夏原武他著『アンダーグランドビジネス最前線』
本書は「洋泉社ペーパーバックス」シリーズの第3冊目として刊行された。このシリーズは、「同時代の熱いテーマをいち早く取り上げる」、「既成概念を疑う」、「タブーに挑戦する」という特徴を持つ。目次を見てみよう。偽造パスポート、地下銀行、密売ドラッグ、高利回り出資詐欺等のキーワードが並ぶ。何業でもそうだが、保険業に携わる者としては、この手の書物にザット目を通し、悪事を行う連中の概要を把握しておく必要がある。44ページに、懐かしい(?)キーワードを発見した。「オレンジ共済」だ。参議院議員友部達夫は、1992年から年利6%以上という高金利の金融商品を販売、90億円の資金を集めた。しかし、1996年に「オレンジ共済」は倒産、友部達夫は逮捕された。事件発生から、そろそろ、10年近くが経とうとしている。今の若い社員は、「オレンジ共済」のことなど全く知らないかもしれない。しかし、「歴史は繰り返す」ことを忘れてはならない。この「オレンジ共済」では、金融商品のみならず、火災共済等も販売していた。営業の第一線では、安い掛金が売り物の「オレンジ共済」の対応に苦慮したものである。「オレンジ共済」の経営者は参議院議員。都バスを使って車内広告をしていたと記憶している。「オレンジ共済」に、だまされた消費者が多数いた。
インターネットを利用した詐欺行為がワールドワイドに広がっている。新しいところでは「カトリーナ寄付金詐欺サイト」。米国ニューオリンズを襲ったハリケーンをネタにした詐欺である。寄付を募ったサイトは4000にものぼったが、その大半は詐欺であったという。
次は盗難車の話題。今年6月、新潟県警等が約200人体制で新潟東港周辺の中古車輸出業者87社に対して立ち入り検査を実施した。これは古物営業法に基づくものだ。その結果、標識や売買台帳の不備で16業者に対して書面で指導・警告を行った。そのほか、外国人2名が旅券不携帯の疑いで検挙された。実は、立ち入り検査は、昨年以来3回目。新潟東港では、年間数十台の盗難車が通関時に発見されている。盗難車の買い手は、主としてロシア・マフィアといわれている。新潟東港に限らず、日本海側の港は盗難車輸出の温床となっている。ロシア・マフィアの暗躍も目立ち、殺人事件も発生した。実は、新潟東港を中心とした中古車輸出に関しては、別な側面がある。約170社ある中古車輸出業者のうち約130社がパキスタン人の経営によるもの。近くにはモスク(回教寺院)もある。昨年5月、この付近に国際テロ組織アルカイダの幹部(フランス国籍)が一時潜伏していたことが判明、大騒ぎになった。警察では、中古車輸出で得た利益がテロ組織の活動に使われているという疑いを持っている。
(2005年、洋泉社、952円+税)
本書は「洋泉社ペーパーバックス」シリーズの第3冊目として刊行された。このシリーズは、「同時代の熱いテーマをいち早く取り上げる」、「既成概念を疑う」、「タブーに挑戦する」という特徴を持つ。目次を見てみよう。偽造パスポート、地下銀行、密売ドラッグ、高利回り出資詐欺等のキーワードが並ぶ。何業でもそうだが、保険業に携わる者としては、この手の書物にザット目を通し、悪事を行う連中の概要を把握しておく必要がある。44ページに、懐かしい(?)キーワードを発見した。「オレンジ共済」だ。参議院議員友部達夫は、1992年から年利6%以上という高金利の金融商品を販売、90億円の資金を集めた。しかし、1996年に「オレンジ共済」は倒産、友部達夫は逮捕された。事件発生から、そろそろ、10年近くが経とうとしている。今の若い社員は、「オレンジ共済」のことなど全く知らないかもしれない。しかし、「歴史は繰り返す」ことを忘れてはならない。この「オレンジ共済」では、金融商品のみならず、火災共済等も販売していた。営業の第一線では、安い掛金が売り物の「オレンジ共済」の対応に苦慮したものである。「オレンジ共済」の経営者は参議院議員。都バスを使って車内広告をしていたと記憶している。「オレンジ共済」に、だまされた消費者が多数いた。
インターネットを利用した詐欺行為がワールドワイドに広がっている。新しいところでは「カトリーナ寄付金詐欺サイト」。米国ニューオリンズを襲ったハリケーンをネタにした詐欺である。寄付を募ったサイトは4000にものぼったが、その大半は詐欺であったという。
次は盗難車の話題。今年6月、新潟県警等が約200人体制で新潟東港周辺の中古車輸出業者87社に対して立ち入り検査を実施した。これは古物営業法に基づくものだ。その結果、標識や売買台帳の不備で16業者に対して書面で指導・警告を行った。そのほか、外国人2名が旅券不携帯の疑いで検挙された。実は、立ち入り検査は、昨年以来3回目。新潟東港では、年間数十台の盗難車が通関時に発見されている。盗難車の買い手は、主としてロシア・マフィアといわれている。新潟東港に限らず、日本海側の港は盗難車輸出の温床となっている。ロシア・マフィアの暗躍も目立ち、殺人事件も発生した。実は、新潟東港を中心とした中古車輸出に関しては、別な側面がある。約170社ある中古車輸出業者のうち約130社がパキスタン人の経営によるもの。近くにはモスク(回教寺院)もある。昨年5月、この付近に国際テロ組織アルカイダの幹部(フランス国籍)が一時潜伏していたことが判明、大騒ぎになった。警察では、中古車輸出で得た利益がテロ組織の活動に使われているという疑いを持っている。
(2005年、洋泉社、952円+税)