百醜千拙草

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野党共闘、共産党の決意

2016-02-23 | Weblog
わが道を行く、唯我独尊、イデオロギー中心主義、そんな印象と、共産主義国家の現実やそれに対する偏見、などが相まって、「共産党」をみる人々の目は、どちらかと言えばこれまで冷ややかでした。偏見を排して「共産主義」という社会形態を考えれば、(動物ではなく)人間が作る社会としては理想形であると私は思います。資本主義は、突き詰めればカネを持っているものが持たないものを搾取する「弱肉強食」の動物の社会であり、マルクスの唯物史観によれば資本主義は崩壊して社会主義、そして共産主義へと進化していくはずのものでした。しかし、過去のイデオロギーに先導された共産主義国家は、人間の限りない利己的な欲望というものを過小評価しすぎたのではないだろうかと私は想像します。理想と現実には必ずギャップがあり、現実の方に人は流されるわけです。現実社会での欲望が満たされていなければ理想を語るのは困難です。武士は喰わねど高楊枝、ボロは着てても心は錦、とはなかなかいきません。それを不断の努力で理想へと近づけていくのが「人間」なわけですが、そういうことは個人レベルでは可能であっても、人間としての成長レベルの異なる雑多な人々が混じり合い、各個人が必ずしもその共産主義への理想に一様に燃えているわけでもないような社会で、理想に向けて努力するということは大変です。自然と統治する政府が力をもって人民を抑え付けるというようなことが必要になり、人々は不満を溜め、政府はより強権的になり官僚主義となっていったのではないかと思います。つまり、人々のレベルが共産主義を国家レベルで実践できるほどに達していなかったのだと思います。(キブツなど参加者の選択を厳しくしている小さな共産コミュニティーでは共産主義はうまくいっているようです)

唯物史観では資本主義が崩壊したのちに共産主義へ移行すると言っています。つまり、資本主義が行き着くところまでいって、国民の9割以上が一部の支配者層の奴隷であるという認識が広がり、国家の破綻に繋がりかねないような状態になって、資本主義がまず崩壊する、共産主義社会への移行にはその必要があるのだろうと思います。逆に言えば、グローバル企業がバッタバッタと倒産し、金融産業が消滅し、失業率は5割を超え、通貨が価値を失って紙切れとなり、人々は生存の危機にさらされるというような状態を経る必要があるのかも知れません。しかし、その時期がだんだん近づいてきたのではないだろうか、と私は思います。そうなった時に、もう戦争という選択はおそらくあり得ないでしょう。

アメリカで社会主義を公言するサンダースが民主党大統領候補として熱烈な支持を伸ばしてきているのはその現れではないでしょうか。一般アメリカ人にとって、上位1%の金持ちが下位50%の人々の富を合計した以上を独占しているという事実を受け入れるのは難しいです。金持ちになって豊かで幸せな生活をする可能性が誰にでもあるような社会であれば、「今は辛くても、そのうちに」と現実を受け入れて頑張ることもできるでしょう。しかし、一般アメリカ人はその親の世代に比べても確実に貧しくなってきており、中流層がすっかり下流層へと地盤沈下をおこしている状態で、若者は「アメリカンドリーム」を実現して億万長者になる確率の低さを現実的に計算しています。日本でも同じだと思います。真面目に働いて、価値あるものを生み出し、実際に社会に貢献している人々が報われず、そういう人々のカネを利用して価値も生み出さないような仕事(例えば株式という紙切れを売り買いするようなバクチ行為など)をしている人間の方が豊かな生活をしているヘンな社会が現代です。常識があれば、サンダースがアメリカの金融業を厳しく批判するのもわかります。

それはともかく、日本共産党が今日ほど、存在感を見せていることはなかったのではないでしょうか。本来、もっとも危機感を持ち、現在の史上最悪の自民党政権を生み出した張本人である民主党こそが、深く反省して、その失態を取り戻すべく、野党の中で中心となってアベ政権打倒の旗を振るのが、あるべき姿です。しかるに、どうも現民主党は「やってるフリ」して長いものに巻かれたい体質なのか、危機感も当事者意識もあまり感じられません。対して、最近の共産党には心打たれるものがあります。アベ政権を倒さない限り、共産主義の理想も何もないという危機感、目の前のもっとも大きな障害を倒すためには、自らを曲げることも厭わないという強い意志が感じられるような気がします。

毎日新聞から。共産党「1人区」独自候補を原則取り下げ方針

 共産党は22日、各都道府県代表と夏の参院選候補を集めた会議を党本部で開き、安全保障関連法の廃止を公約することなどを条件に、参院選で改選数1の「1人区」の独自候補を原則として取り下げる方針を確認した。次期衆院選でも独自候補擁立を抑制し、一本化を呼びかける。
 志位和夫委員長は会議後に記者会見し「参院選までのわずかな期間で野党共闘をまとめなければいけない」と指摘。そのうえで独自候補の擁立について「大局に立って判断する。1人区は思い切った対応をする。かなりの人は立候補を取り下げる。単なるすみ分けではなく、本格的な選挙協力を目指したい」と表明した。


社会を変えるためには、自らがまず変わらなければならない、そんな覚悟を感じますね。「あの」共産党がここまで言っているのです、続かないのは野党ではないと思います。
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