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てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

パイパー

2009年02月16日 | 劇場へ
野田地図第14回公演
パイパー
作 野田秀樹
演 出 野田秀樹
出 演 松たか子
宮沢りえ
橋爪 功
大倉孝二
北村有起哉
小松和重
田中哲司
佐藤江梨子
コンドルズ
野田秀樹
http://www.nodamap.com/en/piper/

チケット代の高い芝居(9500円)なので見る前からハードルがあがっていて、これでつまらなかったらどうしてくれようという感じで見に行きました。
我ながら嫌な客ですが、心配していたよりも面白かった。
が、不満もかなり多い芝居でした。
すべての価値を数値化して、その数値に踊らされる社会とか、人間の肉体と心の関係とか、何かを食べないと生きられない人間の宿命とか、歴史とは常に一部の人間の都合で残されるものにすぎないだとか、他にも面白いアイディアはたくさんあったんですが、話がどこに収束していくと思ったら、かなり無難なところに落ち着いてしまったのでがっかり。
そんな話なら「赤鬼」の方が良かったんじゃない。
パイパーの動きも特にすごいと思わなかったし、この登場人物は必要なんだろうか、と思う人が多すぎる。
もっと少人数しか出ない密度の高い芝居にするか、大人数が出る芝居ならではのアクションやダンスなんていうものをもっと見せてくれても良かった気がするし。
野田秀樹と宮沢りえは声が出なくて辛そうだったなあ。

最後のシーンというのは、それまでの芝居が相当すごくないと成立しないようなものだから、野田秀樹としてはかなり自信のある芝居だったんでしょうか。
うーん、それにしても途中まではすごく面白いんだよなあ。
戦争とカニバリズム、人の精神と肉体の行方なんてところを逃げずにもっと描いて欲しかった気がするけど、そんなのみんな見たくないか。
個人的にはパイパーや幸せの数値という存在が、アジアの小国が大国に与えられた価値観や文化という気もしなくもないなあ。
すると金星はどこの国だろうなんて考えたりしました。

パイパーというと、ハメルンの笛吹きやpay the piperなんていう熟語「自分が犯した悪事の報いを受ける」、更には「渚にて」で有名なネビル・シュートの小説を連想させます。
小説の方は読んだことがないんですけどね、残念ながら。
パイド・パイパー - 自由への越境
http://www.bk1.jp/product/02134896

関係ないけど火星人が金星人のことを足がたくさんはえていると思っているというのはおかしかった。
しかし、ディックの小説のような設定の芝居でした。
時代は80年代回帰に少しずつ向かっているのかな。(ひ)


しとやかな獣

2009年02月04日 | 劇場へ
居残り佐平次


オリガト・プラスティコVOL.4
しとやかな獣

場所
東京:紀伊國屋ホール
大阪:シアター・ドラマシティ


新藤兼人
演出
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
キャスト
浅野和之、緒川たまき、広岡由里子、近藤公園、すほうれいこ、
佐藤誓、大河内浩、玉置孝匡、山本剛史、吉添文子
http://shitoyakanakedamono.blogspot.com/
http://www.morisk.com/plays/shito/index.html

日曜の昼公演に行ってきました。
珍しく2時間以内のケラの芝居だったのですが、それは新藤兼人の本だったから。
「しとやかな獣」の映画も昨日書いた黒澤映画と同じくかなり昔に見たきりです。
15年か20年前くらいに自分の中で日本映画ブームがあったんですね。
理由は単純で、御茶ノ水の喫茶店(ルノアールかどこか)で一人でボーッとしつつ、コーヒーを飲んでいたら、すぐ近くで雑誌編集者と作家らしき人の会話が聞こえてきました。
ユリイカあたりのサブカル系雑誌で溝口健二の特集をやりたいという話をしていたのです。
溝口健二という名前は聞いていたものの全然映画を見たことがない、いや邦画ってごく最近のものしか見ていない。
こりゃあ、すごく損じゃないか、と思ったんですね。
それまでに見ていた昔の邦画というと小津映画くらいのものでしたから。
と言ってもレンタルビデオで見られるようなものはごくわずかで、後は図書館(調布の図書館はなぜか無料でビデオレンタルができたのです)や深夜のテレビで少しずつ邦画を見ていきました。
自分で選ぶというより見られるものを見たという感じで、「しとやかな獣」もそんな折に見たものでした。

見始めてすぐは変な映画だなあ、と思ったのを記憶しています。
まともな人間が出てこない。
山岡久乃とか高松英郎とか船越英二とか大真面目なホームドラマに出ている人たちがとんでもなく悪いやつになっている。
「サザエさん」の登場人物が「サウスパーク」の台詞を言っているのを見ているような。
ずいぶん前に見たので細かいことは正直よく覚えていないんですが、団地の階段が何度も登場したこと、若尾文子がとにかく強烈だった記憶があります。

話はやっと芝居のほうに戻るんですが、本はほとんど変えていないということだそうですが、前田夫妻の印象がすごく強くて緒川たまきが演じる三谷幸枝の悪女ぶりというのが目立たなくなっていた気がします。
それにしても、まるで舞台のために書いたような話ですね。
団地の中だけでほとんど話は展開するし、セリフが圧倒的に多い。
無茶苦茶だけど真理ともいえる理屈と自信をもっている悪党をなぜか否定できなくなってしまうというのは落語に近いものもありますね。
落語に登場するとんでもないケチ、悪人がどうしても憎みきれないように、この話の登場人物に対して不思議な距離感を保つことになってしまう。
その不安定さが一番の魅力といっていいでしょうか。

テレビで三遊亭圓生の「能狂言」という落語を見たんですが、すごかった。
大名の無茶を聞いて、知りもしない能狂言をやることになった面々のドタバタ劇なんですが、今映画にしたら絶対面白くなりますね。
映画といい、落語といい、とてつもなく面白いものを眠らせたままにしておくのはあまりにももったいない。
ということとで次のオリガト・プラスティコも楽しみです。
芝居の感想はほとんど書かなかったな。(ひ)



あれから

2008年12月16日 | 劇場へ
Echo & The Bunnymen - Porcupineヤマアラシといえばこれ

KERA・MAP #005
あれから
世田谷パブリックシアター
2008/12/13~2008/12/28
余貴美子 高橋ひとみ
萩原聖人 岩佐真悠子 柄本佑 金井勇太
赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT) 村上大樹(拙者ムニエル) 三上真史(D-BOYS) 植木夏十(ナイロン100℃)  山西惇
渡辺いっけい 高橋克実
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/arekara.html

年末になると忙しくなりそうなので、早めに見てきました。
結果的に言うとそれが失敗だったみたいです。
何せ、ナイロンのメンバーがほとんど出ていない、しかも余貴美子、高橋ひとみが主役という不思議な取り合わせの芝居ですから、まだかみ合っていない感じ。
前半から笑えるはずのシーンがずいぶん上滑りしてました。
ベテラン俳優が多いですから、時間が経つうちに修正されてくるんでしょうけど、ナイロンの役者で見たかったというのが正直なところ。
でも、それじゃあ、こういう本である意味がないか。
役者が違うとお客さんの年齢層もずいぶん違うものですね。
普段よりも結構年齢層が高め。
休憩を挟んで3時間(たぶんパブリックシアターは10時に終わらないといけないから、あれでも短くしたんだろうなあ)というのは結構きつそうで、休憩中の空気もどんより。
どうして、休憩中に客席があんなに暗かったのかな。
あれは眠くなりました。

高校時代の同級生だった2人の女性が30年後(くらいかな)に不思議な再会を果たすという物語。
今までと違う年代の夫婦を中心とした、しかもウエルメイドとも取れるような物語ということで意欲作といっていい芝居。

引用・参考文献としてカーヴァーの小説が挙げられていたけど具体的にどの作品なのか気になります。
ということでケラとカーヴァーの関係について調べたらこんなものが引っかかってきました。
P-FREAKS HOUR ヤマアラシとその他の変種
http://www10.plala.or.jp/moyoko/yamaarashi.html
言いようのないすさまじい参加メンバーで、しかも現在再発されているみたいです。
面白いのかどうか全然分かりませんが、聞いてみたくなります。
更に調べるとこんなことが。
http://www.mryt.com/disco/a1990bn.html
一番下の(3" CDシングル)というところを見ると「それから」なんていうタイトルの曲があって気になります。
芝居とは全然関係ないのかもしれないけどタイトルが似ています。
挿入曲のIndio Del Tangoはあがた森魚か。
そういえば、次のナイロンの芝居のタイトルは「神様とその他の変種」だそうです。
なるほど、「レイモンド・カーヴァーの子供たち」の方が読みたくなる。
確か家のどこかに眠っているはず。(ひ)



学おじさん

2008年11月07日 | 劇場へ
学おじさん
2008年10月24日~11月3日
本多劇場
作・演出:水谷龍二
出演: 伊東四朗 / 平田満 / 片桐はいり / 馬渕英俚可 /
森本亮治 / 飯田基祐 / 吉田麻起子
http://t.pia.jp/interview/stage/manabu.html

先週の日曜日に見てきました。
なるほど、こういう芝居ですか。
本多で作・演が水谷龍二ということで、それなりの期待をして見に行った私がアホだったようです。
伊東四朗ファンクラブの集いというノリだったなあ、正直言って。
設定は一応あるものの、つじつまが合わなすぎだし、合わないことがすごく気になる程度のものしかなかった。
いい役者を使っているから、それなりに見ていられるけど、役者の力だけにこんなに頼っちゃあいけないよなあ。
片桐はいりは本谷有希子のまったく面白くない芝居でも、本のひどさを救っていたけど、今回もそうでしたねえ。
他の役者さんも、よく分からない本なのにがんばってましたよ。
ああ、もったいない。
でも、こんな感想を言うのは少数派なんでしょうね。
そういうヤボなことを言わないファンのための芝居なんでしょうから。

電子レンジに子供をいれないでください、とか、大きなビニールに頭を突っ込まないでください、とか、注意書きを入れる変な時代なんですから、「この芝居は訳の分からない若手作家のいきがっている本を楽しめる方向けです」とか、「主役の俳優が動いているだけで満足という方のみご覧ください」とか、ぴあやe+の紹介に書いておいてくれるといいのになあ。
今回も「得チケ」に手を出したのがいけなかった。(ひ)




シャープさんフラットさん

2008年10月11日 | 劇場へ
東京舞台通信 ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」ケラリーノ・サンドロヴィッチ


NYLON100℃ 32nd SESSION 15years Anniversary
「シャープさんフラットさん」
-ダブルキャスト2本立て-
作・演出
ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演
【ホワイトチーム】
三宅弘城 松永玲子 村岡希美 廣川三憲 新谷真弓 安澤千草 藤田秀世 吉増裕士 皆戸麻衣 杉山薫 眼鏡太郎 大倉孝二
佐藤江梨子 清水宏 六角慎司 河原雅彦
【ブラックチーム】
大倉孝二 犬山イヌコ みのすけ 峯村リエ 長田奈麻 植木夏十 喜安浩平 大山鎬則 廻飛雄 柚木幹斗 三宅弘城
小池栄子 坂井真紀 住田隆 マギー
http://www.sillywalk.com/nylon/


ブラックチームを見てきました。
いつもの通りチケットを取るのが遅かったんですが、ブラックチームのみほとんど売り切れになってました。
犬山イヌコ、みのすけ、峯村リエというところがやっぱり見たいですもんね。
個人的には住田隆がいるのでブラックチームにしました。

話は本を書く、笑いに関わる仕事をするということに対するケラの決意、他人との絶望的な距離感といったものが詰まっていました。
ケラの伝記的な芝居といってもいいんでしょうが、芝居というよりはナゴム時代の伝記なんじゃないかという気がしました。
何でもありだった80年代だったからこそ、ナゴムレコードはあれだけメジャーな存在になったけれども、結局主流の音楽は保守的な歌謡曲で、その中にはまりたいという願望を持ちつつ、はまりきれなかったケラというイメージがすごくあるんですよね、勝手に。
それはかなりメジャーなところからスタートしながらも、日本の音楽史に残るようなすごいアルバムを出したために、主流から外れざるをえなかったPモデルやジャックスといったグループのことも連想してしまいます。

「噂の男」のときにも思ったし、ケラの松本人志に関するエッセーを読んだときにも思いましたが、彼の笑いに対するこだわりというか思い入れの強さはすごいですね。
過去の落語家や漫才師に関する本を読むと、笑いを追及することが世間を逸脱することにつながらざるを得ないという部分をもっている数少ない人なのかもしれません。

今度はケラ・マップの新作と「しとやかな獣」ですか。
「しとやかな獣」はずいぶん不思議な作品だなあ、と思った記憶しかありません。
でも、ナイロンのテイストにちょっと近いところがあるかも。
テレビで放送があったら、先に見ておきたいなあ。(ひ)


莫逆の犬

2008年04月29日 | 劇場へ
莫逆の犬
2008年4月17日(木)~27日(日)
新宿THEATER/TOPS
出演:田中直樹(ココリコ)/野本光一郎・恩田隆一・和田ひろこ・冨田直美・冨塚智・平野圭・伊藤俊輔/関川太郎/小林隆
http://oneor8.com/

トップスに行ってきました。
ここも席がせまくてつらかったなあ。
でかい人間はこんなところに行ってはいけないね。
後ろの方、横の方もさぞかしご迷惑だったと思います。
申しわけありません。
しかし、前から3列目だと、近すぎて舞台の一部が見えませんね。

ココリコの田中が主役の芝居でしたが、思っていたよりすばらしかったです。
彼の出た三谷幸喜の映画は見たはずなのに覚えていないくらいなのですが、難しい役を熱演してました。
熱演といっても、やたら「一生懸命やってます感」だけ臭わせる嫌なかんじじゃなくて、丁寧にしっかりやっているのに好感がもてました。
これからも映画や芝居で期待できそうです。
田中の父親が小林隆というのも小劇場にしては豪華。
いい役者さんを近くで見られるのは贅沢だなあ、と。


さて、ほめるべきところは全部ほめましたか。
最近、芝居の感想が愚痴になることが多くて恐縮なんですが、これもねえ。
本がひどい、というか、時間がなかったの? と聞きたくなる感じでした。
テレビで「29」という芝居を見た時はもっとよかったと思ったんだけど……。
とにかく、悪い意味で話が展開しない。
登場人物はそれなりに多いけど、出す意味のない人が多すぎる。
前振りになっているのかな、と思える部分のフォローがまったくない。
ギャグらしき(たぶん、内輪っぽい人だけが笑っていたからそうなのだろう)ものが恐ろしく笑えない。
それに、芝居の随所に「決めたぞ」って感じの台詞があるのも個人的にはだめだったなあ。
最初の場面をわざわざ入れる意味というのもよくわからなかったなあ。
延々とつづく主人公の苦悩を強調したかったんでしょうか。
それなら、もう少しひねっていただかないと。

しかし、ケラ以外の芝居は外れ続けるという状態は長いなあ。
ますます芝居を見る機会は減りそうです。
テレビで十分という気がしちゃうんだよなあ、これじゃあ。
ついでですが、最近テレビで見たものでは、宮沢章夫の「鵺/NUE」が思いがけずよかった。
宮沢章夫の芝居は難しくて途中で寝ちゃうんじゃないかと思っていたのに、すごくまっとうな芝居だったので驚きました(こんなの褒め言葉になっていない?)。
清水邦夫の芝居を劇中劇として使い、蜷川幸雄としか思えない登場人物がでてくるのも興味深い。
若松武史の怪演ぶりもすごかったなあ。
本を書く力のある人は変化球もまっすぐもしっかり投げられるんだということを実感しました。
少し前に放送された「ニュータウン入口」を録画したので、これが面白かったら舞台を見に行ってみようか、と少しだけ考えてます。(ひ)



どん底

2008年04月14日 | 劇場へ
どん底
原 作 マクシム・ゴーリキー
上演台本・
演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出 演 段田安則
江口洋介
荻野目慶子
緒川たまき
大森博史
大鷹明良
マギー
皆川猿時
三上市朗
松永玲子
池谷のぶえ
黒田大輔
富川一人
あさひ7オユキ
大河内浩
犬山イヌコ
若松武史
山崎一
2008年4月6日(日)~27日(日)
Bunkamuraシアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_08_donzoko.html

私にとっては今や唯一ずっと面白い芝居をやってくれているケラの作品です。
普通なら渋谷の劇場(こことパルコ)は高いチケット代だけでご遠慮するんですが、ケラの芝居なら見るしかありません。
今回はゴーリキーの「どん底」。
名作と言われていても、原作はおろか、ルノワールばんや黒澤明の映画も見ていない。
まあ、「漂う電球」や「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」も同じだったんですけどね。
というわけで、原作をどうリライトしたのかは分かりません。

別にネタバレというほど、ストーリーについては書きませんが、白紙の状態で芝居を見たいという方は以下お気をつけください。


印象としては、非常にわかりやすい芝居にしているなあ、というのが第一印象。
人物が多くて、セリフが多く、普通なら、いつの間にか睡魔に襲われそうなものなのに、音楽を含め、次の展開が非常にわかりやすい芝居になっています。
そして、セリフ、ストーリーのどちらも、観客次第でいろんな解釈が出来るようになっているのが、面白い。
段田安則演じる謎の老人が芝居の中で語っている通り、ある人物にとって優しい人間が、別の人間からは詐欺師に見える。
それはすべての登場人物に言えることだし、宗教、神といったものに対してもいえる。
ここにいるすべての登場人物が、自分を含め、いろんな形の「嘘」をつくことで、「どん底」な「宿」に住んでいる。
自分の「嘘」にも他人の「嘘」もある程度気付いていながら、気付かないふりをつづけることで、貧しくも怠惰な現状を維持し続ける。
その設定が「すべての犬は天国へ行く」を思い出させる部分がありました。
そんな世界観を新たな「嘘」で破壊して、新たな希望を抱かせ、死に追いやっていく老人は天使とも言えるし、悪魔とも言えるわけです。

などと勝手な解釈を書きましたが、どういう話ととるかは見る人次第。
いい話を見たなあ、というよりは問題提起をされた気分。
ちなみに音楽はパスカルズが担当しています。
やっぱりケラの芝居の音楽はいいなあ。
以前見た蜷川幸夫の芝居での宇崎竜童が担当した音楽のていたらくと比べたら・・・・・・。
17日からは石川浩司が出演だそうだけど何の役をやるのかなあ。
パスカルズは世田谷美術館で野外ライヴがあるんですが、行けそうもなくて本当に残念。
友部正人との共演をぜひ生で見たいなあ。

6月の雨の夜、チルチルミチルは
http://jp.youtube.com/watch?v=HKxGA5jln64

(ひ)

なるべく派手な服を着る

2008年03月11日 | 劇場へ
MONO第35回公演 『なるべく派手な服を着る』 
作・演出: 土田英生
出演: 水沼健 奥村泰彦 尾方宣久 金替康博 土田英生
亀井妙子(兵庫県立ピッコロ劇団) 本多力(ヨーロッパ企画) 松田暢子(ヨーロッパ企画) 山本麻貴(WANDERING PARTY)

東京:ザ・スズナリ
2008年3月6日(木) → 16日(日)
http://www.c-mono.com/stage.htm

さすが、スズナリ、混んでいて大変だった。
上演後もしばらく気分が悪くなりました。
それはさておき、芝居の方ですが、いつもの5人にゲスト3人を加えた、不思議な兄弟、というか一家の話。
MONOの舞台は設定が命というか、設定を決めたら、後はMONOの芝居が展開するだけ、という感じです。
今回も笑わせてはくれるんですが、何か腑に落ちない。
5男のキャラクターが生かし切れていない感じだし、中途半端なまま、投げ出されていることが多い。
本当の母親像、なぜ3男(本当は次男だっけ? )は女の人に今ひとつ興味が持てないか、どうしてあんな無理矢理なラストにするのか、などなど消化不良のまま投げ出された気分。
やたら複雑なカードゲームというのが、うまく芝居を象徴できていたら良かったんだけど、その辺もグズグズになってたなあ。
個人的には、MONOの芝居に出るのはMONOの人だけでいいかな。

うまいなあ、と思ったのは、視点を変えたら(というか普通に考えたら)相当不気味な家族の物語を笑って見せてしまうところ。
家も家族構成も両親も事件の容疑者になったことのある長男も、近所の人からは不気味に思われているはずだよなあ。
両親の存在がある意味オカルトだし。

実家を取り壊すことが決まってからの家族の開放感というのも印象的だった。
大家族に住んだことのない人間(私もそう)はいいですよねえ、大家族はにぎやかで、なんて呑気なことをいうが、実際、大家族で暮らしている(もしくは暮らしていた)方は相当大変なことが多いようで、家がいなくなって自分がかつていた「家族」がなくなるというのは、感慨深いことでありながらも、大きな開放感を伴うものなんだろうなあなどと思ったりしたのでした。(ひ)






スウィニー・トッド フリート街の 悪魔の理髪師

2008年03月05日 | 劇場へ
映画館に行くということ自体、稀なんですが、そのほとんどが招待券や割引券をもらったときというのはどうなんでしょう。
今回はケーブルテレビで割引券をもらったので、近くの複合映画館にいってきました。
確か前にもそんなことがあったなあ、と思ったら3年前でした。
そのときも思ったことなんですが、複数の映画を見られる劇場といっても、子供向け、ベタベタの邦画(今なら「母べえ」)といったものを除いていき、なおかつ自分にとって都合のいい日時、時間帯の映画を選ぶと、ほとんど選択の余地がなくなる、というのはどういうことだろう。
これ結構、見たいなあなんて思うのは大抵単館なんですよねえ。
日本の映画はテレビ局が番組の延長で作っている酷いものばかりになっていると知っていましたが、アメリカも負けず劣らず、大きな会社は守りに入っている感じですねえ。

と前置きが長くなりましたが、そんな狭い選択肢の中で選んだのはこちら。

スウィニー・トッド フリート街の 悪魔の理髪師
2007年 
監督: ティム・バートン
出演: ジョニー・デップ スウィーニー・トッド
   ヘレナ・ボナム=カーター ミセス・ラベット
   アラン・リックマン ターピン判事
   ティモシー・スポール バムフォード
   サシャ・バロン・コーエン ピレリ
   エド・サンダース トビー
   ジェイミー・キャンベル・バウアー
   ローラ・ミシェル・ケリー
   ジェイン・ワイズナー
http://wwws.warnerbros.co.jp/sweeneytodd/

ミュージカルはだめなんですが、まあティム・バートンなら大丈夫だろう、と期待して行きました。
結果、裏切られることなく、それなりに楽しめました。
昨年の「キャバレー」の惨劇に比べると、ずっとよかったですよ。
話は非常にシンプル。
ミートパイをめぐる都市伝説に、殺人鬼、「ロミオとジュリエット」、更には「オペラ座の怪人」など有名なミュージカルの要素を足してみました、という感じ。
スウィニー・トッドというのが、伝説に残る人物なんだそうで、その話をミュージカルにしたときに、こういうものになったんでしょうかね。
ちなみに原作はこんな感じのようです。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text2/todd.html

下の階に落とすのが先なんですねえ。
登場人物が少ない復讐劇なので、後半の展開もすぐに分かります。
別にストーリーの意外さで見せるわけでなく、こういう分かりきった展開をどう役者が演じるかを楽しむものなんでしょうね。
ティム・バートンはそんな話をスプラッタ・コメディとして描いています。
そのやり方には大賛成だし、いろいろと笑える場面が多かったんですが、そういう馬鹿馬鹿しさだと個人的にはサム・ライミの「XYZマーダーズ」に軍配があがってしまうんだよなあ。
ちなみに「XYZマーダーズ」はコーエン兄弟とサム・ライミが脚本を書いているという豪華(?)作品なので、その手の作品のお好きな方はぜひご覧ください。

ちょっと物足りなかったのは、特製ミートパイをお客が食べるシーンというのがほとんどなかったこと。
どうせならお客にも歌いながら、おいしそうに食べてもらいたかった。
パイを作ってる店から抗議されますかね、それじゃ。(ひ)


選択 一ヶ瀬典子の場合

2008年01月30日 | 劇場へ
選択 一ヶ瀬典子の場合
2008年1月23日(水)~2月3日(日)  紀伊國屋サザンシアター
http://www.gekidanmingei.co.jp/sentaku.html

今年最初の観劇でした。
うーん、ひどい。
ひどすぎて、必ずブログに感想(愚痴)を書こうと思った。
以降は単なる愚痴なので、それでも構わないという心の広い方だけお読みください。

新聞、ブログなどの芝居の記事や感想を見ると、やたら褒めるものが多いのがすごく腑に落ちない。
わざわざ時間とお金を使ってみたものは、肯定しておきたいんでしょうか。
演出家や役者が自分の好きな人なら、相当大目に見られるんでしょうか。
それとも、こんなにいろいろ不満を感じるのは、ごく一分の人間なんでしょうか。
先日、たまたまNHKのドラマ(元プロ野球のコーチが学校の先生になるというもの)を見せられる羽目になって(自分からは日本のテレビドラマは見ないことにしている)、あまりの酷さにびっくりしたんだけど、みんなあれくらいはOKなんでしょう。

と、いきなりこの芝居に関係ない愚痴が続きましたが、この作品は終末医療と安楽死という問題を扱っています。
末期癌の患者を患者の家族の懇願を聞き入れ、安楽死させてしまうことから起こった問題という感じなのですが、主人公の女性が恐ろしく底が浅い。
信念をもって、安楽死をさせたように描こうとしているんでしょうが、まったく説得力がない。
父母への思い、人類愛から、あえて安楽死を実行させた、という感じにしたいんでしょうがねえ。
無理やり役者をたくさん出すために、不必要なシーンがずいぶん出てきて、それが芝居全体をつまらなく、というか、何を言いたいのか分からなくさせている気もします。
患者を殺してしまったことで、訴えられた彼女の担当の弁護士は次第に彼女に惹かれていくんですが、その理由がさっぱりわからない。
中途半端に正義を語るし、自分で親の面倒を見ているわけでもないのに、病院を経営している兄を安易に批判しているし、同僚たちはどうせ自分と意見が違うからと勝手な行動をする。
ただのとんでもない医者にしか見えないなあ。

たぶんこれだけ、話のつじつまがあわないのは、いろいろ無茶な書き直しをさせられたせいなのかな、という気もします。
そう思って我慢しよう。

私は平田ヲリザ系の芝居や、最近の若者を描いてますといった芝居は大嫌いなので、こういう地に足の着いた演劇にがんばってほしいんですが、厳しい。(ひ)