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てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

暑い夏には

2014年08月08日 | 本の記録
今日は少しましなようですが、暑い日々がつづいています。
仕事も立て込んでいたので、またしてもブログの更新が滞っています。
こんな日々は前回書いたように、なるべく軽くて楽しい内容の本で電車に乗っている長い時間の気を紛らわせています。
そんなわけで、最近、すっかり読まなくなってきた漫画を3冊読んだので、まとめて感想を。

○35日間世界一周!! Part4 南米・天空都市編
水谷さるころ
イーストプレス
http://salucoro.blog95.fc2.com/blog-entry-649.html

ずいぶん前にCSの番組で放送した世界一周第2弾の3冊目。
まるで私のブログの記事のように、いやそれ以上に滞っていますが、内容は相当充実しています。
もはやテレビの内容はおぼろげにしか覚えていませんが、こちらの方がずっと細かく、テレビでは見えなかった3人の関係が見えてきて面白い。
旅の疲れでイライラして喧嘩する場面が多かった印象だったのに、本を読むとうまく距離感が取れた関係だという気がしてきます。
今回はペルー、ボリビアとハードな場所が続いていて、自分も行きたいとはすぐには思えませんが、
ウユニ塩田の「塩のホテル」はすごそうだなあ。

第4段の完結編は10月発売だそうです。
また世界一周してくれないかなあ、相当しんどそうだけど。

○ひとりたび2年生
○愛しのローカルごはん旅もう一杯!
たかぎなおこ
メディアファクトリー

女性漫画家のエッセーが続きましたが、こちらも旅ですが、国内。
しかも、ひたすら食べ倒します。
「ローカルごはん旅」の第一弾を読んだのがきっかけで、たかぎなおこの本を何冊か読んでいます。
そちらはたまたま自分の行ったことのある場所ばかりで、そうそうそんなものがあったなあ、と親近感を覚えながら読んだんですが、今回は行ったことのないところばかり。
うちには車がなく、出かけるときは電車とバスのダイヤに悩まされながらの旅になるので、読む本もそういう旅をしているものばかり選んでしまう。
地方に行けば行くほど、珍しいいいものに出会えたりするけど、乗り物に困るところが共感できてしまう。
まあ、最近、そんな旅も全然していないから、本を読んで旅をした気になっているんでしょうね、きっと。

この漫画はそれにしても食べ物の絵が魅力的。
どれもこれもおいしそうなんですが,その後のページの写真を見ると、あれ、あんまりおいしそうじゃない・・・・・とがっかり。
昔、子供のころ読んだ赤塚不二夫の漫画に出てくる食べ物って、やたらおいしそうだったけど、それに近いものを感じます。

今日も暑いですが、仕事がオフなので、これからぐるっとパスを使ってきます。(ひ)




旅行者の朝食

2014年07月31日 | 本の記録
旅行者の朝食
米原万里
文春文庫
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167671020

真夏の暑さに疲れたときはエッセーか漫画に限ります。
ということで、エッセーの感想です。

タイトルの通り食べ物に関する本ですが、「朝食」の範囲にとどまることなく、おなじみの食べ物から、見たことも聞いたこともない幻のような食べ物まで登場する一冊です。
ロシア語の通訳をしていた作者ならではの、ロシアをはじめとする食べ物の話がいづれも印象的なんですが、特に挙げたいのは「トルコ蜜飴」の話。
作者がまだ小学生だったとき、両親の仕事の都合でプラハにいたそうで、そのころのエピソード。
幼いときの食べものの話は美化されがちですが、これは客観的に見てもすごい話。
彼女は以前、本で読んでずっと気になっていた「トルコ蜜飴」を初めて口にし、その美味しさに喜んだそうですが、ロシア人の友人にあげると、これなら「ハルヴァ」の方が百倍おいしいとそっけなくいわれてしまいました。
その後、友人は「ハルヴァ」を持ってきてくれました。
ニベアのような(懐かしいなあ、ニベア)青い缶に入ったベージュ色のペースト状のお菓子はその言葉通りの絶品のおいしさだったそう。
以降、作者は同じお菓子をもう一度探し求めるも、決して手に入りませんでした。
大人になり、再び「ハルヴァ」について調べるうちに、世界の複数の国に「ハルヴァ」に似た料理があることがわかったのでした。そして……。

「ハルヴァ」が実際、どんなお菓子なのかも気になるところですが、お菓子の秘密を解いていくうちに、一見つながりがあるように見えない国と国の間に、文化の流れが確実に存在するのが伝わってきて実にスリリング。
誰か「ハルヴァ」をめぐるミステリーとか書いてくれないかなあ。(ひ)


書くことについて

2013年11月18日 | 本の記録
書くことについて
スティーヴン・キング 作 田村義進 訳
小学館文庫
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094087642

原題がOn writingという非常にシンプルな一冊。
以前は「小説作法」というタイトルで出ていたそうですが、確かに新しいタイトルの方がいいですね。
旧題は昔の文章読本的タイトルでキングらしくない。
タイトル通り、小説の書き方について説明した、実用書になるはず、なんですが、そうはいかないのが、やはりキング。
子供の頃の文章体験を延々と書いた後、かなりしつこく自分の文章論を経験を交えて、強く強く主張してます。
後半は、この作品を書いている途中にあった、大事故からどう立ち直ったかというドキュメント。
まじめに「文章読本」を期待して読んだ人はかなり肩透かしをくらうと思いますが、彼のファンなら、エッセーとして楽しめる本なのは間違いなし。

おかしかったのは、文章読本は長くなっていけない、できるだけシンプルに必要なことだけを書いたものしか役にたたない、というようなことを何度も書いているのに、彼の話が長くしつこく横道にそれていくこと。
その多くが自分を腐しているように見せながら、自慢話になっているから、目の前で語られたら、相当嫌かも。
でも、それが嫌味にならないのは彼の文のうまさなのかもしれません。

文章の書き方で彼がしつこく繰り返すのは、「余計表現を省くこと」。
副詞はほとんどいらないし、読者が想像できる描写はできるだけやめるということを、最後の数ページの実践つきで説明しています。
確かに、彼のような長い作品は、余計な副詞や表現を削いでいかないと話は進まないし、繰り返しの表現に辟易することになるんだろうなあ。
登場人物の名前が長いのを直すところには、かつての赤川次郎が「画数の多い登場人物は出さない」と言っていたエピソードを思い出しました。
それにしても、何を読んでもキングには圧倒されます。(ひ)


ラジオのこちら側で

2013年10月10日 | 本の記録
カルチャー・クラブは「ラロトンガの友」と言われてました。

ラジオのこちら側で
ピーター・バラカン 著
岩波新書
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/9/4314110.html

あんまり期待せずに読んだんですが、これが面白かった。
誰にでもお勧めできる、というものでなく、ピーター・バラカンのラジオやテレビがきっかけで音楽の泥沼にはまって抜け出せなくなった人間限定の面白さですけど。

最近、「新書」というと、タイトルだけインパクトがあって、中身のない読み捨て本の代名詞みたいでですが、さすが岩波新書といっていいのか、マニアックな内容をコンパクトにまとめた本になっています。
昔は難しい内容を分かりやすく読むことができるのが新書だったんですよね。

内容は、というと、ピーター氏の自叙伝的に手がけた仕事を紹介していくというもの。
今までの本やラジオ番組でも散々読んだり聴いたりしてきたので、目新しいことはないだろうと思っていました。
しかし、この本の場合、ひとつひとつの仕事の紹介が非常に詳しく聴いたことのない話が相当多い。
「ロッカダム」や「テクノポリス」なんていうラジオ番組の話は大抵さらっと触れられる程度だったのに、そこにいたるまでの経緯やこぼれ話をしっかり読むことができます。
リアルタイムで聴いていた番組だけに、鳥肌モノでうれしかったなあ。
他の本とずいぶん内容が違うのは、これが「語りおろし」だったことが大きかったようです。
相当時間をかけて話し、今までにない部分をうまく拾って一冊の本に仕上げている。

一番興味深かったのはやはり「スタジオ・テクノポリス27」の話。
土曜の深夜3時というコアな時間の番組でしたが、かかさず聴いていました。
表参道の伝説のレコードショップ、「パイドパーパーハウス」がスポンサーになったこともあったんだよなあ。

今ではInterFMの執行役員だという話には驚きました。
朝の番組が多いのでNHKもInterFMもなかなか聴いていないんですが、たまには聴いてみよう。
といっても、うちはラジオがほとんど入らないからパソコンで聴くしかないんですが。(ひ)



ときどきの少年

2013年10月01日 | 本の記録
ときどきの少年
五味太郎/著
新潮文庫
http://www.shinchosha.co.jp/book/138231/

期待以上にすばらしい小説でした。
いわゆる児童文学かと思って読み始めたのですが、おそろしくエッジの聴いた、散文と韻文の狭間を行くような、すごい文章で、読んでいて自分が子供だった頃の記憶がいろいろよみがえってきました。
といっても、よみがえって来たのは決してノスタルジーに浸るなんてものではなく、子供の頃も嫌なことがずいぶんあってしんどかったなあ、あの頃に戻りたいなんて気には全然なれないなあ、という、ずいぶんリアルな記憶です。
物語に書かれていることは、五味太郎が子供の頃のお菓子のおまけの話や、氷を買いにいった話など、時代的にはまったく共感できない話が並んでいるのに、主人公の少年の、とまどいというか、逡巡というようなものが自分の子供時代を思い出さずにはいられないものでした。
しかも、少年の逡巡がいつの間にかストーリーの展開にまで影響を与えて、どの話も実に中途半端な形で終わってしまうのがすばらしい。
子供の頃にはいろんな体験を実に中途半端にたくさんしてきた気がします。
いや、中途半端だったのは、物事を中途半端にしか聞いたり見たりしていない私自身の中途半端な記憶によりものかもしれないけど。

すばらしい作品ばかりの短編集ですが、あえてひとつ印象に残った作品を挙げると「お山の大将」という話。
いじめの事件がニュースで取り上げられると、昔はちゃんと面倒見のいいガキ大将がいて、ちゃんと子供の中の規律をつくっていたから良かったのに、なんていう、単なるノスタルジーを本気で語っている馬鹿な連中がテレビに出てきますが、そういう人間にはぜひ読んでいただきたい作品です。
そんな大人受けのいいガキ大将なんていうのは空想の世界の話で、そういう輩がいかに計算高くいやらしい人間か見事に描いています。
ガキ大将の描写なんて大してないんですけどね。
自分が子供の頃もそういうすごく嫌なやつが近所にいたなあ。
どうしているのかは知らないけど、二度と会いたくないし、かかわりたくない。
とはいえ、世の中はそういう人間が実は社会的に認められるようにできている、ということを私たちは子供の頃に学ばざるをえないのです。
そんなシュールな世の中というものを受け入れるのが少年時代なのだということを再認識させられてしまいました。
ああ恐ろしい本だった。(ひ)

中島らもの置き土産 明るい悩み相談室

2013年09月11日 | 本の記録
中島らもの置き土産 明るい悩み相談室
中島 らも 著 / 中島 さなえ 編
朝日文庫
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=15069

異常に暑かった夏の仕事の往復中に読むにはぴったりの本でした。
なつかしの「明るい悩み相談室」の再編集版。
娘の中島さなえさんが選び、能町みね子のイラストもついているというお徳版です。
能町みね子のイラストを見ていると、なぜか中川いさみの漫画を思い出して、そこでも懐かしい感じになりました。

新聞の人生相談というのは存在自体がおかしい。
非常に私的な問題を、個人が特定されないような一般的な文章に変えられ、赤の他人の作家や大学の先生に、ごく一般的な問題として答えてもらって、何が解決するというのか。
おそらく回答自体が的外れなものになって、質問した人はいらいらが募るばかりだと思う。
楽しんでいるのは偉そうに答える人間と、読者だけ。
でも、相談の文章を送る人って、意外に多いんだろうなあ。
それって、人に悩みをうちあけてスッキリするというのと同じ気持ちなんでしょうか。
そういえば、リリー・フランキーが人生相談の手紙をくれた人物に実際会いに行ったら、文面と実際の悩みがかけ離れていてビックリしたという話をしていました。
人生相談って、実に複雑な存在ですよね、そう考えると。

中島らもの人生相談が画期的だったのは、端からちゃんとこたえる気がないということ。
そして、ふざけた回答とまっとうな回答をうまいバランスで織り交ぜる魅力があったことに、今更ながら気づかされます。
個人的に印象に残ったのはレストランでオムライスを注文しながら卵をまったく食べなかった人の話。
そういえば、牛丼屋で「タマネギ抜きで}という無茶な注文をしていた人がいたなあ、と過去の記憶がよみがえりました。それって、ただの汁だくの牛肉どんぶり? (ひ)


35日間世界一周!! Part3.南欧南米・世界遺産編

2013年09月06日 | 本の記録
35日間世界一周!! Part3.南欧南米・世界遺産編
水谷さるころ 著
イースト・プレス

本の感想も結構貯まっているのですが、今日はこれを。
「旅チャンネル」で番組を見たのは何年前になるんだろう。
「30日間世界一周」という、男女3人組が番組企画で世界一周をする画期的な番組の第2弾。
CSの番組ですから、タレントが自力で旅行しているように見せるだけのものと違い、スタッフ2人と漫画家1人だけの本気の旅の記録です。
ケンカして険悪なムードになっていたと思ったら、すぐに仲直りしたり、と思ったら、しばらくして軽い報復に出たりと、美しい風景とともに、しょうもない人間関係を満喫できる、面白すぎる番組でした。

とはいえ、番組で放送できる時間は限られているし、ダラダラしているところばかり流せないから、漫画を読んで初めて知ることが相当多いんですね。
第2弾では3人とも、ずいぶんと大人の関係になって、ギスギスした感じになることもなかったこともよく分かります。

第2弾になってから装丁も内容も凝りに凝っているのはいいんですが、出るまでに時間かけすぎでしょ。
2009年に行った旅の記録本がまだ出続けているなんて。
3巻でようやく18日目だから、まだ半分ほど。
この本が3月に出たことを知らなくて、この夏、本屋で見つけたとき、「この本、すでに買ってないだろうか、いや、読んでいないだろうか? 」と不安になりました。

第3巻は漫画の中に写真を使っていることが多いのが特徴でしょうか。
その写真のピントが今いちな感じなのは写真じゃなくて、映像だから?
それにしても、やっぱりバルセロナの建物は面白いものが多い。
ガウディの建築って、そんなにやたらにあるのか。
完成しないところがいいといわれているサグラダ・ファミリアも、これから先、完成したら、やっぱり見てみたいものですね。(ひ)

シュルレアリスム

2013年06月27日 | 本の記録
シュルレアリスム
パトリック・ワルドベルグ 著
巖谷國士 訳 
河出文庫

美術展ではなく、本の感想です。
自宅の本棚に「シュルレアリスム」という何とも直球な本が置いてあるのを見つけたので読んでみました。
帯に「決定版入門書」とあるのは、資料の充実ぶりを指しているのでしょう。
著者による100ページほどの「シュルレアリスム」の紹介の後、ブルトンやエルンスト、ポール・エリュアールといった人の文章や、有名どころの美術作品、詩が数多く登場します。
正直な話、ブルトンをはじめとする資料的な文章は読んでいてつらくて仕方ありませんでした。
私のような教養もなく、思考も単純な人間は美術だけを楽しめば十分だということが再確認できました。
前半の「シュルレアリスム」の解説を読んで感じたのは、現実から自由になるためには、ある意味で相当自分を縛るストイックさをもち続けなければいけないんだなあ、ということでした。
このことは、具体美術協会に関する展示を見たときにも感じたことですが、既存のルールから外れることを継続するうちに、新しいルールができて、それを守ることに執着せざるをえない、というのは人間の性なんでしょうか。

驚いたのは、巖谷國士が初めて手がけた本だということ。
当時、大学院生だったそうで、よくこんな訳しにくそうな本を、と思わずにはいられません。

次は「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」を読んで損保ジャパンの展示に備えようかな。(ひ)

喜劇人に花束を

2013年06月24日 | 本の記録
喜劇人に花束を
小林信彦 作 新潮文庫

これで小林信彦のエッセーを読むのは三冊目。
植木等、藤山寛美、伊藤四朗の三人を取り上げている作品です。
今まで読んだもののそうだったと思いますが、これも絶版状態の本。
現在も活躍しているのは伊藤四朗だけということもあるんですが、今の時代が「まっとうな批評」というのが求められていない時代だということに原因の根本がある気がします。

一番印象深かったのは藤山寛美の話。
時々、関西出身の芸人が藤山寛美の話をすると、異常に神格化されていて、どうすごいのかまったくイメージできないというのが正直なところでした。
芸のすごさよりも、私生活のエピソードが多いというのもあって。
この作品では相当遅れた、東京の人間から見た藤山寛美の話になっているのが面白い。
個人的なつきあいはそれほどなかったのに、それでもずいぶんと辟易しているのが分かるし、芸の全面を認めているわけではない、にもかかわらずすごいと言わざるをえない、圧倒的にすばらしい舞台が存在していたのが分かる。

それにしても、藤山寛美のエピソードの随所に、佐藤信の話を入れているのが絶妙。
当時、黒テントという時代をリードする存在がどう、ある意味「過去の遺物」的な笑いにこだわり続けた藤山寛美をこんな風に評価していたというのは意外でした。(ひ)

解錠師

2013年05月09日 | 本の記録
解錠師
スティーヴ・ハミルトン(著)
越前 敏弥(訳)
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/63404.html

「このミス」や「文春」の海外ミステリー小説の投票で一位になった作品ということもあり読んでみました。
なるほどよくできています。
幼い頃トラウマになる出来事を体験したために言葉を発せられなくなった少年が、ふとしたきっかけで鍵を開けることに興味を抱き、思わぬ事件に巻き込まれていくという物語。
いかにもハリウッド映画にありそうな、これでもかというくらい意外な出来事が連続し、同時進行で過去の事件が明らかになっていくという展開を見せます。
個人的にはこういう話にはもう飽きたかな。
物語を盛り上げるためにプロット作りを緻密に行っているのは分かるけど、話を盛り上げていくことしかしないから、先がある程度読めてしまってハラハラできないし、その割りにラストがしょぼい。
映画やアメリカのTVドラマにありがちな、こういうストーリーって、物語のご都合主義やありえなさを突っ込んで楽しむものなのかな。
そのくらいリアリティはないです。
というか、作者の文章能力が高く登場人物がみんな魅力的なのに、物語を盛り上げるだけの役割を与えられているのがもったいない。
主人公のおじや悪玉のボス、後半に一緒に仕事する仲間たちの心の機微をもう少し深く掘り下げた方がずっと面白い物語になるのに。
大体、後半に明らかになる主人公のトラウマと成功させるべき仕事の内容がうまくリンクできていないから、大きな盛り上がりにつながっていかないようにも思える。
「心を開く」と「鍵を開ける」くらいのつながりじゃね。
もう少しそこをがんばってよ。

でも、いかにも映画になりそうな物語で、受けるんでしょうね、きっと。

気になったのはタイトルの中の「解錠」という言葉。
「開錠」じゃないんですね。
「解錠」になると、壊すことなく鍵を開けるという意味になるそうです。
ということは「開錠」は壊して開くことも含まれるという訳か。
原題はthe lock artistなんですが、あえて「ロック・アーティスト」なんて邦題にしなかったのが素晴らしい。
「解錠師」の方がストーリー全体の暗示になっていて、なおかつ「解錠」って? というひっかりまであるんですから。(ひ)