今宵、「銀河鉄道の夜」に訪問していただき、ありがとうございます。
現実世界に疲弊した皆さまを、夢とロマンの時空にご招待いたします。
それは、昨年11月中旬のことでした。
たしか、平日の昼過ぎだったと記憶していますが、被災地タクシードライバーの私が石巻市内某地区から40歳前後の男性客を車に乗せて同市内渡波地区までお送りしている途中、日和大橋を通過していたとき、
「この橋は出る(幽霊)という有名な橋ですね。実は、私の職場の宿泊所がこの橋の近くにあるのですが、時々、夜中に建物の周りを誰かが歩く音や話し声が聞こえるんですよ。やはり、亡くなった方の霊でしょうか。運転士さんもこの橋のことを何か知っていますか」
突然、男性客が不安げに訊ねてきました。
「ああ、はい。この橋のお化け話については、地元では有名になっているんですよ。私の職場のタクシードライバーの話によると、以前、夜になればこの橋の上を数十人の幽霊が行進しているのを地元の多くの人たちが目撃してしまい、一時的に夜間は通行止めになったそうです」
そこで、私は得意げに語り始めたのです。
「えっ! やはり、出るんですねえ。運転士さんも夜になってから、この橋を通るときもあるんでしょう。怖くないですか?」
「いえ、私には霊感がないので大丈夫ですよ。それよりも怖いのはタクシー不況ですね。最近はタクシーを利用するお客さんが圧倒的に少なくなり、私たちの給料が歩合制ですから売り上げが悪いと直接生活に影響が出るんですよ……ヤクザだろうが幽霊でも、金さえ払ってくれれば誰でも乗せますよ」
と、私は高笑いしながら乗客に豪語してしまいました。
しかし、このことが後に災いとなってしまったようです。
この日から1週間後の午後10時過ぎ、石巻市内から酔いつぶれた30代と思われる男性客を乗せてこの橋を通過し、石巻漁港の交差点付近に差しかかったときでした。
前方100メートルくらい離れた道路上をセミロングヘアーの若い女性が1人で横断していたために私は車を減速させました。そのときは、反対車線を走行してきた車のライトに照らされた女性が黒いシルエットのように見え、道路の反対車線方向の闇の中へと消えていきました。
(ん? 若い女性が夜遅くにこんな場所を1人で散歩か……危ないな)
女性のことが心配になった私は、何気なく女性が横断し消えていった方向を見た瞬間、全身が凍りつきました。当時(現在も)、道路は工事中であり、私の車が走行した車線と反対車線は高さ約2メートルのフェンスで仕切られていたのです。
つまり、女性(?)はフェンスをすり抜けながら道路を横断したということです。
それでも、フェンスのどこかに女性がいるのでは、と確認するため車を徐行させて必死に周囲を見まわしたのですが、女性はおろか誰一人いませんでした。
乗客はぐっすり眠っていましたので、無理に起こしてまで話すことなどできませんし、それに絶対信じてくれないでしょう。
(まあ、いいか。きっと、誰かに会いたかったのだろう。それとも死んだことを受け入れられないのかなあ。気の毒に……)
そう思い、心の中で合掌してしまいました。(クリック)
憑依されたとか、何か危害を加えられたとか一切、そういったことはありませんでした。
ちなみに、私の視力は左右ともに1・5と、夜間でも抜群によく遠方までも見ることができます。
また、現職の刑務官時代、人を「見る=視る=観る」職業に就いていましたので
幻覚や何かの見間違いではないと、自信をもって断言できます。
霊感の全くなかった私は今回、ハッキリとそれを見てしまいました。
このブログでも時々、心霊と生命現象について科学的見地から記載してきましたが、実は、これまで誰かが「幽霊をみた」という心霊体験については懐疑的でした。
地球上の生物なども含めた物質は素粒子からできており、量子力学では素粒子は波(物質波と生命波)であると説いています。あらゆる物質は人間の可視光領域の範疇にそれぞれが固有の波動で存在しており、したがって『見えるもの』は全て物質だと捉え、心霊などの質量を持たない、あるいは存在しないかもしれないものは物質ではないため絶対見えないものだと信じてきたのです。
ですが、今回私が自ら体験したことにより、心霊現象に対するこれまでの認識を根本的に改めなくてはなりません。
私たちが住む3次元宇宙空間には、生命のほかに物質ではない未知の何者かが存在している事実を否定できなくなったのです。
この世とは、特に生命現象についてはミステリアスです。在来科学に固執しているうちは絶対、このミステリー現象(生命と霊魂)については解明できないでしょう。
今日まで迷っていました。
ブログといえども、私自身が初めて体験してしまった心霊現象に関する記事など真面目になって記載することを。
時々、メディアで報じられている心霊現象について、常に非科学的であると捉えていた私にはかなりの抵抗感があり、また、被災地のご遺族の方々には大変不謹慎極まりない記事になってしまうのでは、と思慮していたからです。
そういえば先週、石巻市内某スーパーで夕方の買い物を終えた50代後半の女性客が渡波地区まで行くというので発車直前、「日和大橋を通っていきますか?」と私がコースを確認したところ、女性客は「だめ! 内海橋の方から行ってちょうだい」と即答してきました。
そこで、発車してからそれとなく事情を訊くと、やはり女性客は日和大橋にまつわる心霊現象を知っているため異常なまでに怖がっていたようで、日和大橋は通りたくないとのこと。
さらに、私が「実は、金さえ払えば幽霊でも乗せます云々」と放言したことが原因で私までも心霊体験してしまった旨、その経緯の一部始終について女性客に話すと、
「そんなこと言ったの。バカだね、だから……」
と、女性客が呆れかえっていました。
それからは、私は夜間になると空車のときだけですが、二度とこの橋を通れなくなりました。本当ですよ(笑)
初めての心霊体験でしたが、怖いというよりも、なぜか悲しい気持ちになりました。
ところで、話は変わりますが、年が明けて新年を迎えたところです。
今年もよろしくお願いいたします。
平成30年元旦 河村 龍一