国民年金の加入・保険料納付状況 令和元年度

2020-06-30 13:38:14 | 労働・社会保険
 令和2年6月29日 年金局 事業企画課調査室 年金局 事業管理課 日本年金機構 国民年金部

 令和元年度の国民年金の加入・保険料納付状況について

 令和元年度の最終納付率は 76.3%

 厚生労働省では、このほど、令和元年度の国民年金の加入・保険料納付状況を取りまとめましたので公表します。
 本資料には、未納分を遡って納付できる過去2年分を集計した「最終納付率」等についてまとめています。
 国民年金保険料の納付率は、納付義務がどれだけ果たされているか、という納付状況を見るための指標であり、納付対象月数に対する納付月数の割合として算出しています。
 なお、「現年度納付率」及び「過年度1年目納付率」は納付状況の途中経過を示すものであり、「最終納付率」が最終的な納付状況を表す指標となります。

 ○  令和元年度の最終納付率※(平成 29 年度分保険料)は、76.3% (前年度から 1.7 ポイント増)
 ・  平成 24 年度の最終納付率(平成 22 年度分保険料)から7年連続で上昇
 ・  統計を取り始めた平成 16 年度の最終納付率(平成 14 年度分保険料)以降、最高値

 (※) 令和元年度の最終納付率:平成 29 年 4 月分~平成 30 年 3 月分の保険料納付対象月数のうち、令和 2 年 4 月末までに納付された月数の割合。
 なお、途中経過を示す指標として、令和元年度の現年度納付率(令和元年度分保険料)は 69.3%(前年度から 1.1 ポイント増)となっており、平成 23 年度の現年度納付率(平成 23 年度分保険料)から8年連続で上昇している。

 参考

 納付率(%)=納付月数/納付対象月数×100
 納付対象月数とは、当該年度分の保険料として納付すべき月数(法定免除月数、申請全額免除月数、学生納付特例月数、納付猶予月数及び産前産後免除月数を含まない。)であり、納付月数はそのうち実際に納付された月数である。
 保険料は過去2年分の納付が可能であり、最終納付率とは、過年度に納付されたものを加えた納付率である。
 令和元年度末現在における法定免除者、申請全額免除者、学生納付特例者、納付猶予者及び産前産後免除者の割合は、それぞれ 9.5%、14.8%、12.5%、3.8%、0.1%となっている。

 国民年金第1号被保険者数(任意加入被保険者数を含む。)は、厚生年金保険(第1号)被保険者数の増加に伴い、令和元年度末で 1,453 万人と、前年度末と比べ 18 万人減少している。
 法定免除者136万人 申請全額免除者212万人 学生納付特例者180万人 納付猶予者55万人 未納者125万人 計708万人
 納付者 1.453万人-708万人=745万人 

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定 社会保険

2020-06-26 14:09:38 | 労働・社会保険

 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内

 更新日:2020年6月25日 

 1. 標準報酬月額の特例改定について
 新型コロナウイルス感染症の影響により休業した方で、休業により報酬が著しく下がった方について、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定可能となりました。

 標準報酬月額の特例改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行うことが可能です。
 (1) 事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)させたことにより、急減月(令和2年4月から7月までの間の1か月であって、休業により報酬が著しく低下した月として事業主が届け出た月)が生じた方
 (2) 急減月に支払われた報酬の総額(1か月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がった方
 ※ 固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となります。
 (3) 特例による改定を行うことについて、本人が書面により同意している方
 ※ 被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となります。(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金の額が算出されることへの同意を含みます。)
 ※ 本特例措置は、同一の被保険者について複数回申請を行うことはできません。

 2. 申請手続き及び申請に必要な書類
 月額変更届(特例改定用)に申立書を添付し、管轄の年金事務所に郵送してください。(窓口で直接受け付けることも可能です。)
 ※ 通常の月額変更届・算定基礎届と提出先が異なりますので、事務センターへ郵送しないようご注意ください。
 ※ 通常の月額変更届と様式が異なりますので、ご注意ください。
 ※ この特例改定の届出は、電子証明書を利用したe-Govからの電子申請やGビズIDを利用した電子申請、電子媒体による申請には現時点では対応しておりませんので、ご留意ください。
 ※ 特例改定の届出を行うか否かにかかわらず、通常の算定基礎届の提出は変更なく必要となります。

賃貸住宅管理業者登録制度 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

2020-06-25 11:04:23 | 不動産
 1. 現行法  賃貸住宅管理業者登録制度

  国土交通省では、賃貸住宅の管理業務の適正化を図るために、平成23年12月より「賃貸住宅管理業者登録制度」を創設しております。
 
  平成28年9月より制度が一部改正され、登録者には一定の資格者の設置が義務化されております。

  賃貸住宅管理業者の登録に関し、事務所ごとに「管理事務に関し6年以上の実務経験者 」又は「同程度の実務経験者(賃貸不動産経営管理士) 」の設置を義務化(第7条)

 2. 改正法 賃貸住宅管理業者登録制度

  上記制度は、現行任意登録ですが、2021年夏をメドに賃貸住宅を200戸以上管理する事業者に国への登録を義務付けへ。

  管理報酬などの重要事項を物件所有者に事前に書面で説明を義務付け、営業所ごとに監督者(宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士を想定)の設置義務へ。

 3. 改正法 サブリース業者に対して、

 (1) 家賃支払い、契約変更に関する事項等について、著しく事実に相違する表示、実際よりも著しく優良・有利であると誤認するような広告表示を禁止

 (2) 特定賃貸借契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、または不実を告げる行為を禁止

 (3) マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間等を記載した書面をオーナーに交付して説明する(重要事項説明)等を義務付け、これらに違反したものは業務停止処分や罰則が科せられる。また、サブリース業者だけでなく、建設業者などサブリース業者と組んで勧誘を行なう者についても、規制の対象。

  令和2年6月12日改正法成立。 成立後1年以内に施行される(サブリースに関する行為規制は6ヵ月以内施行)。

押印についてのQ&A 契約書 政府見解

2020-06-22 14:03:49 | 法律
 
押印についてのQ&A 令和2年6月 19 日 内 閣 府 法 務 省 経 済 産 業 省

 問1. 契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
 ・ 私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
 ・ 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

 問2. 押印に関する民事訴訟法のルールは、どのようなものか。
 ・ 民事裁判において、私文書が作成者の認識等を示したものとして証拠(書証)になるためには、その文書の作成者とされている人(作成名義人)が真実の作成者であると相手方が認めるか、そのことが立証されることが必要であり、これが認められる文書は、「真正に成立した」ものとして取り扱われる。民事裁判上、真正に成立した文書は、その中に作成名義人の認識等が示されているという意味での証拠力(これを「形式的証拠力」という。)が認められる。
 ・ 民訴法第 228 条第4項には、「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という規定がある。この規定により、契約書等の私文書の中に、本人の押印(本人の意思に基づく押印と解釈されている。)があれば、その私文書は、本人が作成したものであることが推定される。
 ・ この民訴法第 228 条第4項の規定の内容を簡単に言い換えれば、裁判所は、ある人が自分の押印をした文書は、特に疑わしい事情がない限り、真正に成立したものとして、証拠に使ってよいという意味である。そのため、文書の真正が裁判上争いとなった場合でも、本人による押印があれば、証明の負担が軽減されることになる。
 ・ もっとも、この規定は、文書の真正な成立を推定するに過ぎない。その文書が事実の証明にどこまで役立つのか(=作成名義人によってその文書に示された内容が信用できるものであるか)といった中身の問題(これを「実質的証拠力」という。)は、別の問題であり、民訴法第 228 条第4項は、実質的証拠力については何も規定していない。
 ・ なお、文書に押印があるかないかにかかわらず、民事訴訟において、故意又は重過失により真実に反して文書の成立を争ったときは、過料に処せられる(民訴法第 230 条第1項)。

 問3. 本人による押印がなければ、民訴法第 228 条第4項が適用されないため、文書が真正に成立したことを証明できないことになるのか。
 ・ 本人による押印の効果として、文書の真正な成立が推定される(問2参照)。
 ・ そもそも、文書の真正な成立は、相手方がこれを争わない場合には、基本的に問題とならない。また、相手方がこれを争い、押印による民訴法第 228 条第4項の推定が及ばない場合でも、文書の成立の真正は、本人による押印の有無のみで判断されるものではなく、文書の成立経緯を裏付ける資料など、証拠全般に照らし、裁判所の自由心証により判断される。他の方法によっても文書の真正な成立を立証することは可能であり(問6参照)、本人による押印がなければ立証できないものではない。
 ・ 本人による押印がされたと認められることによって文書の成立の真正が推定され、そのことにより証明の負担は軽減されるものの、相手方による反証が可能なものであって、その効果は限定的である(問4、5参照)。
 ・ このように、形式的証拠力を確保するという面からは、本人による押印があったとしても万全というわけではない。そのため、テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。

 問4. 文書の成立の真正が裁判上争われた場合において、文書に押印がありさえすれば、民訴法第 228 条第4項が適用され、証明の負担は軽減されることになるのか。
 ・ 押印のある文書について、相手方がその成立の真正を争った場合は、通常、その押印が本人の意思に基づいて行われたという事実を証明することになる。
 ・ そして、成立の真正に争いのある文書について、印影と作成名義人の印章が一致することが立証されれば、その印影は作成名義人の意思に基づき押印されたことが推定され、更に、民訴法第 228条第4項によりその印影に係る私文書は作成名義人の意思に基づき作成されたことが推定されるとする判例(最判昭 39・5・12民集 18 巻4号 597 頁)がある。これを「二段の推定」と呼ぶ。
 ・  この二段の推定により証明の負担が軽減される程度は、次に述べるとおり、限定的である。
 ① 推定である以上、印章の盗用や冒用などにより他人がその印章を利用した可能性があるなどの反証が相手方からなされた場合には、その推定は破られ得る。
 ② 印影と作成名義人の印章が一致することの立証は、実印である場合には印鑑証明書を得ることにより一定程度容易であるが、いわゆる認印の場合には事実上困難が生じ得ると考えられる(問5参照)。
 ・ なお、次に述べる点は、文書の成立の真正が証明された後の話であり、形式的証拠力の話ではないが、契約書を始めとする法律行為が記載された文書については、文書の成立の真正が認められれば、その文書に記載された法律行為の存在や内容(例えば契約の成立や内容)は認められやすい。他方、請求書、納品書、検収書等の法律行為が記載されていない文書については、文書の成立の真正が認められても、その文書が示す事実の基礎となる法律行為の存在や内容(例えば、請求書記載の請求額の基礎となった売買契約の成立や内容)については、その文書から直接に認められるわけではない。このように、仮に文書に押印があることにより文書の成立の真正についての証明の負担が軽減されたとしても、そのことの裁判上の意義は、文書の性質や立証命題との関係によっても異なり得ることに留意する必要がある。

 問5. 認印や企業の角印についても、実印と同様、「二段の推定」により、文書の成立の真正について証明の負担が軽減されるのか。
 ・ 「二段の推定」は、印鑑登録されている実印のみではなく認印にも適用され得る(最判昭和 50・6・12 裁判集民 115 号 95 頁)。
 ・ 文書への押印を相手方から得る時に、その印影に係る印鑑証明書を得ていれば、その印鑑証明書をもって、印影と作成名義人の印章の一致を証明することは容易であるといえる。
 ・ また、押印されたものが実印であれば、押印時に印鑑証明書を得ていなくても、その他の手段により事後的に印鑑証明書を入手すれば、その印鑑証明書をもって、印影と作成名義人の印章の一致を証明することができる。ただし、印鑑証明書は通常相手方のみが取得できるため、紛争に至ってからの入手は容易ではないと考えられる。
 ・ 他方、押印されたものが実印でない(いわゆる認印である)場合には、印影と作成名義人の印章の一致を相手方が争ったときに、その一致を証明する手段が確保されていないと、成立の真正について「二段の推定」が及ぶことは難しいと思われる。そのため、そのような押印が果たして本当に必要なのかを考えてみることが有意義であると考えられる。
 ・ なお、3Dプリンター等の技術の進歩で、印章の模倣がより容易であるとの指摘もある。

 問6. 文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。
 ・ 次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。
 ①  継続的な取引関係がある場合
 取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)
 ②  新規に取引関係に入る場合
  契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存
  本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存
  文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存
 ③  電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)

 ・ 上記①、②については、文書の成立の真正が争われた場合であっても、例えば下記の方法により、その立証が更に容易になり得ると考えられる。また、こういった方法は技術進歩により更に多様化していくことが想定される。
 (a) メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存
 (b) PDF にパスワードを設定
 (c) (b)の PDF をメールで送付する際、パスワードを携帯電話等の別経路で伝達
 (d) 複数者宛のメール送信(担当者に加え、法務担当部長や取締役等の決裁権者を宛先に含める等)
 (e) PDF を含む送信メール及びその送受信記録の長期保存

相続財産一部脱漏れ 裁決事例 相続税 重加算税

2020-06-18 13:48:09 | 相続・贈与(税)

 相続財産の一部について、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

 要旨

 原処分庁は、請求人の亡母(本件相続人)が、当初申告において計上していなかった相続財産の一部である被相続人名義の預金(本件預金)について、その存在を知りながら関与税理士に伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。

 しかしながら、本件相続人が本件預金の存在を関与税理士に伝えなかったことは認められるものの、本件相続人が本件預金を相続財産であることを認識した上で、あえて関与税理士に本件預金の存在を伝えなかったとまで認めることはできず、また、本件相続人は、本件預金を原処分庁が容易に把握し得ないような他の金融機関や本件相続人名義以外の口座などに入金したのではなく、本件預金の口座と同じ金融機関の本件相続人名義の口座に入金し、調査日現在においても当該口座を解約していなかったことからすると、原処分庁をしてその発見を困難ならしめるような意図や行動をしているとは認められないから、本件預金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。したがって、本件相続人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たるとは認められない。 
 
  令和元年11月19日裁決