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お昼を食べながら、他愛も無い話だけど、エイジさんのやわらかで嘘のない受け答えにまるで水が流れるような心地よい会話が弾んでいた。
「服は何処で買ってる?」
「LL Beanですね。安くて丈夫、あのノースなんとかは高いね。」
「そう、高い。ノースなんとか。ノース、ノース、なんだっけ?」
「ええーっと、ノース、ノース・・・やばいね、俺たち。」
「任天堂で脳年齢ゲームってあるの知ってる?面白いんだよ。ホラ、こうやってやるの。」
と見せてくれる。
「で、いくつだったの?脳年齢。」
「ん?言えない。でも任天堂はちょっといいよね。発想にオリジナリティがあってね。」
「そう言えば二年くらい前にね、LAで毎年やってるゲームショーって言うのに取材に行ったんですよ。そこでね、もうガンガンゲームの音で気が狂いそうになってたんだけど、任天堂の社長にインタビューしたの。けっこう若い人なんだね。で、終わって片付けしてたらなぜかその部屋に僕と社長の二人きりになった時があってね。あっ、これは、と思って、社長に言ったの、『どうぞこのままノーセックス、ノーバイオレンスでやって行ってください、子供達のためにお願いします。』ってね。そしたら社長は『わかりました。』って言ったのよ、いちおうね。ほんとに分かったのかな。」
何のひっかかりも無いと言うのか、いつまでもいつまでも話していても楽しいような不思議な時間が過ぎて行ったのだけど、ふとエイジさんが遠い目をしてもらした「あなたもアメリカ、長いですね。僕は長く居すぎた感じです・・・。」と言ったため息のような言葉が、いつか田舎の葬式でじっと母を見送っていた叔父の面影を思い出させて、いつまでも心にトゲのようにささって消えなかった。
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