百醜千拙草

何とかやっています

示唆される社会の崩壊

2016-11-15 | Weblog
前回、アメリカ大統領選に見られたような煽動型キャンペーンをする候補が勝ってしまうということは、国民の不満が鬱積しているということを意味していると私は思い、そう書いたわけですが、今回の大統領選についてチョムスキーがどういう見解を述べるのか興味を持って調べてみました。残念ながら、大統領選後の彼の意見を見つけることはできませんでしたが、チョムスキーは6年前、すでに、トランプのような候補が現れれば大統領に選ばれるだろう、という予言(?)をしていて、「恐ろしいことである」と語っていたことを知りました。また、今年の2月の時点でトランプが人気を集め出した頃の彼のインタビュー記事を見つけました。

Chomsky: Trump's rise due to 'breakdown of society ーチョムスキー:”社会の崩壊”ゆえにトランプは躍進する

(当時のトランプの躍進に関して)「恐怖と新自由主義の社会の崩壊」(を感じる)とチョムスキーは答えた。 「人々は、孤立し、無力で、理解できない強い力の犠牲になっていると感じている」
 チョムスキーは、トランプが台頭できる社会情勢と1930年代の大恐慌の時の類似性を指摘し、さらに「大恐慌当時は、客観的には、貧困と苦しみははるかに大きかったが、貧しい労働者や失業者の中でさえも、希望の感覚というものがあった。しかし、それは今はない。というのは、主に戦争労働運動の増大と主流の外にある政治団体の存在のためだ」と述べた。 、、、
チョムスキーは、過去のバーニー・サンダース(予備選での民主党候補)のキャンペーンに貢献したが、スイング州(民主党と共和党支持が選挙の度によく入れ替わる州)に住んでいたならば、彼は「絶対に」共和党ではなく、クリントンに投票すると述べた。インタビューでは、チョムスキーはサンダースを賞賛したが、選挙は主に「買う」ものであるという選挙制度故に、彼が勝てるチャンスのはあまりないと述べた。


アメリカ人を辞めたい、カナダに移住したい、カリフォルニアは州をやめて独立したい、トランプの当選を受けて、感情的になっている人も多いようですが、カモミールティーでも飲んでリラックスしましょう。世界は広いです。上には上があり、下には下があります。北の将軍様みたいなのもいます。政治の素人だからこそ、できることもあるかも知れません。もちろん、とんでもないことを大統領令でやろうとするかも知れませんし、当然の政策に拒否権を使うかもしれません。ただ、彼の主な動機はエゴでしょう。大きな専用飛行機にTRUPと大書して空を飛んでみたい、成金趣味丸出しのトランプタワーをマンハッタンのど真ん中に立てて、その最上階からセントラルパークを見下ろしながら、ミスユニバースの若い女の子にお酌をさせたい、そんな子供じみた欲求の延長が大統領というわけで、チヤホヤされればそれで満足するのだろうと思います。アベ氏のように「大日本帝国の復活」みたいな狂気じみた野望は持ち合わせていないだろうと、私は思います。その辺は議会の人間もアドバイザーもわかっているだろうし、トランプがそのような単純な人間であれば操縦するのは難しくないだろうと私は楽観しているのです。

ただ、トランプを担いでいる一部の連中は、社会的混乱を望んでいます。泥棒するには火事場がいいのです。そういう連中は、トランプ支持、反トランプ層の両方を煽って、対立を起こさせることが第一の目的とも言えるでしょう。現在のところ、トランプは社会の歪んだ不満の鬱積を示す単なる象徴でしかないわけですが、彼が大統領になった後には、扇動者であるトランプを利用して扇動を拡げようとする一部の連中と、トランプを頭に乗せたままで従来の共和党路線を踏襲していきたいと考えている保守勢力の駆け引きが始まるだろうと思います。その勢力同士がお互いの利害の一致する部分で妥協し、ボヤ程度の火事が起こるのではないかと私は予想しているわけですが、火事というものは、ちょっとしたタバコの火の不始末から丸々一軒が全焼に至るわけで、火遊びほど怖いものはありません。チョムスキーのいう社会の崩壊は、それを意図するものによって人為的に煽られたボヤが、結局、コントロールできなくなって、国中に広がるように起こるのだろうと思われます。いずれにせよ、普通に真面目にやっている人には迷惑な話です。

トランプ個人をいくら嫌っても、そのトランプを大統領にした社会の歪みは解消されません。とりあえずは、トランプがあまり尊敬できない人間であっても、彼がホワイトハウスでバカをやっても、笑ってスルーするぐらいの鷹揚さがある方が精神衛生に良いだろうと私は思っております。人間的に難があってもいいではないですか。成金が大統領になるというアメリカ資本主義を絵に描いたような話で、将来はJFKよりも面白い映画のネタになりそうです。大統領夫人が20歳以上も年下の東欧のモデル出身でもいいではないですか。イタリアにはベルルスコーニというつわものもおりました。それでもイタリア人は、地震や経済困難にあっても日々の生活を楽しむ心を忘れません。「社会の崩壊」も嘆くことはありません。形あるものは、いつかは壊れるのですから。

ところで、ベルルスコーニの発言が愉快です。トランプの発言もジョークだと思えばいいでしょう、世界は劇場です。なんでも面白がれる人の勝ちです。

ベルルスコーニ、迷言集(Wikipediaから)

「選挙期間中はセックスを断ちます」と公に宣言した。投票を1週間後に控えていたため、事実上1週間だけの禁欲宣言だった。

バラク・オバマがアメリカ大統領選に勝利した話題に触れ「オバマは若く、ハンサムで、そして日焼けまでしています」。ミシェル・オバマ大統領夫人に関しても「君たちは信じないだろうけど、2人でビーチに行ったんだ。なぜなら奥さんも日焼けしているからね」と語った。

イタリアで多発するレイプ事件に関して、「イタリアには可愛らしい女の子がたくさんいるから、レイプをなくすことは無理だ」と発言した。

イタリア中部地震発生の際、家を失くした人々の被災者キャンプを見て、「キャンピングホリデー」と発言し、被災者の怒りを買った。また被災者キャンプで医療活動に従事していた女性医師に対し「あなたからの蘇生措置なら喜んで受ける」と言い、そこにいた黒人牧師に対し「いい感じに日焼けしてますね」と発言した。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 黒塗り、言い訳、なし崩し | トップ | Chomsky's take on Trump »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事