アパッチ蹴球団-高校サッカー篇:project“N”- 

しばらく自分のサッカー観や指導を見つめなおしていきたいと思っています。

温かい時間・・・

2011年01月24日 12時53分48秒 | NOTE
冬休みが明けて、すぐにサッカー部の謝恩会があった。

高2の選手達は、一人だけサッカー部を続けることになったが、
それ以外の選手達はサッカー部を卒業することになった。

もちろん、サッカー部を続ける選手も参加し、
高2の選手達と保護者の方々や顧問の先生だけでなく、
スタッフも出席させていただいた。



選手一人一人が自分の言葉で感謝の言葉を
保護者の方々や先生方に伝えようとしているのを聞いていると、
彼らの成長を感じることが出来、本当に嬉しく思う。

彼らが高校サッカー部に入部してきた頃は
応援に来てくださった保護者の方々に
挨拶もしないような状況だったが、
そんな彼らが支えてくれた方々に
しっかりと『ありがとうございました』と言えるようになった・・・

苦しい状況から逃げずに
彼らなりに大事な仲間と向き合い、
そして、自分自身と向き合ってきた・・・

もがき、悩み、答の出ない日々・・・
監督である自分に怒鳴られ、怒られ、
私自身も『やってらんねぇ!』と思ったことも正直あった。

それでも、選手スタッフともども
必死に歯を食いしばって
走り、声を出し続けてきた。

自分自身のもどかしさとも戦いながら、
彼らはチームの目標である都大会出場に向かって
苦しい日々を重ねてきた。

先輩達の悔しさを背負いながら
監督である自分の罵声に耐えてきた。

雨の日の練習はもちろん、
雪の日でも練習をした。
そんな状況においても
怒鳴られ続ける日々・・・

そんな身体的にも精神的にも過酷な状況においても、
選手達は、自らの弱さや味方と向き合うことから逃げなかったし、
誰かの気持ちを背負うことからも決して逃げることはなかった・・・。





ここ2年ぐらい出場できていなかった都大会に
この学年を中心としたチームはなぜ出場できたのか?
彼らのほとんどがチームを去った後でも
ずっとそのことを考えていた。

自分がこの高校のサッカー部の監督に就いてから
今回は2回目の都大会の出場だったが、
前回、都大会に出場した時の方が
一人一人の能力は圧倒的に上だった。

一つ上の学年のチームは
チーム全体で考えると
能力もまとまりも
上だった。

でも、一つ上のチームは
都大会に出場できずに
今回は出場できた。

もちろん、くじ運もあるかもしれない。
一概には、比較できないし、
比較することに意味などないのかもしれない。

ただ、一つだけ今回のチームが
前回、都大会に出場した時よりも
また、一つ上の学年のチームよりも
上回っていたことがある。

それは、試合に出場できない選手はもちろん、
怪我でプレーさえ出来ない選手達が
全く練習を休まなかったこと。

怪我のためプレーできなかった選手達は
「チームの為に自分の出来ること」を自分から探し、
自らチームの為に行動していた。

常に、「チーム」の為に、「大事な仲間」の為に
行動していた。

そんな彼らの行動や気持ちが
怪我無くプレーしている選手達の背中を押し続けた。

試合に先発できなかった選手達も
アップから必死に声を出し、
最後まで必死に走っていた。



「自分の為だけではなく、大事な仲間の為にも、頑張る」

言葉にしてしまうと簡単だし、薄っぺらくなってしまうかもしれないが、
そのことを何十ヶ月にわたり、また2年間近く続けるのは
決して簡単なことではない。

何の見返りもない。
ただ、チームを支える気持ちだけでグランドに来てくれて、
チームを支え続けてくれた。

彼らの行動の動機は
自分自身の矜持かもしれないし、
チームの対する責任と言えるかもしれない。

彼らの真摯な対応にチームは支えられたし、
私自身、監督として、指導者として、人として大切なものを
彼らから教えてもらった。

少しずつ、チームから
「大切な誰かのために」という行動が滲み出るようになった。

「悔しさを抱えながらチームを去っていった先輩のために」
「支えてくれた顧問の先生方のために」
「背中を押してくれた保護者のために」・・・・・



謝恩会で
クラブを卒業していった選手達から
寄書きを頂いた。

短い言葉で
監督である自分に感謝の言葉が書かれていた。

大事なことを教わったのは
自分の方なのに・・・。

謝恩会の席では
卒業していく選手一人一人に
自分の言葉で感謝の言葉を述べることは出来なかったが、
また、どこかで会えることがあれば、
今度は自分の方から感謝の言葉を伝えたいと思う。
 


短い時間ではあったが、
温かい時間を創ってくださった保護者の方々に
心から感謝をしたい。

選手達と保護者の方々にとって、
残りの高校生活が実りあるものでありますように。