請求人が前代表者に支給した金員は給与等の性質を有するから交際費等に該当しないとした事例 法人税 裁決事例

2020-09-15 10:34:43 | 税務・会計 法人税
 請求人が前代表者に支給した金員は給与等の性質を有するから交際費等に該当しないとした事例

 要旨

 原処分庁は、請求人の前代表者に支給された給与等(本件各金額)について、同人は請求人に対して人的役務の提供を行っておらず、地元対策等を目的とする同人の影響力に対する謝礼であるから交際費等に該当する旨主張する。
 しかしながら、前代表者は、取締役を退任する際に現在の代表者から、請求人と事業所周辺の住民との協調関係を維持すること、同業者及び取引先との調整等に協力すること、及び、請求人の従業員から相談を受けることや指導をすることなどの業務の依頼を受けており、代表取締役を退任した後、請求人の事務所に毎日出勤してこれらの業務を行っていたと認められる。そうすると、請求人と前代表者との間には雇用契約又はこれに類する合意が成立していると認められ、前代表者は、請求人の事務所等において、請求人の指揮命令に服して、継続的又は断続的に労務の提供を行っていたと認められることから、本件各金額は、労務の対価として支給した給与等に該当し、謝礼金(交際費等)には該当しない。

 平成24年3月6日裁決

帳簿書類等の保存期間及び保存方法 法人税

2020-02-29 12:09:49 | 税務・会計 法人税
 
 帳簿書類等の保存期間及び保存方法

 平成31年4月1日現在法令等

 1 帳簿書類等の保存期間

 法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。
 また、法人が、取引情報の授受を電磁的方式によって行う電子取引をした場合には、原則としてその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。
 ただし、その電磁的記録を出力した紙によって保存しているときには、電磁的記録を保存する必要はありません。
 (注1) 「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
 (注2) 平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。
 また、平成27年度及び平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。

 2 帳簿書類の保存方法

 (1) 原則的な保存方法
 帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。
 したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。
 (2) 6年目以降のマイクロフィルムによる保存方法
 帳簿書類の保存は、紙による保存が原則ですが、保存期間の6年目以降(一定の書類については4年目以降)の帳簿書類は、一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができます。
 なお、マイクロフィルムによる保存を行う場合には、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダ又はマイクロフィルムリーダプリンタを設置する必要があります。
 (3) 電磁的記録による保存方法
 自己が電磁的記録により最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿書類で一定の要件を満たすものは、紙による保存によらず、サーバ・DVD・CD等に記録した電磁的記録(電子データ)のままで保存することができます。
 なお、電磁的記録による保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。また、この申請書は、備付けを開始する日の3か月前の日までに提出する必要があります。
 (4) 一定の書類のスキャナ読取りの電磁的記録の保存方法
 保存すべき書類のうち、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類以外の一定の書類については、紙による保存によらず、スキャナ読取りの電磁的記録による保存(以下スキャナ保存といいます。)を行うことができます。
 なお、スキャナ保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。また、この申請書は、スキャナ保存を行おうとする日の3月前の日までに提出する必要があります。
 (注1) 帳簿については、スキャナ保存を行うことはできません。
 (注2) 平成28年度税制改正により、スキャナ保存の要件の一部が改正されました。
 (5) 電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存方法
 自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿書類については、一定の要件の下で、紙による保存によらず、その電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルム(COM)により保存することができます。
 なお、電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出して承認を受けることが必要です。また、この申請書は、電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存を行おうとする日の3か月前の日までに提出する必要があります。

 3 電子取引をした場合の電磁的記録の保存方法

 電子取引の取引データの保存方法としては、1. 電子データをそのまま保存する方法、2. 電子データを出力した書面を保存する方法及び 3. 電子データをCOMに出力して保存する方法の3通りの方法があります。
 これらの方法に関しては、税務署長の承認を必要としませんので、各法人が任意に選択できますが、規則性及び継続性なく保存方法が混在することは認められていませんので、ご注意ください。

定期給与の増額改定に伴う一括支給額 定期同額給与 法人税

2020-01-31 14:17:56 | 税務・会計 法人税

 定期給与の増額改定に伴う一括支給額 (定期同額給与)

 照会要旨

 当社(年1回3月決算)は、6月末の定時株主総会において役員に対して支給する定期給与(その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるものをいいます。以下同じ。)について増額改定を決議することとしています。増額改定に当たっては、期首の4月にそ及して増額することとし、4月分から6月分までの給与の増額分は7月に一括支給することとしています。
 このような支給形態であっても、7月に一括支給する増額分を含め、法人税法第34条第1項第1号(役員給与の損金不算入)に規定する定期同額給与として当該事業年度の損金の額に算入することができますか。

 回答要旨

 7月に一括支給する増額分は、定期同額給与に該当しないため、損金の額に算入されません。

 理由

 法人が役員に対して支給する給与(一定の給与を除きます。)のうち損金算入されるものの範囲は、次に掲げるものとされています。
 1 定期同額給与
 2 所定の時期に確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含みます。)、新株予約権、確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式又は特定新株予約権(注)を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で一定の要件を満たすもの
 3 業績連動給与で一定の要件を満たすもの

 これらの役員給与は、いずれもその役員の職務執行期間開始前にその職務に対する給与の支給時期、支給する金銭の額又は株式の数等について「事前」に定められているものに限られています。
 したがって、照会の場合のように既に終了した職務に対して、「事後」に給与の額を増額して支給したものは、上記1から3までのいずれにも該当しないことから、当該事業年度の損金の額に算入されないこととなります。

 (注) 法人税法第54条第1項に規定する特定譲渡制限付株式又は同法第54条の2第1項に規定する特定新株予約権で次の定めに基づいて交付されるもの又はこれらに係る同項に規定する承継譲渡制限付株式又は承継新株予約権による給与をいいます。
 また、特定譲渡制限付株式の取扱いは、平成28年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
 なお、特定新株予約権の取扱いは、平成29年10月1日以後に特定新株予約権の交付に係る決議又は交付をするその特定新株予約権について適用されます。

 (定めの内容)

 役員の職務につき、株主総会、社員総会その他これらに準ずるものの決議により定められたもので、次の要件を満たすもの。
 1 職務の執行の開始の日から1月を経過する日までにされる決議による定めであること
 2 役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めであること
 3 決議の日から1月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式又は特定新株予約権を交付する旨の定めであること

一括償却資産を除却した場合の取扱い 法人税

2020-01-23 17:21:46 | 税務・会計 法人税
 
 一括償却資産を除却した場合の取扱い

 照会要旨

 当社では、前期において、パソコンを10台(1台当たり15万円)購入し、決算においては一括償却資産としてその取得価額の合計額の3分の1を損金の額に算入しました。
 ところが、今期になって事業規模を縮小することとなったため、そのうちの3台を除却しましたが、この場合に、当期の損金算入額は、除却したパソコンの取得価額のうち未だ損金の額に算入されていない金額30万円(15万円×3-15万円)と残り7台について一括償却資産として損金の額に算入できる限度額35万円(15万円×7台×1/3)の合計額65万円となるのでしょうか。

 回答要旨

 一括償却資産を事業の用に供した事業年度(以下「供用事業年度」という。)後の各事業年度において除却の事実が生じた場合であっても、その損金算入額は、あくまで一括償却資産の損金算入規定による損金算入限度額50万円(15万円×10台×1/3)に達するまでの金額となります。

 理由

 法人が、一括償却資産について、法人税法施行令第133条の2((一括償却資産の損金算入))の規定の適用を受けることを選定した場合において、例えば、供用事業年度の翌事業年度中にその資産の全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときに、その滅失等した減価償却資産の取得価額のうちで未だ損金算入されていない金額に相当する金額の全額をその翌事業年度の損金の額に計上できるのかどうかという疑問が生じます。
 この点、同条第1項の文理上、一括償却資産の取得価額の合計額を供用事業年度以後の各事業年度の「費用の額又は損失の額とする方法を選定したとき」に同項に定める損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入することとなるのですから、法人がその方法を選定した以上、たとえその一括償却資産について滅失等が生じたときであっても、その損金算入限度額は同項に規定する金額になると解されます。
 また、同条の規定が設けられた趣旨は、取得価額が20万円未満の減価償却資産を企業が個別管理することによる事務負担に配慮したものであり、このことからすれば、供用事業年度後の個々の資産の状況にかかわらず同条第1項の規定に従い計算される損金算入限度額の範囲内での損金算入を行うべきものであると考えられます。
 そこで、取得価額が20万円未満の減価償却資産につき、法人がこの規定の適用を選定した場合においては、供用事業年度後の各事業年度において滅失、除却等の事実が生じた場合であっても、その損金算入額は、その滅失等した減価償却資産の取得価額のうちで未だ損金算入されていない金額に相当する金額の全額ではなく、同項の規定による損金算入限度額に達するまでの金額になります(法人税基本通達7-1-13)。
 また、一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても同様に取り扱われます(法人税基本通達7-1-13(注))。
 したがって、一括償却資産の損金算入の規定の適用を選定した減価償却資産の一部につき除却した場合であっても、その償却限度額は、パソコン10台(除却した3台を含みます。)に対応する金額50万円(15万円×10台×1/3)となりますから、除却したパソコン3台に係る除却損相当額(本件の場合は30万円)の全額を当期の損金の額に算入することは認められません。

法人の組織変更度と事業年度 法人税

2019-12-19 14:07:43 | 税務・会計 法人税

 法人の組織変更度と事業年度

 法人税法基本通達
 
 (組織変更等の場合の事業年度)

 1-2-2 法人が会社法その他の法令の規定によりその組織又は種類の変更(以下「組織変更等」という。)をして他の組織又は種類の法人となった場合(法第14条第1項第20号《みなし事業年度》に掲げる場合に該当することとなったときを除く。)には、組織変更等前の法人の解散の登記、組織変更等後の法人の設立の登記にかかわらず、当該法人の事業年度は、その組織変更等によっては区分されず継続することに留意する。 旧有限会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条に規定する旧有限会社をいう。)が、同法第45条《株式会社への商号変更》の規定により株式会社へ商号を変更した場合についても、同様とする。(平19年課法2-3「三」、令元年課法2-10「二」により改正)

 法人税法
 
 (みなし事業年度)

 第十四条 
 二十 公益法人等が事業年度の中途において普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつた場合又は普通法人若しくは協同組合等が事業年度の中途において公益法人等に該当することとなつた場合 その事業年度開始の日からこれらの場合のうちいずれかに該当することとなつた日の前日までの期間及びその該当することとなつた日からその事業年度終了の日までの期間