エニックス文庫のゲームブック「スターオーシャン」をプレイしました。
宇宙暦三四六年。突如としてひとつの星が消滅した。それが、すべての始まりだった。――のどかなクラトスの町を守る自警団員のラティは、ある日、隣町を襲った奇病・石化病を治すため、友人のドーン、ミリーとともにメトークス山へと薬草を採りにいく。ところが、その途中でなんと、ドーンまでが病気に感染していたことが判明。おまけに、ようやくたどりついた山頂で、“地球人”を名乗る男女に遭遇して――!?
――スーパーファミコン版スターオーシャンが、オリジナルGBで帰ってきた!!
ラティは謎の奇病から故郷を救えるのか!?
「スターオーシャン」(エニックス文庫)表紙折り返しより
本書はスーパーファミコンのRPG「スターオーシャン」のゲームブック化です。総パラグラフ数は、プロローグとエピローグを除いて505。原作をプレイしたことはありませんが、ストーリー的にはほとんどそのまま移植してあるみたいですね。
冒険の書を眺めてみると、経験値・レベルチェック表、バトル対戦表、レベル別呪文表、レベル別奥義表、奥義ポイントチェック表、フラグチェック表、アイテムリスト、武器リストと、2ページに渡ってびっしりと表が並んでいます。
この膨大な情報量はエニックスのゲームブックにはよくあるのですが、実際、冗長なことが多いんですよね。構成をしっかりと考えれば、もっと削減することもできるはずです。まあ情報の管理の仕方が冗長だからといって、プレイヤーの手間がそれほど増えるわけでもないんですけど、どうしても「手を抜いているなぁ」と感じてしまうことは否めませんね。
これ以降、「スターオーシャン」のネタばれが含まれています。ご注意ください。
このゲーム、とにかく簡単です。どのくらい簡単かと言うと、エピローグと、たどり着けないパラグラフにしか、エンドパラグラフが存在しないくらい簡単です。つまり、基本的にゲームオーバーにならないんですよね。
戦闘時にはバトル対戦表を参照したりしますが、そこで負けたとしても、パーティーの他のメンバーが頑張ってくれてなんとかなります。毒や石化といった状態異常を喰らい、それを治すアイテムを持っていなかったとしても、パーティーの他のメンバーが頑張ってくれてなんとかなります。経験値が足りないときは、雑魚が現れて経験値をかさ上げしてくれます。町やダンジョンで選択を間違え、アイテムや経験値を入手できなくても、それはそれとして話を進めることができます。ひとつだけストーリー的に大きな分岐と言える場所がありましたが、結局ほとんどの選択はゲームの成否を分けるのではなく、戦闘なり会話なりの描写の仕方が変わるという程度のことなんですよね。難易度が低いこと自体は別に悪いことではありません。しかし、どの選択肢をを選んでも大差なく、選択することにほとんど意味がないというのは、ゲームブックとしてはちょっとどうかと思いました。
サクサク読めると言う点は良いのですが、ゲーム的にはちょっと物足りませんでした。しかし、とりあえず、なんとなく遊んだ気にはなれます。中身はほとんど原作のベタ移植みたいなものなので、後は原作との相性次第ということになりそうです。「スターオーシャン」はいかにも90年代の一本道RPGっていう感じでしたが、実はこういうの嫌いじゃないので、私はそこそこ楽しむことができました。
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