大人になって、めっきり星空を仰がなくなったなと、この映画観ながら思う
街灯のない山間の僻地に育ったから、冬の冴えた夜には怖くなるほどの星が降った事も思い出した
目が悪くなり都会の風景に埋没してからは感動するほどの夜空に出会ってないかも
コロナ騒動で一番可哀想だと思ったのは、限りある時間の中で頑張っている中学生や高校生のことだった。特に部活動で仲間たちと一緒に最高の成果を目指している子供には二度と戻らない煌めきの時間だから
今日この映画を観た理由は、あの止まってしまったような時間の中で心を燃やした子供たちに会いたかったからだ
お題にあげられた星を一番最初に見つけたチームが勝利するスターキャッチなるコンテストがあるらしい。あの当時、群れる事を禁止された彼らはネットで日本中の生徒と繋がり唯一無二のコンテストを開催する
青春のたぎりはコロナなどに負けてはいなかった
先日観たフロントラインは医療従事者らの戦いだったけど、積み重ねた練習やデータ蓄積の日々が無駄になった生徒や指導者の戦いもここにあったのだ
五年前のコロナ禍で我々が経験した、大都会が閑散とした異様な風景に悍ましさを感じると共に、田舎の排他的な慣習にもそれ以上の薄ら寒さを改めて覚える
都会の寒々しさより田舎の暑苦しさの方が厄介なこともある
辻村深月らしい優しさが全編を覆う
題名の「この夏の星」が凄く大事なわけで、きっとずいぶん先の未来まであんな夏はやってこない(そうであって欲しいと願う)だろうから。それでいて、夜空に光る星は気の遠くなる時間輝き続けている
たったひとつの貴方だけのこの夏。掛け替えのない青春のひと時を光らせるのは、自分でしかないのかもしれない