ババジ マハサヤ師の最後のカルマを取る2014・9・29
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一度足を延ばしたいという、悲願だった
ババジとマハサヤ師の洞窟にて。
ここで、ババジから、当時、最後の欲望
としてマハサヤ師の心に残っていた
”宮殿を見たい”というカルマを取り
除くために、一時的に、幻想的に、
現実的に表れた”宮殿”をマハサヤ師は
見せられた。
ヒマラヤの不死身の大師、ババジが ヨガナンダ師の大師匠である、
ラヒリ・マハサヤ師をヒマラヤに ”会社の転勤”という形で呼び寄せた。
そんなことは、想像もしていない、マハサヤ師は、仕事の合間に、山道を散策
していた。
すると、自分の名前を呼び掛ける声が聞こえた。
気が付くと、かつての(以前の人生で)恩師であった、ババジが立っていた。
”過去の修行生活”、”ババジとの師弟関係”、の記憶は、すぐには戻らなかった。
今は、生まれ変わって、普通の市民として生活していた マハサヤ師にとって、
ババジとの対話中には、過去を思い出させるものが、なかった。
そこで、ババジはマハサヤ師を、過去生でババジのもとで瞑想三昧したかつての
修行所であった ”岩屋”に連れて行く。
マハサヤ師が当時 使っていたものも、見せられた。
こうして、ここで、マハサヤ師は 消された記憶がすべてよみがえってきて、
感涙にむせんだ。
ババジは、マハサヤ師に、”体を河で浄めなさい”と命じた。
感無量でマハサヤ師は 極寒のヒマラヤを流れる、川に、寒さを感じることも
なくその身を横たえたに違いない。
その箇所を ヨガナンダ師の本から、引用する。
“私はババジの言われた通りにした。
凍りつくようなヒマラヤの夜が あたりを包み始めたが 私の体は内から
わいてくる温熱で快く脈打っていた。
それは、不思議でもあり驚きでもあった。
あの得体のしれない油の中に、宇宙熱でも秘められていたのだろうか!
真っ暗な闇の中で寒風が恐ろしい唸り声をたてながら、私の周りを狂い
まわっていた。
ときどき、ゴ~ガッシュ川の冷たい、さざ波が岩だらけの川岸に、あおむけに
横たわっている私の体の上まで打ち寄せてきた。
虎が近くで吠えていた。
私の心は少しも恐怖を感じなかった。
内部からわいてくる輝かしい力が私に、何物にも害されぬという確信を与えて
くれたからだ。
数時間が瞬く間に過ぎた。“
時間を忘れて川で身を清めているマハサヤ師のかたわらに、一人の男が 立って
いた。
ババジが、迎えのために送り込んだ、弟子のひとりだった。
マハサヤ師は、その男の手で抱き起されて、乾いた服を手渡された。
“大師がお待ちです。” と男は、マハサヤ師を先導して、森の中に入って行った。
そして、ある曲がり角をまがった。
すると、急にあたりの闇が光に照らされているように明るくなった。
“あれはまさか、日の出ではないでしょうね?”
とマハサヤ師が尋ねると、
“あそこに見える光は、われわれ大師ババジが今夜あなたのために、御建てに
なった黄金の宮殿の光です“
と 男は応えた。
それはどういうことなのだろう?
実は、マハサヤ師の心の深層に、気づかない欲望が一つ充たされないまま
残っていたのだ。
それは、“豪華な宮殿を 一度で良いから、観たい”という潜在意識に潜んで
いた、唯一の”現世的願い”だった。
その願いは 現象世界にマハサヤ師をひきつけている最後のカルマになっていた。
男は続けた。
“大師は今、あなたのその願いを叶えてくださったのです。
こうすることによって、あなたの最後のカルマの束縛から解放れるように!
あのすばらしい宮殿は また、あなたが今夜クリヤヨガの引導を受けられる
場所でもあります。
あなたの兄弟たちもあなたを喜びの歌で迎えるためにあそこに集まっている
のです。
ごらんなさい!”
と指差した方を見ると、そこには、〝壮麗な黄金の宮殿“ が出現していた。
ここからは 不思議なマハサヤ師の体験談の醍醐味を失わないために、少し
長いが ヨガナンダ師の著書からそのまま引用したい。
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見事な庭園の中央には 無数の宝石に飾られた,輝く宮殿が静かな池の水に
影を映している姿はたとえようもない豪華な景観だった。
高いアーチに飾られた通路には、大きなダイヤモンドや、サファイヤや
エメラルドなどの宝石が技巧をこらしてちりばめてある。
そして、赤く燦然と輝くいくつかのルビーの門のわきには、天使のような
気高い顔をした聖者たちが立っていた。
私は案内の男のあとについて、広々としたホールに入って行った。
そこここに、かぐわしい香料やバラの香りが漂い、ほのかな照明が多彩な光
を投げかけていた。”
この建物の美しさ、人間の想像をはるかに超えている宮殿が
”どのようにしてできたのか?” と、マハサヤ師は案内の男に尋ねた。
男は答えた:
“この建物が一夜にしてここに出来上がったことについて、別に不思議は
ありません。
宇宙の万物は、創造主の想念が具象化したものです。
宇宙空間に浮かんでいるこの地球という重い土の塊も、実は神の夢にすぎません。
神はすべてのものを、ご自分の心から創りだされたのです。
それはちょうど、われわれ人間が夢の意識の中で、いろいろなものを創造し
かつ、活動させているのとまったく同じです。
神はこの地球を、最初観念として御つくりになりました。
そして、それに活性を吹き込まれると、それは原子エネルギーになり、次いで
物質という形をとるようになったのです。
神はいろいろな物質原子を適当に配列して、この地球という物質の天体を
造られました。
そのすべての分子は神の意思の力によって、現在の状態を維持している
のです。
ですから、もし、神がそのご意思を撤回されれば、地球のすべての原子は
エネルギーに還元し、さらに、その原子エネルギーは、その源である意識
に戻って、地球の観念も客観性を失ってしまいます。
夢を構成する実質は夢を見る人の潜在意識が描く想念によって、造られます。
しかし、このエネルギーを凝集する働きをする想念が、目が覚めることに
よって、撤退すると夢とその構成要素は消えてしまいます。
われわれは眼を閉じて、夢の世界を創りだしますが目が覚めると、それは自然
に消えてしまいます。
これは神の創造方式とまったく同じ方式になっているのです。
また同様に、人がひとたび、宇宙意識に目覚めると、宇宙的夢であるこの
物質界の幻覚も自然に消えてしまうのです。
無限の創造力を持つ神のご意思に意識を同調しておられるババジは、あらゆる
元素の原子を自由に結集して、どんなものでも物質化することができるのです。
一瞬のうちに建てられたこの黄金の宮殿も、地上の他の物質と同様、現実の
ものです。
ババジはこの美しい建物をご自身の心から創造され、意思の力によって、
それを維持しておられるのです。
・・・この建物が、その目的を果たした後は大師は再び、それを無に還元して
しまわれるでしょう。“
こうしてババジの造りだした宮殿への一夜の誘いを受けたラヒリマハサヤ師は
そこで思う存分、最後に残されていた欲求、贅沢な豪勢な生活を本物の宮殿で
味わってみるという夢を果たした。
その宮殿に集まった多くの聖者たちとともに贅を尽くした会食もする。
時代を経ても永遠に変わらぬ マハサヤ師のグル(師匠)ババジによって、
その夢はかなえられ、目的が果たされると、そして、一夜の夢は瞬く間に
冷めた。
”さあ、行こう!”
~ババジがこういうと、今まであった豪華絢爛な夢の宮殿は 瞬く間に元の岩屋
や乾いた大地と変貌した。
宮殿を構成していた、ババジの意思で集められた原子は、宇宙に戻ってエーテル
の中に雲散霧消したのであった。
その洞窟に座り、私は、この
エピソードを想いながら瞑想
しました。