
池見博士と自然治癒力セラピー協会の考え方の接点
(1) 2024年6月30日
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今日から数回にわたり、池見博士の診療の指針と、自然治癒力セラピーの健康へのアプローチとの、接点を考えたい。
前置き)
池見博士は、私の知る限り、最も尊敬する医師である。
自分の最期は、(一般的な西洋医術では自分は納得できないし)、(解剖に回されたり警察に引き渡されたりする手間がないように)(さらに、家族への説得のために)心身医療に特化した池見博士のような医師にご協力いただいて、自宅で静かに息をひきとれたら理想的だと思っていた。
心療内科を日本で設立された博士は、すでに天国へ旅立たれた。
心療内科は、その後、各病院で増設されていったようだ。
創立者の池見博士のような、極めて、スピリチュアル的(あえて、この言葉を使うが)で、心理学的な奥深さと医科的専門知識を兼ね備えた、達人を、私は知らない。
今日のお話は、博士が特有に分類した”人の心”について・・
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池見博士は、人の心を、三つのパートで呼んでいる。
イ)P(parent) = 親の心
~理想や良心を司る心、
周囲への思いやり、
Pの二面性:
①無条件の愛に近い、母親的なP
②正義に反した事への批判、叱責、処罰を行う、
父親的要素のP
ロ)A(adult)=大人の心
~主体的自我で、創造的な営みを司る。
現実的適応と、個性に即した自己表現を行う。
ハ)C(child)=子供の心
~・本能的な欲求や、感情を含み、生命活動を司る。
そのための二つの基本的原理、ホメオスターシス*と、
ふれあいを求める
・愛情を繋げる役目、順応的な自分。
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池見博士は、病状を分析して、その原因は、人の心に
起因することを知り、上にあげた、三つ心のパーツの、
バランスや、家庭環境での影響を吟味して、心療的に
そして西洋医学の内科的に、治療をすすめた。
(私たちも、自分自身で、この三つのパーツを理解して、バランスを取るためのコントロールができれば、症状の緩和や、日常の健康管理も、可能になるだろう。
なぜなら、調和した心の波動こそが、自然治癒力を発動させるエネルギーだからと、この協会では考えるから。)
たとえば、とても神経質な人がいる。
イライラや不安が、強いため、ストレスに弱い、胃腸が、常に不調だ。
こうした症状の患者に対して、池見博士は次のような所見を述べる;
”赤子や幼児期の初期に、親から十分にスキンシップを与えられていない子供たちは、成長してから団体の中になかなか溶け込めない。
友人をつくることが苦手で、対人恐怖症になったり、一人でパソコンが唯一の遊び相手となる。
ゲームに興じたり、常にパソコンをにらめっこしていることで、何となく、安心する。
その結果、自分の順応できる周囲が狭まり、必要以上に外部の刺激(対人関係を含む)に神経質になりがちだ。
また、相手との協調性がないため、どのように対人関係をこなすか、わからないまま大人になって、社会生活になかなか馴染めない人達は、少なくない”
さらに、神経症が嵩じた発達障害と言われる人たちは、
”職場でうつ病になりやすい。
共通している環境は、幼児期の、母親とのふれあいが少ない。”
これは、一世代の問題には留まらない。
なぜなら、そうした子供が大人になり、家庭をもったときその影響は、次の世代の子供たちにも、波及するからだ。
”そういう、子供が母になったとき、自分の赤子にも、愛情を感じられず、育児の最中、イライラ感を募らせて、育児拒否や家庭内暴力(子供に対して)が 起きたりする。”
という、ケースが少なくないからだ。
この例でわかることは、”親から十分にスキンシップを与えられていない子供”は、上の表でいう、Pの部分が欠落している。
サルの実験でもこれは証明されたが、乳幼児期に親とのスキンシップが十分に与えられた場合と比べて、成長ホルモンの分泌が悪く、成長して精神の安定度が、低いということになる。
では、神経質症的な要素が、こうした原因からできたと分かった場合はどうしたら良いのだろう?
それは、また、後程、池見博士流の方法をご紹介したいと思う。
続く・・・
参考)
”セルフ・コントロールの医学” 池見酉次郎s・57年9月1日 日本放送出版協会
”ストレス健康法” S.50 池見酉次郎 ㈱潮文社
”セルフコントロールー交流分析の実際” 池見酉次郎 杉田峰康 2007年創元社
”続心療内科” 池見酉次郎 1973年 中央公論社
”心療内科” 池見酉次郎 1963年 中央公論社