有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。1993年5月9日放送の第18話は「ETおばさんのカーネーション」です。
放送当日の1993年5月9日は、第2日曜で母の日に当たります。そんなわけで、山吹家の三姉妹も、雪子がプレゼントの買い出し、月子がお料理、花子が掃除と、それぞれ分担することになりました。
そんな相談をしているところにチャイムが鳴り、荒木、篠山、加納の3人組がやってきます。荒木が母の日に贈るカーネーションを買うためのお金を、カメラ同好会のフィルム代にしてしまったと言うのです。うーん、フィルムを買っちゃうのもどうかと思うのですが、何故その相談を山吹家に持ってくるのだろうか。
その頃、恵と荒木の母親は、二人で喫茶店に来ていました。話の内容は、やはり母の日のことです。荒木の母は、ウチなんかカーネーション一本で終わりだとか、男の子だからパーティーなんかやってくれたら気持ち悪いだとか言っていますけど、なんだかんだで、そのささやかなプレゼントを楽しみにしているようですね。まあ、そのカーネーションはフィルム代として消えちゃっているんですけどね。
そこへウエイトレスが注文を取りに来るのですが、それがなんと、第10話で登場したETおばさん。ETおばさん、以前は悪徳商法に手を染めていましたけど、今はまっとうに働いているようですね。
その場は普通に職責を全うしたETおばさんですが、キッチンに帰ってくると、母の日の贈り物で大いに盛り上がっていた二人に対してブツクサ。ETおばさんは宇宙から出稼ぎに出てきているため、子供たちからカーネーションをもらいたくてももらえないわけですからね。
故郷にいるET父ちゃんや子供たちを思い、ETおばさんが本性を現します。談笑する恵と荒木母を覗き見ながら、「地球の母親たち。カーネーションがもらえると思って笑っているのも今のうち。このETおばさんが、お前たちにカーネーションを贈ることができないようにしてあげる」と、ほくそ笑むのでありました。
親子離れ離れなのはかわいそうではあるので、単に「カーネーション欲しいなぁ」なら同情の余地もあるのですが、他人の幸せの邪魔に走っちゃうのがなぁ……。
雪子は荒木に、母親が母の日にカーネーションを貰うことをどれほど楽しみにしているのかを、懇々と説きます。説教している最中に居眠りしちゃっていた三人組ですが、そもそも、三人組がやってきたのは、花子にカーネーション代を借りるため。いさぎよく、土下座して借金を頼み込みます。
渋る花子ですが、代わりに雪子が貸してあげると申し出ます。その代わり、料理や掃除などを手伝うことが条件です。二つ返事で申し入れを受ける荒木に、篠山と加納も手伝いますと宣言。こいつら、たまに酷いときもあるけど、基本的には友達甲斐のある連中なんですよね。
野原をうろついているETおばさん。そこに咲いている、おしゃべりそうなタンポポをみつけると、「言っちゃおうかなぁ。やめたやめたやめた。でもやっぱり言っちゃおうかなぁ」などと勿体をつけながらタンポポの横に寝そべると、カーネーションの悪口を吹き込みます。
曰く、一年中母の日だったら、カーネーションは自分だけ一年中ちやほやされる。他の花なんかだれも見向きもしなくなって枯れちゃえばいいと言っている、とかなんとか。
とどめにタンポポにくさい息を吐きかけ、「息のくさい人に嘘つきはいない」とダメ押し。10話でもそうだったんだけど、なんでこんなやり方で、みんなETおばさんのことを信じちゃうんだろう?
ETおばさんに騙されたタンポポは、空を飛んで花屋へとやってきます。その花屋では目立つところにカーネーションが置かれ、のん気に「飛んでったバナナ」の替え歌でカーネーションの歌なんか歌ったりしています。
タンポポはチューリップに「誰にも言わない?」なんて前置きしながら、ETおばさんに吹き込まれたカーネーションの悪口を伝えます。それに激怒したチューリップは、「カーネーションが一年中母の日にしようとする計画を企てている」と、ETおばさんの話からさらに尾ひれをつけて他の花に喧伝。それが店中に伝播して、哀れ、カーネーションはいじめられ、袋叩きに遭ってしまうのでありました。ひでー話だなぁ。
泣きながら逃げ出してきた一輪のカーネーションを見つけたETおばさんは、そのカーネーションをなぐさめます。カーネーションも、あまりに酷い仕打ちを受けた後なので、ETおばさんの胸に飛び込んでいきます。
「全国のいじめられれているカーネーションさん、私がなぐさめてあげましょう。いらっしゃーい!」
完全なマッチポンプなわけですが、 ETおばさんの呼びかけに応じて、全国から(まあ、せいぜい町内から、くらいでしょうけど)カーネーションの花束が、ETおばさんのところへと集まってくるのでありました。作戦がまんまと成功したETおばさんは、ホクホク顔です。
山吹家で、掃除や料理を手伝っている三人組。意外と素直に、まじめに取り組んでいるようですね。ただ、山吹家の一つながりになっているダイニングキッチンで、掃除と料理を同時に行うというのはどうかと思うんですけどね。思いっきり料理にホコリとか入りそうなんですけど。
それはさておき、掃除と料理が一段落着いたので、雪子は三人組に、カーネーションを買ってくるように頼みます。喜び勇んで花屋へと駆けていく三人組ですが、そこにカーネーションの姿はありません。カーネーションを買うことができない三人組はがっかり。かき入れ時なのに看板商品が消えてしまった花屋の主人も大慌てです。
そのころETおばさんは、アパートでカーネーションに囲まれてご満悦。しかし、子供たちにもらったという体でカーネーションを抱きしめますが、家族に会えない寂しさを埋めることはできず、一人涙を流すのでありました。
しかしその寂しさが、日本の母親への憎しみに変わってしまうところがETおばさんの救われないところ。カーネーションをもらえない母親たちに、カーネーションを見せびらかしてやるのだと、カーネーションを持って街へ繰り出していきます。
喫茶店から出てきた恵と荒木母。カーネーションの花束を抱えて上機嫌なETおばさんをみつけると、あんなにカーネーションをもらえるなんてきっと親孝行ないい子供なんだとうらやましく思いつつも、自分の子供だって……と、笑みを浮かべています。ただ、残念ながら、山吹家でも荒木家でも、まだカーネーションを入手できていないんですよねぇ。
カーネーションを入手できなかった三人組は、がっくりと肩を落としています。が、カーネーションを買えなかったことはしょうがないことだから、そのお金でアイスクリームでも食べようと、走り出していきます。こいつらときたら……。
しかし、そこに通りがかった恵と荒木母。「カーネーションは?」と、いきなり催促する荒木母ですが、「消えちゃった……」と言われて、逆上。「世の中にはあんなにいっぱいのカーネーションを贈った親孝行な子供もいるって言うのに」と、荒木の胸倉を掴んでわめき出します。ま、ETおばさんも子供にもらったわけじゃないんだけどね。
荒木母から逃げ出す三人組。しかしこれは荒木母子だけではなく、その他の多くの家庭でも起こっている現象なのでした。他からも母親に追いかけられている子供たちがやってきて、大勢の母子たちが入り乱れて大混乱が起こっています。って言うか、カーネーションがもらえなかったというだけで、激怒する母親多すぎだろ。
帰宅した恵から荒木母子のことを聞いた三姉妹も現場にやってきます。恵もカーネーションはもらえてないんですけど、パーティーの準備ができていたから、そこまで気分を害することもなかったんですかね。
どこからか変な笑い声が聞こえると気付いた花子。その声の主は、近くで大量のカーネーションを持っているETおばさんです。
母親たちの前に姿を現したETおばさんは、カーネーションの花束を見せつけます。悔しさに泣き崩れる母親たちの姿に、ETおばさんは高笑いが止まりません。
ただ、いい機会であるのは間違いないんだけど、母親たちが狼狽している間に一斉にその場を立ち去る子供たちも、ちょっと酷いよね。
ETおばさんにカーネーションを見せびらかされ、母親たちは遂に、バタバタと気を失っていきます。勝ち誇るETおばさんでしたが、そこへシュシュトリアンが登場するのでありました。
「乙女盛りに命をかけて」
「風に逆らう三姉妹」
「花と散ろうか、咲かせよか」
「「「有言実行三姉妹、シュシュトリアン!」」」
「古人曰く、『人を呪わば穴二つ』」
カーネーションを奪って世の母親を不幸に陥れようとすれば、それはETおばさん自身をも不幸にしてしまうのです。うんまあ、言葉の意味としてはそれで正しいんだけど、ETおばさんはあんまりその辺は気にしてなさそうだしなぁ。元々自分が不幸だから、他人も不幸に巻き込んでやろうとしているわけだしね。
そんなわけで、ETおばさんがそんな説教に耳を貸すわけもなく、カーネーションを振りかざしてバトル開始となるわけです。
第10話の戦闘シーンでは、格闘はそれほど得意でもなかったものの、くさい息を武器にしてシュシュトリアンを苦しめたETおばさん。今回はテレポーテーションという新しい技でシュシュトリアンの自爆を誘ったりして翻弄し、やはりくさい息でシュシュトリアンを追い詰めます。
しかしここで、反旗を翻したのはカーネーションたち。ETおばさんに騙されていたことを知り、一斉にETおばさんを取り囲みます。残念ながらカーネーションにまともな戦闘能力はなく、あっという間に振り払われてしまいますが、その一瞬の時間稼ぎが役に立ちました。カーネーションに向かってくさい息を吐こうとしたETおばさんに、シュシュトリアンのシュシュファイナルが炸裂し、くさい息を封じてしまいます。その隙にカーネーションがETおばさんをKOし、それぞれ花屋へと帰っていくのでありました。
カーネーションが騙されたことに気づいたのは良かったけど、花屋の他の花たちは、まだ騙されたままなんじゃないかなぁ? 今帰ったら、結局またカーネーションがいじめられちゃうような気が……。
しかし、カーネーションが戻った花屋には、子供たちが殺到し、いじめられる間もなくカーネーションは売れていきます。これで無事に、母親にカーネーションを贈ることができますね。
倒れていた母親たちも、シュシュトリアンから「子供たちがカーネーションを買って待っています」と告げられると、我先にと帰っていきました。これで一般のカーネーション事件は解決しましたかね。ただ、荒木がちゃんとカーネーションを買っているのかだけが心配ですけどね。カーネーションを買う前に、アイスクリームとか買ってねーだろーな。
そのそばでは、ETおばさんが号泣しています。「そんなにカーネーションがもらいたければ、子供たちのまっている宇宙に帰ればいいのに」と月子に言われますが、仕事があるから帰れないというETおばさん。それなら代わりの人がいればいいと雪子は言い、その当てもあるようですが、そもそもETおばさんは出稼ぎに来てるんだから、仕事に穴を開けないことよりも、金を稼ぐほうが重要なんじゃ……。
山吹家では、恵が三姉妹からカーネーションを受け取り大喜び。ついでに三人から「いつまでも若い」とか、「口紅の色が透きとおっている」とか、「綺麗なおみ脚」とか、お世辞の大サービスです。
盛り上がる女性陣を尻目に、一人さびしく手酌でビールを注ぐ英三郎。そんな英三郎に恵はカーネーションを一輪手渡し、「やっぱりお父さんが一番いいわ」とビールを注ごうとします。英三郎も今日は母の日だからと、先に恵にビールを注いだりなんかしちゃったりしています。そんな二人を、三姉妹もほほえましく見つめており、お酉様の力とはいえ、家族仲良くやっているようで何よりですね。
そんなとき、ふと夜空を見つめる三姉妹。その頃宇宙の田舎では、家族のもとへETおばさんが帰っていたのであります。突然のETかあちゃん(家庭内では当然ですが、ETおばさんではなく、ETかあちゃんと呼ばれています)の帰宅に、大喜びで取り囲む子供たち。長男がまっさきにお土産の袋を確かめるのがそれっぽいですね。
仕事は大丈夫なのかと心配をするET父ちゃんですが、それは大丈夫。ウエイトレスの後任として、フライドチキン男が就いていたのです。
「バナナジュース2つと、カフェオレ2つですね」
僅か10秒程度。ウエイトレス姿のフライドチキン男が普通に注文を取っているだけのシーンなのですが、今回はことわざ解説以外出番のなかったフライドチキン男を最後の最後でもってきたこのオチが、あっさり風味でありながら妙に面白いのです。
ここ何回かどうもオチが弱いなぁと思っていたのですが、いい話風のエピソードをシュールに締める、良いオチでした。
[次回予告]
「掃除、洗濯、料理、毎日家事に追われるお母さん」
「家事が大好き、よく働いて、何より美人の林ルミさん」
「お父さんが惚れるのも無理ないわ」
「だけどルミさんと結婚するだなんて、どういうこと?」
「月子、花子、あんたたちまでお母さんを追い出すなんて」
次回の有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「妖怪・理想の主婦」。お楽しみに。
いい話風で終わった今回のエピソードを吹き飛ばす、なんと不穏な次回予告……。


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子供たちが花屋に殺到するシーンで画面右から駆け出してくる子たちの中にちゃんと三バカがいましたよ。