地籍調査 国土調査法

2019-07-10 10:50:20 | 不動産

 地籍調査

 地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆(※)ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」のことです。各個人には固有の「戸籍」という情報があり、様々な行政場面で活用されているのと同様に、土地についても「地籍」の情報が行政の様々な場面で活用されています。

 我が国では、土地に関する記録は登記所において管理されていますが、土地の位置や形状等を示す情報として登記所に備え付けられている地図や図面は、その半分ほどが明治時代の地租改正時に作られた地図(公図)などをもとにしたものです。そのため登記所に備え付けられている地図や図面は、境界や形状などが現実とは異なっている場合が多くあり、また、登記簿に記載された土地の面積も、正確ではない場合があるのが実態です。

 地籍調査が行われることにより、その成果は登記所にも送られ、登記簿の記載が修正され、地図が更新されることになります。また、固定資産税算出の際の基礎情報となるなど、市町村における様々な行政事務の基礎資料として活用されます。

なお、地籍調査は、国土調査法に基づく「国土調査」の1つとして実施されています。

 ※土地の所有権等を公示するために、人為的に分けた区画のこと。土地は「筆」(ひつ)という単位でカウントされます。登記所では、一筆ごとに登記がなされ、土地取引等の単位となっています。

 地籍調査の流れ

 地籍調査は主に市町村等が実施主体となって行われています。調査は、市町村等の職員が直接実施する場合と、作業を民間会社等へ委託する場合とありますが、いずれの場合でも、一般的には以下のような流れで行われています。

 1. 市町村において地籍調査の実施計画をつくります

  調査を実施しようとする市町村が、関係機関との連絡や調整を行い、また住民等からの要望も踏まえ、 いつ、どの地域を調査するのかなどの計画をつくります。

 2. 調査実施地域の住民の方への地元説明会を行います

  地籍調査を行う地域の住民の方々に公民館等に集まっていただき、 地籍調査の内容やその必要性、調査の日程、作業実施者等について、説明会を実施します。

 3. 土地の境界の確認をします(一筆地調査)

  地籍調査では、境界をはさんだ土地所有者の方々に、双方の合意の上で土地の境界を確認してもらいます。 土地所有者など関係者の方々に現地に来ていただき、登記所にある公図等を基に作成した資料を参考に、 自分の土地の範囲を確認してもらいます。 また、土地の所有者、地番、地目(土地利用の現況)等も合わせて調査します。
  このようにして確認された境界に、「杭」を打ちます。この杭は将来にわたって各筆の土地の境界(筆界/ひっかい)を示す大切な杭となります。

 4. 確認していただいた境界の測量をします(地籍測量)

  測量の基礎となる図根点(基準点)を設置し、各筆の土地の境界(筆界)の測量を行います。また、その結果を基に正確な地図(地籍図)を作るとともに、各筆の面積を計算で求めます。

 5. 地籍簿をつくります

  一筆地調査と地籍測量の結果をまとめ、地籍簿を作成します。

 6. 地籍調査の結果を確認していただきます(閲覧)

  作成された地籍図と地籍簿は、住民の方々に閲覧していただき、確認を行います。通常閲覧は市町村役場で行われており、期間は20日間です。 万が一、調査の結果に誤り等があった場合には、申し出ることができ、必要に応じて修正が行われます。ここで確認された地籍調査の結果が、最終的な地籍調査の成果となります。

 7. 地籍調査の成果が登記所へ送付されます

  地籍調査の成果(地籍図と地籍簿)は、その写しが登記所に送付されます。登記所では、地籍簿をもとに登記簿を修正し、それまで登記所にあった地図の代わりに、地籍図を登記所備え付けの正式な地図とします。 以後、登記所では、地籍調査の成果を不動産登記の資料として活用します。

 登記所備付地図の現状

 日本では、基本的に全ての土地が登記されており、登記所にある登記簿には、土地の所有者、面積等に関する情報が記録されています。このため、多くの人は、自分の土地はその境界や位置が明らかであり、安全・安心であると考えています。 しかしながら、登記所に備え付けられている土地の位置を示す図面は、必ずしも正確なものではありません。全国の登記所に備え付けられている図面のうち、地籍調査等による測量に基づき作成されたものは、全体の半数程度であり、残りは、明治時代に作成された旧土地台帳附属地図(いわゆる公図)が大部分を占めています。

 「旧土地台帳附属地図(公図)」とは、明治時代の地租改正時に作成された図面が基となっているものであり、現況とは大きく異なっていることもあります。こうした地域では、土地の境界や位置が必ずしも明らかではありません。 このように、土地が登記されているからといって、必ずしもその土地がどこにあるのか、正確な情報が登記所で記録されているとは限りません。地籍調査を実施することで、土地やその境界の正確な位置が明らかになり、土地の面積も正しくなることで、登記されている情報の精度が向上することとなります。これにより、土地取引の際のトラブルの未然防止や、各種事業の円滑な実施が促進されることとなります。

 


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