9月最初の土曜日、一人の女の子が手織り体験にやって来た。
「手織り体験はできますか、この子でも出来ますか」
もちろん一人で大丈夫です。
スタッフから一通りの指導を受けて自分で織り始めます。
織物って難しそう、と思われるようですが
織る気になれば誰でも織れるのです。
一心に織る少女に”手織りは楽しいですか”と聞くと
うん、と頷いても織機から目を離すことはありませんでした。
10分も過ぎれば織機の扱いも、糸の扱いも覚えて
「手織りは楽しい!」
と素晴らしい笑顔を見せてくれました。
”人間が一万年にも及ぶ歴史の中で衣服を自分の手で作り上げることは、
命を守る行為であり、安全と安心を得る最たる行為であった。
そして、人間だけに備わった美を着る感覚も現代のこの少女にも
物を作る行為に喜びを感じさせているのだと思う。
これは、長い歴史の中で育まれてきた人間の本能に近いことなのかもしれないと思えるのだ”
などなど少女の織る姿を眺めながら想いに耽るうちにコースターが完成しました。
「わーい 出来たー」
「これ、見て」
と、織り上げた達成感を喜ぶ少女はあどけないピースサインをいただきました。
おめでとうございます。
お父さんは 生命の海科学館の工事に携わった関係者で、
今日はお嬢さんと手織り体験に来てくれたのです。