アパッチ蹴球団-高校サッカー篇:project“N”- 

しばらく自分のサッカー観や指導を見つめなおしていきたいと思っています。

懐かしさとうれしさと・・・

2007年12月30日 21時45分54秒 | 指導記録
冬休みは高1だけで練習している。



人数は10人位。
練習の流れは基本的な技術練習を中心に
最後にゲームを行うという流れ。
技術練習は2種類のインステップキックとヘディングを中心に
胸トラップやドリブルを行った。



正直、インステップは基本的な部分ができていない、
という感じだった。
足の甲で蹴れない、立ち足の踏み込み方の甘さ、
腕をはじめ上半身の使い方が出来ていない・・・。
挙げればキリがないが、時間をかけて
とにかく数をこなしていった。
場合によっては、2時間近く
インステップキックの練習に費やすこともあった。



でも、選手達は少しずつではあるが、
変わってきた。



時々いいキックができるようになっていった。
納得できるキックを蹴れるようになっていった。



ゆっくりではあるが、
選手は確実に成長していった。



いつも最後に行うミニゲームも緊張感や気持ちの入ったものだった。



冬休み初日の練習後、
トレーナーの方が
『高1はこの冬休みで伸びるかもしれませんね・・・』
と言っていた。



少ない人数で練習する機会がこのチームに来てからほとんどなかったので
確かにいい機会だと思っていた。



アドバイスがしやすい技術練習をメインでやることで
選手達にいろいろな声を掛け、
特に技術的な部分を少しでも伸ばしてあげられれば、
そう思っていた。



ある意味、技術合宿のような感覚で
自分自身は冬休みの練習を考えていた。



ただ、冬休みの途中から不思議な感覚に捉われた。
以前指導していたチームに戻って指導している・・・
そんな感じがしていた。



前のチームではいつも人数が少なく
グランドもない中でよく練習していた。



10人いればいい方で
広いグランドに1人しかいない時もあった。



少ない人数でも頑張ってグランドに来る練習に来る選手達を
見捨てることなど絶対にできないし、
なんとかこの選手達を上手くさせたい、
チームを勝たせたい・・・
そう思いながら、選手と一緒に必死に練習してきた。



試行錯誤も少なくなかったが
真剣な時間を重ねてきた。
他に誰もいない江戸川の河川敷で、
真冬の駐車場で。



選手達は本当に伸びたし、
実際に地区予選を突破して都大会出場し
都大会でも勝つことができた。



勝つこともとても大切だが
何よりも選手達が上手くなっていくのを
目の当たりにできる喜びが本当に嬉しかった。
選手の成長が自分のことのように嬉しかった。



この冬休みの練習は
指導する選手達も
グランド環境も全く違うにもかかわらず、
前のチームを指導していた時を思い出した。



今、指導しているチームの高1の選手達は
短い期間だったが成長した。



やはり指導者の原点はここにあると思う。



選手を成長させること。
その過程で自分自身も指導者として成長すること。



私自身が指導者として勝つことにこだわるのは
勝つことを真剣に考えることで
選手も指導者も絶対に成長する、
そう考えているからこそ。



選手達がいくら成長しても
全国レベルのチームや都大会の常連高はもちろん、
地区の強豪高に勝つのは簡単ではないし、
むしろ、今のチームでは本当に難しい。



現実は時として人間に厳しさを垣間見せる。
試合に負けることで現実の厳しさを思い知らされる。
勝つことがどんな試合でも理想だが
なかなか理想には届かない。



でも、実際の社会でも
人間もしくは人間性に対する信頼が希望になるように
選手の成長こそがチームに指導者に選手自身に
希望を与える。



そして希望は明日への糧になる。
何よりも一番の動機になる。
モチベーションが上がる最大の要素になる。



少ない人数で練習するという冬休みの練習が懐かしかったし、
選手達が成長してくれたことが本当に嬉しかった。



自分の原点というか、立ち位置を思い出させてくれた選手達に
感謝したい。



また、選手を成長させること、
チームを強くすることに対する希望を持って
年明けからの練習に臨みたい。