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てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い-19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展

2014年04月16日 | 都内のおでかけ
「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い-19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展
7月14日~9月8日
練馬区立美術館

また時間が空きましたが、今回もホテルオークラ、大倉集古館に行ったの同じ日に見た展示の感想です。
これで3回目、しかもシリーズ最後となる鹿島コレクションの展示はファッション・プレートという幅広い展示。
グランヴィル、バルビエとアーティストを絞ったこれまでの展示とは違う大きなくくりの展示で、かつて見た作品ももう一度みることができました。

3回の展示の内容が記憶の中でないまぜになっているんですが、この時代の美しい版画は最先端のファッションをリードし、当時の金持ちの美的感覚に刺激を与えただけでなく、その一方で同じ人たちがジャーナリスティックな政治に対する痛烈な批評も行っていたというのが一番印象に残っているところです。
日本だと、かつて政府に批判的な文章を書いていた人たちが、一方で童話を書いていたという時代があったことを連想させます。
最近見てきた「ザ・ビューティフル」という展示では、アート&クラフト運動を行っていたアーティストたちが、自分たちの提唱する生活を一部の金持ちしか実践できないというジレンマに悩んでいたことがわかって興味深かったですが、フランスのアーティストたちも自分に矛盾を抱えていたのかなあ。

そして、これだけの美しい版画作品を所有するという贅沢が大恐慌の時代を境に一気になくなってしまったというのも興味深いところです。

個人的にはアールデコの時代に活躍したシャルル・マルタンの作品が好みでした。
http://www.gakue.com/html/newpage.html?code=3

このワインをめぐる作品も、ワインに憑りつかれたような目がすごく印象的。

今回で鹿島コレクションの展示は終了ですが、今年はシェイクスピアに関する装丁本の展示があるようです。
どんな展示になるか楽しみです。(ひ)

秘蔵の名品アートコレクション展

2014年04月04日 | 都内のおでかけ
秘蔵の名品アートコレクション展
モネ ユトリロ 佐伯と日仏絵画の巨匠たち-フランスの美しき街と村のなかで-
2013年8月7日(水)~9月1日(日)
ホテルオークラ東京
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/special/art2013/

昨日書いた江戸東京博物館の翌日は、ホテルオークラで毎年夏に開かれる展示を見てきました。
最終日ということで当然結構混んでいました(当然ですが)。
これで3、4回は行っていると思うんですが、毎年、段々規模が小さくなって、作品を借りる美術館の名前が少なくなっているように感じるのは気のせいでしょうか(美術館以外、特に大使館が入っているのは興味深いんですけれども)。
こういうチェリティーイベントも毎年開催するのは大変何でしょうね。
来年は思い切って、今までまったく取り上げていないジャンルの作品を取り上げるとか、大倉の関係者がもつ秘蔵の作品を展示してみるなんていかがでしょうか。

毎年ここに行くと藤田の絵を見て、やっぱりいいなあ藤田は、というアホそのものの感想を抱くのが恒例となっていますが、今年も裏切られることはありませんでした。
今回は、作品数が多い上に、なかなか見ることのできないという「パリ風景」を見られたのが嬉しいところ。
藤田の作品は版画も含めると、日本中にいったいどのくらいあるんでしょう。
ギャラリーでも、ずいぶん多くの作品を目にするし、その中に、ずいぶん立派なものも多い。
来年もぜひ、藤田の初展示作品を用意して欲しいところです(最初に書いたことと矛盾してますね)。

そのあとは、共通チケットで無料で展示が見られる大倉集古館にも寄って来ました。
これから4年間工事のため、休館なのが本当に残念。
なかは薄暗いし、建物の中も外も混沌としていて、評判が高いとはいえませんが、私立美術館のさきがけという歴史的な側面が完全に消えてしまうと、それはそれでさびしい。

この日は「大倉コレクションの精華Ⅱ」という近代日本画こコレクションを展示していました。
ここで日本画というとやはり大観。
大観の作品の前は人が多かったなあ、やっぱり。
新年度のぐるっとパスは大倉集古館が消えて、泉屋博古館分館が割引きのみになっています。
ちょっとさびしい。(ひ)


「花開く 江戸の園芸」展

2014年04月03日 | 都内のおでかけ
「花開く 江戸の園芸」展
平成25年7月30日(火)~9月1日(日)
江戸東京博物館 1階展示室
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/2013/07/index.html

またしても更新までに時間がかかってしまいました。
春になっても忙しく、そんな中、携帯とパソコンを新しくしたり、DVDが壊れてしまったりと、いろいろあって大変です。
それにしても、あたらしいウィンドウズは噂にたがわず使いにくいですねえ。
どうせ最低限の機能しか使わないから、と思っている私のような人間でも(いや、そんな人間だからなのか)今まで勝手が違いすぎて発狂しそうになる瞬間が。
こんな改悪を平気でできるのは、ほぼ独占企業のなせる業なんだろうなあ。

そんなことはともかく、またしても昨年夏の話をさせていたただきます。
8月31日に見に行ってきました。
「ファインバーグ・コレクション展」の次の展示だったんですね、これが。
江戸東京で「園芸」となると、花の登場している浮世絵を並べているだけなんだろう、と勝手にイメージしていたんですが、植物だけをしっかり書いているものって、意外に昔からあるんですね。
大泉学園で見た牧野富太郎の資料に負けないくらいしっかり植物の絵を描いたものが並んでいたのが印象的でした。
それが、3章の「武士が愛した不思議な植物たち」。
自分独自の鉢の開発に情熱を傾けた武士の記録を見ると、世の中平和だっただなあ、と思わなくもありませんが、お金がなく広い所がなくても、手間と創意工夫ですごいものができる可能性のある娯楽だったんでしょう。
不景気が続いて、若い人の多くが贅沢を考えない今の時代は、ある意味、この園芸全盛時代と共通する雰囲気があるのかもしれません。
その鉢を描いた絵があくまでも植物の記録で、とてものっぺりした感じの絵になっているのも面白かった。
それぞれがあんまり素敵に見えないけど、それぞれが違ったものなのはわかるようになっています。

江戸東京の後は、大江戸線で本郷三丁目に移動してTWSへ。

TWS-Emerging 209/210/211
209 菅 亮平 [White Cube] / 210 河合真里 [層の記憶] / 211 西村有未 [例えば祖父まで、もしくは私まで。こんもり出現]
トーキョーワンダーサイト本郷
2013年08月31日(土) - 2013年09月23日(月)

正直、内容をあんまり覚えていないんですが、展示初日だったようです。
そういえば、初日ということでアーティスト自身がきて話をしていたフロアがあった気がします。
以前も書きましたが、ここのアーティストトークには正直あんまり遭遇したくないんですよねえ。
作品だけ見ていると、勝手に楽しめるのに、本人の解説を聞いたら、かなり稚拙でがっかり、なんてことが以前会ったもので。
そんなわけで、この日は作品をさっさと見て出ていった気がします。

話はそれますが、今渋谷と本郷のTWSで展示されているAAAはお勧めです。
私は本郷にしかまだ行っていないんですが、よかったなあ。
中二階の映像が特に印象的でした。
後日、ちゃんと感想を書きたいと思います。
いつになるかはわかりませんが。(ひ)


フランシス・アリス展 無人島プロダクション

2014年03月12日 | 都内のおでかけ
John Fogerty - The Old Man Down The Road

フランシス・アリス展
東京都現代美術館
2013年6月29日(土)- 9月8日(日)
GIBRALTAR FOCUS ジブラルタル海峡編

積み残しの、昨年夏に見に行った展示の感想に戻ります。
8月末に見に行った「フランシス・アリス展」の感想です。
前期・後期で内容が変わる展示で前期の感想は9月に書いています。

後期のジブラルタル海峡編はわりと最近の作品が多くなっていました。
チラシにも使われていた「川に着く前に橋を渡るな」はずらっと一列にならんだ子供たちが川を渡る過程を写したもの。
非常にシンプルですが、風景の美しさや、単純すぎる発想に圧倒されて映像を見入ってしまいました。
このプロジェクトのためのスケッチや資料などを見ると、映像として美しい渡り方を考えていることが十分伝わりますが、始まってしまえば、やっていることは恐ろしくシンプルで、ただわたっている姿を写しているのみ。
それだけのものなんですが、川や海を渡って出稼ぎに行く人たちや、自分の殻を打ち破ろうとする人間のメタファーとしてみてしまうんですね、つい。
余計なものがないだけに、淡々とした映像が感動的でした。
変な作為に冷めることがないんですね。

映像以外の要素の面白さによって、淡々とした映像が非常に魅力的になり、想像力を大きく掻き立てる仕組みになっているのが彼の作品の魅力でしょうか。

前回の感想のときも書きましたが、彼のインタビュー映像が別の意味で非常に面白かった。
思い入れたっぷりに熱く語るインタビューアーに対して、恐ろしくそっけなく答えるフランシス・アリス。
この余計なサービス精神のなさと偏屈さ(いい意味で?)が作品の絶妙なバランスを作り出しているんだろうなあ。

この日は「無人島プロダクション」も見てきました。


田口行弘 展 「Makeover」
会期:2013年8月17日(土)~2013年9月14日(土)
会場:無人島プロダクション
http://www.mujin-to.com/press/Taguchi_2013_Makeover.htm

無人島プロダクションは土曜に行っても閉まっていることが多いから、展示をやっていると非常に得した気分。
印象的だったのは、近所を写したと思しきストップモーションの映像。
プロダクションのシャッターを開けたり、サッカーをやって遊んだり、道を散歩したりする様子が写されていく。
こんな映像を国立新博物館のメディア芸術祭で以前見た気がしますが、同じ人なのかなあ。
こういう映像を見ると、つい思い出すのはジョン・フォガティの映像。
古くてすみません。(ひ)



世紀の日本画

2014年03月10日 | 都内のおでかけ
世紀の日本画
【前期】2014年1月25日(土) ~ 2月25日(火)
【後期】2014年3月1日(土) ~ 4月1日(火)
※前期と後期ですべての作品が入れ替わります。作品リストをご参照ください。
東京都美術館
http://www.nichibisai.jp.

また久々の更新になりました。
ようやく時間が取れる状態になってきたので、ボチボチと書けそうです。
忙しいとはいいつつも、それなりに美術館に行ったり、NBAの試合をテレビで見たりはしているんですけど。
今回、書くのは東京都美術館の「世紀の日本画」。
国立博物館との共通チケットでも話題になっている美術展です。
前期と後期で作品をすべて入れ替えると言う気合の入った展示。
前期は先ほど書いた共通チケットを使って見にいき、後期もさっそく見てきました。
後期展示の初日、3月1日の「特別観覧会」に参加したからなんですが、今日はその感想を書かせていただきます。
後期展示での見所は、やはり最初の展示室の狩野芳崖の「悲母観音」、橋本雅邦の「龍虎図屏風」、横山大観の「無我」でしょうか。
橋本雅邦の「龍虎図屏風」は世田谷の静嘉堂文庫所蔵作ということで、見るのも初めて。
猫になりがちな虎が立派に書かれているのに対し、龍の表情はどこかユーモラス。
波しぶきや煙に隠れて龍はごく一部しか見えません。
龍と虎よりも周りの風景のリアルさや色彩に圧倒されます。
「悲母観音」は何度か見ている作品ですが、見れば見るほど不思議な作品。
透き通った球体の中にいる子供が人類の誕生を示しているという解説がありましたが、球体自体が地球で、地球の誕生を示しているようにも思える。

そして、萬鉄五郎、近藤浩一路といった意外な人の作品も含まれているのも印象的でした。
日本美術院の130年の歴史の中では洋画部も存在していたそうです。
今回の展示を見ると、かつては洋画と日本画の間にあるような面白い作品が多かったから、日本画と洋画のどちらかに所属するのが難しい人も少なくなかったんじゃないでしょうか。
奥村土牛の「閑日」なんかも洋画だか日本画だかよく分からない魅力がありました。
これは前期展示の作品ですけど。

今まで近代美術館や国立博物館でぼんやりとしたイメージのあった日本美術院について、一歩深く学べる展示でした。
ここで、岡倉天心の映画や本で復習するといいんだろうけどがんばれるかなあ。(ひ)



静かな渋谷

2014年01月29日 | 都内のおでかけ
トーキョー・ストーリー2013 第三章 「私をとりまく世界」
TWSクリエーター・イン・レジデンス・オープン・スタジオ
2013年07月13日(土) - 2013年09月23日(月)
アーティスト: 池田剛介
奥村雄樹(井出賢嗣)
ヌール・アブアラフェ[パレスチナ]
モハメド・アブデルカリム[エジプト]
スッティラット・スパパリンヤ[タイ]
http://www.tokyo-ws.org/archive/2013/06/2013-2.shtml

渋谷・公園通り たばこと塩の博物館物語 〜35年の感謝をこめて〜.
たばこと塩の博物館
7月27日~9月1日
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2013/1307jul/index.html

8月終盤に閉館間近の「たばこと塩の博物館」に行ってきました。
TWSにも近くて、文化村やパルコに行くついでに寄る事もできて、いい博物館だったんですが、墨田区に移転だそうです。
電車の利便を考えると、今後行く機会が相当減りそうなのですが、どんな博物館になるのかは楽しみです。

まずはTWSから行きましたが、今回は東京に滞在し作品を制作したという五人のアーティストの展示。
このパターンもTWSではよくありますが、今回一番印象的だったのはヌール・アブアラフェという人の作品。
パレスチナの方だそうですが、壁一面に煮干が貼られた作品はびっくりした後、デザイン性のよさに気づかされます。
煮干のスイミー? という感じもあって、かわいらしさもあったりします。

そして、なんともいえないのが奥村雄樹の作品。
自分が選ばれた交流事業に落選した井出賢嗣という人物に作品製作を依頼し、結局、井出の友人の作品が展示されているというもの。
3人の人物が本当に存在するのか、そして、この話の中に真実はあるのか分からないのですが、時々見かけるエセドキュメンタリーな作品をどこまで崩せるのかチャレンジした作品として興味深いものでした。
その設定をじゅうぶん生かした作品になっていたかどうかは疑問ですが。

「たばこと塩の博物館」の方は博物館の歴史とともにコレクション作品が展示されていました。
初公開の「四条河原遊楽図六曲一隻屏風」が目玉といっていいのでしょうか。
建物の紹介も詳しく行われていましたが、ここってどんな施設になるんだろう。
行ったのは平日でしたが、結構混雑して閉館を惜しむ声が多かったのが印象的でした。
渋谷でたった100円で行ける博物館というのは貴重でした。
そして、ここもTWSも渋谷とは思えぬ静かな落ち着いた佇まいがいいんですよねえ。(ひ)


<遊ぶ>シュルレアリスム

2014年01月24日 | 都内のおでかけ
<遊ぶ>シュルレアリスム
―不思議な出会いが人生を変える―
2013年7月9日(火) -8月25日(日)
損保ジャパン東郷青児美術館
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index_shuru.html

8月終盤の日曜日、というか最終日に見てきました。
最終日ということもあって会場もそこそこ混んでました、といっても、「シュルレアリスム」という大きな括りの展示ということもあって、ひどい混雑にはならなかったのは幸いでした。
こういう大きな括りの軽い展示というのは、この美術館独特のものという気がします。
もちろん、それなりに有名な作品を国内外の美術館から集めているんですが、しばらく前に国立新美術館で開催された「シュルレアリスム」に関する展示と違って、決してアカデミズムに偏らない。
美術にそれなりに関心がある方なら肩肘張らずに楽しめる、ある意味、デパートの美術展に近いところがある気がします。
サーカスに関する企画展もそのノリでした。
と書くと批判のように受け取られそうでした、この軽さが夏に「シュルレアリスム」を見るにはちょうどよかったんですけど。
この少し前に読んだ「シュルレアリスム」に関する本は難しかったですからねえ。
決して大衆や商業性に迎合しないのがかつての「シュルレアリスム」でしたから見るほうも覚悟がいります。

これもシュルレアリスム? と思うような作品まで入っているのには驚きました。
ヤン・シュヴァンクマイエルが突然並んでいたり、植田正治の写真もあったりして。
そんな中、特に気になったのは岡上淑子の作品。
http://www.thethirdgalleryaya.com/artists/toshiko_okanoue/

結婚までの6年ほどしか活動しなかったそうですが、瀧口修造から認められた写真家だそうです。
写真美術館あたりで作品を見たことがある気もしますが、よく覚えていない。
コラージュ作品でシュルレアリスム独特の異様さももちながら、非常に洗練されているのが印象的でした。(ひ)




開館10周年 清川泰次の世界Ⅱ

2014年01月23日 | 都内のおでかけ
帰国、そして再びアメリカへ
開館10周年 清川泰次の世界Ⅱ
2013年8月10日-12月1日
清川泰次記念ギャラリー
http://www.kiyokawataiji-annex.jp/

いつも行っている清川泰次記念ギャラリーは今年で10周年。
つい先日、冬の企画展を見てきたのですが、今日感想を書くのは夏から秋にかけての展示で、展示が始まって間もなくの8月中旬に見てきました。
10周年ということもあって、今年は清川泰次の作品を年代ごとにじっくり見せる企画展が続きます。
この第二期の展示ではアメリカから帰国後の独自の抽象画を作り出していった時代の作品が展示されています。
初期の絵画らしい絵画から、どんどん抽象画に移っていく時期で、描かれている造形は具体的な建物や木などを想像させるものが多いように思えます。
その後の、さらに抽象化を深めて、デザイン性まで感じさせる作品と比べると、有機的だし温かみが感じられます。

そして、展示の目玉といえるのは、彼がパリに行った際に訪れた藤田嗣治のアトリエを撮影した写真。
数年前に、この写真の特集展示をしていたとき見逃しているので、初めて見ることができました。
単に藤田のアトリエを写しているだけでなく、彼が絵を描いたモデルの写真もあるんですね。

それにしても、改めて思うのは清川泰次作品の色彩のすばらしさ。
有名な「イタリーの空」を一度見ると忘れられないのは、独特の空の色によるところが大きいんでしょうね。
http://www.kiyokawataiji-annex.jp/t6.htm

(ひ)

古代ギリシアの名作をめぐって — 人 神々 英雄

2014年01月14日 | 都内のおでかけ
古代ギリシアの名作をめぐって — 人 神々 英雄
2013年02月01日 ~ 2013年09月01日
Louvre DNP Museum Lab
http://www.museumlab.jp/exhibition/10/index.html

恵比寿の後はさらに五反田のDNPラボにも寄りました。
事前に予約をして決まった時間に観賞するシステムになっているミュージアムラボですが、この第10回の展示で一区切りということで、残念ながらしばらく展示はないようです。
無料でじっくりと名品を楽しめるものだっただけに残念。
このときの展示品は「赤像式萼形クラテル」というギリシャ陶器でした。
以前は作品にまつわる解説をすべて見てから最後にご本尊登場という感じで展示作品が見られるようになってましたが、いつの間にか最初に作品を見てから解説というパターンになり、今回も最初の部屋でまずは陶器を観賞。
おなじみのヘラクレスの活躍が描かれています。
敵は巨人アンタイオス。
アンタイオスは地面に足が着いていないと力が発揮できないと分かり、持ち上げて絞め殺したというんですが、どんなパワーなんだ、それは。
陶器の絵ではがっぷりよつに戦っていて、どちらが有利なのかは分かりません。
組み合っている絵のバランスがよく、デザイン性もある気がしました。

これまでに3、4回ここの展示を見ていますが、さすがルーブルと思うのは解説の画像や映像がだんだん使いやすくストレスの少ないものになっていること。
解説の選択肢が多すぎたり、量が多すぎたりすると、役に立つはずの解説でイライラしてしまうことが多い。
結局、解説の載った本を見せてもらった方があっという間に必要な情報にたどりつけてありがたかったりしてしまうのです。
ここの展示はそれぞれ簡潔でありながら、もっと深く知りたいという人には追加情報が用意されているという親切ぶり。
今回もっともチャレンジングだったのは、陶器に描かれている人物の語りを聞けるというシステムでしょうが、内容が薄く、別のスペースにいても音が大きく聞こえてくるのが残念でした。
まだまだ改良の余地がありそうです。

書や器の展示は簡単な解説だけじゃまったく楽しめないことが多いので、こういうふうにじっくり解説を楽しめたらいいのになあ、と思ったりもします。(ひ)

米田知子 暗なきところで逢えれば

2014年01月09日 | 都内のおでかけ
米田知子 暗なきところで逢えれば
2013年7月20日 ( 土 ) ~ 9月23日 ( 月・祝 )
東京都写真美術館
http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-1864.html

同じ日に恵比寿に移動して、写真美術館にも行ってきました。
米田知子の作品は歴史をテーマにしたものが多い、というと石内都を連想しますが、よりストレートに対象に向かっています。
歴史的な出来事の起こった現場を訪ねたり、遺品を撮影したりした作品は長い年月を経ているものの、禍々しさの残骸が残っているように見えて、とても重苦しい気分になりました。
展示室の一角から聞こえる音が大きすぎて、それも重苦しさに拍車をかけているようで、つらい気持ちになりました正直なところ。
実際に歴史を体験した人が見るとしたら、かなりつらいかもしれません。

たとえばサイパンのような場所で日本人が無邪気に遊んでいることに対する違和感というのは私もないわけではありません。
過去の歴史を教科書で学んでも現場と結びつかない違和感は、ある世代より下の人間の多くがもっているわけで、この作品はそんなギャップを埋める行為なのかもしれません。
無知な人間を糾弾するというものではなく、時間というフィルターを通すことで、消えていくものと消えないものの差は何なのか考えるという意味で。

一番印象に残ったのは「Japanese House」という作品。
http://shugoarts.com/archives/4319/

台湾を治めていた時代の日本の屋敷内の写真はどれも立派な家屋が写っているのですが、並んでいるのが結構マニアックなレコードかCD(半年近く前のことなので記憶が曖昧です)で気になりました。
いったいどういう人がここにいたんだろう。(ひ)