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てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

上海バンスキング

2010年02月28日 | 劇場へ
ウェルカム上海

上海バンスキング
作 斎藤憐
演 出 串田和美

出 演 ※配役は各公演当日開演1時間前に発表いたします。
吉田日出子、串田和美、笹野高史、さつき里香、
大森博史、真那胡敬二、小日向文世、
服部吉次(黒テント)、小西康久、酒向芳、
内田紳一郎、三松明人、片岡正二郎 他

2010年2月23日(火)~3月14日(日)
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_10_bansking.html

金曜日の夜に見てきました。
いやあ、すごいですね。
ロビーでの演奏を含めて、6時半スタートの舞台が終わったのは10時15分。
始まってすぐの舞台でこんなにがんばって3月半ばまで持つんだろうかと余計な心配をしてしまうくらい。

今まで本も映像もちゃんと見ていなかったので、こんなに暗い内容の戯曲だったんだ、とビックリ。
というか、フランス映画のパロディのようなものになっているんですね。
「望郷」や「北ホテル」をはじめとする映画を連想させる場面が多い。
香港というフランスの影響が強く、それでもフランスになりきれなかった土地ならではのストーリー展開。
第二次大戦をはさむ、かりそめの平和と自由を味わった日本人たちは、そういったフランス映画に登場する人々に似た迫りくる恐怖を音楽の奥に感じていたんでしょうね。
それにしても、後半のほとんど救いのない絶望的なストーリーはすごい。
すべてが夢だったらよかったのに、と思うしかないくらい、戦争は人をひたすら絶望の底に叩きつけるということなんでしょう。
その絶望を生き抜くたくましさをもっているのは女性ばかり、というのは他の斎藤憐の戯曲にも通じるものがあります。
そして、底知れないたくましさをもつ中国の人々のすごさも見事に表現されていました。
いくら突き進んでも底のない感じというのは、今の日本企業も思っていることなんだろうなあ。

観客の年齢層は当然ながらかなり高め。
開演前のロビーで食事していたら、隣の年配のカップルが、少し前に見た芝居のことを楽しそうに語っているのが印象的でした。
ずっと芝居を見続けている人たちが集まっている芝居なんだなあ。
私がその年齢になったとき、そんなふうに見ることのでいる芝居があるだろうか。(ひ)



残念なお知らせ

2010年02月19日 | 劇場へ
残念なお知らせ
作:桝野幸宏
演出:G2
出演:松尾貴史、片桐仁、新谷真弓、岩井秀人、吉本菜穂子、久ヶ沢徹
http://www.g2produce.com/agape/14/front.html

いろんな意味で残念な公演でした。
agape storeの最終公演ということで行ったのですが、月曜の夜にもかかわらず会場はほぼ満席。しかもおじさんが非常に多いという珍しい芝居。
キッチュファンは男が多いんだなあ、と実感。
そんなファンは芝居というより、松尾貴史の細かいギャグをめいっぱい堪能したいと思ってきていると思うんですが、本が中途半端だったなあ。
最後というのに、こんな後味の悪い話でフェイドアウトしていく、というのを狙ってはいると思うんですが、それにしてもね。
テレビの人形劇をやっている人たちをめぐる物語という設定だけで後は行き詰まっている。
あんな風に犯人捜しをはじめること自体が相当まぬけなことなのに、あれじゃあ、そうは思えないし、みんなただ険悪になっていく感じ。
悪い意味で前半と後半の芝居が分断され、破壊されています。
どうしても犯人捜しを始めなきゃならないと観客に納得できる理由が提示できていれば別ですけど。
こんなのを見ると笑いのツボをしっかり抑える後藤ひろひとの本とは百万光年の差があるなあと考えざるをえません。
今までにもagape storeや他の劇団にも本を書いている人みたいだけど、この人の書いている舞台は見に行かないことにしよう。

途中の歌と踊りは妙に凝っていておかしかった。
と、褒めることはそれくらいかなあ。(ひ)

えれがんす

2010年02月17日 | 劇場へ
えれがんす
作・演出 千葉雅子
出演 渡辺えり、木野花、梅沢昌代、八嶋智人、中村倫也、コ・スヒ
新宿 紀伊國屋ホール
http://www.siscompany.com/03produce/26elegance/index.htm

今回もまたグチです。
渡辺えりと木野花のファンのための集いのような芝居でした。
こんなことを前にも感想で書いた気がするけど、ファンクラブ公演みたいな芝居はそう書いておいて欲しいなあ。
たっぷり笑ったという感じで満足そうなお客さんが多い感じだったので、これはこれで良かったのかも知れませんが、話のぐずぐずっぷりは酷かったなあ。
主役2人以外の役者が完全に死んでいるし、話を無理矢理完結させるために登場人物のキャラクターがどんどん都合良く歪んでいくのが痛々しい。
八嶋智人にはもうちょっとちゃんと嫌な役をやらせて欲しいし、中村倫也という若い男の子にも彼なりの葛藤があるはずだよなあ。
周りの人間を途中から、変にいい人にするから、主人公のふたりも単に都合良く生きている人に見える。
時間の経過の重みというのも表現されていないから、ふたりの若いときの姿も全然見えてこない平板なものでした。

でも、ちゃんと主役ふたりが笑わせてくれる内容になっているから良い方なんだろうなあ、と思うのはこの後、見に行った芝居がもっと悲惨だったからです。(ひ)

グレイクリスマス

2009年12月23日 | 劇場へ
グレイクリスマス
作 斎藤 憐
演出 瀬久男
出演 児玉泰次、三田和代、森 一、細貝光司
若井なおみ、米倉紀之子、小笠原良知、石田圭祐
斉藤 淳、清水明彦、藤川三郎、藤側宏大
長浜奈津子、藤崎あかね、神山 寛、齊藤隆介
小田伸泰、野々山貴之
12月9日(水)~20日(日)
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/schedule/

最終日に見てきました。
話は戦後すぐの日本の話なんですが全然古さを感じませんでした。
今の時代の空気感はよく戦争の始まる直前に似ていると言われますが、戦後の一見平和になったようで不穏な出来事がひっそりと起きている時代にも近い気がします。

とにかく本がすごいという感想に尽きます。
登場人物全員にまったく無駄がなく、話が進んでいけばいくほど今の日本やアメリカの恐ろしさがどんどん伝わってくる。
単に歴史を振り返るために戦後を舞台にしているのでなく、今の時代が浮き彫りになっていく。

といっても、決して思想を語るような物語ではなく、話自体はある伯爵一家の物語として進んでいく。
「民主主義」を知り、自由に目覚めた女性のラブストーリー。
最近、美術展示でも、財閥と呼ばれた人々の栄光と没落について知る機会が多かったのですが、この話はまさにそういう伯爵家の話。
何もできず、力のある弟や詐欺師(?)に振り回される伯爵はある意味、天皇を象徴する存在なのかな、などとも考えられたりもします。

日本が戦争で間違ったことをしたようにアメリカも結局同じことをしただけだった、という事実がストーリーの展開とともに明らかになってくるところが見事。
斎藤憐の芝居は一気に見せられてしまった後に、あれこれと内容につい後から考えてしまう。
今回の芝居はひねった設定のチェーホフの「桜の園」という気がしました。
自分の屋敷を追い出され離れに追いやられ、身ぐるみはがされそうになる伯爵。
結局、財閥は別の形でしぶとく生き残り伯爵は屋敷に戻るけど、元の権威はすっかりなくなっている。
あの伯爵なら、たとえ妻がいなくなっても、こんにちは、新しい生活とか言えそう。
世の中、しぶといのはそういう人なんだろうな。(ひ)



エドワード・ボンドの『リア』

2009年11月29日 | 劇場へ
Pink Floyd - Bike

まつもと市民芸術館芸術監督 串田和美プロデュース2009 エドワード・ボンドの『リア』
2009年11月20日(金)~2009年12月06日(日)
シアタートラム
[演出] 白井晃
[出演] 串田和美/緒川たまき/久世星佳/村岡希美/水橋研二/あさひ7オユキ/真那胡敬二/ほか
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/11/2009_3.html

多分、ネタバレにはなってませんが、芝居を見ていないと意味不明な感想です。
大体、いつもまとまりのないひどい文なんですが、今日は思いついたことをただ書き並べています。

どうなんですかね。
好みの問題になるんですが、私には駄目でした。
ブレヒト的な芝居だから、あれはあれでいいんだ、と言われましたが、「叙事的演劇」というのはこういうものなんでしょうか。
役に感情移入させないと、ということになっていたかな?
リアには中途半端に感情移入して見られる芝居になってましたし。

そういう演劇の根本的なものがまったく分かっていない者の感想ですが、登場人物の狂気の描き方がまったくスリリングでないし、「壁」というアイテムの扱いも中途半端、というか、この芝居は本当はリアの馬鹿馬鹿しさを笑ってしまえるような本のはずなんじゃないか、なんてふうにも思いました。
本人に何があって、頭がおかしくなろうと、どう気持ちが変わろうと、周りの人間を不幸に落とし続けるリア。
そして、最後まで本当は他人のことはそれほど気にならず、自分の作った「壁」に向かい合うだけの人物。

それから「リア王」をベースにはしているんでしょうが、「キリスト」(というか宗教? )というのが大きなテーマになっている感じもします。
結局、偉い人間の下につくか、訳の分からない宗教じみたものに頼ることしかできないものたち。
リアのところに勝手にやってきたのに、最後は悪態をつく脱走兵。
誰が支配しても「壁」を作って権力を守り差別することしか考えないのはもちろん、そういう人の元に吸い寄せられる、というか支配者が出てくるのを待って作り出している周りの人間。

まあ、面白くはなかったんですが、いろいろ考えさせられました。
考えるのは大事ですね。

それにしても音楽はもう少し何とかならなかったんでしょうか。
音楽によっても「異化作用」をもたらさないといけないんじゃないのか。
最後の歌はとくにイタイなあ。
格好良くないです、とにかく。(ひ)



真田風雲録

2009年10月26日 | 劇場へ
Clip 江戸川乱歩の陰獣 (加藤泰)

さいたまネクスト・シアター
『真田風雲録』
作:福田善之
演出:蜷川幸雄
出演:さいたまネクスト・シアター 横田栄司 原康義 山本道子 妹尾正文 沢 竜二
ミュージシャン/鈴木光介 国広和毅 関根真理 中尾 果
彩の国さいたま芸術劇場
2009年10月15日(木)~11月1日(日)
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p1015.html

ちょっと遠いなあ、と思って敬遠していた彩の国さいたま芸術劇場に行ってきました。
やっぱり往復の時間を考えると土日じゃないときつい。
とは言え、内容の方は素晴らしいものでした。
ここ1,2年ケラの芝居しか面白いものを見たことがなかったので嬉しい。
何と言っても福田善之の本がすごい。
この本を書いたのは1963年。
65年には映画「異聞猿飛佐助」の脚本を手がけています。
どちらにも共通するのは当時の安保闘争を時代小説(時代劇)という形式を用いて見事に表現したこと。
私自身は安保闘争にはまったく縁のない世代だし、ほとんど知識を持たない人間ですが、いわゆる時代劇や物語のカタルシスを排除した苦悩する登場人物たちにその時代の空気が濃密に表現されているように思えます。
当時は演劇界も激動の時代だったと聞いていましたが、64年に福田善之は岸田国士戯曲賞を受賞したにもかかわらず、辞退しています。
理由は分からないんですが、福田善之は59年に一度佳作に選ばれていたりもしていますね。

芝居に話を戻しますが、ネクスト・シアターという若手オーディションによるメンバーを中心にした舞台でしたが、違和感なく見られました。
真田十勇士は自分たちがどう進んでいくかについて、必ず全員で議論する。
それが、まさに安保闘争時代という台詞で今の若者が言ったら笑ってしまいそうなのに、全然違和感を感じない。
それどころか、形式的には古い部分があっても、本質的にはまったく今の時代も何にも変わっていないんじゃないかという気にさせられる。
隣の女性は理屈っぽい台詞が出てくると居眠りしていましたが、場面転換、ストーリー展開の速さ、ラブストーリーの折り込み方、登場人物達のキャラクター作りの見事さで決して難しい芝居にしていないのも見事。
猿飛佐助は人の心を読めてしまうために、誰ひとり憎むことができず、苦悩して人殺しができないし、既にすべてに絶望し、格好いい死に方だけを求めている真田幸村なんて、ひどくシュールとも言えるんですが。

映画版も福田善之が脚本に参加しているというので見てみたいなあ。
監督の加藤泰の「江戸川乱歩の陰獣」という映画の一部が見つかったから見てみましたが、少し見ただけでもすごいものですねえ。
昔の日本映画ってとんでもないものがいっぱいあります。
話は逸れまくりますが、篠田正浩の特集をフィルムセンターで来年やるんですね。
大島渚、吉田喜重、篠田正浩と「松竹ヌーヴェルヴァーグ」特集だそうです。
どんなラインナップになるか今から楽しみです。(ひ)



印獣

2009年10月20日 | 劇場へ
クドカンが脚本 舞台「印獣」製作会見

印獣
ああ言えば女優、こう言えば大女優。
2009年10月13日(火)~11月8日(日)
作 宮藤官九郎
演出 河原雅彦
出演 三田佳子/
生瀬勝久・池田成志・古田新太/
岡田義徳、上地春奈
http://www.parco-play.com/web/play/inju/

人気のある芝居のチケットが珍しく取れたので言ってきました。
当たり前ですがケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワーとは客層が全然違いますね。
隣に座ってた女性はキャラメルの話なんかしてるし、三田佳子ファンと思しき年齢の高めの方々も多い。
堅気とは思えない異様な迫力のある人も結構いて、客席を見るだけでも飽きない。

芝居ですが、3人の作家が集められて女優のための自伝を書かされる、という話。
ストーリーの細かい部分や登場人物の感情のながれに、ついていけない部分が結構あったんですが、そんなことを気にしても仕方がないんでしょうね。
ザッツ・三田佳子・ショーという感じで、次々と三田佳子がいろんなことをするという芝居でした。
まあストーリーなんてオマケな訳でして。
ねずみの三銃士の舞台ですけど、決して目立ちすぎないように、すべては三田佳子のために。
宮藤官九郎という人はこういう100%エンターテイメントの人なんでしょうね。
確かに面白かったです。
爆笑という場面はありませんでしたが、とにかく楽しませ続けることがうまい。
後には何にも残らないけど、それもまた潔さ?
もうちょっと安い値段で気軽にこういう芝居が見られればいいのに、と思いますが、そうしたらますますチケットの競争率が上がってしまうか・・・・・・。

冒頭の車が出てくるシーンで「こんなシーン見たことあるなあ、しかもパルコで」と思ったら、「ヴァンプショウ」だったみたいです。
河原雅彦出てたよなあそういえば、と思ったんですが、やりたかったんですかねえ。

タイトルも含め、いろんなものにあんまり深い意味は感じませんでした。
「獣の資格はない」と某女優さんなら言うところでしょう。(ひ)


世田谷カフカ

2009年10月13日 | 劇場へ
特集~カフカの迷宮~ 今や幻のチャンネル 

NYLON100℃ 34th SESSION 
「世田谷カフカ」
~フランツ・カフカ「審判」「城」「失踪者」を草案とする~
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城、村岡希美、植木夏十、長田奈麻、廣川三憲、新谷真弓、安澤千草、藤田秀世、
皆戸麻衣、喜安浩平、吉増裕士
杉山薫、眼鏡太郎、廻飛雄、柚木幹斗/猪岐英人、水野顕子、菊地明香、白石遥、野部友視、田村健太郎、斉木茉奈、
田仲祐希、伊与顕二、森田完
中村靖日、横町慶子


2009年9月28日(月)~10月12日(月・祝)
下北沢 本多劇場
http://www.sillywalk.com/nylon/info.html

見る前に今までのナイロンの芝居とはかなり違ったものになるという情報を頭に入れていたので、なんだ、いかにもケラらしい芝居、しかも結構堅実な作りをしていることに驚きました。

3つの代表的な長編がいづれも未完、しかも生きている間にまっとうな評価を受けなかっただけでなく、死後に勝手に出版された本がずっと評価され続けているというのだから奇妙な作家としかいいようがない。
そんなカフカの作品を勝手に読んだり、映画や芝居にするというのは双眼鏡で遠くから覗き見するようなものなんでしょうね、まさに。
はるか昔の変な出来事を、遠くから安全なところで見ているつもりだったのが気付いてみれば自分も同じような状況に巻き込まれていることに気付く。

「世田谷カフカ」というくらいだから、もう少し「世田谷」の部分が大きく扱われるのかなあと思ったんですが、それはありませんでした。
キャロットタワーの近くから、高円寺の方へ、移されたものもあるし、下北沢が再開発されつつあるし、世田谷と演劇の関係って、これからどうなるの、なんてこともっちょっと思ったりしたもんだから(そんなヘビーな話題は出さないか)。

過去と現在、現実と虚構、複数の話が同時進行していくというのは、いかにもケラらしい芝居でしたが、今回はケラの学生時代や80年代という、いかにもケラ自身の過去を彷彿させる物語は登場させず、役者達の物語を用いて話を展開させているのが面白かった。

カフカの3つの長編は学生時代に読んだはずだけど、ほとんど覚えていない。
まあ、カフカの本の場合、それでいいという気がする。
大切なのはカフカの本を読んでいる間に、自分がその小説の中にいるのを発見することで、城にいこうとするけどなかなか辿りつけない人の話なんていうあらすじは実にどうでもいい。
どうせ、最後まで書かれていないんだし。
だから、カフカの小説を映画や舞台にするときも大事なのは「城」や「審判」のプロットを追ったり、ストーリーを忠実に再現することではなく、そこに自分自身が入ってしまうかどうかなんでしょう。
そういう意味で、この芝居は素晴らしいものでした。(ひ)


バケレッタ!

2009年10月07日 | 劇場へ
勝田演劇事務所×海のサーカス
「バケレッタ!」
作・演出 鄭 義信
 <キャスト>
 村松恭子 佳梯かこ 若松武史 品川徹 朱源実 みのすけ 荒谷清水
 吉田麻起子 塩田貞治 早川大介 山元文雄 吉橋央朗 塙育大 矢ヶ部哲 橋本考世

吉祥寺シアター
http://www.libresen.com/bake/

久しぶりに芝居を見に行きました。
かなり高い確率で見る芝居は外れているんですが、これもそんな一本でした。
「焼肉ドラゴン」がとても評価の高かった鄭義信の作品だからと期待したんですが、厳しい芝居でした。
若松武史率いる児童劇団が悪条件の中、上演を目指してがんばるのだが・・・・・・という感じの芝居なんですが、とにかく寒すぎるギャグの連発に役者が気の毒になりました。
いくら児童劇団と言っても幼稚すぎるだろうというギャグを必ず3回ずつお約束でやるのが、またきつい。
数人のお客さんだけが大笑いしてるんですが、あれは知り合いですかね。
すぐ横の体格のいい男性がいちいちリアクションが大きくて、余計しらけました。
後半、ストーリーとして何とか持ち直して、無難ないい話にまとめたところはさすがですが、劇中劇を無駄に長くやりすぎだし、登場人物を(たぶんあえてそうしてるんでしょうが)深く掘り下げていないため、全然感情移入できない。
アマチュア劇団をやっていく大変さも、みんな辛そうにしている割には全然伝わってこない。

それにしても若松武史が率いる児童劇団っていうのは怖いなあ。
舞台にいるだけで異様な存在感がありますね。
もうちょっと違う芝居でまた見てみたい。

吉祥寺シアターは新しくていい劇場ですが、駅から劇場に行くまでにずいぶんあやしげなところを通らないといけないんですね。
この辺りは吉祥寺でもずいぶん雰囲気が変わるもんですね。
夜の公演を見た後の帰りは客引きのおにいさん方が大声でどなっていました。

篠井英介が書いたエッセーを読んでめちゃくちゃ共感してしまった。
芝居って高すぎですよ。
公演をやるには小屋代や役者の時間を拘束したりだとか、何とかとかいう人はいるけど、料金に見合うものをやってくれなきゃね。
少なくとも映画に行くよりは圧倒的に楽しいと思わせてくれないと。(ひ)


テーブル・マナー

2009年02月18日 | 劇場へ
テーブル・マナー
紀伊國屋サザンシアター
作:アラン・エイクボーン 
翻訳・演出:G2 
上演台本:桝野幸宏 
出演:松尾貴史/大和田美帆/柳浩太郎/佐藤真弓/市川しんぺー/島田歌穂
http://www.g2produce.com/agape/13/index.html

うーん、何だか場違いなものを見に行ってしまった。
いきなり若い男の子のしゃべりはたどたどしいし、若い女性はやたら一生懸命演技しているし、うーん、何だろう、これは、と思ったら、そういうことだったのか。
大和田美帆は大和田獏と岡江久美子の娘で、若い男の子は大変な怪我から復帰した人でした。
どうりで女子高生が見にきたりしていたはずだ。
アラン・エイクボーンやG2や松尾貴史のファンの女子高生なんていないもんね。
いたら面白いけど。

芝居の中身についてですが、この出演者でこの芝居は無理がありすぎ。
若い二人にもう少しやりやすい役をあげられる本を選べばよかったのに。
多分、原作の本は相当面白いんだろうけど、その面白さの2割も出ていない薄まった本になっている感じ。
いろいろ話をカットしているうちに訳の分からないものなってしまっていて、ストーリーの細かい部分はめちゃくちゃ。
人物にも全然深みがない。
たぶん3人の性格も容共もまったくバラバラな女性に、実は共通する孤独が存在していたり、松尾貴史が演じるアホな男の抱えるつらさなんてものも喜劇の奥に表現されているんでしょうね、元の本では。
ホームページにのっているG2の言葉を読んで腹が立つところもあったんですが、まあそのことについては書かずにおきます。

こういう芝居では役者がどうがんばるか、そこに興味は尽きます。
松尾貴史が何とかして盛り上げるべくコネタのオンパレード。
まあ相当笑えたからいいか。
それぞれの役者のファンの人はいいけど、アラン・エイクボーンの本が好きだからという理由だけで見に来た人はかなり気の毒かな。
結構、年配のお客さんも多かったしなあ。(ひ)