映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

1778の物語

2011-01-23 08:00:53 | 新作映画
 今年の封切り作品トップをきって公開されたのが、わたくしの大好きな結子さんの主演作品である事は素直に嬉しい。それも彼女でしか有り得ない役どころなのは、ファンにとって直球ど真ん中の喜びである。毎年結子さんの出演映画は観ているけれど、こうも毎年美しくなってゆく女優は稀有であろう。本当のことを言えば、彼女の良さは少しテンポの遅い惚けた味を持った女性を飄々と演じるところにあると思っているので、そろそろ死に逝く蜻蛉のような役は卒業して欲しいとは思うのだが。「天国の本屋 恋火」「グローズドノート」「いま会いにゆきます」そして今回と同じ組み合わせ「黄泉がえり」どれも彼女の透明感のある美しさが無ければ成立しなかったのだけれども。「サイドカーと犬」まで飛び抜けなくてもいいが、違う彼女の魅力溢れる躍動感をわたくしは待ち続けたい。

 作品もお涙頂戴に徹した作品になっておらず、好感が持てるつくりになっていた。前記した「いま会いにゆきます」を観て感じた事と同じではあるが、生きている時にこそ、元気でいる時にこそ愛する人を大事にすべきである。残される方は逝ってほしくないから、自分が出来る事は何でもしようとするし、逝くしかない方は一人残される者に未練と不安を抱えて苦しむ。人の別れが常に悲しく悲壮感を伴うとは限らないが、昨日と同じ今日を共有した間柄であれば明日もまた同じ日々が続く事を疑わない。そんな日常をもった人々にとって、突然であろうが告知されたものであろうが別れは辛いだろうと思う。それでも必ずいつか来る別れの時、送る時も逝く時も精一杯の感謝を込めてありがとうと言いたい。「また、一緒に暮らしましょう」と言えるだけの愛情を胸に。わたくしもあなたも。

 
 


2010年度わたくしの好きな邦画10

2011-01-09 08:18:11 | 映画ベストテン
 新年おめでとうございます。

年末年始も瞬く間に過ぎてゆき、もうお正月の雰囲気も欠片さえ見当たりませんね。そもそも、ハレもケも無くなってしまった昨今では、盆も正月もありはしません。と申しますか、毎日がハレの日々であるこの世の中で特別な日なぞ存在しません。クリスマスにしか見ることのなかった大きなケーキや、大晦日にしか許されなかった夜更かし、病気で辛い時にしかバナナの房を見ることは無かったなんて、皆さんには想像できませんでしょ?でもそれって、たかが40年前のことなんですけど。

さて、掲題についてつらつらと。
ベスト10は下記の通りです。
①最後の忠臣蔵
ななみちゃんの可憐さに負けてしまいました。信じる人や生き方のため貫き通す事の尊さに涙いたしました。
②十三人の刺客
文句無く楽しめた映画です。稲垣吾郎の怪物ぶりを発掘した記念的作品でもあります。
③悪人
原作がそのまま映像化されているという意味では、良くも悪くも精巧な作品です。
④おとうと
山田洋次まだまだ枯れません。小百合さんも美しい。人の死を正面から見つめています。
⑤告白
憂鬱な気分が後々まで長引き、映画の評価を正しく出来ているか自信がありません。
⑥借りぐらしのアリエッティ
脚本が宮崎アニメそのものですから、はずれはありませんね。
⑦必死剣 鳥刺し
期待以上ではありませんでしたが、藤沢文学の情緒は楽しむ事が出来ました。
⑧ゴールデンスランバー
原作が面白すぎますので比べるのは酷でしょう。映像的な優位性がもう少し欲しいところではありました。
⑨武士の家計簿
森田作品がこのところ低調でありますが、その中ではまあまあの出来だったかと思います。
⑩カラフル
期待が大きすぎてガッカリしましたが、伝わるものはしっかりしてましたので。

20本の邦画を観ることをめざすのですが、去年も13本でした。観ようと思いながら見逃したものは、行定二作品「孤高のメス」「キャタピラー」「パーマネント野ばら」あたり。多分まったくのノーマーク作品にも楽しませてくれる作品があったことでしょう。出会いは縁ですからあきらめましょう。
今年も良縁にめぐりあえますよう祈念して、元気に映画館に通う事といたしましょう。