市街化調整区域内の土地の説明義務

2019-04-05 13:41:57 | 不動産

市街化調整区域内の土地の説明義務

《要旨》
 市街化調整区域内の土地について、いかにも建築できるかのように買主を誤信させたとし、媒介業者に1,300万円の損害賠償が命じられた事例

(1) 事案の概要
 買主Xは、平成2年5月、客付業者Y2及び元付業者Y3の媒介で、売主Y1から将来住宅を建てる目的で、市街化調整区域内の土地661平方メートルを、代金2,600万円、「契約交渉金」100万円で買い受けた。
 本件契約の締結に当たり、Xは、将来の建築目的をY2に告げていたが、Y2はY1にその旨を告げなかった。Y1は、Y3に対し、本件土地は市街化調整区域内のため建物が建築できない旨、契約書への明記を求めたが、Y3は、特約として「(ア)地目が山林の為建築の場合開発許可等を要する、(イ)調整区域のため売主は建物について責任をとらない、(ウ)(ア)については買主負担とする」と記載した。なお、Y3が作成した重要事項説明書では、「市街化調整区域」、「建築許可等を要す」、「古家有」等と記載されており、Xは建築ができるものと信じて契約を締結した。
 平成6年6月になり、Xが本件土地の半分を売却しようとして相談したところ、現時点では、建物の建築ができないことが判明し、Xは、Y1に対して、錯誤無効を理由に代金の返還を、また、Y2及びY3に対して、媒介業者の説明義務違反を理由に損害賠償を求めた。

(2) 判決の要旨
 (ア)Y1については、Xの購入動機が伝えられておらず、要素の錯誤があったとは認められない。
 (イ)Y2は、本件土地は市街化調整区域内にあるので、原則として建物は建築不可である旨を明確に説明すべき注意義務を負っているにもかかわらず、これを怠り、いかにも建築ができるかのように誤信させた。
 (ウ)Y3は、不動産仲介契約はなかったものの、専門業者として助言・指導すべき義務があるのにこれを怠り、いかにも建築ができるかのように誤信させた。
 (エ)Y2及びY3は、Xが支払った2,700万円のうち、本件土地の時価相当分を差し引いた1,300万円を連帯してXに支払え。

津地裁四日市支部判決 平成9年6月25日

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