第90回全国高校野球選手権大会2日目、第4試合。新潟代表の新潟県央工業高校は東兵庫代表の報徳学園と対戦して、4-2でサヨナラ負け。大熱戦でしたが、後一歩及びませんでしたね。惜しかった!
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計
| 新潟県央工
| 1
| 0
| 0
| 0
| 1
| 0
| 0
| 0
| 0
| 2
| 報徳学園
| 0
| 0
| 0
| 0
| 0
| 2
| 0
| 0
| 2x
| 4
|
先発の石田君は5回1/3を投げて、1安打5四球4奪三振で1失点。逆球も多かったのですし、四球も5つと多く、制球には苦労していたようですが、徹底して厳しいコースを突き、報徳打線に的を絞らせませんでした。普通は四球でランナーをためたらストライクを欲しがるものなのですが、ランナーを背負ってもひたすら際どいコースを狙い続ける精神力は大した物です。普通なら四球連発は叩くところなのですが、逃げて逃げての四球ではなく、攻めて攻めての四球でしたので、それほど悪い印象はありませんでした。危なっかしいシーンも多かったですけど、よく投げたと思います。
石田君の後を受けて登板したのが2年生の古村君。3回1/3を投げて5安打3四球2奪三振で3失点。6回裏1死2塁の場面から登板して、同点2ランを被弾。さらに9回裏には2死無走者としながら、最後はサヨナラ2ランを浴びるという、苦い結果に終わってしました。
結果は残念でしたが、投球自体は石田君と比べても遜色はなかったと思います。基本的には石田君と同様、ストレートとスライダーをコーナーに投げ分けるスタイル。ランナーを出しても厳しいところを狙い続けたところも似ていました。ただ石田君と違ったのは、投げそこないが高めの甘いところに行くことが多かったところで、その分だけ痛打を浴びることになってしまいました。まだ2年生ですし、制球力を磨けばもっと安定した投球ができるようになると思います。
そうそう、影の功労者は捕手の中野君です。逆球の多い投手を引っ張ったリードもそうなんですが、ワンバウンドになる球を身体を張ってよく止めていました。ランナーが3塁にいても、平気でワンバウンドになるスライダーを投げていましたからね。しっかり取ってくれるから、投手も安心して投げられる。この守備面での貢献は大きかったと思います。
打線は7安打1死球1盗塁で2得点。初回にヒット、盗塁、進塁打、スクイズと良い形で先制し、5回には2死2塁から笠原君のライト前ヒットで2塁から小柳君が際どく生還。アウトになった打球にも痛烈なものも多かったですし、近田君の制球がイマイチだったこともあって、序盤は県央工ペースで試合を進めることができました。機動力もよく使っていましたし、3・4番でも犠打をするなど、チーム全体で1点1点をしっかりと取りに行く、ある意味とても高校野球らしい打線でしたね。
欲を言えば、6回表の無死1塁の場面。犠打失敗、盗塁失敗で2死無走者となり、その後2ベースが出るものの無得点という、もったいない攻撃になってしまいました。結果論ですが、6回裏に同点に追いついてから近田君がどんどん調子を上げていってあまりチャンスも作れなくなってしまいましたから、できればもう1点追加しておきたかったところですね。
勝負のポイントとしては、やっぱり6回裏の継投ということになるでしょうか。それまで1安打無失点だった石田君に代えて古村君を投入し、同点ホームランを被弾。結果だけ見れば、この継投は失敗ということになります。
石田君はまだ88球しか投げていませんでしたから、スタミナ的にも続投することは問題なかったはずです。また、曲りなりにもそれまで1安打に抑えていたわけですし、6回裏も別に連打を浴びたわけではありません。それに対して古村君は甲子園初登板となるわけですから、たとえ実力的に問題はなくても、本来の力をどれだけ発揮できるかは未知数です。あのピンチの場面で交代させるという作戦は、リスクが大きすぎたと思います。
継投は県央工のスタイルですから、それ自体は否定される事はないと思います。7回8回の投球を見れば、古村君が石田君と比べて極端に力が落ちるというわけではないこともわかります。2点リードだったので、タイムリーを打たれてもまだ1点あるという計算だったのかもしれません。甲子園を最後まで戦い抜くことを考えた場合、石田君、古村君の力を最大限に発揮するため、もしかしたら継投策が正解である可能性もあったと思います。しかしこの試合の勝利を第一に考えた場合には、6回裏の交代はやはり早すぎたと言わざるを得ないでしょう。
惜しかった試合。新潟県央工にも充分勝ち目のあった試合だったと思います。序盤に掴んだ流れを維持できれば良かったのですが、爆発力のないチームなので、報徳に行った流れを再度呼び戻すことができませんでした。今日は送りバントの失敗もありましたし、失点には繋がらなかったもののエラーもありました。強豪校と伍するためにもそういった細かいプレーの精度を高め、来年、雪辱を期して欲しいと思います。


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