岩切天平の甍

親愛なる友へ

Pat Martino

2008年01月12日 | Weblog

バードランドでパット・マルティーノ・カルテット、 with Rick Germanson (Piano), David Ostrem (Bass), Scott Allan Robinson (Drums)

数年前にジャズ・ギタリストの井上智さんが教鞭を取るニュー・スクールで「パットが教えるから見に来れば?」と内緒で誘ってくれた事があった。授業はマスタークラス、最高レベルの生徒たちだ。

全てのコードをマイナー7thコードに置き換えて弾きまくるマイナーコンバージョン、ディミニッシュの音を一つ変えてドミナント7に変え、弾きまくる・・・理論の話はてんで分からない。

パットが説く理論を生徒の一人に弾いてもらう。最高クラスの生徒だからもちろん上手だし、楽器もほれぼれとするような音を出す。そしてそれに合わせて先生が弾き始めたところでケツを蹴り上げられた。

音の存在感がまったく違うのだ。言葉で言えないけど、なぜその音が存在するのかがはっきりと納得できる。楽器自体の音はむしろ生徒の方が良いようにすら思えるのだが・・・。
曲はモチーフに過ぎず、演奏は個性だ。作品に向かう演奏と作品から解放される演奏の違いを初めて意識した。

技術は基本であって、それを身につけて初めて自由になれる。肝心なのはそれからだ。これは音楽に限らないだろう。ヒザを打った。

パット・マルティーノ、六十四歳。
今夜こそがまた彼のベスト・プレイだ。