今日は『バスラの図書館員』を。
これは本当にあったお話だそうです。
舞台はイラク最大の港町・バスラ。
2003年に始まった米国のイラク侵攻下で起こった、
《最も信じられないような話》です。
マリア・ムハンマド・バルクさんは、バスラの中央図書館の司書責任者でした。
戦争の足音が聞こえる中、マリアさんは図書館の蔵書を守ろうと役所に掛け合います。
役所は相手にしてくれなかったので、夜少しずつ自分の車に本を運びました。
2003年春。イラクへの侵攻がバスラに達すると、図書館に残ったのはマリアさん1人。
図書館の本を守ろうと、マリアさんは友達のアニス・ムハンマドさんに助けを求めます。
マリアさんとアニスさんとアニスさんの兄弟達と、アニスさんのレストランで働く人達。
そして近所の人たちは徹夜で本を運び出しました。
そして9日後、図書館は消失したのです・・・。
イラクへ侵攻したのも米国なら、この話を最初に世界に伝えたのも米国。
という所に歴史の皮肉を感じます
本の売り上げの収益の一部は、全米図書館協会の基金を通じて、バスラ中央図書館の再建の為に使われるとのこと。
表紙を開けると、この話を最初に伝えたニューヨーク・タイムスの記事の一説。マリアさんの言葉が引用されています。
『コーランのなかで、神が、最初にムハンマドに言ったことは、《読みなさい》ということでした』
この言葉から、マリアさんがどれほど《司書》という職業に誇りを持っているのかが伺えます。
マリアさん達が守ったのは蔵書の70%に当たる3万冊
本当に《信じられない話》です。
マリアさんの望みが、胸に迫ります。
療養中の今も自分の望みを信じているマリアさん。
司書の鑑、と言わせていただきたい。
私の住んでいる府は、超財政難。
新しい知事の下、財政再建に乗り出しています。
先日とある講演会で、出演者の方が開口一番おっしゃっていました。
「知事は、本を読まないんですよ!芸術にも古典芸能にも興味がないそうで、スポーツが好きなんです」
「見たまんまやないですか」
つかみと突っ込みに皆大笑い。
確かに新しい知事は、某社会派討論番組に出演してた時、
自分の意見は雑誌を読んで決める。
と発言した傑物・・・。
府立の文化施設を《税金の無駄遣い》といって関係者を震え上がらせています。
「中之島図書館、中央図書館は存続させるべき。そのほかの府の施設は基本的には不要だと思う」
とも発言されていて、吹田にある国際児童文学館は、他図書館に統合のようです。
私的には実に嘆かわしい。
マリアさんに、ぜひ知事を叱っていただきたい。