つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

久坂部羊「破裂(上/下)」、等身大の人たちが国家的なことに取り組む医療小説

2020-03-17 00:13:18 | 本の感想/読書日記

読んだ小説の感想を書いています。

今回は久坂部羊さんの小説「破裂(上)・(下)」を読んだ。

 

 

久坂部さんの小説は医療の暗部に着目している。そしてまだ「破裂」で3冊目だけど、老人医療の話が多い。とても興味深い。

過去に拝読した作品の感想記事。
久坂部羊「廃用身」、圧倒的な小説 介護虐待、断捨離は善意かフェティシズムか
久坂部羊「無痛」、医師が書いた犯罪者の責任能力に焦点を当てた小説

「破裂」のテーマはいくつかあって、老人医療、医療汚職、医療事故、医療ジャーナリズムなど。そのなかで今日は老人医療について書きたい。

「破裂」のなかでは、国家戦略として、心臓疾患の研究を助成して、脳の研究についてはあまり助成しない方向で話が進む。
なぜならば、心臓疾患が原因で亡くなる場合は、亡くなる直前まで元気に動き回り、ぽっくりと亡くなる。一方、脳疾患の場合は、麻痺や障害が残った形で余生を送ることになる。本人の生活の質、ならびに国家にかかる医療費が異なる。

だから、ぽっくり死をよしとするムードを国でつくろうという話が進行していく。「破裂」の一つの意味は心臓が破裂するという意味でもあるんだろうね。

折りしも、肥大型心筋症だった愛猫太陽が2020年3月13日1時50分、亡くなった。最後は急変して、肺に水がたまるという呼吸困難でとても苦しい死に方になってしまった。

ただ亡くなる1日前にも満たない24時間も経たないときに、ご機嫌で散歩しているのよね。食事もおいしそうに食べていた。心臓に変調があるのは(今思えば)感知していたのだけど、でも最後まで元気に過ごしたといえる。朝も普通だったらしい。

あたしとしては気づけなかった、対応が遅かった後悔でいっぱい。後悔でいっぱいだけど、その7か月前、何度も死にかかって生還しているのをみている。太陽の場合はまた元気になったけれど、やせたり、動けなくなったり、覇気がなくなったりもした。薬でもたせている命だから延命でもあるよね。

というのは話が飛躍しすぎだけど、なんというか、今はそうおもえないけど、きっと亡くなる直前まで普通の生活が送れたというのはしあわせなことなんだろうね。

「破裂」を読んでいるときは、まだ太陽が生きていて、太陽のことを考えながら読んでいた。まさかこんなことになるとは。

以後、つぶつぶタンタンに場をお借りして、太陽のことを綴らせてもらっている。太陽の話じゃないことを書こうと小説の感想を記事を書き始めたけど、やっぱり太陽のことになってしまった。

どういう生き方がしあわせなんだろうね。あたしたちはつい考えるのを先送りにしてしまうけれど、本当は一瞬一瞬を味わうためにも、いますぐにでも、常に心に留めることだとおもう。


久坂部羊さんの小説は、生き方を考えさせてくれる医療小説。そして出てくる人たちは完璧ではない。例えば、正義の医師が麻酔中毒だったり、善キャラとして登場する看護師が恋愛においては嫉妬してしまったり。

けれどもみながそれでも一生懸命生きているし、できることをやろうとしている。

そんな気がします。そして現実もそういうのありそうだなとおもったり。あたしも相手に完璧を求めずに、感謝するようにしたいです。

そして、本当は完璧じゃない自分を責めすぎないようにしたいです、と文章を終わらせられればいいのだけど、後悔している。

後悔しているけれど、それがあたしの実力であり、今すぐならやり直してもまた同じことやるから、一生懸命生きているし、できることをやろうとしているということなんだろうね。これからいい布石を打っていけるようにベストを尽くします。

ではまた


東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は2020年3月21日(土)夜、4月3日(金)夜です。

臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。


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