岩切天平の甍

親愛なる友へ

鶴は翔んでゆく

2007年10月12日 | Weblog

  ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック(BAM)でロシア映画“鶴は翔んでゆく”を観る。カメラワークに注目する映画特集の一本。

“愛し合う恋人たちを無情に引き裂く突然の出征命令。恋人に別れを告げる間もなく戦地へ赴いた男は、二度と帰ることはなかった… 恋人を想う女性の一途な恋心と悲しみ、戦争がもたらす悲劇を真っ向から描いた名作中の名作。”(ロシア映画社アーカイブスから)

戦争の中で生きる人々の悲惨さを描いているが、それは戦争そのものを否定するどころか、悲劇の情緒に紛れて、肯定すらしているようでもある。見終わった後に「やっぱり戦争はダメだ。」じゃなくて、「ああ、オレもこんな風に死ななきゃ。」と、その気になりそうなのだ。
社会の雰囲気におぼれる事を拒否する個性的な視点が見いだせない、なんて元々意図していないものを求めるのもはなはだ勝手な言い草。自分でやれば、って言われそう。とても大胆なカメラワークが面白かった。