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映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

2025春ドラマ 序盤

2025-04-29 14:56:00 | 旧作映画、TVドラマ
力作はないけど、緩やかに感情移入できる作品が何作かある
期待し過ぎずしっかりと観ていこうと思う

「対岸の家事」
当初観る予定はなかったのにプライムビデオで暇潰しに観たら面白かったので、急遽ラインナップした作品。今時専業主婦が世の中にどれほどいるものなのかは知らないけど、名作「逃げ恥」で描かれた主婦労働の対価と同じ目線を持っているところに惹かれる。この手の役を多部未華子は説得力持って演じられる。江口のりこやディーンフジオカとの対比も鮮やかで作り手のセンスを感じる
春ドラマの中ではいの一番に始まったから既に中盤に差し掛かっている。ステレオタイプな結末じゃなくて普遍的でありながらこの時代を代弁できるような作品になってもらいたい

「続・続・最後から二番目の恋」
わたくし、中井貴一と同い年なんです
だから岡田惠和の書く主人公たちの感覚が痛いほど感じ入ってしまうのです。岡田さんとうとう山田太一の領域に踏み込んだかな。正編は登場人物の全てが尖っていて、最後から二番目の恋なんて未だ先の話しに思たから、この続・続編こそ本当の最後から二番目の恋を描けるのではないかと思っている
定年退職を目前にした小泉今日子のキャリアウーマンの気持ちも分かるけど、嘱託で働く中井貴一の立ち位置に自分を重ねていちいち頷いてる
一番びっくりしたのは、中井貴一の娘役のお嬢さんが子供の頃の面影ガッツリ残していたこと
面白可笑しくそれでいて老いたことの寂寥感が滲み出るような大人のドラマに仕立て上げて欲しい

「天久鷹央の推理カルテ」
朝ドラが不評だった橋本環奈には、変わり者の医師役は合ってると思う。原作は読んでないけどアニメを観てたのでドラマの全体像は分かっている。原作者の作り出す物語があまり好きではないので期待はしないで観るけど、もしかしたら途中でリタイアしちゃうかもしれない

「波うららかに めおと日和」
芳根京子このシーズンも連投でプライムタイム主演なんだ。医者や弁護士が活躍する謎解きドラマばっかりの中、戦前の市井の夫婦愛を描くとは思い切った企画だと感心する。結婚するまで会わないどころか、結婚式にも現れない海軍士官の夫と天然の気がある世間知らずの妻がゆっくり寄り添ってゆく様を瑞々しく描いて欲しいと期待する

「キャスター」
今風の事件を題材に報道のあり方を見せたいのだろうけど、はっきり言ってありきたり過ぎるし深みもないから心動かない。毎日のニュースを作りあげる選択とスピード感を緊迫した演出で観せてくれたならと思う
興味は永野芽郁ちゃんがスキャンダルにめげずにやり切ってくれるかだけだ

「べらぼう」
序盤の主要キャストが退き、寂しさもあるけれどこれからが江戸のメディア王活躍編となるのだろう
花魁瀬川を演じた小芝風花に惚れた三カ月だった。叶うなら蔦重と夫婦になり、幸せなセカンドライフを生きて欲しかった

「あんぱん」
これぞ朝ドラの定番って言う序盤
安心して毎朝楽しめるのが良い
今田美桜はあの大きな瞳で頑張っている

2025冬ドラマの感想

2025-03-29 13:43:00 | 旧作映画、TVドラマ
日曜日に傑作が揃ったのは偶然だろう
大河ドラマが面白いと、1週間が早く終わる気がする。バカリズムの玄人芸に近い脚本で楽しそうな演技をする役者を観るのは幸せなひと時だったし、異色の日曜劇場で才能ある若き役者を沢山観られたのも嬉しかった

「リラの花咲くけものみち」
獣医師を目指して北海道の大学で学ぶ学生が主人公なので、出来ればもっと深く長く観たかった。NHKらしい潔さではあるが、3回での終了はあまりにも短すぎる。卒業後の実践で活躍する姿を続編で観せてくれないだろうか
コンクリートとアスファルトばかりの背景にはウンザリしてるから、シーズンに一作はこのようにお金をかけたドラマは良いよね

「ふたりソロキャンプ」
最後まで本田望結が気持ち悪くて、彼女が演じなければキャンプ初心者の女子大生に思い入れができただろうに。コミ症の中年男との取り合わせは、山奥のキャンプ場と言う非日常な場所に置いてファンタジックで良い題材だっただけに残念だ。永野芽郁ちゃんとかでリメイクしてくれないかな

「べらぼう」
序盤はやたらポジティブで元気で明るい横浜流星と吉原の相性が悪い気がしてたけど、あのバイタリティが世の中を活気あるものにしていったんだと思う。既得権との闘いは今の世も相変わらずで、飼い慣らされている現代人への叱責のようだ
1/4を終了した時点ではあるが、花魁瀬川を演じてる小芝風花に唸りまくっている。最近どんどん良い女になってるとは思っていたが、この役は最高の当たり役になった。幼馴染に恋心を忍ばせる健気さも良かったけど、想いが通じ合いながらも白無垢姿で花魁道中を演じ切った凛とした姿に涙が止まらない。お決まりの「おさらばえ」の台詞に切なさ、淋しさ、少しの安堵、そして当代随一の花魁である誇を感じさせた。身請けされた後も最後まで物語に絡んで欲しい
やっと森下佳子の本領発揮と言ったところか。毎週楽しみになってきた






「おむすび」
なんだか迷走したまま終わった感じ。神戸・東北の震災やコロナの厄災といったこの30年に起こった印象的な出来事が散りばめられているから、物語が散漫になったのだと思う。神戸の復興だけに時間を絞り、食の力で街を明るくするような話しで良かったのでは?脚本家が嫌いなので余計に否定的になってしまう

「クジャクのダンス、誰が見た?」
アイドルのプロデュースしながら作詞印税で金儲けだけしていれば良いのに、ドラマや映画にまで手を出してくるから始末におえない。そんな姑息な思惑に乗っちゃう視聴者が悪いのもあるけど、昨今のドラマは伏線回収の為だけに作られているみたいだ。物語の本流を無視して犯人当てのサスペンス要素ばかりに気を使いすぎてるのは何もこのドラマだけじゃないけど、冬ドラマの中でも突出していた。4組の親子の深みにじっくり焦点を当てればいいのに、謎解きドラマにしないと最後まで引っ張れないのか?せっかく豪華な役者揃えたのにな
題名も奇を衒い過ぎて意味不明
それにしても、秋元康の罪は重い

「ホットスポット」
最終的には未来人、超能力者、幽霊、タイムスリッパーまで現れ、自分の娘も薄〜く宇宙人の血を引いてるというオチまでこのドラマは容赦なかった。それでいてくどさがないのは、富士浅田の住民がすんなりと彼らを受け入れてしまうからだ。このあたりの加減が作劇上難しいのだと思う
バカリズムの脚本は突拍子もない話しを大真面目に演じさせたり、サラリと受け流して余韻を残さないよう演出するところが優れている。凡庸なドラマはさも食い付いてください的な見せ方をするので、先が見通せてしまい興味が失せてしまう。それに比べて次々に馬鹿気た展開を引っ張る事なく放り込む潔さに感服だ
脚本の面白さを具体的に表現するのが役者の仕事だと思う。この作品には適材適所優秀な人材が配置された
宇宙人役の角田晃広の快演は言わずもがなとして、やっぱり面白かったのは地方に生まれ育った幼馴染女子会の面子だろう。今までもバカリズムはこのコミニティーを描いてきたが、この作品が集大成な気がする。ラスボス扱いで菊地凛子と筒井真理子を登場させて貶めるくだりはやや精細を欠いたけど、喫茶店やオープン前のスナックで毒舌駄弁りながらの会話や車の中で飲み食いしながらキャピキャピする姿は中高生のようで、このドラマのハイライトだろう
市川実日子、平岩紙、鈴木杏、夏帆、坂井真紀、木南晴夏、志田未来、MEGUMIたちに集団演技賞なるものがあるなら与えたい

「まどか26歳、研修医やってます」
芳根京子のために作られたドラマだった。指導医も手堅く上手い役者を配置して、研修医たちの2年間をコンパクトにまとめていた。このドラマの興味は、研修医たちが医療現場で学びながら専門の医療科をどのように選択していくのか、そこに時間を割いて欲しかった。最終話でバタバタと決められた感があり、なんだか説得力に欠けてしまったのは残念だ。若い医師の成長物語だから恋愛や友情も描きたいのは分かるけど、その辺はもっとチャラいドラマに任せておいて、シビアに選択していく様や働き改革と現実のギャップが描かれたならと思った

「御上先生」
従来の学園ドラマにおいて、先生は熱血で生徒は落ちこぼれってのが定番だった。往年の「飛び出せ青春」「中学生日記」「3年B組金八先生」「ごくせん」等、その時代を代表する名作も多く生まれているのでアレンジは変えても救世主である先生と悩み多き生徒の基本構造は一緒だ
この学園ドラマが秀逸なのは、生徒たちのキャラクターが今までのとは真逆で学習能力が高くて自ら難題を解決する力を備えているところ。授業もろくに受けないで努力もせずに不満ばかり叫び散らしてる暴力生徒なんかより、よっぽど現実味あるし応援し甲斐がある。子供である事に変わりはないから、稚拙だったり視野の狭さゆえの問題点を官僚から出向してる御上先生が大人目線の冷徹なヒントで導いていくのだけど、終盤は覚醒したかのよう成長していく生徒たちに教師たちが頭を垂れる姿が晴々しい。全編に渡って「考える力」の大切さが説かれ、若者には説教臭く感じたかもしれないが、かなり大人になってしまったわたくしからは腹落ちするフレーズだ
不正入学が大人の都合により行われ、被害者は生徒だったとの短絡的な構図はテレビドラマの限界だろう。それを変えていくのが現場の教師や政治家じゃなく、エリート官僚だと言うのも抵抗ない訳じゃないけど真実味はある
蒔田彩珠、奥平大兼、窪塚愛流、高石あかり、吉柳咲良、影山優佳、永瀬莉子、必ずこの中から将来主役を担う予感がする。そのくらい質の高い若手役者が揃った
当然、松坂桃李と吉岡里帆の代表作にもなるだろう




リアルタイムではないけど
「東京サラダボール」をプライムビデオで一気見した。NHKは民放局とは一線を画す視線でドラマを作るから一目置いている。この作品は東京に暮らす外国人たちを、刑事と通訳人のバディが触れ合いながら事件を解決したり寄り添ったりと言う変化球
大部分がアジア圏から仕事のために日本に来た労働者の話し。印象的な台詞があったので書き留めておく。外国人労働者に仕事教えても数年したら帰国してしまうから馬鹿らしいし、日本人の仕事を奪ってしまうと怒る介護職員に通訳人が言う
「もう日本は外国人の労働力無くしては成り立たない国なのだ」と
終盤、警察官と犯罪組織の癒着とかに重点が置かれ既視感覚える展開になったのは残念だった。それでも奈緒と松田龍平のバディは面白かった(原作通りなんだろうが奈緒の緑の髪は似合ってなかった)





2025冬ドラマ

2025-02-02 13:23:00 | 旧作映画、TVドラマ
2025年の連ドラが出揃ったので序盤の感想を忘れないうちに
冬ドラマはバカリズム脚本作品の圧倒勝利な気はするけど、なるべく最後まで全作品付き合うよう頑張る

「まどか26歳、研修医やってます」
芳根京子を朝ドラのヒロインで始めて見た時はあまりの素人臭さに驚いた。後が続かず消えてしまうひとりになるだろうと思っていたら、野木脚本・山下演出のヒロインを個性的に演じて役者としての立ち位置を掴んだようだ
その芳根京子主演の研修医物語。病院という空間内で同期研修医や先輩医師患者達に触発されながら悩み苦しみながらも成長していくお話し
使い古され有りがちな展開が予想されるが、目新しいのは研修医の期間で色々な現場を経験するスーパーローテーションを足早に描くので、スピーディーな作劇になっている。また、研修中はお客様なので残業しない。手術を見学中でも、お先に失礼します〜と言って帰るあたりは今らしい味付け
期待以上の序盤なので次回が楽しみ

「ふたりソロキャンプ」
コロナ禍時代に爆発的に流行ったキャンプ。あのブームに乗っかるようにいくつかのアウトドアを主題にしたドラマが作られた
このドラマもその流れを汲むものだから、基本的には大好きな題材。ひとりきりになりたくて山奥のキャンプ場でソロキャンプのテントを張る。そんな彼のソロ活動に割って入ってきたのはキャンプ初心者の女子大生
煩わしくて避けてきた人との混ざわりを後押ししたのは、少年の頃キャンプに連れて行ってくれた父親の教えてと女子大生が作る美味しいキャンプ飯
これからふたりソロキャンプが本格的に始まるので、期待したい
唯一残念なのがキャスティング。女子大生役の本田望結が大嫌いで、顔・体格・性格そのどれもが鬱陶しい。特に声と喋り方は生理的に無理
違う役者ならもっと楽しめたのに
脚本の北川亜矢子は実写ドラマ版「ゆるキャン△」2シーズン書いているので信頼できる

「べらぼう」
森下佳子脚本だからとの理由で今年の大河ドラマは観ている
序盤、NHKらしからぬ遊女全裸体を見せたりするものだから、チャレンジな作風になるかもと期待は掛かる
凋落してゆく吉原に昔の活気を取り戻そうと奮闘する青年に、古き柵や既得権に胡座をかく勢力が立ち塞がる。知恵と工夫、そして異才の人脈を駆使してのし上がる様が活写される。横浜流星の力が試される一年だ
語りの綾瀬はるかが花魁に変幻した稲荷として毎回登場してくれたなら良かったのに
現代日本のサラリーマンが愛社精神で会社を再構築してゆくカタルシスを再現できるか。それだと何だかTBSの日曜ドラマみたいになっちゃうか

「御上先生」
文科省の官僚が教育現場でどんな改革をするのか。実際の教師たちはこのドラマをどのように評価するのかが興味深い
松坂桃李は適役
吉岡里帆にぶっ飛んだ教師を演じて欲しかったというのが本音
蒔田彩珠筆頭に若手演技派を並べているので、しっかり観ていこう

「ホット スポット」
多分、今年を代表する傑作ドラマになる
前作「ブラッシュアップライフ」は輪廻転生する中年女と交わる出来事や人物を独特のリズムで描ききり、脚本家バカリズムの才能に感嘆したのだが・・・
今回は何と宇宙人
主人公のシングルマザー働くホテルの同僚が、地味なおじさんなのに特定の能力を持つ宇宙人と地球人のハーフという設定からして面白い
幼馴染の女3人とおじさん宇宙人が、微妙な活躍で地域の安心安全に貢献していくのだろう
市川実日子、平岩紙、鈴木杏の幼馴染がダラダラおしゃべりするのも笑えるし、ホテルのフロントで夏帆や坂井真紀と掛け合うところも見逃せない。木南晴夏まで登場してきたので、安藤サクラもあるのか?
そして最大の功労者はおじさん宇宙人を演じる角田晃広。わたくしがあまりお笑いに興味ないため、気にして見たことないけど彼の小心者のくせに太々しいおじさん像が無ければこんなに面白くはならなかっただろう
ロケ地が富士山の麓の街、富士吉田と都留というものわたくしにとっては思い入れがある。多い時は年間30日程度を魚釣りで通っている街だから

「おむすび」
根本ノンジの脚本作品はなんか嘘臭くて嫌いだった。朝ドラでもリアリティのないエピソードの羅列が多くて退屈。残り2ヶ月早く終わらないかな
脚本のせいじゃないんだろうけど、ほぼ1ヶ月ヒロイン不在の朝ドラって初めて観た。いいのか?橋本環奈やらなきゃ良かったと思ってるだろうな

「クジャクのダンス、誰が見た?」
TBSが本気で広瀬すずを女優にしようと企画したとしか思えない。そんなふうに感じたのは超豪華な共演陣のラインナップを見たからだ
謎深い事件を一緒に解いていくバディに弁護士役の松山ケンイチ。事件の真相を並走しながら追う記者が磯村勇斗。父親殺しの容疑者役は成田凌。この面子だけでA級の映画が一本撮れてしまう
2話終わった時点では正直どこに隠された悪意があるのか分からないけど、父だと信じてた人は血縁関係は無くヒロインの出生には過去の一家6人殺害事件が繋がっていそうだ
題名が文学的過ぎて浮いた感じはするけれど、手堅く作りさえすれば面白くなりそうだ

「リラの花咲くけものみち」
NHKにしては軟派な題材だと思うけど、引きこもり気味の女の子が北海道の大地で動物たちと向かい合いどう成長してゆくのか。素直に応援できそうな衒いのなさがかえって新鮮かも
自然の中で生きてるキツネやシカを美しく愛おしく映像化するのって、かなりの技術と忍耐が必要だと思う。ワンカットのためにそんな予算取れるのはNHKしかないって事かな
かつて、富良野の春夏秋冬生きる動物や自然を丹念に映し出したドラマがあった。5秒の絵のために何時間もカメラを回し続けたのは想像に難くない
40年以上経った今でも傑作として色褪せることはない「北の国から」。後世に残る作品を作るのってそうやって手をかけることからしか始まらない
あの名作を制作した会社が今や地に堕ちその存続さえ危うい





2024 下半期アニメ

2024-12-29 13:54:00 | 旧作映画、TVドラマ
上半期に強烈な傑作が揃っていたからか、下半期は量質とも今ひとつ



小市民シリーズ
題名が変わってたからどんな話なんだろうかと見始めたら、原作が米澤穂信だったのであの世界観に納得
出世作である氷菓に似ているけど、ヒロインはこちらの小山内ゆきが魅力的だ。声優の羊宮妃那の囁くような甘い声が心地よい




2.5次元の誘惑
ヒロインである天乃リリサを中心にしたコスプレハーレムラブコメというヲタク生態満載の楽屋落ちなんだけど、一生懸命に好きなことを貫く姿がやっぱり良い


負けヒロインが多すぎる!
こちらもハーレム系ラブコメなんだが、題名通りヒロインが皆んな少しずつダメで恋愛要素は低めなところが良かった


オーイ!とんぼII期
ダンダダン
歴史に残る悪女になるぞ




2024連ドラ総括

2024-12-25 19:15:00 | 旧作映画、TVドラマ
2024年はNHKの朝ドラ・大河含めて23本のドラマを楽しんだ
途中何本かのリタイア作品もあったし、配信系のドラマも含めると30本近く観ようとしていたのかと思うとずいぶん暇だったんだな。最近テレビ局がドラマ枠を増やしているので玉石混交ではあるが、選択肢が増えることはいいことだ。その分、深夜枠もチェックしながら良いものを見極める審美眼を一層磨かなければならない
制作テレビ局だけではなく、プロデューサー・脚本家・演出家・役者にも目配りしながら優良なコンテンツを引き当てた時はそれなりに嬉しいものだ

今年の一等賞はやっぱり生方美久脚本「海のはじまり」だろう
医療関係の仕事をしていた経験値が生きていたし、三作目とは思えないほどに周到な人物設定とストーリーの展開は見事としか評価のしようがない。途中、目黒連の体調不良による番外編も含め一話ごとの完成度も高く、処女作の時ほどには絶賛されることはなかったけれどわたくしとしては今時点での最高傑作だと思っている
主役の目黒連はまだまだ伸びしろたっぷりではあっても発展途上だからこれ以上を望むのは酷として、有村架純の今カノ、古川琴音の元カノ、図書館員の池松壮亮、母親大竹しのぶ、そして何と言っても娘をやり切った泉谷星奈たち脇を彩る役者たちが凄かった
音楽の得田真裕(最近のドラマ音楽は殆どこの人だ)が書くスコアが切なくも懐かしさを感じさせてくれる
プロデュースと演出も「silent」チームだから品質保証の布陣で作られた2024年を代表する作品だった

二番目に挙げるのは「アンメット」
あいみょんが主題歌歌うので期待せずに観ていたドラマだったから、かなりのお買い得ドラマだと言っていい。主役の杉崎花と若葉竜也は映画で映える役者だから最近の出演映画は結構観ている。この二人でなければ映像化できなかっただろう長回しシーンは、連続ドラマ史上語り継がれるべき名場面として記憶に残る

奈緒と木梨憲武が親娘を演じた「春になったら」は、木梨が自分と同じ歳であることもあり親近感があった
ジワジワと別れの季節が巡ってくるお話は辛いけど愛情にあふれ、自分の最期もこんな風な関係性の中で旅立てると理想的だと思った

久しぶりの大河ドラマ「光る君へ」は期待に違わずNHKの力量を示した
舞台、衣装、小道具 どれもが手抜きなく再現されており、平安時代の内裏にタイムスリップすることになった。吉高由里子も堂々とした演技で紫式部を魅せてくれた

最後に、ドラマの質としてはもう少し直すべきところもあったけど「不適切にもほどがある」は如何にもクドカンワールド
過去と現在を対比させ、笑いの中にもそれぞれの時代に対するアンチテーゼを挟み込む外連味は流石だ。河合優実が認知されたことも忘れてはいけない

プロデュース
「不適切にもほどがある」磯山晶
演出
「お別れホスピタル」柴田岳志
主演俳優
「アンメット」杉咲花
「アンメット」若葉竜也
助演俳優
「海のはじまり」池松壮亮
「海のはじまり」古川琴音
期待の俳優
「不適切にもほどがある」河合優実
「海のはじまり」泉谷星奈