先日の中国での痛ましい事故、“天災”ではなく“人災”と中国国内でも糾弾されています。
原因究明の鍵となる車両を、まだ遺体(だけではないかも知れない)が残っているにもかかわらず、埋めてしまったり、また掘り起こしたり・・・、
被害者遺族の行動を監視したり、原因究明の前に補償の話を持ち出したり・・・。
一方で、このニュースを読み上げる中国のTV局のアナウンサーが、言葉を詰まらせたり、遅れて現地入りした温家宝首相に強い調子で詰問する記者が現われたり、
この事件をきっかけに、中国国民やマスコミの変化も起きているように思います。
ダイヤモンドオンラインより、姫田小夏さんというジャーナリストの方の記事です。
“高速鉄道事故の陰に腐敗と安全軽視” “鉄道金脈”を食い物にした男と女 というタイトルです。
姫田さんが友人の紹介で会う予定だった“石炭拾いから始まったエルメスおばさん”こと 丁書苗さんは、会う前に逮捕されました。
丁書苗さんは、“前鉄道相の劉志軍とはただならぬ関係”でした。
そこに“鉄道金脈”における腐敗の構図が見えて来ます。
“「彼ら2人は互いにうまく利用しあい、劉志軍は自分の利権を使って丁を儲けさせ、丁書苗は劉志軍が“仕事しやすい環境作り”に励んだ」”
“丁書苗から劉志軍の手に渡ったバックマージンは、8億元(中国国内紙「経済観察報」)とも、20億元(香港紙「明報」)とも言われている。”
“中国の鉄道が高速化したところで、誰にどんな利益があるのか――。「当の利用者である国民は乗車券が高すぎて買えない上に、国家予算を浪費しただけ」、そんな厳しい世論が鉄道部に向けられている。結局その利益に浴したのは、官僚とそれに群がる“石炭おばさん”のようなハイエナたちだけだといっても過言ではない。国家予算を食い物にする彼らの頭に、「安全」の二文字など存在しなかったことだけは明白だろう。”
最後の行を読みながら、ん?ちょっと待てよ、と思いました。
国民の「安全」は二の次で、膨大な予算を注ぎ込み、実際にその利益に浴したのは、一部の政治家、官僚、企業、そしてそれに群がるハイエナたち・・・。
都合の悪いものにはフタをし、情報操作しようとすること・・・
今、電力会社や保安院の“やらせ”問題がクローズアップされていますが、それも含めて
中国のことだと思っていたこの話、日本の原発運営、そして福島の事故にそっくりなのではないでしょうか。
むしろ、日本にも、首相に面と向って議論できる記者が出て来て欲しいと思います。