独立行政法人 理化学研究所の研究で、世のお母さん方は、赤ちゃんに話しかける時に、脳をフル稼働させていることがわかったそうです。
調べたのは、次の6グループ。
(1)親の経験のない男性
(2)親の経験のない女性
(3)前言語期※1乳児の父親
(4)前言語期※1乳児の母親
(5)二語文期※2幼児の母親
(6)小学一年生の児童の母親。それぞれ20名程度。
マザリーズを聞いたときの脳活動をfMRI※3で測定してみると、
(4)前言語期※1乳児の母親の脳は、言語野がフル活動。
マザリーズを聞いているだけで発話にかかわる脳部位が活動したことから、脳内でシミュレーター※6が活発化していることが考えられるそうです。
この時期の赤ちゃんを持つお母さんのマザーリーズ(母親ことば)は、一番声が高く抑揚やリズムが強く、ゆっくりとしてるそうです。
そして育児語に対しても言語野が強く反応したとか。
話せない赤ちゃんと必死でコミュニケーションをとろうとしているので、脳が活性化するのでしょうか?
次いで活動的だったのは、(5)二語文期※2幼児の母親。
この時期の母親は声の高さが低くなるものの、抑揚や育児語を使うとか。
小学生の母親では、自分の子どもにマザリーズを使わない為か、脳活動を観察してもマザリーズにまったく反応しなかったとのこと。
子供の成長に合わせて、お母さんの脳の使い方も変化しているのですね。
面白いのが、(3)前言語期※1乳児の父親が、マザーリーズを聞いても脳が活性化しないこと。
お父さん…興味ないんかい!と突っ込みたくなります。
まあ、興味がないんだろうな。
「んー、ごきげんでちゅねー。まんまおいしかったでちゅかー?」
「はーい、おみゅず、ごっくん。おいしかったー」
ってあやしている父親は一般的ではありませんから。
親の経験のない男女でも脳活動は見られなかったことも、興味のなさを示しているような気がします。
この脳の活性化、子供(赤ちゃん)の発育時期だけでなく、個人差もあるそうです。
社交性や活動性を示す「外向性」が高い人ほど、発話運動にかかわる運動野※5が強く活動する傾向を示したとか。
むむむ、社交性のある人ほど、赤ちゃんとコミュニケーションをとりたがる。ということでしょうか?
産後うつの母親はマザリーズを話さず、平坦な口調になることが知られています。
さらに、母親がマザリーズを話さないことで、乳幼児へ悪影響を及ぼすことも示唆されています。
マザリーズの脳機能解明により、産後うつの診断や母親のメンタルヘルスケアの技術開発に貢献するものと期待されます。
ということなので、マザーリーズを話した方が、赤ちゃんとコミュニケーションをとりやすく、それがお母さんと赤ちゃんに好影響を与える。と理解して、いいのか?いいよね?
そういえば、姪や甥ともコミュニケーションらしきものを取れたときには嬉しかったし、脳みそがフル回転している感覚がありました。
あれは矢張り、脳が活性化していた。と言うことなのでしょうね。
-育児経験、性差、個性により親の脳活動の違いが歴然-
ポイント◇
- 言葉を話す前の乳児の母親は、マザリーズを聞いたときの言語野の活動が最も盛んに
- 「外向性」が高い母親ほど発話運動にかかわる運動野の活動が上昇
- 他人のマザリーズを聞くだけで、脳内でシミュレーターが作動
独立行政法人 理化学研究所 プレスリリース(8月10日)
【子どもの言語発達に合わせて親もマザリーズ(母親語)の脳内処理を変化】
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2010/100810/detail.html#fig04