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てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

止まらない、終わらない~その21 練馬区立美術館

2013年09月02日 | ぐるっとパス
牧野邦夫-写実の精髄
練馬区立美術館
2013年4月14日(日)~2013年6月2日(日)

ようやくですが、ぐるっとパスのつづきです。
見に行ったのは5月中盤でした。
牧野邦夫の作品はユニークとしたいいようのない不思議なものでした。
いいとか悪いとかいう尺度では測れないという意味では目黒区立美術館で見た佐脇健一の作品を連想しました。
まったく似ていないんですけどね。

とにかく目立つのは自画像の多さ。
しかも、相当に端正な顔立ちで描かれています。
デカダンで幻想的な雰囲気の作品は幻想小説の表紙やイラストに使われてもおかしくない感じですが、描きこまれすぎてあまりにも濃密な作品はそうしたものに使いにくいでしょうねえ。
ほっと気の休まるような作品はなく、見終わった後かなりつかれました。

一番印象に残った作品はやはり「未完の塔」ということになるでしょうか。
ガウディじゃありませんが、長い年月をかけて作り続けているうちに、本人が亡くなってしまったという大作。
http://www.art-annual.jp/news-exhibition/exhibition/18687/

この塔の完成形は本人以外まったく分かりません。
私のような凡人にはこのくらいの書き込みで十分のような気がしなくもありません。(ひ)

言葉のせめぎあい~その20 あいだみつを美術館

2013年08月13日 | ぐるっとパス
第53回企画展『こころの暦 にんげんだもの』発刊30周年記念
  「日めくり — 生活の言葉—」
3月5日~6月2日
あいだみつを美術館
http://www.mitsuo.co.jp/museum/exhibition/e_64.html

印刷博物館の後はあいだみつを美術館へ。
江戸川橋駅が最寄なので、この2つは移動しやすいんですね、意外に。
あいだみつを美術館は有楽町駅に隣接しているという立地の良さもあって、ぐるっとパスを買うと、ほぼ毎回寄っていると思います。
このときは日めくりカレンダーにある言葉を中心にした展示。
あいだみつをは本より先に、この日めくりの暦を出したらしいので、思い入れもかなりあるんでしょう。
子供の頃は日めくりカレンダーを自分の部屋に飾っていた記憶がありますが、今は作っている人少ないんだろうなあ。
カレンダーは完全に予定をチェックするためのものになっている気がします。

展示されていた作品はいつもどおりだった気がします。
もう5月のことなので記憶が曖昧なんですね。
それにしても、いつ行ってもここはお客さんが多い。
この日も日曜日だけあって、お客さんが多く、作品ひとつひとつに感想をいわずにいられない年配の鑑賞者の方々が少なくありませんでした。
他の美術館では勘弁して欲しいけど、そんなふうにあいだみつをと勝手に対話するのも結構ありかもしれません、ここでは。(ひ)

アナログとデジタルは意外に近い?~その19 印刷博物館

2013年08月12日 | ぐるっとパス
【P&Pギャラリー】
グラフィックトライアル2013 ―燦(さん)―
2013年5月18日(土)~2013年8月4日(日)
印刷博物館
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/130518/index.html

まだまだしつこく、ぐるっとパスの感想も書いていきます。
といっても五月の話ですから、かなり記憶は曖昧になっていると思います。

印刷博物館は今回で二度目。
そのときは間が悪く総合展示が休みだったのですが、今回は無事一通り見ることができました。
印象的だったのはVRシアター。
以前、国立博物館でも無料でみることのできた「江戸城~本丸御殿と天守~」を上映中でした。
国立博物館とはまた違うシアターはスクリーンのカーブが効果的。
酔いそうになるくらいの迫力でした。
映像が別のものになったら、またぜひ見たいと思います。

入館料だけで楽しめるワークショップが充実しているのも気になりましたが、参加できる人数が少なくて断念。
というか、人がずらっと並んで待ち受けているから、とても気軽に参加できそうにありませんでした。
ワークショップのコーナーの近くにあるハンコも子供たちが独占していて、大人が入る余地はありませんでした。
まあ、仕方がないか。

展示で充実していたのはP&Pギャラリーのグラフィックトライアル。
自分の顔をモチーフにした成田 久のパッチワーク印刷の異様さに圧倒されましたが、阿部拓也の「さまざまな黒」を作る試みが印象的でした。
http://biz.toppan.co.jp/gainfo/gt/009/04_02.html

黒にも表情があるんだなあ、ということにも驚きました。
機械が発達して印刷技術が上がるほど、扱う人の力次第で出来栄えがまったく違ってきそう。
面白いなあ。
日本から職人はいなくならないということでしょうか。
この微妙な違いをキンドルは伝えられるのかな。(ひ)


大切なのはスポットの当て方~その18 東京都写真美術館

2013年07月17日 | ぐるっとパス
[美術館へ行こう] 『写真のエステ 五つのエレメント』

写真のエステ- 五つのエレメント
平成25年度東京都写真美術館コレクション展
会期:2013年5月11日 ( 土 ) ~ 7月7日 ( 日 )
東京都写真美術館
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1868.html

続いては六本木から恵比寿に移動して写真美術館に。
ぐるっとパスで見ることのできるのは「写真のエステ」という今年第三弾まであるコレクション展の第一弾。
「エステ」といっても、当然美容に関する展示な訳はなく、写真の美しさに関する展示でした。
担当している学芸員の石田哲朗氏は「川内倫子展」も手がけている人。
どうしても写美に置いてある「ニァイズ」の、アクの強いイメージが強く残っていますが、今回の展示もいつもの写美とは違う雰囲気に満ちていました。
http://syabi.com/contents/extra/nya-eyes_2012_09/_SWF_Window.html

いつものコレクション展のように、作品の歴史的な意味、撮影技術にこだわるのではなく、一枚一枚の美しさをじっくり楽しむというのが新しい。
おなじみの佐藤時啓の「#155 YUBARI」や川内倫子の作品も、作家性や作品の意味から解放されて、ただ美しさを味わうことでまた違った楽しみ方ができた気がします。
http://openers.jp/culture/tips_art/photo_aesthetica_0513.html?num=1

そんな作品群の中で、どうしても作品の意味を考えざるをえないボルタンスキーの「シャス高等学校」は一層強烈でした。
ウィーンのユダヤ人学校での最後の集合写真という説明を聞いただけでいろいろストーリーを考えてしまいます。
その後の行方が分かっているのはひとりだけで、大きな集合写真とは別にある一人一人の顔をアップにした写真は一人分の写真だけ足りない。
これはある意味遺影なのか、と考えますよ、どうしても。

こういうコレクション展こそ、企画が大切なんだなあ、と改めて感じる展示でした。
写美、現代美術館、東京都美術館といった各美術館で企画展のパターンというものがどうしても出来上がっているから、時々は東京都の美術館内で学芸員をレンタルしてみたら面白いのに、という気になります。
まあ、自分のところの仕事だけでも相当忙しいんでしょうけど。(ひ)




清次郎とその時代、が見たい~その17 松岡美術館

2013年07月09日 | ぐるっとパス
松岡コレクション  
印象派とその時代
2013年4月21日(日)~9月23日(月・祝)
http://www.matsuoka-museum.jp/exhibition/exhibition.html

間が空いてしまいましたが、目黒のつづきです。
自然教育園の次に行ったのは松岡美術館。
このふたつの施設は隣接しているのですが、自然教育園の入り口から遠いため、結構な距離を歩かなければいけません。
ここの「国際博物館の日」の特典はポストカードのプレゼントでした。
ブーグローの「編み物をする少女」です。
http://worldmasterpieces.jp/SHOP/BouguereauYKG.html

ぐるっとパスを使っての入館でもいただけたのでラッキーでした。
入館すると、ちょうど「古代オリエント美術」の部屋でギャラリートークが始まるところでした。
丁寧で分かりやすい解説でしたが、かなり緊張されていたのが印象的でした。

2階の企画展示室は「うつわのかたち」というヴァラエティにとんだ器の展示と印象派の作品の展示が行われています。
おなじみのルノワールの「リュシアン・ドーデの肖像」やピサロ、シスレーなどの作品を見ることが出来ました。
最近はすっかりテーマが洗練された松岡美術館らしい展示でしたが、何度もここに足を運んで有名どころの作品は一通り見た者にとっては、それぞれの作品を松岡清次郎がどうやって購入したか、もしくは作品に対し、どんな思い入れを持っていたかというエピソードの方が気になります。
松岡美術館は絵画だけでなく、器や仏像さらには巨大な彫刻作品まである幅の広さが特徴ですが、なぜここまで手を広げてしまったんでしょうか。
もっとジャンルを特化していたら、もっとすごいコレクションになったんじゃないか、と余計なことを考えてしまいます。
その辺をうまく紹介してくれる展示を期待します。

それにしてもポストカードもいただいたブーグローの作品にしても、ミレイの「聖テレジアの少女時代」も小さな子供とは思えない憂いのある表情が印象的です。
松岡清次郎の好みなんでしょうね。(ひ)



今日は何の日~番外編 附属自然教育園

2013年07月04日 | ぐるっとパス
この日は5月18日。
知っている方のほうが少ないでしょうが、「国際博物館の日」でした。
http://www.j-muse.or.jp/02program/projects.php?cat=8

美術関係のHPで、この日に無料だったりオマケがついたりする美術館、博物館もあると分かったので、どこかで得をしようと思ったものの、ぐるっとパスとサービスが被ったり、チケットをすでに持っている展示だったりして、どうもうまくいかない。
国立新美術館の「カリフォルニア・デザイン」と川村記念美術館が無料になるのが目立つんですが、前者は既にチケットがあるし、後者は施設が遠いことに怯んでしまいました。
千葉まで行くと、ぐるっとパスがつかえないしなあ、というジレンマに陥ったわけです。
あれもこれも得したいという欲深い人間は結局、大した得はできないものです。
結局、あまり影響のない目黒に出かけました。
最初に行った「附属自然教育園」は、この日、無料入館だったんですが、ぐるっとパスでも入館できるし、この2ヶ月間でもう一度来るとも思えないから、得なような損なような。

それにしても、ぐるっとパスを始めた頃は上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園辺りにもよく行っていたんですが、最近はすっかりご無沙汰。
美術館、博物館を集中的に回るようになっています。
今回も自然系はここだけでした。
秋にはリベンジができるといいなあ。

全部回る気力と時間がなかったので、まっすぐ進んで、ひょうたん池と水生植物園を見てることに。
何種類か花を見ることが出来ましたが、まったく花の名前が分からないので、残念ながらここには書けません。
何の花か説明している人もいらしたんですが、全然覚えていない、というか、直接説明してもらっても次の日には確実に忘れてしまっています。
単に興味がないのか、花に関する記憶力が欠如しているのか・・・・・・。

自然植物園のスタッフブログを見ていたら、アブラムシやシロアリといった害虫と他では呼ばれる虫たちがここでは観察対象と知ってびっくりしました。
http://www.ins.kahaku.go.jp/blog/index.php?month=201305

そのうち科学博物館でも、アブラムシやシロアリに関する特別展をやったりするのかな。(ひ)

トラベルでなくスリップか~その16 オリエント博物館

2013年07月03日 | ぐるっとパス
常設展示
 「タイムスリップ!古代オリエントの世界」
5月13日(月)~7月15日(月)
オリエント博物館
http://aom-tokyo.com/index.html

ここも、ぐるっとパスを利用しないとなかなかこない施設なので久しぶりな気がします。
サンシャイン自体が池袋駅から遠いし、サンシャインに入ってからオリエント博物館にたどり着くまでにかなり時間がかかるのがネックなんですよねえ。

展示の方ですが、常設展示期間ということで特にいつもと変化のない定番の展示がくりひろげられていました。
ちょうど見に行った日が間が悪く、クローズアップ展示という小企画展示もおこなわれていませんでした・・・・・・。

それにしても、最近、「いろは歌」の書かれた最古の土器が発見されたり、動物頭部彫像が発見されたりと、遺跡関係の話題が多い気がします。

http://www.jiaa-kaman.org/jp/media_publication.html#130623

確か、今度の国立博物館の企画展示で「いろは歌」の器の方は見られるはず。
豹の頭はずいぶんと可愛いし、完成度が高そうですねえ。


京都の方は30年も前に発見されたものだというから調査に時間が相当かかっていることになります。
時間と手間を恐ろしくかけて調査が行われている訳ですが、そういう非効率的で非経済的なものには、それだけで惹かれるところがあるのは私だけでしょうか。
教育や研究でも経済性ばかりを追い求めるというのは、結局失敗に終わる気がするなあ。少しくらい会場が不便だからといって、文句を言ってはいけないなあ、と反省。(ひ)


秘密のものづくり~その15 パナソニック汐留ミュージアム

2013年07月02日 | ぐるっとパス
開催10周年記念特別展
幸之助と伝統工芸
2013年4月13日(土)~8月25日
前期 | 4月13日(土)~5月28日(火) 
中期 | 5月30日(木)~7月9日(火) 
後期 | 7月11日(木)~8月25日(日)
パナソニック 汐留ミュージアム
http://panasonic.co.jp/es/museum/

更新が遅いので、ぐるっとパスの有効期限、二ヶ月間を過ぎてしまいました。
既に展示期間の終わってしまったものの感想が増えると思いますが、お許しください。

この展示はまだ開催中、4月から8月という長い期間の展示なので問題なしです。
「幸之助と伝統工芸」という、パナソニックならではの展示ですが、幸之助の愛した工芸作品と彼にまつわる映像、写真、音声という展示になっています。
展示作品はかなり少なめ、多くは近代美術館の工芸館で見そうな器や衣装が多く、地味といえば地味(実際、近代美術館所蔵作品も結構あったと思います)。
ということもあり、展示の楽しみ方としては、幸之助がどんな工芸品に興味を持ち、工芸品を愛したことが彼の仕事とどうつながっていったか、という辺り。
単に大量生産ではなく、工芸品の「ものづくり」の部分を生かしたいという彼の言葉は、今の日本の大企業にはほとんど残っていない気がします。
大量に売れ続けないと黒字にならない、というシステムにのっかることは日本にとって得策なんだろうか、という疑問をもたざるをえないんですが。

展示では幸之助がインタビューにこたえている音声や、幸之助が所有した茶室「眞々庵」の貴重な映像の方が印象に残りました。
映像は確かドイツのテレビ局用のものだったと思いますが、ドイツでパナソニックのイメーアップを図るために使われたのでしょうか。
全体的に、もう一歩、その辺の説明を深く行ってくれるといいのに、という不満を正直な話、感じました。
せっかくパナソニックが幸之助に関する企画展を行うんですから。

やっぱりいいなあ、と思ったのは常設展示のルオー。
「古びた町外れにて 又は 『台所』」が特に心に残りました。
やや離れたところに人の姿はあるものの、キリストが台所の椅子に座り、思索しているところが描かれている。
かまどの火はついているようなので、料理中の台所なのでしょう。
そんな中でキリストは何を考えているのか、と思うと、いわゆる宗教画とは違ってキリストの存在が一歩近いものにも感じられてきます。
いくつも並んだフライパンとキリストの並び方も楽しいし。
次の「モローとルオー」も楽しみになってきます。(ひ)





~その14 大倉集古館

2013年06月25日 | ぐるっとパス
大倉コレクションの精華Ⅰ―中世近世の絵画―
大倉集古館
2013年4月6日(土)~2013年5月26日(日)

泉屋から大倉という、ぐるっとパスの王道コースを今回もたどりました。
ここは短期間、目玉作品を展示することが少なくなくて、今回も国宝「随身庭騎絵巻」の展示があったんですが、見ることができず。

一番印象に残ったのは「百鬼夜行絵巻」でしょうか。
サントリー美術館で同じ趣向の作品を見たと思いますが、すごくゆるいのに、しっかり不気味なのが面白い。
http://frogfox.web.fc2.com/01catalog/list/yagyo06.html

酒井抱一の「五節句図」が展示の目玉という感じでした。
五つの節句を美しく描いた作品はちょっと隙がなさ過ぎて物足りない気もしましたが、宮中行事を美しく描いた作品であることは確かです。

今回の展示は中世・近世のコレクション展で、8月から9月には近代の名画展も開催されます。
いつも気になる名品を小出しにしている感じの大倉がまとめて紹介してくれる機会なので、こちらも見逃せません。(ひ)


確かに秘蔵~その13 泉屋博古館

2013年06月20日 | ぐるっとパス
特別展「住友グル-プ秘蔵名画展―花―」
3月2日(土)~5月12日(日)
泉屋博古館 分館(東京)

ぐるっとパスを使って六本木近辺を回ってきました。
六本木といっても、サントリー、国立新、森美術館は、ぐるっとパスを使っても大して安くならないので、行ったのは六本木一丁目付近の施設。
泉屋博古館では「花」を描いた絵という、財閥系の施設や邸宅にすごいものがいかにもありそうな展示でした。
一度、住友、損保ジャパン、三井、大倉、五島といったところの「花」を描いた名画を一気に展示してもらいたい。

大きな企業の応接間を飾る作品なので、当然みんな無難な作品ではあるのですが、岡鹿之助や速水御舟、川端龍子辺りの作品はやはりひときわ目立っていました。
意外にといっては失礼ですが、よかったのは前田青邨の「梅」。
梅の枝のうねりが青邨らしさを感じさせるものの、全体的には非常にシンプル。
正直、どうも個性が強すぎて今ひとつ好きになれない作品が多いのですが、このくらい個性が薄まった感じがちょうどいい、と失礼な感想をもってしまいました。

会場に入るとギャラリートークの真っ最中でした。
美術館によって、学芸員さんが行う場合と、ボランティアの方が行う場合がありますが、個人的には前者の方が圧倒的に面白い気がします。
この日も展示作品に対する、相当熱い解説が繰り広げられていました。
展示室のガラスが反射して作品が見づらいことがとても残念そう。
確かに、ここのガラスは絵画の展示には向いていないんですよねえ、正直な話。
学芸員さんのためにも、新しいガラスをぜひ導入して欲しいものです。(ひ)