満月。月を眺めつつのんびりとお茶もといコーヒーを飲んでまいりました。なんとなくまったり過ごすっていいなあ。
櫻井千姫さんの小説「天国までの49日間」を読んだ。
最初手に取ったときなんとなくライトノベルっぽい気がして、ライトノベルはおもしろいときもあるけど、あまり相性がよくないのか途中で上手に頭の中で世界を膨らますことができなくて頭痛がしてきてしまうこともあるので、どうしようかとおもった。でもいじめをテーマにした小説で、いじめについて考え直しているこの頃だったから、読んでみることにした。
とても面白かったし、要所要所で、考えさせられるというか発見があった。
この小説は、いじめを苦に自殺をしてしまった少女の死後49日間が描かれている。少女は幽霊となり、自分が亡くなった後の世界をみている。
そのあと、いじめの勢力図がどう変わったか、いじめっこたちが何を考えたかが綴られている。
なかなか壮絶ないじめが綴られていた。男子ならまだしも、女子ってそんなに肉体的ないじめになるという印象がなかったけれど、この小説にはおもいっきりありました。
なぜそういうイメージを持っていたかというと、あたし自身がいじめられっ子だったからなわけだけど、暴力を振るわれたことは、男子からも女子からも一度もない。仲間外れにされて避けられていた。距離を置かれていた。
ただ先だってここ数年仲よくなった友人からいじめられていたという話を聞き、彼女は女性で美しい方なのだけど、気を失うほど殴られていたと聞いた。
また数年来仲良くさせていただいている女性アーティスト2名は友人がいなくて一人だったそうなのだけど、いじめられていたという認識を持っていなくて、それも新鮮だった。あたしの場合も、本人の自己評価が安定していればもう少し楽しく生きられたのかなとおもう。
というようなことを考えたり、振り返ったりするこの頃。これからもいじめについての小説を読むようにしたい。
気になったフレーズを抜き出すと
いじめられている人に、さりげなく手を差し伸べてあげること。「あなたはひとりじゃないんだよ」って、言ってあげること。陰からそっと、見守ってあげること。
小さな勇気を持つだけで、ずっとひとりで戦っているひとは、だいぶ楽になるものだから――……。
(115ページ)
「あたしね、いじめられているひとだけじゃなくて、いじめるひとも傷ついてると思うんだ。」
(150ページ)
ただ、向き合ってほしかった。目の前の問題から目を逸らさず、ちゃんと向き合ってほしかった。「強くなれ」も「頑張れ」もいらない。まずは「辛かったね」って同情して、あたしたちに寄り添ってほしい。それだけなのに。
(179ページ)
心に刺さった。真正面からだったり、あるいは皮肉的だったり、どちらなのかわからないけれど、突っ込みたくなるところはある。そんなことないよ、と言いたくなる部分もある。でも心に刺さりました、確実に。
小説は自分のペースで読めるからいいのかもしれない。特に大人になるといろいろな思い出とまじりあっているから、大人同士で子どもの頃の思い出やその影響を分かち合うのは難しい。
機会があったときに友人にも勧めてみようかな。
では佳い満月を。
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