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映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

キネマ旬報ベストテンが発表されました

2013-01-18 11:07:17 | 映画ベストテン
 先日恒例のキネマ旬報ベストテンが発表されました。
昨年は個人的に日本映画大豊作の年だと思っていますので、興味津々な感じで拝見いたしました。
選出10作品中8作品を観てました。わたくしのベストと重複しているのは6作品。
まだまだ映画を選別する感は鈍っていませんぞ!

 でもでも、一等賞が「かぞくのくに」ってそうなの?
わたくし気にはなったのですが拝見してませんので何ともコメントできませんけど、キネ旬選出者の偏りがまたでた気はいたします。過去「月はどっちにでている」「パッチギ」「GO」「血と骨」など半島移民系の作品の評価はとても高いので、その流れであることは否めません。わたくしは「GO」以外今ひとつ感心できなかったので、尚更今回の選出は腑に落ちません。
 「桐島、部活やめるってよ」が二等賞ですか。
わたくしもお盆の大行列に並んでやっと観た拾い物作品として愛着がありますが、この順番ですかね?
 「アウトレイジビヨンド」は前作より評価高いのですね。
前作はCSで観ました。面白かったけど、続編の方が面白いのでしょうか?CSでやったら観ます。
 「終の信託」とうとう周防作品連続一等賞記録が途切れました。このへんでしょう。
 「苦役列車」山下監督もキネ旬常連ですね。やはりこのあたりかな。
 「わが母の記」これまたこのへんで納得です。
 「ふがいない僕は空を見た」わたくしは次点にしましたが、このへんでもいいかもしれません。
 「鍵泥棒のメソッド」内田監督が脚本賞を受賞してます。
わたくしは二等賞にした位好きな作品です。わたくしの奥様も珍しく意見を一緒にしてましたので、もう少し上の方でもいいと思います。
 「希望の国」じゃないでしょう!!
断然違います。「希望・・・」がどうこう言うつもりはありません。今こそ創られるべき映画だと思います。でも、同じ園子温監督作品であるならば「ヒミズ」をランクインさせないでどうするつもいなのでしょう?選考員は馬鹿か!
あの迸る青春時期にしかない叫びが聴けなかったのだろうか?キネ旬ダメだな。
 「夢売るふたり」西川監督への期待はこの順位が一番だと思います。

 もうひとつ、どうしても吼えておきたいのは、何故「おおかみこどもの雨と雪」がランクインしていないのかということ。
前作より間違いなく優れていますし、上記ベストテン作品のどれに劣ると言うのでしょう。重ねて申し上げましょう。キネ旬ダメだな!!


今年も終わりです 2012ベスト10

2012-12-27 10:35:59 | 映画ベストテン
 寒い日が続いておりますが、おかわりございませんか?
毎年、年頭に立てる目標のうち「映画の鑑賞20本」っていうのがあるのですが、このところ全く達成できておりませんでした。久し振りに今年は達成できましたのでお知らせいたします。それも邦画だけで20本鑑賞できたことは、魅力的なラインアップであったことの証明です。本当に今年の邦画は充実しておりました。

 そんな年のベスト10は、いつものオドオドした書き方ではなく、胸を張った物言いで書き連ねることが出来ます。

①ヒミズ
園子温2連覇です。
今、彼ほど世界を怖れず自分の想いを表現できる作家はいないのではないでしょうか?前作「冷たい熱帯魚」のようなドロドロの狂気は鳴りを潜めましたが、焦れるような熱気溢れる狂気に満ちておりました。
成功の一因はベネツィアで新人賞をW受賞した二人の熱演であることを忘れてはなりません。ラストシーンは永遠の名シーンとして、わたくしの脳裏に刻まれました。
②鍵泥棒のメソッド
何しろ脚本が素晴らしい。
この作品をご覧になられた方で、詰らなかったという感想を抱かれる人がもし居たとしたなら、本当に悲しい人生を歩まれた方なんだと愁傷いたします。気持ちよく騙されて、ちょっぴりノスタルジックな心地よさを味わいながらポカポカしちゃう映画は、そうそう創れるものではありません。主役の二人が上手であるのは誰もが認めるところですが、広末涼子の可愛らしいボケぶりにキュンキュンしてしまうのでした。
③おおかみこどもの雨と雪
今年一番泣いた映画です。
アニメーションならではの美しさと躍動感、時間の流れを役変えすることなく(子役⇒大人)表現できるメリットなど、実写では上手く表現できない映像がふんだんにスクリーンを蓋い圧巻でした。物語の成功は雨と雪の成長を見せながら、実は母親花の成長物語になっていることです。脚本の奥寺さんはライターとして日本映画に欠かせない人材です。
④終の信託
周防の変遷が色濃くでました。
かつての周防映画は、ライトな感覚で若者向きな作風でありましたが、前作あたりから重みのある題材と大人向けの色調を醸し出すようになってまいりました。そして今作は人生の終焉というこれ以上ない重さがテーマになり、且つ、人が人を裁く理不尽さを映像にすることが出来るまでに進化しております。「しこふんじゃった」のようなほのぼのした作品が好きですけど、人は歳をとりゆくにしたがって目線が変わりゆくのは必然なのだなぁと納得いたしました。
⑤桐島、部活やめるってよ
不思議な味わい。構成の勝利です。
「腑抜けども・・・」も構成が凝っていましたので、この監督の強さなんだろうと思います。
殆ど期待しないで鑑賞いたしましたので、思わぬ拾い物をした気分です。5番目の順位も往々にそのあたりが影響しているかもしれません。生徒が美男美女ばかりだったのがちょっぴりアクセントに欠けている気がしました。
⑥苦役列車
山下監督は巨匠の片鱗さえ漂せてます。
原作が私小説に近いものですから、あの雰囲気を壊さず映像に纏めるのは難しかったと思います。所謂口当たりの宜しい青春映画とはいえませんが、限りなくリアル感のある青春が描かれておりました。オリジナルキャラクターである書店の女の子を、AKB卒業した前田敦子が地味に演じていて将来性を感じました。
⑦わが母の記
品格のある日本映画は世界の誇りです。
大作家先生の実話をモチーフにしているらしいので、ところどころ鼻持ちなら無いインテリゲンチャ臭がしてイラつきましたが、壊れてゆく母親によせる息子の情愛には優劣ある筈もなく感動的でした。役者も充実してますし、演出も格調高く見応えのある作品でありました。
⑧夢売るふたり
期待が高かった分、相対的評価は低くなりました。
西川美和の新作が観られる喜びは、映画好きとして代えがたいものがあります。今回もオリジナルストーリーで勝負してきました。その志は往年の名監督名脚本家に匹敵するようです。ただし、どれほど才能ある作家であっても、独力での限界があると思うのです。有能なライターが脇を支えていたなら、この題材はもっと面白くなったはずです。
⑨北のカナリアたち
小百合さまの美魔女ぶりを想いきり堪能してください。
この作品も、脚本の練り方次第では驚くような傑作になったことでしょう。物語上の無理が必然と思わせる仕掛けが上手に出来ているか否かでドラマの質は全く違うものになります。小百合さまと芸達者な6人の教え子の演技が印象的な佳作になりました。
⑩ロボジー
矢口ワールドは健在です。
本当に発想がユニークですね。ただ、核になる3人のロボット開発者達にいまひとつ魅力が感じられませんでした。「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」という傑作コメディーの主人公達は、不器用ながら一心不乱に突き進む透明感を持ち合わせていたのに、今作では大切なそこの部分が欠落していたように思います。吉高由里子は適材でした。

とまあ、本当に良い年でした。
次点として、「ふがいない僕は空を見た」「キツツキと雨」「三丁目の夕日’64」などをあげて終わりに致します。
来年も幸せな一年になりますように。


2011年の映画ベスト10

2012-01-05 13:33:17 | 映画ベストテン
 新年明けましておめでとうございます。
昨年は辛いことが多く、心の底から映画を楽しめるような気持ちにはなれませんでした。
今年は誰しもが楽しく映画を鑑賞できるような年になれば良いと希望いたします。
毎年20本の映画を観ようと年頭に思うのですが、結局12本しか観てません。
そんな低レベルでBEST10もあるまいというお叱りはごもっともですが、自分なりのまとめとして書き連ねてみます。

①冷たい熱帯魚
園子温のダークパワー炸裂の年でした。
でんでんと黒沢あすかの怪演に吐気をもよおしながら、一等賞にしなければならない凄さを感じました。
②八日目の蝉
孤高のメスも良かったけれど、人の描き方は断然素晴らしかった。
永作博美、井上真央、小池栄子という若手達者な女優にも拍手を送りたい。
③奇跡
是枝作品としてはあんまり感心しませんが、相対的三等賞ということで。
子供たちの瑞々しさにはいつもながら感服いたします。
④ステキな金縛り
三谷作品の当たりクジでした。
一年に一本くらいはこんな大笑いの出来る映画が欲しいですよね。
⑤恋の罪
冷たい熱帯魚がなければもっと上位にしても良かったかもしれません。
富樫真と神楽坂恵の熱演によって破綻を免れた感はありますけど、パワーは傑出した作品です。
⑥ツレがうつになりまして
宮崎あおい、いつの間にか奥さん役がピッタリになっていることが一番の驚きです。
重い題材がハートウォームな物語になりました。佐々部清健在です。
⑦アントキノイノチ
原作のもつ前向きな清涼感が失われていて残念でした。
二人には幸せになって欲しかった。
⑧阪急電車
原作を読んでいないと分かり辛かったのではないでしょうか。
この手の難しい題材を扱ったことを評価したいと思います。
⑨神様のカルテ
TVドラマでも良かった。と、言うのが素直な感想です。
脚本次第でもっと面白い映画になることは間違いないと思うのですが。
⑩僕と妻の1778の物語
結子さんを観るために観た映画です。すみません。
今年は彼女の魅力が満載の作品に出会いたいです。

そんなわけで、今年もよろしくお願いいたします。


2010年度わたくしの好きな邦画10

2011-01-09 08:18:11 | 映画ベストテン
 新年おめでとうございます。

年末年始も瞬く間に過ぎてゆき、もうお正月の雰囲気も欠片さえ見当たりませんね。そもそも、ハレもケも無くなってしまった昨今では、盆も正月もありはしません。と申しますか、毎日がハレの日々であるこの世の中で特別な日なぞ存在しません。クリスマスにしか見ることのなかった大きなケーキや、大晦日にしか許されなかった夜更かし、病気で辛い時にしかバナナの房を見ることは無かったなんて、皆さんには想像できませんでしょ?でもそれって、たかが40年前のことなんですけど。

さて、掲題についてつらつらと。
ベスト10は下記の通りです。
①最後の忠臣蔵
ななみちゃんの可憐さに負けてしまいました。信じる人や生き方のため貫き通す事の尊さに涙いたしました。
②十三人の刺客
文句無く楽しめた映画です。稲垣吾郎の怪物ぶりを発掘した記念的作品でもあります。
③悪人
原作がそのまま映像化されているという意味では、良くも悪くも精巧な作品です。
④おとうと
山田洋次まだまだ枯れません。小百合さんも美しい。人の死を正面から見つめています。
⑤告白
憂鬱な気分が後々まで長引き、映画の評価を正しく出来ているか自信がありません。
⑥借りぐらしのアリエッティ
脚本が宮崎アニメそのものですから、はずれはありませんね。
⑦必死剣 鳥刺し
期待以上ではありませんでしたが、藤沢文学の情緒は楽しむ事が出来ました。
⑧ゴールデンスランバー
原作が面白すぎますので比べるのは酷でしょう。映像的な優位性がもう少し欲しいところではありました。
⑨武士の家計簿
森田作品がこのところ低調でありますが、その中ではまあまあの出来だったかと思います。
⑩カラフル
期待が大きすぎてガッカリしましたが、伝わるものはしっかりしてましたので。

20本の邦画を観ることをめざすのですが、去年も13本でした。観ようと思いながら見逃したものは、行定二作品「孤高のメス」「キャタピラー」「パーマネント野ばら」あたり。多分まったくのノーマーク作品にも楽しませてくれる作品があったことでしょう。出会いは縁ですからあきらめましょう。
今年も良縁にめぐりあえますよう祈念して、元気に映画館に通う事といたしましょう。


キネマ旬報ベストテン

2010-01-23 08:12:28 | 映画ベストテン
 2009年公開のキネマ旬報ベストテンが先日発表されましたので、わたくしの思いとともに書き連ねてみましょう。

1位 ディア・ドクター わたくしも1位で投票いたしましたので、これには大賛成です。ずいぶん暫く振りにキネ旬と意見が合いました。以前この日記にも今作品のお話を書きましたが、西川美和本当に恐るべしです。次回作を待つ時間が辛く感じる監督はそういませんから、稀有な存在です。
2位 ヴィヨンの妻 これもまた、大賛成です。わたくしは3位で投票してます。太宰のヴィヨンの妻よりも、田中+根岸+松=ヴィヨンの妻が魅力的であったということです。松たか子の女優としての力量を知る事が出来たのも大いなる発見でした。手練の作品ではありますが、玄人受けする映画をこれからも職人監督には創り続けて頂きたいと思います。
3位 剣岳・点の記 やっぱりそう来たかと言うのがわたくしの感想です。何となく公開される前からこうなりそうだとは思っていたのです。評価されるポイントは幾つもあることは分かります。しかし、いくら日本映画撮影監督の重鎮であるからとはいえ、あの薄っぺらな人間表現が3位になってしまうのは如何なものでしょう。わたしは圏外(ワースト2位)です。
4位 愛のむきだし 来てしまいました。もしかしたら1位かもしれないと、内心ビクビクしていたのです。大変評判が良かったので観たくて仕方なかったのですが、タイミングも機会にも恵まれず拝見できておりません。去年一番残念な出来事でした。
5位 沈まぬ太陽 わたくしは4位にランクいたしました。出来はもう少しどうにかなりそうでもありますが、今時この長尺をシネコンで上映してお客さんに観てもらおうとした映画屋達の心意気に痺れてしまいました。毎年一本くらいはこのような骨太な日本映画を観せていただきたいものです。TV局主導ではありえない企画ですから、映画人が頑張らねばなりません。
6位 空気人形 是枝監督は去年の「歩いても歩いても」に続くランクインです。毎年キネ旬ベストテンに入る作品を創ることは大変な事だと思います。ペ・ドゥナ無くては成り立たない程、彼女は可憐で悲しかった。現代人の心の空虚さをラブドールを通じて感じさせてくれた心に沁みる佳編でした。わたくしは2位で投票しました。
7位 ウルトラミラクルラブストーリー 未見です。観てもいいかなとは思ったのですが、以前やはり女流監督で松山ケンイチ主演の「人のセックスを笑うな」がトラウマになっていて、映画館まで足が運べませんでした。
8位 サマー・ウォーズ 前作「時をかける少女」の方が断然素晴らしいのに、あの時勇気が無くてベストテンに入れられなかった人が投票したんでしょうか?悪くはありません、と言うより、リアルワールドのお話は瑞々しくて大好きです。バーチャルを描きたい作家である事は分かりましたが、一度、正攻法で胸のキュンとする作品を手がけて欲しいものです。わたくし圏外。
9位 誰も守ってくれない 君塚脚本は認めます。特にキャラクターの創り方は天下一品だと思います。ただし、二時間の中で本当に見せたいものが何なのかをまとめる力量は無かったと思うのです。やりたい事はわかりますが、TVでも良かったと思う程度の作品でした。これもわたくしは投票いたしませんでした。
10位 風が強く吹いている まったくノーマークでした。駅伝の話でしたので興味はありましたが、何となくイケメン使ってルーキーズ駅伝バージョンを作っているくらいの認識でした。CSで放送されたら拝見いたします。

邦画を20本観て、キネ旬ベストテン入選作品と重なったのが7本。去年も映画の審美眼は曇ってはいなかったと言う事でしょうか。安心いたしました。
ベストテン以降が分かりませんのでなんとも言えませんが、わたくし個人的に評価していただきたかったのは以下の作品です。「ゼロの焦点」「ジェネラル・ルージュの凱旋」「エヴァンゲリヲン:破」「余命一ヶ月の花嫁」。

今年も素敵な映画に出逢えますよう、映画館に通います。