分を新たに申請 原告側、採択地区協議で、八重山教科書訴訟
八重山地区の中学校公民教科書採択問題で、石垣市と与那国町の子どもと保護者が、両市町を相手に東京書籍版教科書の無償給付の確認を求めている訴訟の第3回弁論が16日、那覇地裁(酒井良介裁判長)であった。原告側は、育鵬社版教科書の給付を受けない地位にあることを確認する訴訟も新たに追加、被告側が次回弁論で主張を述べることとなった。
追加提訴は