




①” 阿” アの音 についての、考え方
この音は、”在って在りし音”、”自ら生じて存在する”音と言われている。
真言宗で行う観想”ア字観”の”ア”であり、言霊として、とても重厚な意味合いを持つといわれる。
その”ア”の響きが、”額のチャクラ”を共鳴させる振動となる。
繰り返し、この音を響(ひび)かせるだけで、空間を開かせるという。
そのためには、大切なことが一つある。
この音を発しながら、意識して、空間を作り出そうとしないということ。
なぜなら、”空(くう)”は、”内在する本質”として、すべての人の心の中に、すでに存在しているのだから。
むしろ、心の空間に置かれている、さまざまな感情や気になる事象が “ア”の音の波動で、一掃されていく様子を見つめていくだけにする。
それによって、心の中に、すでに存在している、 純粋で無限に広がる空間が見えてくる。
不満や、自分にかけているとか、不足した資質を思い浮かべることは、人の常だがむしろ、それらを意識しながら、“ア”の音を発することで、その言霊が それらを、一掃していくことがわかるという。
たとえば、怒りの感情を意識したら、その“感情を壊そう”とするのではなく、べつのところへ”たどり着くための道に変えよう”と意識する。
“怒りは、道になって、自分の前に進む道をより明瞭にさせる。
私は、今、感じている怒りを、別の場所に行くための道に変える。
今の状況を、自分が、さらに大きく成長させるためのきっかけとするのだ”
怒りのみならず、無関心や憎しみ、さらには嫉妬や疑いなども、“ア”を唱えながら、静かに見つめてると、自分を、成長させてくれるためのエネルギーに変化していくという。
そして、 “ア”を唱えているとき、かかえている問題を熟慮したり、深く考えて分析しないようにと、ゾクチェンは言う。むしろ、問題を目の前に置き、向き合うだけ。
“アの響きによって、真実を曇らせるものが浄化されたら、そこに、空間が広がる。そしてその空間に、変わらぬままとどまろう。
痛みや不満、そして怒りを意識しながら繰り返し”ア”の音を、歌い、すべての妨げを浄化し空間を開き、広げていこう”
とゾクチェンでは 言うのだ。
要は、判断したり、分析したり、解釈を加えながら、苦悩を見つめるのでなく、ただ、漂う雲のように扱い、少しずつ、アの音の余韻とともに、流れ去っていく様子を見まもるだけ。