『弥勒の掌』我孫子武丸
文庫になった記念で読みました。
何度読んでも、《読後吐きそうに》なります(←褒め言葉)
相変わらずのストーリーテラーぶりも健在で、大雑把と思えるのに緻密な作品。
ただ、読後吐きそうになるんだよなぁ…![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/body_deject.gif)
愛する妻を殺され、汚職の疑いまでかけられて追いつめられたベテラン刑事、蛯原。妻が失踪し、途方に暮れる高校教師、辻。否応なく事件の渦中に巻き込まれていく二人は、やがてある新興宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのだが……。 新本格の雄が実に13年ぶり(!)に書き下ろしたミステリ長篇は、綿密な警察取材を踏まえた本格捜査小説です。待ち受けるのは唖然呆然、驚天動地の大破局! ミステリの神が微笑む瞬間を、あなたもぜひ味わってください。(II)
愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事・蛯原。 妻が失踪して途方に暮れる高校教師・辻。 事件の渦中に巻き込まれた二人は、やがてある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのだが…。 新本格の雄が、綿密な警察取材を踏まえて挑む本格捜査小説。 驚天動地の結末があなたを待ち受けます。
というのが、版元の宣伝文です。 この宣伝文に、寸分の狂いもないのです。 ただ、読後感が…。 ミステリを読んでいると、頭の中で構築した世界が音を立てて崩れていく瞬間が訪れます。 事件の真相が明かされるとき不安定な世界は崩れ、探偵が再構築した事件の真相が、読者と世界を安定させます。 京極夏彦先生は、混乱した世界を妖怪という道具を使って鎮めてみせてくれます(榎木津は破壊しつくしますが)。 宮部みゆき先生の、世界が反転した時のカタルシスは爽快です。 『弥勒の掌』で明かされる事件の真相は確かに 唖然呆然、 そのうえ、 驚天動地の大破局!
破局にも、程があるぞ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_lose_m.gif) ミステリのとあるお約束をあえて無視してあるのですが、無視したからこそ生まれた作品だと思います。 だって、ねぇ。読む方は思い込んでいるじゃないですか。 あえて言おう。 これは2時間ドラマにも、映画化にも向かない作品だと。 完成度は高いですが、映像化は不可能です。 (理由は読んでいただければ…) |
速水三兄弟シリーズや人形シリーズを読み返して、口直しをします。
『殺戮にいたる病』を書いた作者なだけあるよなぁ。