眠い。久しぶりにのんびりと過ごしている気がする。本の感想を書くよ。
宮下奈都著「田舎の紳士服店のモデルの妻」(文春文庫)を読んだ。
田舎の紳士服店のモデルの妻 (文春文庫) | |
宮下 奈都 | |
文藝春秋 |
表紙の絵から推測すると、妻がモデルをしているという話みたいだけれど、モデルは旦那のほう。この表紙をみて「おっ綺麗、さすがモデル」とおもってジャケ買いした方もいそうだよね(含む臼村)。
ちゃんと読むと、「紳士服店」と書いてあるから旦那の可能性が高いけれど、あの表紙は勘違いする人、いる気がする。
東京で暮らしていた夫婦が、旦那のうつ発症をきっかけに旦那の故郷で暮らすことになった。旦那がモデルをするのは、アパレルショップというよりは洋品店という表現のほうが合いそうなそんな雰囲気のお店。
妻は東京のママ友から餞別として10年日記帳をもらっていた。10年日記とは10年間用の日記で、毎年同じ日が同じページにあるから自身の軌跡を確認しやすい日記帳。
小説は日記を書いている妻の目線で語られている。二人の子供が成長をして行く様子、元ママ友の話、地元での出会い、旦那の様子。淡々とした日常生活と、その中で彼女が感じる心の動き。文章が小気味よくて、楽しく読めた。
宮下奈都さんの小説を拝読するのは、ピアノの調律師に焦点を当てた「羊と鋼の森」に次いで2冊目。
羊と鋼の森 (文春文庫) | |
宮下 奈都 | |
文藝春秋 |
⇒日記:宮下奈都『羊と鋼の森』 ピアノに生命があるかのごとく
そのときも思ったけれど、文章の空気感が好きだな。
ただ「田舎の紳士服店のモデルの妻」にも少しピアノの話が出てくるけれど、ピアノの話がでてきて、ついまたピアノの話が読めるかと期待してしまった。けれども、そんなことはなくて、そこはちょっと勝手にがっかりした。また音や空気の話を読ませてほしい。
空気と言えば、人の生きる空気が描かれている気がしてよかった。
個人的には、妻が「みんな違うからこそ、一緒にやることに意味がある」と主張するところに胸を打たれたな。
なんというか同感なのだけれど、あたしがそこをうまく表現できているかというとそうでもなくて、逆に少し避けている部分もあった気がするから。
10年日記帳について調べてみたら、けっこう種類があった。いいな。
10年後の自分のこと考えたら、なんだか自分の時間を大切にできそうな気がする。
3年日記帳というのもあるから、まずはそちらもいいよね。
アピカ 日記帳 3年日記 横書き A5 日付け表示なし D307 | |
アピカ | |
アピカ |
ではまたー
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