"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“あなたの一だけをひたすら書きなさい”

2011-10-20 02:51:11 | 日記

致知出版社よりお送り頂く「人間力メルマガ」よりです。

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     致知出版社の「人間力メルマガ」

                【2011/10/19】 致知出版社編集部 発行
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   このメールマガジンでは、
   人間学を学ぶ月刊誌『致知』より
   そのエッセンスの一部をご紹介しています。

       * *

      本日は『致知』2003年10月号より、
      和紙に自作の詩と絵を描き、心の風景を綴る
      言の葉墨彩画家・ひろはまかずとし氏の
      心に残るお話をご紹介いたします。


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       「あなたの一だけをひたすら書きなさい」
       
       
       
            ひろはまかずとし(言の葉墨彩画家)
        
              『致知』2003年10月号
               特集「人生を支えた言葉」より
            

                      ※肩書きは掲載当時です。


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 実は私は、子どもの頃から字が下手でした。
 普段書く字はもちろん、書道も絵も、
 通知表の評価ではいつも1か2でした。
 
 そういう人間がいま、言の葉墨彩画家として
 たくさんのファンの方々に恵まれ、一定の評価を得ています。
 書家や画家の方から一度も非難を浴びたこともなく、
 むしろそういう人たちの中にも私のファンの方がいます。
 
 この事実は、とても大きな教訓を含んでいると思うのです。



 中学時代のある日のことでした。
 
 国語の先生がお休みで、代わりに教頭先生が
 授業を受け持ってくださったことがありました。
 
 教頭先生は「きょうは習字をやろう」とおっしゃり、
 字の嫌いな私が憂鬱な思いを抱いていると、
 教頭先生は半紙を一人二十枚ずつ配り、
 
 
「横棒の一だけを書きなさい。
  一に決まりはないから、何も考えずに
  あなたの一だけをひたすら書きなさい」


 とおっしゃったのです。
 
 教頭先生は黙々と書き続けている生徒の周りを回り、
 各々の字を褒めては頭を撫でてくださいました。
 私はその時間中に三十回くらい頭を撫でられました。
 
 文字で褒められたことのない人間が、
 一という文字を書いただけで褒められた。
 私にとっては、目から鱗が落ちるような嬉しい体験でした。
 
 教頭先生は授業の終わりにこうおっしゃいました。
 
 
「文字はすべて、この一の組み合わせなんだよ。
 だから、素晴らしい一を書ける人間に
 素晴らしい字が書けないわけがない。
 
 書けないのは、格好いい字を書こうとか、
 見本通りに書こうと思うからで、
 一本一本思いを込め、愛を込めて書くだけで、
 自分にしか書けない素晴らしい字が出来上がる。
 
 このことは、人間の生活すべてに
 当てはまることなんだよ」
 
 
 その教頭先生の言葉がいまの私の創作活動、
 そして人生を支え続けてくれているといっても過言ではありません。

(転載以上)
 
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字が下手で、“普段書く字はもちろん、書道も絵も、通知表の評価ではいつも1か2”だったひろはまさん。

“そういう人間がいま、言の葉墨彩画家としてたくさんのファンの方々に恵まれ、一定の評価を得ている”こと。


ひろはまさんの人生は、中学生の時に受けた、このたった1コマの授業で変わったのですね。


教頭先生から“三十回くらい”(笑)、頭を撫でてもらったひろはまさん、


“文字で褒められたことのない人間が、
 一という文字を書いただけで褒められた。
 私にとっては、目から鱗が落ちるような嬉しい体験でした。”


人を教えることの難しさ、そしてとてつもない素晴らしさを感じます。


“文字はすべて、この一の組み合わせなんだよ。
 だから、素晴らしい一を書ける人間に
 素晴らしい字が書けないわけがない。
 
 書けないのは、格好いい字を書こうとか、
 見本通りに書こうと思うからで、
 一本一本思いを込め、愛を込めて書くだけで、
 自分にしか書けない素晴らしい字が出来上がる。
 
 このことは、人間の生活すべてに
 当てはまることなんだよ”



たった横棒一本の“一”。

それを人の生き方にまで広げて教える教頭先生。


たった一人でも、その方の人生が好転する手助けが出来ること、これにまさる喜びはないでしょう。

それはまた、まだ中学生だったひろはまさんが、教頭先生の言葉や行動を、自分の胸でしっかりと受けとったからこその奇跡でもありますね。