goo blog サービス終了のお知らせ 

てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

飛び出すデザイン?~その23 文化学園服飾博物館

2010年01月28日 | ぐるっとパス
「三井家のきものと下絵」展
2009年10月22日 ~ 2009年12月19日
文化学園服飾博物館
http://www.bunka.ac.jp/museum/text/konnendo.html

ここにも初めて行ってきました。
新宿から初台方面に甲州街道をしばらく歩くとつきます。
これなら初台の2箇所と一緒に(ついでに途中のギャラリーにも寄りながら)行くという手もありそう。
甲州街道沿いは当然車の交通量が激しいから、排気ガスを相当吸うことになるのが難点ですが。

文化学園のオマケのようについている不思議な建物が博物館になっています。
ぐるっとパスに入るまでは一般のお客はほとんど入らなかっただろうなあ。

展示は三井家のきものの展示。
いろんなデザインがあることがわかるのはニューオータニ美術館の展示でも見たとおり。
というか、着物の知識がまったくない人間としては、ふたつの展示の記憶が混じってます。
ニューオータニ美術館の展示でも書かれていた気がしますが、着物のデザインの発達、流行に大きく貢献したのが円山応挙。
三次元的なデザイン(とまでいうとオーバーな気もするが)という画期的なもので流行を創り出したようです。
それにしても、着物や下絵はきれいに残っているものですね。
着物は直したりもしているのかもしれませんが。
ほとんどが一点ものだそうで、どれだけの高級品だったのか想像がつきません。
だからこそ、きちんと残ってもいるんでしょうね。
いわゆる美術品じゃないから、海外のコレクターにごっそり買われたりしなかったのかな。
でも、落ちぶれた名家の人たちが生活が困って、高価な着物を売ってしまうなんていうのはありそうだけど。(ひ)


炭坑の掘り方~その22 目黒区美術館

2010年01月27日 | ぐるっとパス
特集上映<映像の中の炭鉱> 予告編

「‘文化’資源としての炭鉱」展
Part.1-<ヤマ>の美術・写真・グラフィック会場記録
Part.2-川俣正コールマイン・プロジェクト~筑豊、空知、ルールでの展開会場記録
Part.3-映像の中の炭鉱
関連イベント-夜の美術館大学コールマイン・アート学科
2009年11月4日(水)~12月27日(日)
目黒区美術館1階・2階展示室
http://www.mmat.jp/event/tanko/index.html

ヴォリュームたっぷりの企画展でした。
行くのが結構遅い時間になってしまったため、駆け足で見るところが多かったのが残念でした。
映画館との連動やイベントもあって、外への広がりもある企画でした。
テーマは「炭坑」。
Part.1の美術では炭坑の現場を描いた作品がこれでもかというくらいあります。
炭坑というと過酷な労働と滅び行く町というイメージがすぐに連想されますが、そんな暗さよりも実際の炭坑の現場がこんなだったのかという意外さに驚かされます。
炭坑の現場には昔から女性がいたのには驚きました。
しかも、男性とほぼ同じ裸に近い格好で、といっても色気とは無縁の命がかかった真剣そのものの仕事をする場だったのです。
普段は男女の関係がどんな感じだったんだろうというのも気になります。
下のページの256以降に山本作兵衛の作品があります。
http://search2.libi.kyutech.ac.jp/servlet/Result?keyword=&other=on&begin=&end=

山本作兵衛の絵には過酷ではあるが生き生きとした炭坑の人びとの生活がどこかユーモラスに描かれている。
同じく展示されていた土門拳の「筑豊のこどもたち」の写真のようなものだけを見ると、どうしてもマイナスのイメージばかりになるんですよねえ。
今回はそうした現場にいた人による炭坑の実情を知ることのできる作品と、「炭坑」をテーマにした美術作品が別の部屋に展示されています。
正直、プロの手によるアート作品はインパクトという点でこういう展示だと不利だった感じですが、富山妙子の作品はそのパワーに負けていませんでした。
大地の芸術祭でも富山妙子の展示は印象的でしたが、炭坑についても彼女は多くの作品を残していて、Part.3では映画も上映されていました。
山本作兵衛の絵が今では忘れられている炭坑の日常を描いているとすると、富山妙子の作品は炭坑の歴史から封印されようとしている真実を描き出しています。
といっても、それを作品で説明するわけではなく、ただならぬ何かがあるということを教えてくれるものになっている訳です。

少し離れた第2会場では川俣正の作品が展示されていました。
奔別炭鉱の風景を創り出しています。
http://www.shinchosha.co.jp/geishin/201002/stardust.html

広いフロア全面に無機質な「炭坑の町」が再現されている。
この張りぼての炭坑を見てどう思うかは受け手次第。
炭坑とは確かに「やま」だったし、ひとつの文化だったんだなあ、ということがわかる。
特にPart.1をじっくり見た後にいけば、その無機質な空間で繰り広げれていたであろう出来事がいろいろ頭に過ぎります。

Part.3の映画、特に富山妙子の「はじけ鳳仙花-わが筑豊わが朝鮮」を見たかったんですが、時間があわなくて残念。
それにしても、昨年度も目黒区美術館はいい展示が多かったなあ。(ひ)

旅で、旅を、旅に~その21 東京都写真美術館

2010年01月25日 | ぐるっとパス
コレクション展「旅」
第3部「異邦へ 日本の写真家たちが見つめた異国世界」
9月29日(火)~11月23日(月・祝)
東京都写真美術館
http://www.syabi.com/details/collection3.html

今年度のコレクション展の完結編です。
1~3部まで通して見ることができたのですが、全体を通じての統一性というか大きなストーリーというものはなく、旅に関する3つの切り口の企画展がそれぞれ存在するという感じのものでした。
今回の展示でも一応章立てはあるものの、それはほとんど気にする必要が無く、各アーティストの作品をそれぞれ楽しめるものになっています。
印象に残ったものを挙げておきます。

○奈良原一高
写真ということに違和感を覚えるくらい、どの写真も現実離れした劇的なものになっている。
劇的とはいっても動きはなく、時間が制止しすべてが凍り付いたような写真。
絵画でなく写真であるために現実とほんの少しずれた異空間に入ってしまったような怖さも感じてしまう。

○林忠彦
林忠彦といえば「カストリ」という言葉が浮かぶわけですが、そちらの写真の方は別の会場で見てきたので、そちらの感想で改めて書きます。
日本の戦後を撮っている林忠彦がいかにもアメリカという写真を撮っているのが意外でした。

○長野重一
http://fotonoma.jp/photographer/2004_09nagano/index.html
1960年発表のベルリンの写真というから壁のできる直前。
今からちょうど半世紀前はドイツに壁ができようとし、日本も安保で揺れていた訳ですからねえ。
旅というのは日常からの解放という面もあるけど、海外の絶望的な状況を見ることで、こうして日本の未来が浮き彫りになってしまうこともあるんですね。

来年度のコレクション展は「ポートレイト」だそうです。
これまた大きな括りですね。
意外な切り口で作品を見せてくれることを期待します。(ひ)





幻の古伊万里~その20 東京都庭園美術館

2010年01月24日 | ぐるっとパス
有田焼 『精磁会社』復刻プロジェクト 1

パリに咲いた古伊万里の華-日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念-
10月10日(土)-12月23日(水・祝)
東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/koimari/index.html

畠山、松岡とは別の日に行きました。
海外向けに作られた古伊万里の展示でした。
泉屋博古館分館で見た京都の器はオリジナリティを感じるものでしたが、こちらは商品という意味合いが強いのが印象的でした。
中国が混乱の時期にあったとき、ヨーロッパ向けの古伊万里が売れた時期があったんですね。
やがて、中国が輸出を本格再開できるようになると価格競争に敗れて消えていってしまう。
そう聞くと、薄利多売の中国製品に、クオリティは高いけどコストも高い日本製品が敗れたという気がしますが、今回展示の日本と中国の磁器を見比べると、中国の製品の方が明らかにいいものが多い。
日本の商品は相手のニーズに合わせすぎて変なものになっている気がするし、細かい細工の美しさでも負けている気がします。

それにしても、磁器を買いあさっていたヨーロッパの金持ちの絢爛豪華さは何だか異様。
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/koimari/index2.html

部屋中に飾り立てるというセンスは日本人には考えられないなあ。
イギリスの美術館に行ったとき、壁中に作品が展示されているのに閉口したんですが、おおけりゃいいじゃん、という大ざっぱさがヨーロッパの美的感覚にはある気がします。
そんな上の方に飾ったって見えないだろう、と思うんだけど。

このコレクションを持っている碓井文夫という方が収集を始めたのは90年代になってからと知ってびっくり。
結構、個人の力で隠れた美術品の存在が見えてくることが少なくないようです。
日本でかつて流行した海外の工芸品なんてものもちゃんと集めれば、こういうコレクションに負けない物になるんでしょうね。

作品の話もちょっと書いておきます。
結構、ゴテゴテしたものがおおかったんですが、印象に残ったのは例えば「染付鯉蓮波文手付水注」というまるで鯉の活け作りのような作品。
http://www.jal.co.jp/domtour/shunkan/course/325/

やはり上記のページに写真のある「色絵粟鶉文コーヒー・ポット」なんて本当にポットとして使われたのか気になる。
こういう作品は当然海外向けにしか作っていないので日本には全然なかったんでしょうね。
古伊万里は中東にも輸出されていたようですが、中東向けのものはまた違う感じだったのかなあ。(ひ)

松岡式~その19 松岡美術館

2010年01月22日 | ぐるっとパス
宮廷工芸の粋展
-中国明清時代の工芸
大観・観山と
日本美術院の画家たち
明清の絵画展
-中国文人画の世界
10月3日(土)-12月23日(水・祝)

畠山記念館から再び白金台駅まで戻ると松岡美術館へ。
これだけでも結構な距離を歩くことになるから、庭園美術館や自然教育園、目黒区美術館を一日で回るというのは相当厳しいですね。
松岡美術館には一年くらい行っていなかった気がするんですが、一階は変化無くいつもの展示でした。
ヘンリー・ムーアの存在感たっぷりの彫刻とジャコメッティの猫を見たりしつつ2階へ。
日本画は大観と観山を中心とする展示だったのですが、印象に残ったのは菱田春草の「落葉」の功藝画。
功藝画という言葉は初めて耳にしましたが、複製画のことだそうです。
永青文庫にある「落葉」を縮小したもだそうです。
http://www.kojinkaratani.com/criticalspace/old/special/okazaki/ronza9806.html

功藝画があるくらいの菱田春草代表作といっていい作品ということなんでしょう。
あえて地面を描いていない作品は、見ているうちに落ち葉の位置がわからなくなってくる。
実際、林や森の中の落ち葉の上を歩くと、思ったより落ち葉が深く積もっていて地面が遙か下にあるなんてことがある。
この春草の描いた木立を歩くと落ち葉の遙か下までいつまでも落ちていきそうな気がする。
そんな意味で村田朋泰の昨年の展示にもどこか通じるところを感じたのでした。
話は変わりますが、村田朋泰の作品が今年の「第13回文化庁メディア芸術祭」の審査委員会推薦作品に選ばれたそうです。

これは今年も行かないと、と思うんですが、混んでるんだよなあ、あのイベント。

話は逸れましたが、松岡美術館は展示が変わっても、いつでも松岡美術館らしい展示になっているのが面白い。(ひ)


今里村の謎~その18 畠山記念館

2010年01月21日 | ぐるっとパス
秋季展 開館45周年記念「戦国武将と茶の湯―信長・秀吉ゆかりの品々―」
2009年10月10日(土)~12月20日(日)
畠山記念館
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2009/autumn.html

ここも今回初めて行ってきました。
目黒付近が充実しているぐるっとパス密集地から遠くないということで松岡や庭園美術館と一緒に行けるのも魅力です。
でも、ちょっと他の施設からは距離があるかなあ。
都営浅草線の高輪台駅からなら近いけど、白金台駅からは距離があるし、道が分かりにくい。
ショートカットで行こうと変な道を通ったら、よくわからなくなり白金台駅から高輪台駅まで歩いてしまった。
以前、高島屋からすぐ近くの三井記念美術館に行くのに迷ってしまい(どんな方向音痴だ)国立科学博物館の施設があるのを発見したんですが、今回は不思議な地蔵を見つけました(ぐるっとパスの中の地図にも書いてあるものですが)。
今里地蔵という名前だそうで、畠山記念館に行くときの目印になるみたいです。
道順の詳細を記したこんなページがありました。
http://www.imeyes.com/03takanawa/05nukemichi1.html

結構苦労して着いた畠山記念館はすごく不思議なところでした。
ホームページを見ると美術展示がメインのようですが、行ってみるとお茶会やイベントが中心の施設という感じ。
五島美術館に負けない変な庭を抜けて建物にたどり着くと靴を脱いで上がるようになっている。
どうやら団体客を迎えるイベントが始まる前だったようで、従業員の人たちは気もそぞろ。
かなり適当な感じでチケットを切られて中に入りました。
一階の人混みを抜けるとようやく展示会場。
畳の上を上がれるようになっているところがあったり、茶室風の小さいスペースがあったりと、これまた独特。
今回の展示は牧谿の「煙寺晩鐘図」があるのが売りだったんですが、私は見に行く時期を誤って、その展示の無いときに行ってしまいました・・・・・・。
秀吉や千利休の書いた手紙やお茶の道具が並んでいます。
展示も五島美術館に近い物がありますね。
それにしても千利休の字を見ていると哀しい気分になるのは何故だろう。
これってうまい字なのかなあ。
素朴な秀吉の字の方がずっといいような気がするけど。

秀吉がお気に入りだったという曲がった茶杓も展示されていました。
茶杓というのは茶をすくう匙のことです。
すくうために使う物だから曲がっていてもいいんでしょうが、かなり貧相な茶杓。
ちょっと茶杓について調べてみたら、いろいろ伝統や形状がある物ですねえ。
そりゃそうか。
http://www1.odn.ne.jp/~cas30550/chanoyu-j/chasyaku.html

「茶杓の価値は、造形美にではなく、作者にあるとされるのです」ときっぱり書いてあるのはすごいなあ。
何だか納得しかねるところがあるけど、言い切られるとそうですか、と言わざるをえない。
そういう意味ではこの茶杓も秀吉に関わりがあったということに価値があるということですね。
作者なわけじゃないですが。(ひ)

古さと新しさ~その17 泉屋博古館分館

2010年01月20日 | ぐるっとパス
一之船入町 廣誠院

秋季特別展 「幻の京焼 京都瓢池園」
10月24日(土)~12月13日(日)
泉屋博古館分館
http://www.kyotodeasobo.com/art/2009/09/01000000/

これまた器の展示だったんですが、とても良かったです。
京都瓢池園とは深川にあった東京瓢池園の設立者河原徳立と住友関連の実業家の廣瀬満正が協力して作った焼き物の工房です。
ちなみに森下にはこんなものがあるそうです。
http://machimegu.jp/spots/280

東京だけでなく、京都の瓢池園ももはや存在していないんですが、どの器もいいんですよねえ、私みたいな素人が見ても。
いわゆる渋い、いかにも高そうな器というんじゃなくて、可愛くて使い勝手もよさそうなシンプルなものが多い。
浅井忠が図案を担当した動物の絵柄の器が特に印象的でした。
そういえば、府中市美術館かどこかで見た浅井忠の展示はデザイン関係のものが多かったなあ。
何かと話題になることの多いパリ万博で日本の器のデザインのレベルの低さに気付き、工房を立ち上げたというのですが、これだけのものを残しながらあっさり辞めてしまったのがすごく不思議。
その後、絵付け工場が名古屋に集まった(あのノリタケもここで登場します)ということも原因なんでしょうが。
以前見たノリタケデザインともここでつながる訳ですね。
京都瓢池園もノリタケデザインも海外で売れるデザインをいかに作るかという目的があって器を作っていた訳ですが、よりシンプルな分だけ京都瓢池園の器は今になっても古びないものがある。
その幻の器は京都の廣誠院というお寺が所有しているそうです。
http://kouseiin.org/hyouchien.html

器だけでなく、数寄屋建築の建物も気になるなあ。(ひ)


ねごろの謎~その16 大倉集古館

2010年01月18日 | ぐるっとパス
仮面の忍者 赤影 第3部 根来編 OP - Ninja Akakage part 3 Opening

特別展 根来(ねごろ)
10月3日(土)~12月13日(日)
大倉集古館
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/negoro.html

大倉集古館に展示されていたのは根来。
「ねごろ」という言葉をきくのは初めてだし、気になる響きの言葉ですね。
地名だったんですね。
根来寺という有名なお寺もあるそうで。
根来広光という有名な野球選手までいたということは検索して初めて知りました。

展示されていた根来なんですが、朱漆器でして、かなり年代物の根来がたくさん並んでいました。
根来塗ともいうそうで黒に塗った上に更に朱色の塗りが施されています。
最初はきれいに赤い物ですが、年々使ううちに朱色がはげ黒が見えてきて、それがいい色合いになっていく。
使っていくうちにだんだん味わいが出て美しくなるというのが素晴らしい。
かつての日本文化というのは年輪を重ねることのすばらしさをたたえるというのが基本概念だったという気がします。
新しかったり、若かったりするのが素晴らしいのは当然でそこには工夫というものがない。
古くなっていったり、衰えていくことのすばらしさを見つけられてこそ、長く使ったり生きていくことに意味が感じられていくというものです。

ということで、色が禿げていくほどいい色合いになっている根来というのは感動的でもありました。
今回はこの朱色の根来ばかりの展示でしたが、黒が表にきているものやその他の色もあるようです。
根来については今でもわかっていないことが多いらしいです。

展示物として見るよりも、大事に使っていきたいと感じさせる器でした。
でも、どうして、この朱と黒という組み合わせの器って多いんでしょうか。(ひ)



見る前に跳んでみた~その15 国立近代美術館 工芸館

2010年01月16日 | ぐるっとパス
Japan Ceramic art 陶芸 Ueha Kasumi 植葉香澄

現代工芸への視点―装飾の力
2009年11月14日(土)-2010年1月31日(日)
東京国立近代美術館 工芸館
http://www.momat.go.jp/CG/power_of_decoration/index.html
http://www.fujitv.co.jp/event/art-net/go/925.html

続いては工芸館に移動。
珍しく今も開催中の展示だったりします。
現代工芸の展示はそれほど多くないんですが、結構楽しみ。
伝統的な工芸品は知識がないと今ひとつ楽しむポイントが分からなかったりするんですが、現代工芸だと見たまんま、そのまま楽しめばいいから気楽。
気になったものをいくつか挙げておきます。

○礒真理子
不思議な物体としかいいようのない作品。
素材は何なのか、この物体が何なのか、どう飾ればいいか分からないところがいい。
http://blog-shinjuku.takashimaya.co.jp/art/200902/article_2.html
変なものですが、なんだか癒される感じはこれから人気が出そう。
「DOMANI・明日展 2009」でも作品を見られるそうなので楽しみ。

○植葉香澄
you tubeにある映像を見るとすごく落ち着いた感じなのになぜか展示されていた作品のタイトルには「キメラ」という言葉が。
http://www.g-utsuwakan.com/topics/topics.cgi

しかも源氏物語とキメラが融合するのはなぜなのか。
それはともかく、こちらのページの文が相当素敵です。
特に「彼女はいま、もの作る人としての青春を謳歌しているのだと思います」という表現が書いている方の品のよさを感じさせます。
作品にも派手な中に品があります。

○大原れいら
タイトルに負けないインパクトのある作品。
それ以上いうことはありません。
「溶け出すご婦人」、「焦げた女のおつまみ」ですからね。
今回の作品の画像がなかったのでこちらをご覧ください。
http://www.kyotobank.co.jp/agaru/bijutu/s_05_07.html
http://kcua.ac.jp/exhibi/annual2003/mayor/profile_09.html

梶木奈穂の作品もすごいタイトルのものが多かったんですが、こちらのインタビューが面白い。
http://www.inax.co.jp/gallery/ceramic/detail/d_001436.html

突っ込み無用のボケがずらりと並ぶ現代工芸展でした。(ひ)

不自然なまでの自然~その14 国立近代美術館

2010年01月15日 | ぐるっとパス
権鎮圭
東京国立近代美術館 ギャラリー4
2009年10月10日(土)~12月6日(日)

所蔵作品展「近代日本の美術」
2009年10月3日(土)~12月13日(日)
前期:10月3日(土)~11月15日(日)
後期:11月17日(火)~12月13日(日)
http://www.momat.go.jp/Honkan/permanent20091003.html

ぐるっとパスで常設展示を見てきました。
11月12日に河口龍夫展は見ていたのですが、上野、竹橋、六本木と国立の施設3箇所を無理やりハシゴしたので常設展示まで見る余裕がありませんでした。

今回今更ながら気づいたのですが、「反映/思索」という2階出口付近にある作品ってアントニー・ゴームリーだったんですね。
ガラスをはさんで2体の同じ彫刻が向かい合っている。
鏡に自分の姿が映されているようでもあり、もうひとりの自分を見つけて動けなくなってしまったようでもある。
見る角度によってずいぶん印象が違うのも面白いところです。

今回の展示で一番よかったのは4F特集コーナーの「油彩技法から見た近代日本絵画」。
絵は見るだけでまったく描かないものにとってはピンとこない部分も多かったのですが、藤田嗣治と松本竣介には意外な共通点があり、それを藤田が指摘していたという事実は興味深いですね。
それも藤田らしい嫌味な言い方で。
性格的にはまったくあわないだろうし、対立を示唆するようなことも聞くふたりですが、画家としては才能を認め合っていたのかもしれません。
実際のところ、ふたりの関係がどうだったのか詳しく書いてある本があるといいんですけど。
どうも、どちらかの側に偏った見方が多い気がします。

誰もいない荒野を写した松江泰治の写真も印象に残りました。
ほとんど抽象画のような不思議な写真。
モノクロなのが見るものの想像力をかきたてます。
絵画を展示する会場にこういう写真を展示するというのが余計に面白いんでしょうね。
ここまで意味を排除した不思議さなものだとエコとか自然の雄大さだとかいう、どうでもいいことが感じられなくて素敵です。(ひ)