goo blog サービス終了のお知らせ 

寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

ある生き方

2006年11月29日 | 日記
サライ2000年第11号に掲載された大野晋さんのインタビュー(12~16P)を読んで、しきりに首を縦に振った。

-どうしたら日本語は上達しますか-
‥まずものごとをきちんと見る目を養うこと。しっかりと見て、よく理解できたことなら、簡単な言葉で表現できる。推敲というのは、それから後の作業です。だいたいね、分かりにくいことをゴチャゴチャ書くというのは、本人がよく分かっていないんだ‥

-日本人の“ものを見る目”は曖昧ですか-
‥日本人は事実を重んじる意識が弱いと思う。ヨーロッパ人学者の事実に対する執着度たるや、我々日本人学者よりはるかに鋭い‥島国だから外国から侵略される可能性は極めて低いし、その昔は農業をまじめにやっている限り、特別なことをしなくても食っていられた‥みんなと歩調を合わせてトットコトットコ、仲良しクラブをやっていればよかったんだ‥

-気候が国民性を育んだわけですね-
‥デリケートな変化に対応するうち、適応というものを学習した。相手が変わったら自分も変えると。そこには周囲がどうであろうが自分を貫く、なんていう精神はない。それがね、日本人の気質の根本だと僕は思う。事実か否か、本当か嘘か。自分の目で見て検証するという姿勢がないんだ。あんまりキシキシやらずに、みんながいいというなら、いいのかな……という調子だね‥

-日本語が英語に席捲されてしまう?-
‥過去の歴史を振り返ってみても、すぐれた文明を持つ言葉は生き残り、文明の力を失ったほうの言語は優越文化の言語に踏みにじられて消えていく。言葉は、文化の高いほうから低いほうへと流れていくもんなんですよ-

-日本語が生き残る手だてはありますか-
‥日本で発明した技術を、日本語で世界中に広めること。それしかないと思うな。文明的に新しいもの、独自のものを持っていない文化は、より強い文化に巻き込まれる。それは人間も同じです。自分の目を持たない人は、受け入れるばっかりの人間になっちゃう。だからこそ、自分の目で見て、自分で考え、自分の力で事実を追求していく力が必要となる‥

-学問への姿勢と同じですね-
‥自分が確信を持ったものについては譲らない、あきらめない。逆に、もしも自分の研究結果が間違っていたと思ったら、今日にでもすぐ撤回するよ。たとえ、それが何十年かけた研究でも、間違いは絶対にがんばらない‥事実というもの、そいつは絶対に動かすことができない。メンツだとかなんとか、そんなことで粘ったって、しょうがないんだ‥

ドロドロした社会で限りなく灰色に近いものを白と言わされそうになった場面が自分には何度もあった。しかし、黒を白だと言ったことはない。その線引きだけは忘れられなかった。「畜生以下」の人間が増殖しているのは、自分なりの生き方を捨て去った結果なのかもしれない。

にほんブログ村 その他日記ブログへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする