goo blog サービス終了のお知らせ 

てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

イロアセル

2011年11月07日 | 劇場へ
新国立劇場演劇「イロアセル」

イロアセル
10/18~11/5
新国立劇場 小劇場
作 倉持裕 
演出 鵜山仁
出演 藤井隆、小嶋尚樹、島田歌穂、剣幸、木下浩之、ベンガル ほか
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000436_play.html

ひとことで言うと残念な芝居でした。
面白い要素がたくさん入っているのに、それを広げようとしないし、物語としての面白さにつなげようとしない中途半端さにイライラしました。

色のある言葉を使う能力のある人びとが住む島に、ある囚人がやってくることで変化が起こる、という物語。
島では色のある言葉を映し出す機械の利権を巡って汚職が行われていたり、その機械を使うことでツイッターのように、世界中の人びとにメッセージを発信できたり、なんていう興味深い話は出てくるんですが、それがストーリーにうまくからんでいかない。
必要以上に説明しないことをよし、として意図的にこんなストーリーにしているのかもしれませんが、いろんな部分が稚拙に感じられて落胆するのみ。
色のある言葉なんていう、面白いけど、相当やっかいなものを出したのに、舞台に映る、その色の安っぽさがすべてを象徴するようでした。
いかにもパソコンで作りましたという、あんな色を見せるくらいなら、何も見せずに観客の頭の中で想像させた方がいいのに。
それと藤井隆演じる囚人が入っている檻を実際に作る必要があったのかなあ?
動きや物語が停滞していた気がするし、見ていて、やたらに鬱陶しかった。

現代を象徴するような比喩的表現をちりばめただけに、何の説明もしない、お利口な感じが嫌なんだようなあ、何といっても。
CSの番組で香山リカがちゃんと自分の意見を書かないと批判されることへの自己弁護をしていたのを思い出してしまった。

それにしても、どうして藤井隆、島田歌穂があんな役だったのかなあ。(ひ)









キネマの天地

2011年09月22日 | 劇場へ
夢であいましょう 渥美清

こまつ座第九十五回公演

紀伊國屋書店提携
キネマの天地
井上ひさし・作  栗山民也・演出
2011年 9月5日 (月) ~ 10月1日 (土)
新宿南口・紀伊國屋サザンシアター
出演:麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆、木場勝己、古河耕史、浅野和之
http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/

上演ラッシュのつづく井上作品を見てきました。
「キネマの天地」は映画の方が有名ですが、残念ながら見ていません。
井上ひさしも共同脚本の中に名前が入っていますが、ずいぶん内容は違うようです。
こちらは四人の大女優をめぐるサスペンスコメディという感じの内容の作品。
麻実れい、三田和代、秋山菜津子、と実際すごいメンバーでしたが、彼女たちが、いかにも昔の大女優という典型的な役柄を見事に演じている。
気まぐれでプライドの高い女優達をどう扱うか、ということで男達が苦労する様がおかしい。
井上作品につきものの、社会派的な要素が全然ないのは珍しい。
作品に関する予備知識なしで見に行ったので、そのことが新鮮でした。
ちょっと残念だったのは、いい女優をそろえていながら、実は女優の見せ場のほとんどない作品だと言うこと。
大部屋俳優的な役の木場勝己にのみ、見せ場が次々とあるのは、渥美清の役だったから何だろうなあ。
小林信彦の本によれば、渥美清は寅さんだけに収まらないすばらしい喜劇俳優だったみたいだから、ぜひどんな演技をしているのか見てみたい。
そう考えてみると、寅さんという余りにも典型的な役柄をいつも演じている渥美清に、いろんな見せ場を作り、他の映画や舞台で様々な役を演じてきた女優に、まるで寅さんのような典型的な役を演じさせるというギャップが面白いのかな、と思ったりもしました。
映画版に、どんな女優が出ているのか知らないんですけど。
と考えているうちに、「ハムレット、リア王、ファルスタッフ、私が演じられなかった役たちよ、さようなら」と大部屋役者がいう台詞は、いろんな役を棄てて寅さんんに絞って大成功を治めた渥美清の心の奥にある哀しみを表現しているのかなあ、なんて思ったりしました。
ぜひこの役を渥美清に演じて貰いたかったなあ。
車寅次郎のイニシャルはK.T.だから、K.T.に殺された男がやるべきだった、ということで。(ひ)




奥様お尻をどうぞ

2011年08月20日 | 劇場へ
生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言.mpg

「奥様お尻をどうぞ」
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:古田新太 八嶋智人 犬山イヌコ 大倉孝二 入江雅人 八十田勇一 平岩 紙
山西 惇 山路和弘
下北沢 本多劇場
企画・製作:キューブ
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/kera-furuta11.html

最近は人気公演のチケットをとろうなんて元気はなく、この芝居を見ることができるとは思っていませんでした。
本多で7200円しかもお盆の時期というのもあったのかもしれませんが、チケット一般発売後でも、土日券がじゅうぶん残っていたので早速購入しました。

第一弾の「犯さん哉」がどんな内容だったか、細かいことをまったく覚えていないのですが、これはその第2段。
どこまで馬鹿馬鹿しく面白いコメディを作れるかということに賭けているという点は共通しています。
地上波テレビではタブーになっている原発が思い切り扱われています。
原子力絶対安全協会を舞台に、現実の政府や東電やマスコミに負けない馬鹿馬鹿しいストーリーが展開していきます。
見ているほうとしては、原発をいじるネタをもっと続けて、カタルシスを与えて欲しかったのですが、ケラの本は当然ながら、そこにとどまっていない。
協会の会長の娘が見る夢の話と現実が交差していく、というお得意のSF的設定にもっていくかと思うと、終盤はその設定すら破壊しようとする。
これまでの芝居だと、夢と現実の境目が崩れていき、もはや芝居と現実の境目さえ、崩れていく、というパターンが多かったように思うけど、今回はそんなパターンとも違ってました。

いろんな意味で第一弾の「犯さん哉」より、生真面目な芝居になっていましたが、それはまあ仕方がない。
だって、他にちゃんと、現状の世の中を織り込んだ面白い芝居を書いている人が(どうやら)いないんだから。
演劇の火を消さないみたいな、つまらないことを言ってないで、面白い舞台をやってくれ、偉そうに語るより、面白いものを見せてくれ。
と思う今日この頃。
(ひ)






おどくみ

2011年07月04日 | 劇場へ
おどくみ
2011/06/27(月) ~ 2011/07/18(月)
新国立劇場 小劇場 THE PIT

出演 高橋惠子, 浅利陽介, 黒川芽以 他
脚本 青木豪
演出 宮田慶子
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000329_play.html

数ヶ月ぶりに芝居を見ました。
青木豪の芝居を見るのは今回が初めて。
なるほど台詞がうまい。
劇中のどの場面も間延びがなく、飽きさせることがない。
休憩が途中入って2時間半ほどの芝居が短く感じました。
無神経な人間を描くのがすごくうまい。
まるで蛭子さんのような俳優の存在感はすごかった。
この人はテレビドラマの本を書いたりしたら、いいものを書くんだろうなあ。
メロドラマのできそこないのような今の大河ドラマの本を書いている人と交代するといいかも、なんて思わせるくらい。

とはいえ、どの場面も面白くしないといけない、という強迫観念にかられて本を書いているんじゃないか、という気が個人的にはしました。
ひとつひとつの場面はおもしろいけど、全体としてはたいしたことが描けていない、というのが最大の欠点。
天皇制、80年代という時代、家長制の問題をこんなに浅く、どうでもよく取り上げた適当な芝居を私は知りません。
そういう意味では画期的かな。
芝居の前半でいろんな前振りと思える要素をこれでもか、というくらい振っておきながら、後半さらっと終わってしまういい加減さは、いかにもその場のやりとりさえおもしろければいい、といういい加減さに満ちている気がします。
これって、台詞を書く巧さの弊害じゃないかと。
タイトルの「おどくみ」も全然生きてないよなあ。
終盤に映画監督になりたい若者に、あんな台詞を語らせてしまう無神経さは信じがたいし。
軽いホームドラマ的な小さな世界を描いていれば、すごくうまいけど、大きなテーマを扱うと大失敗してしまう、三谷なんとかという劇作家を連想させるところがあります。

ということで、これはこの作家にとってまったく不向きなテーマだったんじゃないかという気がします。
もう少し別の芝居も見てみますか。(ひ)



欲望という名の電車

2011年04月18日 | 劇場へ
Marlon Brando~'You Must Be Stanley' ~Streetcar Named Desire

パルコ・プロデュース
欲望という名の電車
公演日程 2011年4月12日(火)~5月1日(日)
作 テネシー・ウィリアムズ
訳 小田島恒志
演出 松尾スズキ
出演 秋山菜津子/池内博之/鈴木砂羽
オクイシュージ/猫背 椿/村杉蝉之介/顔田顔彦/
河井克夫/小林麻子/桔川友嘉/井上 尚
http://www.parco-play.com/web/page/information/yokubou/

休憩を挟んで3時間ほどの舞台を見てぐったりしました。
今更言うのも何ですが、テネシー・ウィリアムズを見るのは本当に堪える。
これだけ救いのない話をまっすぐに書けるというのはどういうことなんだろう、と思わずにいられません。
そんな本についての感想が最初に浮かびましたが、この芝居、日本人がやるのはすごく難しい芝居ですね、やっぱり。
南部の大農園に生まれながら、没落の末、ニューオリンズまでくるということがどれだけの絶望を意味するのか、アメリカ人なら説明の必要もないことなんでしょう、きっと。
ただでさえ、相当湿度の高い土地で、一日中、お風呂に入られたりしたら、たった2部屋しかない家がどれだけ蒸し暑くなっているのかも想像がつくんでしょううが、この芝居を見ていると、そんなに暑そうには思えない。
テネシー・ウィリアムズ原作の別の作品の映画を見たとき、その息苦しいまでの暑さに狂気を感じたくらいなんですが、そういうのを舞台で表現するのは大変なのかもしれません。

松尾スズキの演出はかなり原作に忠実でした。
秋山菜津子のブランチが圧倒的だったのに、ステラとスタンリーが薄っぺらかったのが非常に残念。
特に単純で粗暴でそれでいて非常に魅力的なスタンリーに潜む、ブランチとは別の意味での悲劇というものが一瞬でも見えてくれると良かったんですが。
というか、彼がかなり魅力的でないとブランチと彼の関係というのもずいぶん変わってくるんじゃないでしょうか。
ブランチはスタンリーを嫌悪しながらも、一方で魅力を感じていたんじゃないでしょうか。
スタンリーにとっても、没落したとはいえ、ポーランド系の自分とは違う純粋なアメリカ人のおじょうさんだったブランチに対する嫌悪とあこがれはあったはず。

それにしても、ゲイだった昔の恋人も、精神的に追いつめられていくブランチもテネシー・ウィリアムズ本人を連想させずにはいられません。
そんな芝居なのに、「松尾スズキの芝居」を観に来たからでしょうか、とても笑えないような場面でも無理に笑っている方がチラホラといらっしゃるのが気になりました。(ひ)









南へ

2011年03月28日 | 劇場へ
NODA・MAP「南へ」 銀粉蝶コメント動画

NODA・MAP 第16回公演 新作
「南へ」
2011/02/10(木) ~ 2011/03/31(木)
東京芸術劇場 中ホール
http://www.nodamap.com/productions/toSouth/

一週間以上前に見てきました。
3月11日に公演中でしかも火山の噴火という天変地異を扱っているということで、偶然とはいえ、見ていて気が重くなるかな、と思ったんですが、そんなことはありませんでした。
自然災害が扱われているものの、それよりは狼少年の嘘と日本の歴史が持たざるをえなかった嘘をシンクロさせながら、いろんな意味で井上ひさしのオマージュ的要素の強い作品でした。
マスコミに対する強い不信感は「THE BEE 」を思わせるところがあって興味深いし、いろいろいいところがあるんですが、作品全体としては正直いまひとつでした。
全体的に説明過多になっている台詞はお客の理解力に対する不信感なんでしょうか。
説明に次ぐ説明で、話は展開しないのにこと細かに話をされているようですっかり疲れました。
「嘘」が話を展開させるのが、この物語の肝とはいえ、「嘘」が安易に使われ、前半からの謎や前振りがほとんど後半に扱われることなく終わってしまうのも疑問でした。
これだったら、井上作品を野田秀樹が新しく演出してくれたら、と思ってしまいました。
一字一句台詞を変えられない作品の演出は厳しいかもしれませんが、野田秀樹にはそんなチャレンジをぜひやっていただきたい。

クレアモントホテル

2011年02月15日 | 劇場へ
映画『クレアモントホテル』予告編

クレアモントホテル
ダン・アイアランド 監督
2005年/アメリカ・イギリス
35ミリ/カラー/1時間48分
ドルビーSRD/ヴィスタサイズ
原作:エリザベス・テイラー 『クレアモントホテル』集英社文庫
日本語字幕:石田泰子
提供:朝日新聞社、クレストインターナショナル
配給:クレストインターナショナル/
http://www.cl-hotel.com/

久しぶりに映画館に行ってきました。
岩波ホールに行くのは初めてだったのですが、地下鉄の駅からほぼ直結しているのがいいですね。
この映画の原作がエリザベス・テイラーということで少し前から気になっていました。
昨年の秋、エリザベス・テイラーの本が文庫になっているのにビックリして手に取ったら、映画化されると知って更にビックリ。
佐藤泰志のときと同じですね。
本をすぐに買ったものの、まだ読んでいません。
今更、説明するのも何ですが、エリザベス・テイラーと言っても、あの大女優とは別人です。
スティーヴ・マックイーンとか、ジョン・ウエインとか、ロバート・パーマーとか同姓同名
のアーティストは多いですね。
みんな綴りまで同じなのかどうかは知りませんが。
エリザベス・テイラーはイギリスの小説家で日本ではあまり知られていませんが、短編小説が高く評価されています。
日本だと短編のうまい海外の作家というのは知名度が低いことが多くて、この作家もそのひとり。
インターネットを調べてみたら、フランソワ・オゾン監督の「エンジェル」という作品も原作はエリザベス・テイラー。
密かなエリザベス・テイラーのブーム?

それはさておき、映画の方ですが、71年に発表されたとは思えない現代的な設定にまず驚きました。
イギリス人特有のアメリカ人を馬鹿にしたジョークの中で「セックス・アンド・ザ・シティ」の話が出てくるのにはビックリ。
そんな小ネタは入っているものの、全体のストーリーはシンプルかつクラシック。

老後のひとり暮らしを楽しむべく、ロンドンのホテルに長期滞在することにしたサラは予想外の安ホテルに泊まってしまい、宿泊人たちやホテルのサービスとのギャップに悩まされるものの、人びとと次第にうち解けていく。
しばらくして、自分を顧みようとしない娘や孫の態度に寂しさを感じていたある日、孫と同じ年の青年と出会い、交流をもつようになる。

まあ、なかなか現実にはありそうもない話なんですが、ストーリー以外の部分がしっかりしているので、そんなリアリティのなさはまったく気になりません。
人間にとって、自由とは、そして孤独とはどういうものなのか。
年齢を重ねていくことの喜びと悲しみ。
普通に描いたら、相当重苦しいストーリーになりそうなテーマを、軽く軽快に描いているのがいい。
思いがけず、嘘をつかざるをえない状況になっていき、それがどんどん大きな出来事になっていくというのは、三谷幸喜もよく使うコメディの定番ですが、その嘘がみんなの幸せを広げることにつながるというのがいいですね。
幸せだけど、どこか切ないという感じも。
安ホテルで孤独に生活せざるをえない人びとが楽しそうに暮らしているということ自体、ある意味では自分やみんなに嘘をついているといえなくもありません。

素晴らしい作品だったのですが、気になったのは自分の教養のなさ。
ワーズワースの詩が作品中、何度か引用されるのですが、きっと、その詩を知っていれば分かるニュアンスが全然理解出来ていないんだろうなあ。
イギリスに関するファンダメンタルな教養がないということですね。
せめて、映画「逢びき」はちゃんと見るようにしよう。
ノエル・カワード原作だし。(ひ)


黴菌

2010年12月20日 | 劇場へ
12月公演「黴菌」の制作発表、シアターコクーンで30日に

黴菌
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演 北村一輝、仲村トオル、ともさかりえ、岡田義徳、犬山イヌコ、
みのすけ、小松和重、池谷のぶえ、長谷川博己、緒川たまき、
山崎 一、高橋惠子、生瀬勝久
公演日程 2010年12月4日(土)~26日(日)
シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_10_baikin.html

半年ぶりくらいで劇場に行きました。
コクーンの席は窮屈だし、前の人の頭がちらちらして、疲れました。
芝居も3時間半ですからね。
とはいえ、内容は良かったです。
いつも以上に手堅いケラの芝居でした。
ストーリーも人物の関係もすっきりしていて実にわかりやすい。
今までなら、どこかで破綻を作り、そこを楽しんでいるようなところがあったのですが、今回はほとんどなし。
ラジオから、「これはすべて作り事です」というようなアナウンスがながれるところだけ。
まあ、戦時にこれだけ、平和な生活が送れている人びとがいるという異常さを描いている訳だから、破綻はない方がいいのかもしれません。
前半はそれぞれの登場人物がケラのキャラクターらしい、底意地の悪さや裏の部分を抱えている感じだったのに、後半小さく小さく収束していくところも興味深い。
その辺がチェーホフ的作品にした理由でもあったりするのかなあ、と思ったけどよく分かりません。

前半の火星人襲来の話を、このストーリーにリンクさせるというのは素晴らしいアイディアですね。
それだけに、後半にもこ火星人の話やラジオを使った、もうひとひねりがあると思ったんですが。
別にみのすけに火星人になって出てきて欲しい訳じゃないですけど。
(ひ)



富士見町アパートメント

2010年03月08日 | 劇場へ
清水宏「やる気マンマン一休さん」

富士見町アパートメント
■Aプログラム■
『魔女の夜』 作:蓬莱竜太
『海へ』 作:赤堀雅秋

Aプログラムの方も見てきました。
早めに座・高円寺についてアンリ・ファーブルで食事してから鑑賞。
アンリ・ファーブルは劇場の2階にあるレストランですが安くて美味しい。
味も劇場内のレストランにしては画期的にコスト・パフォーマンスがいい。
ただし土日は人が足りないのか、結構いろんなことに時間がかかって、芝居の前に短時間で入るというのは向いていません。
注文しようと思っても、みんな手一杯でなかなかきてくれないし、「今伺います」と言ったのに、そのままずいぶん放っておかれました。
まあ、忙しいんだから仕方ないですけどね。
平日なら大丈夫なのかな?

劇場の建物は階段のところから上や下を見たときが面白い作りになっています。
B1はギャラリーになっていて、ちょっと座ることもできる。
同じ階に劇場も入っています。
全体的にシンプルで多目的に会場が使用できるようになっています。
劇場内の椅子が可動式なのは前回も書きましたが、座っているとつらいんで、座布団のようなクッションくらい着けてほしいところ。

肝心な芝居の話ですが、1本目の『魔女の夜』は4本中、一番ひどい出来。
本が薄すぎて役者が可愛そうだったなあ。
マネージャーとタレントという2人の対話だけでできているシンプルな形式で、あれだけ中身がないと、とにかくつらい。
そこにいない人物の話が何人かでてくるのですが、これがまた全然人物が浮かび上がってこない。
いない人の話をするなら、その人に相当の存在感を感じさせて欲しいものなんですが・・・・・・。
芝居の終わり方も実に安易で、その安易さに一番驚愕しました。

『海へ』の方はすごく良かった。
役者も素晴らしかったし、本も余計な説明一切なしに中年男の馬鹿馬鹿しくも哀しい人生を表現していました。
清水宏の「赤いスイートピー」がしばらく頭を離れなくなったなあ。
人生はほとんど無駄なことでできていて、それはどうにもならないことなんだなあと感じました。
本が盛っている毒を、友情の物語として表現しようとする演出がうまくミックスしているのも良かったのかな。
そういう意味でも4本の中で一番面白い作品でした。

こういうオムニバス作品は普段見ない劇作家の作品に触れられて面白い。
どうせならA,Bの組み合わせを若手とベテランをミックスするべきだったと思う。
普段見ないものを見せるという工夫も大事なんじゃないでしょうか。
ヴァン・ヘイレンの前座をP-modelがやったんだから(って、いつの話だよ)。(ひ)




富士見町アパートメント

2010年03月05日 | 劇場へ
Frosty The Snowman-ロネッツ

自転車キンクリートSTORE
富士見町アパートメント
第7回杉並演劇祭参加作品
作 | 鄭義信、マキノノゾミ、赤堀雅秋、蓬莱竜太 
演出 | 鈴木裕美 
公演期間 2010年02月27日(土)~03月14日(日)
会場 座・高円寺1
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=204

初めて座・高円寺に行ってきました。
劇場のすぐ外に練馬まで行けるバス停があって、個人的にはすごく便利。
劇場に行くのが遅くなって、伊東豊雄が設計した建物をあんまり見られませんでした。
中の座席は備え付けじゃないんですね。
お客の数にあわせて、席数を変えられるということかな?

この芝居は「富士見町アパート」という場所の設定だけ同じものにして、4人の作家が本を書いたオムニバス。
それを2本ずつセットで見るようになっています。
この日見たのはBプログラムの『リバウンド』と『ポン助先生』。


■Bプログラム■
『リバウンド』
作:鄭義信 
出演:平田敦子 池谷のぶえ 星野園美

『ポン助先生』
作:マキノノゾミ
出演:黄川田将也 西尾まり 山路和弘

2人のベテランらしい、堅実な作品でした。
ストーリーはどちらもすごく分かりやすく、ほとんどひねりなし。
もう少し演出でひねりを加えてくれれば、更に面白かったんじゃないか、という贅沢な気持ちもありますが、楽しめる芝居でした。
最前列に座っていたので、「リバウンド」に出てくるアルバムに本物の写真がちゃんと入っていたり、「ポン助先生」の部屋の本棚に並ぶ本がきれいすぎたりするのが目に付きました。
本はレンタルなんだろうなあ、きっと。
でも、あのきれいさは変ですよ。
本屋が舞台ならいいけどね。
漫画がすごく好きで自分で描いていないとおかしいんだから、目立つところだけでも、ボロボロの漫画を置くべき。
やっぱり細部だからといって手を抜いてはいけないのだ。
「リバウンド」ではクリスマスソングをフィル・スペクターの例のクリスマス・アルバムからの曲にしてくれれば更にうれしかったなあ。
きっとクリスマスの営業をやってたら歌ったと思うんだけど。

山路和弘という役者が印象に残りました。
青年座にいる人でドラマや映画に出たり、声優もやってたりするんですね。
仮面ライダーでは何の役だったんだろう。
Aプログラムもこれから見に行く予定なので、建物もじっくり見てきます。(ひ)