アマゾンに注文してあった絵本「Hiromi’s Hands」が届いた。
かつてイーストビレッジにあった寿司店、“美枝”の店主、鈴木さんとその娘さん、ヒロミちゃんの物語だ。
幼い頃からお父さんに連れられ、魚河岸に通ったヒロミちゃんは板前さんになった。
ニューヨークにあるほぼ全ての寿司店が魚を業者から仕入れるのだが、鈴木さんはリタイアするまで、朝三時にフルトン・フィッシュマーケットに通い、安くて新鮮な魚を客に食べさせてくれた。
良い魚を手に入れた日の鈴木さんの嬉しそうな様子は忘れられない。
美枝レストランにはその寿司はもちろん、特に鈴木さんの暖かい人柄を慕って、
街の名士たちが通ったものだった。閉店してから三年、今でもあちこちから「もう、あんな店は見つからない、もしも鈴木さんがもういちどカウンターの向こうに立ってくれたら・・・。」というため息が聞こえる。
絵本は常連客の一人、ヒロミちゃんの幼稚園時代からの友達のお母さんの作。
店に通ったわれわれからすれば、涙無しには見られない程、うれしく、美しい本だけど、二人を知らない人が読んでもとてもすてきな作品だと思う。あんまり嬉しくて三冊も買ってしまった。