百醜千拙草

何とかやっています

特捜完敗なるも勝利は未だ遠し

2010-02-05 | Weblog
最近読んだ本の中の一節。我が身の戒めにと思って書き留めます。

 チェロキーインディアンのある老人が、孫に向かって、人々の心の中で行われている戦いについて話していた。
「すべての人間の中には、二匹のオオカミがいて、お互いに闘っている。一匹は『悪』だ。それは、怒り、妬み、嫉妬、悲しみ、後悔、強欲、傲慢、 自己憐憫、恨み、劣等感、嘘、誤ったプライド、優越感、そして慢心である」
 「もう一匹は『善』だ。それは、喜び、平和、愛、希望、静穏、人間性、やさしさ、博愛、同情心、寛大さ、真実、思いやり、そして信仰である」
 子供は少し考えてから訊いた、「どちらのオオカミが勝つの?」
  老人は答えた、「おまえが餌を与える方だよ」

凡人たる私たちは、この悪のオオカミを戒め、善のオオカミを養わねばなりません。まずは、私たちの心の動きと行動の一つ一つを客観的に評価して、悪を除き、善を育てることを意識的に行う必要があります。そうして、日々、努力すれば、七十になるころには、意識せずとも、矩を越えずに、日々暮らすことができるようになるかも知れません。

ところで、東京地検、小沢氏を不起訴とのニュース。当然の結果です。いくら、公設暴力団だと言っても、これだけ多くの国民からのバッシングを受けては、無理筋を通すのは不可能だ、と読んだのでしょうか。無理してやれば、クーデターです。そこまでの根性も、そもそも、そういうつもりもないのですから、ここで腰が引けるのは当然でしょう。とにかく、これで、前回の西松事件に続いて、地検特捜の二連敗、即ち、完敗です。小沢氏は多分、検察との戦いに勝利した唯一の政治家であろうとのこと。この結果をみて、溜飲を下げた人も多いことでしょう。
  とは言っても、特捜はこれまで信じられないような酷い捜査をしていた連中ですから、これでおとなしく引き下がるとも思えず、不気味な気分が残ります。
 この小沢氏失脚を狙った卑劣な地検特捜の中に透けて見えるものは、強欲、傲慢、嘘、誤ったプライド、優越感、そして慢心、です。多分、後悔、妬みや恨みもあるでしょう。ないものは、喜び、平和、愛、静穏、人間性、やさしさ、博愛、同情心、寛大さ、真実と思いやりです。多分、希望と信仰もないでしょう。
  検察にとっては、「やらねば、やられる」という状況は、多分、変わっていませんから、また次に卑怯な手を繰り出してくるかも知れません。その前に取り調べの可視化を義務づける法案を通して、今回のようなデタラメな嫌疑や捜査が堂々とまかり通らないように牽制してもらいたいと思います。
  あるいは今回の不起訴には、小沢氏側が優位に立ったのを見て、事件を収めるかわりに、官僚組織解体に手心を加えてもらいたい、との取引(もしくは思惑)があったのかも知れません。もしそうなら、小沢氏と鳩山内閣は、検察が空振りに終わることを読んでいて、敗勢の検察が逆にすり寄ってくる機会を与えるために、自ら検察批判を封印していたのかも知れません。
  ここで、検察が無理に起訴しようとすれば、おそらく、さすがの鳩山さんも指揮権発動するでしょうし、そうなれば、検察と全面対決となります。野次馬の立場からは、内閣と検察が大っぴらに全面戦争をやってくれた方が面白いとは思いますけど、今の日本、そんな余裕はないというのが現状でしょう。
 検察にしても、全面戦争となれば、検察の裏金作りをはじめとした組織的犯罪も俎上に上がり、東京地検特捜だけの問題で終わらなくなっていたでしょう。そこまで血まみれの殺し合いをするつもりも根性も特捜にはもとよりありません。西松で代表辞任したぐらいだから、もう一度脅せば、小沢氏は幹事長をやめてくれるだろう、と踏んでいたのでしょうが、そのナメた算段が命取りでした。

 いずれにせよ、政治的意図をもって小沢氏失脚を狙った今回の事件が、とりあえずは、検察の完敗に終わったことは喜ばしいことです。無理が通らずに済みました。しかし、秘書は起訴されるようです。これは大見得を切った検察の投了前の形づくりなのでしょうけど、踏み台にされ、逮捕され、拷問的取り調べをうけ、起訴された秘書の人は気の毒です。小沢氏の不起訴は、もちろん喜ばしいことですが、一方、秘書がスケープゴートにされたのでは、民主主義の勝利とは言えません。この件も検察は速やかに非を認めて、然るべき対処をしてもらいたいと思います。
  結局、検察にとっては、昨年の大久保秘書逮捕と同様、今回、現職議員を含む二人の秘書を逮捕し、派手なアクションで拳を振り上げてみたものの、結局のところ、大山鳴動、ネズミ一匹、何とも情けない結果となりました。普通の企業であれば、これだけ強引にやったプロジェクトがコケたら、責任者はクビかよくて降格、左遷というところでしょう。まして、連中は、本来、役人で、国民の税金で養われ、国民の奉仕する立場であるはず。それが、国民の足を引っぱり、民主主義を冒涜し、他人に濡れ衣を着せようと、人間とも思えぬ悪行に出た結果、しくじったわけです。特捜は、国民と被害者に土下座して謝った上で、関係者は全員懲戒免職、そうあらねばおかしいと思います。そうなって初めて、国民は検察の「悪のオオカミ」との戦いに勝利するといえましょう。

  余り怒ると私は自分の「悪のオオカミ」を養うことになってしまいますけど、検察の「悪のオオカミ」は、もう手がつけられないほど、強大となっています。それを倒すのは、国民の監視とフィードバックではないか、と思うのです。
  検察の横暴に、一般市民がネットで随分、抗議の声を拡げました。週間朝日をはじめとして、少数ながら大メディアも、国民の声を取り上げ、検察批判を展開しました。
  そして、地検特捜は、これまで、記者クラブ制を利用して、手下のように扱って来た大手メディアの一部にまで反旗を翻されつつあります。地検は週間朝日に対して、特捜批判の記事に関して、抗議したとのこと(実は、単なる抗議ではなく、出頭要請であったことは、下に記す通りです)。片腹痛いとはこのことでしょう。対して、週間朝日の編集長は、「記事は、丁寧な取材を重ねたものであり、自信を持っております」とのコメントを発表したそうです。
 更に、ニュースソースによると、

 周辺には、この情報が「編集部に地検から出頭要請」という形で広がった。例えばジャーナリストの有田芳生さんは13時01頃、ツイッター上で、「『捜査妨害だ!』と激怒する検察は、報道内容に関して山口一臣『週刊朝日』編集長に出頭要請した模様。普通、抗議があれば出向くのが社会の常識」と発言したとのこと。

その後のネットの情報から、出頭要請は本当にあったこと、それを検察と朝日新聞本社は、出頭要請ではなく単なる抗議として処理するようにと、週間朝日に強制したという話が伝わりました。この情報は、出頭要請を受けた本人がTwitterを通じて、ネットに流れました。私、Twitterの存在意義には懐疑的でしたが、この威力には驚きました。生の情報が当事者本人から、リアルタイムでネットに流れ出るので、圧力をかけて情報操作しようとしても、押さえ込めないのですね。
 この検察の週刊朝日への抗議と出頭要請に対し、当然、「報道弾圧」であると抗議の声が上がっています。それはそうでしょう、検察は国家権力を振り回して、デタラメをやっているのに、一般国民の持っている武器は声ぐらいのものですから。特捜は、これまで、ゴミメディアに情報をリークしながら、世論誘導してきたくせに、都合の悪いことを書かれると、一転して脅しにかかるのですから、ヤクザそのものです。

ともかく、これを期に報道機関は独立、中立的立場にたって、社会の木鐸としてのプライドを取り戻してもらいたいものです。記者クラブのような密室で一部のメディアに限って情報を与えるというような形式は、記者会見とは言えません。記者クラブの廃止、捜査の透明化、これらは当然のことで、これまでの検察の捜査とその情報開示法は憲法に抵触していると思います。まだまだ、問題は山積みですが、政権交代が叶い、政官財外が癒着して古い利権構造に風穴があきそうな現在、ひょっとしたら、ちょっとしたきっかけで、この構造はガラガラと崩れ落ちていくかも知れません。そう思いたいものです。
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