古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

イギリスは愉快だ      林望

2023-04-05 10:57:23 | 本の紹介
文春文庫      1991年

イギリスに行ったものの定住先が見つからず、困っている

ところにルーシー・マリア・ボストン夫人という女流作家

の住む、家に住むことが決まって、そこでの暮らしや、ボ

ストン夫人との思い出が語られていく。

イギリスと言えば、クリスマスと思うが、そこら辺のことも

詳述してある。甘い甘いケーキが次から次へとでてきたことが

イキイキとした文章で語られる。

冒頭からイギリスのTVについて、語られる。イギリスのTVは

つまらない、というが、そんなことはない、とボロボロの

リサイクルのTVを見て、林氏は訴える、奇妙なスポーツなど、

クリケットなど知っているようで、知らないスポーツ、これは

よくわからなかったそうである。ちゃんと映らないTVが売られている

イギリス。UKはロックのジャンルだが、そこはちっとも

触れられていなかったのは残念だった。

      (読了日 2023年3・14(火)21:50)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猿の惑星チキュウ    田中啓文

2023-04-02 11:18:37 | 小説の紹介
河出文庫    小説宝石特別編集「宝石 ザ ミステリー 2016」2015 12月

この宇宙探偵ノーグレイという本の大トリは月です。

月に猿がいた、という話しなのですが、それはアメリカが

送り込んだらしい。それが、人間にとって代わり、チキュウ

で猿が跋扈し、ダブって次元が変わりつつある。それを阻止

するために過去に遡って、ノーグレイが月に降り立ち、工作

する、という。

荒唐無稽でおもしろい。

これぞSFであり、なんでもアリな世界だ。

我々の想像の半歩先を行く、田中氏の世界をぼくはとても

楽しんだ。作為性もここまでくると気持ちいいものだ。

気にならなかった、逆にね。

     (読了日 2023年3・17(金)11:26)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芝居惑星エンゲッキ      田中啓文

2023-04-01 11:24:54 | 小説の紹介
河出文庫    2017年

この短編は書下ろしだそうだが、一番良かった。

作為性がここまで昇華されると気持ちがいい。

ノーグレイは演劇の惑星に飛ぶ。そこは独裁政治で

その王子が演劇好きで病死してしまう。そのことで、

国王は少々おかしくなってしまい、国民に演じるこ

とを強制するようになる。台本がないと何もできな

い人になっていく。なんというか、風刺も利いている。

これはネタバレしたら、面白くないだろうから、読む人

のために一切伏せておこう。しかし、面白いことは

確実だ。SFと推理の見事な結合、そして、最後は

必ず死んでしまう、というお約束。

実にあっぱれな短編だった。

    (2023年3・15(水)20:22)    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする