John Hiatt - Warming Up To The Ice Age
はじまりはジャズ・エイジ
常盤新平 著 講談社
古本屋で安く買ったのですが、発行されたのは昭和54年。
1970年代に雑誌に載った原稿をまとめたエッセー集です。
「男子専科」、「世界」、「朝日新聞」、「ハイファッション」など原稿が載った雑誌は様々ですが、名前も聞いたことのない雑誌も少なくなく、時代を感じさせます。
米国文化に造詣の深い著者だけに、当時の米国文化や1920年代のアメリカ文化に関する内容になっています。
当時、アメリカの雑誌が変革の時を迎えていて、「ライフ」、「タイム」といった雑誌が廃刊に追い込まれ、「プレーボーイ」、「ペントハウス」といった雑誌が勢いを伸ばしつつあったことを初めて知りました。
テレビに雑誌が押され、大きな部数をもつ雑誌ほど苦境に立ち、読む人が特化された少ないけど読者層の読める雑誌に広告が多くはいるようになった、というのは、今も聞く話のようんで興味深い。
セレブなシニア向けの雑誌は売り上げ部数が少なくても、広告収入で十分ペイできるなんて話は時々耳にします。
逆に安く広くをモットーにしている新聞のようなメディアはこれからますます大変なんだろうなあ、などと考えてしまいました。
新聞やNHKはもっとがっちりお金をとって、内容をレベルアップさせて欲しいという気が個人的にはしますが。
雑誌の話以外で興味深かったのは、著者が当時翻訳書を出していたゲイ・タリーズの話。
恥ずかしいことに私はタリーズもノーマン・メイラーもまったく読んだことがありません。
かつての人気作家なので古本屋で安く売っているのは見ているものの買う勇気がありませんでした。
社会派ノンフィクションを書いた作家という、ぼんやりとしたイメージしかなかった、ふたりの作品の描き方がどう異なり、それは何を意味しているのか実に明確に説明されています。
取材中、決して録音機をまわさなかったというタリーズの取材方法も実に興味深い。
そのタリーズがもっと敬愛した作家がジョン・オハラとアーウィン・ショウだったというんですから。
基本的に作家が自分の書いた本や知り合いの作家の本の紹介をする文を信用しないんですが、これは別格におもしろかった。
ニュー・ジャーナリズムと呼ばれた作家の文章を読んでみたくなりました。
常盤新平の文章を読むとなぜか村上春樹のことを考えます。
翻訳家村上春樹の作品のチョイスには常盤新平に近いところがある気が何となくするせいでしょうか。
ですから、グレイス・ペイリーの話が出てくるのは嬉しかった。
実は、この本を立ち読みしていたら、グレイス・ペイリーの名前が出てきたんで思わず買ってしまったんですね。
そうか、やっぱりグレイス・ペイリーは常盤新平にとっても気になる作家だったのか、と思って。
あの村上春樹訳の本は、村上春樹だから出せたんだろうなあ。
この本の書かれた時期、常盤新平は早川を辞めてフリーで原稿を書いていた時期。
当然、直木賞もまだとっていない。
こういう時期のエッセーをまとめて読めるというのはいいもんです。(ひ)

はじまりはジャズ・エイジ
常盤新平 著 講談社
古本屋で安く買ったのですが、発行されたのは昭和54年。
1970年代に雑誌に載った原稿をまとめたエッセー集です。
「男子専科」、「世界」、「朝日新聞」、「ハイファッション」など原稿が載った雑誌は様々ですが、名前も聞いたことのない雑誌も少なくなく、時代を感じさせます。
米国文化に造詣の深い著者だけに、当時の米国文化や1920年代のアメリカ文化に関する内容になっています。
当時、アメリカの雑誌が変革の時を迎えていて、「ライフ」、「タイム」といった雑誌が廃刊に追い込まれ、「プレーボーイ」、「ペントハウス」といった雑誌が勢いを伸ばしつつあったことを初めて知りました。
テレビに雑誌が押され、大きな部数をもつ雑誌ほど苦境に立ち、読む人が特化された少ないけど読者層の読める雑誌に広告が多くはいるようになった、というのは、今も聞く話のようんで興味深い。
セレブなシニア向けの雑誌は売り上げ部数が少なくても、広告収入で十分ペイできるなんて話は時々耳にします。
逆に安く広くをモットーにしている新聞のようなメディアはこれからますます大変なんだろうなあ、などと考えてしまいました。
新聞やNHKはもっとがっちりお金をとって、内容をレベルアップさせて欲しいという気が個人的にはしますが。
雑誌の話以外で興味深かったのは、著者が当時翻訳書を出していたゲイ・タリーズの話。
恥ずかしいことに私はタリーズもノーマン・メイラーもまったく読んだことがありません。
かつての人気作家なので古本屋で安く売っているのは見ているものの買う勇気がありませんでした。
社会派ノンフィクションを書いた作家という、ぼんやりとしたイメージしかなかった、ふたりの作品の描き方がどう異なり、それは何を意味しているのか実に明確に説明されています。
取材中、決して録音機をまわさなかったというタリーズの取材方法も実に興味深い。
そのタリーズがもっと敬愛した作家がジョン・オハラとアーウィン・ショウだったというんですから。
基本的に作家が自分の書いた本や知り合いの作家の本の紹介をする文を信用しないんですが、これは別格におもしろかった。
ニュー・ジャーナリズムと呼ばれた作家の文章を読んでみたくなりました。
常盤新平の文章を読むとなぜか村上春樹のことを考えます。
翻訳家村上春樹の作品のチョイスには常盤新平に近いところがある気が何となくするせいでしょうか。
ですから、グレイス・ペイリーの話が出てくるのは嬉しかった。
実は、この本を立ち読みしていたら、グレイス・ペイリーの名前が出てきたんで思わず買ってしまったんですね。
そうか、やっぱりグレイス・ペイリーは常盤新平にとっても気になる作家だったのか、と思って。
あの村上春樹訳の本は、村上春樹だから出せたんだろうなあ。
この本の書かれた時期、常盤新平は早川を辞めてフリーで原稿を書いていた時期。
当然、直木賞もまだとっていない。
こういう時期のエッセーをまとめて読めるというのはいいもんです。(ひ)
